マチをママにする程度の能力   作:まだ名前はありません

34 / 36
危険を回避する程度の能力

殺戮タキシードピエロには、どう対処するのが正解なのか。

 

 

 

戦うのか、逃げるのか。

 

危険を回避するためには、どちらを選ぶべきなのだろうか。

 

 

 

まず、逃げ回るという選択肢について色々と考えてみたが、この選択をした場合は少しマズいことになるかもしれない。

 

 

 

今回の4次試験は期間が一週間もあり、その間は島から出ることができないのだ。

 

 

既に6点分のプレートを持っている以上、試験終了時間までずっと隠れていることも一応はできる。

 

相手がピエロだけならば逃げ切れる可能性もあるだろう。

 

 

だが、俺とピエロが鬼ごっこやかくれんぼをしている間、マチがずっと大人しくしているとは限らない。

 

 

何日も鬼から逃げ回って体力を消耗した挙句、二人の鬼に挟み撃ちにされる、なんていう展開になることもあり得るわけだ。

 

 

マチとピエロ、そのどちらか片方を相手にするだけでも厳しいのに、二人同時に襲いかかってきたりしたら勝つことは困難。

 

 

 

それに、補給の問題もある。

 

俺はトルテやクララから食料を受け取らねばならない。

 

二、三日程度ならばともかく、試験終了日まで一週間も絶食するなんてことになったら、流石に疲れが出てしまう。

 

 

最終試験には万全の状態で臨みたいので、栄養は十分に摂取しておきたいし、そのためにも定期的に彼女たちと接触する必要がある。

 

 

そして、そのことをマチも把握している以上、トルテとクララを監視することで俺の居場所を突き止めることができるわけだ。

 

 

 

トルテたちにプレート収集を諦めさせて一緒に隠れるという手段もある。

 

だが、それをやってしまうと6点分のプレートが集まらずに彼女たちが最終試験に到達できなくなる可能性が出てくる。

 

最終試験の内容が不確定である以上、もしも複数人で協力できる試験となった場合を考えると、ここで彼女たちを失うわけにはいかない。

 

 

 

逃げるのが難しいならば、戦うという選択肢はどうだろう。

 

トルテとクララと一緒にヒソカを迎撃し、果たして勝利できるのか。

 

 

正直に言って、かなり厳しい。

 

 

最終試験のことを考えると、こんなところで怪我をするわけにはいかないのだ。

 

いくら三人がかりとはいえ、あの危険なピエロに無傷で勝利するのは非常に困難。

 

 

 

逃避と戦闘、どちらを選択しても苦しい。

 

非常に厳しい状況だ。

 

 

 

頭をさらに働かせるために、俺は水筒を傾けてミルクを飲む。

 

これで水筒の中の残りは半分ほど。

 

予備のものがもう一本あるとはいえ、余裕のあるうちに補給を受けるべきかもしれない。

 

 

 

 

とりあえずクララのところへ行ってみよう。

 

何か問題も起きているようだしな。

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴンに案内してもらい、クララが居るという場所へと向かった。

 

 

 

 

 

 

クララは「がうー」と唸り声を上げながら、レオリオを威嚇している。

 

彼女は毒を目にすると、あんな感じに怒り状態となってしまう。

 

レオリオが持つカバンが半分ほど氷で覆われていることを考えると、何らかの薬品が彼女の気に障ったのかもしれない。

 

医者を志望しているレオリオならば、医薬品を持ち歩いていても不思議ではない。

 

 

 

 

そして、そんな怒った少女を止めようとしているのがクラピカ。

 

クララの前に立ち塞がって、落ち着くように説得している。

 

どうやらクラピカとクララは以前から面識があったらしく、クララの危険性をしっかりと把握しているようだ。

 

なるべく彼女を刺激しないように注意している。

 

 

とはいえ、もしクララが本気であれば、レオリオもクラピカも既に氷像となっているだろう。

 

彼らが念能力を覚えた後ならば勝敗がどうなるかは分からないが、現在の段階では流石にクララに勝つことは難しい。

 

 

 

つまり、クララは怒っているものの、なんとか我慢できるレベルということのようだ。

 

これならばギリギリで話が通じるかもしれない。

 

 

 

 

ひとまず俺はクララを回収して、二人で少し離れた場所へと移動する。

 

 

頭を回転させるために、よく冷えたミルクを飲みつつ彼女の話を聞いてみると、やはりレオリオのカバンの中身がトラブルの原因らしい。

 

薬も多すぎれば毒となり毒も適量ならば薬となり得る。

 

シスターたちが聖水という名をつけて売っていた密造酒ですら、クララには毒と判定されていたのだ。

 

消毒用のアルコールとかが毒物と認識される可能性だってゼロとは言えない。

 

 

 

 

俺は対面する形で膝の上に座らせたクララの話を良く聞いてやりながら、頭に血がのぼっていた彼女をどうにか落ち着かせていく。

 

 

薬品ですら毒と認識するとなると、麻薬とかでもそうなると考えるのが妥当だろう。

 

彼女を放って置いたら、そのうち原作世界線でキメラアント事件が起こったNGLとかに突撃していきそうだ。

 

あそこは自然保護の国と名乗ってはいるが、実際はそれを隠れ蓑に合成麻薬を製造しているという危険な場所なのだ。

 

もっとも、それは一般人には知られていないはずだし、現時点では気にしなくても良いだろう。

 

クララがプロハンターになって情報収集能力が上昇した場合は真実が露呈してしまう可能性もあるが、そんな先のことまで考えている余裕は今の俺にはない。

 

 

とにかく今はあのタキシードの男に対処しなければならないのだ。

 

 

そのためにも無駄なことに時間を使っていないで、早くプレートを集めてきて欲しい。

 

クララが4次試験を突破する条件を満たしたら、後は一緒に隠れていることだってできるのだ。

 

 

俺はそういった内容をアイコンタクトで伝えようとしたのだが、クララはこちらを見下ろしながら首を傾げている。

 

 

 

 

どうやらメッセージは上手く伝わらなかったらしい。

 

 

仕方がないので、口頭で説明を行うことにした。

 

俺の陥った状況について話ながら、飲みきれなかった分は水筒に注いでいく。

 

 

 

 

「なるほど。事情は理解した」

 

クララは腕を組みながら重々しく頷いた。

 

しばらく時間をおいたことで、ようやく冷静さを取り戻したようだ。

 

 

 

「心配する必要はない。そのタキシードの者は私が仕留めよう。私より先に式を挙げようと企むなど、万死に値する」

 

やっぱり、あまり冷静ではないようだ。

 

俺は先とか後とかそういう次元のことを問題にしているのではないし、そもそもあのピエロに単独で戦いを挑むなど正気の沙汰ではない。

 

 

絶対にこちらからは仕掛けるな。

 

タキシードの男とローブの女に出会ったらすぐに逃げろ。

 

俺はそんなふうに注意を促した後、彼女をプレート集めへと送り出した。

 

 

彼女はまだ落ち着きを取り戻したとは言えない状態だし、このままレオリオたちのところへ連れ帰ってもロクなことにはならないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

俺は木馬ちゃんに乗ってゴンたちと別れた場所へと向かう。

 

 

調べてもらった情報の対価として405番のプレートをゴンへと渡してしまおう。

 

さっさと彼らとはサヨナラしたいのだ。

 

たしか原作世界線では、クラピカとレオリオの二人が協力関係を結んだ後、不運にもピエロに遭遇してしまうという展開があったはず。

 

彼らと一緒にいるとピエロと遭遇する確率が上がりそうでなんだか怖い。

 

 

俺はクララがプレートを集めてくるまで、一人で大人しくしていよう。

 

 

 

 

 

そう考えていたのだが、なかなか自分の思った通りに物事は進まないものだ。

 

 

 

 

「話は聞かせてもらった。その44番を狩るという計画に私たちも加えてほしい」

 

 

俺がゴンたちと再度合流した直後、クラピカがそんなことを言い出した。

 

その手には、197という数字が書かれたカードが握られている。

 

 

「何か良い作戦があるんだろ? 一枚噛ませてくれよ」

 

焚火でカバンを炙っていたレオリオも、こちらに199と書かれたカードを見せながら作戦へと参加する意思を表明する。

 

 

 

なるほど、彼らは作戦に参加したいらしい。

 

 

 

で、その作戦って何なんだ?

 

 

俺はゴンに事情を説明してもらおうと視線を向ける。

 

 

すると、彼は『分かっている』と言わんばかりに大きく頷いた。

 

 

 

 

「みんなで力を合わせれば、絶対にヒソカからプレートを盗れる!」

 

 

彼はただ一言そう言って、何かを期待するかのようにこちらを見つめてくる。

 

 

 

 

 

さっぱり事情がわからないので、彼らの発言をヒントに自分で予想をしてみることにした。

 

 

カードに書かれた数字から推測すると、クラピカは197番、レオリオは199番がターゲットなのだろう。

 

 

しかし、この二つの番号のプレートは既に俺が持っている。

 

よって、彼らが合格するためには、ターゲット以外のプレートを三枚集めるか、俺からプレートを手に入れるしかないわけだ。

 

 

俺は6点分しかプレートを持っていないので、彼らにプレートを渡すわけにはいかないし、そんなことは彼らも理解しているだろう。

 

 

だが、もしもここで44番のプレートを手に入れることが出来たとしたら?

 

 

俺は自分のプレートと44番のプレートで6点分となり合格できる。

 

そして、あまった三枚のプレートをゴン、レオリオ、クラピカに渡しても問題なくなる。

 

 

その三枚のプレートは、それぞれが彼らのターゲットとなっているので、彼らも6点分集めることができて試験を突破可能となる。

 

 

ようするに、ヒソカを4人がかりで狩るだけで、ここにいる全員が合格できるわけだ。

 

 

 

たしかに俺は言った。

 

試験官からの評価を上げるために可能ならばヒソカを狩りたい、と。

 

あくまでも『可能ならば』という話をしたはず。

 

 

それがなぜか、既に狩ることが決定しているかのような話となってしまっている。

 

 

 

 

 

これが伝言ゲーム効果か。

 

俺からゴンに、ゴンからクラピカとレオリオに伝わる際に微妙にニュアンスが変わっていったのか。

 

 

 

 

厄介なことになってしまった。

 

俺以外の三人はやる気十分といった様子。

 

ここで「やっぱり中止します」とか言ったら最高に空気が読めないやつになってしまう。

 

 

かといって念能力を使えない三人を引き連れてヒソカに挑むのもキツい。

 

 

そもそも、ヒソカを狙うのではなくて、四人がかりで適当な受験生を三人狩る方が遥かに簡単だろう。

 

そういう結論にならなかったのは、俺に対する試験官からの評価という部分を気にしたのかもしれない。

 

 

 

 

この四人で本当にヒソカをヤれるのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

いや。よく考えてみれば、勝つ必要はないのか。

 

 

ヒソカが胸につけているプレートを奪えれば良いだけ。

 

 

原作世界線では、ゴンが単独でそれを成し遂げている。

 

ヒソカが獲物の受験生を仕留める瞬間の隙を狙って、釣り竿によってプレートを奪っていた。

 

 

 

俺、クラピカ、レオリオの三人でヒソカに隙をつくり、そこをゴンに狙わせる。

 

 

あまりやりたくはない作戦だが、意外と悪くはなさそうだ。

 

 

 

 

単純に作戦の成功率もそこまで低くなさそうだし、もしこれが成功すれば俺の身の安全が確保できるかもしれない。

 

 

 

 

原作世界線において、ヒソカはゴンを非常に気に入っていた。

 

4次試験で自分のプレートを奪われたことで、ゴンの将来性に気づいたのだろう。

 

 

この世界戦でも、ゴンにプレートを奪わせることで、ヒソカの興味をゴンに向けさせることができるのではないだろうか。

 

ヒソカがゴンに夢中になれば、その分だけ俺は安全になれる。

 

 

かわいそうだが、ゴンには人柱となってもらおう。

 

 

 

逃避も戦闘も困難であるならば、どちらも選らばなければいい。

 

 

 

第三の選択肢、敵の注意を別なものに向ける。

 

 

これが正解に一番近いのかもしれない。

 

 

パーティーの人数はどのくらいが好みですか?

  • 1人
  • 2人
  • 3~4人
  • 5~8人
  • 9人以上
  • その時の状況による
  • 特にこだわりはない
  • 男なら一軍の将を目指せ
  • 周囲の女性は多いほど良い
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。