マチをママにする程度の能力   作:まだ名前はありません

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隠れる程度の能力

俺、レオリオ、クラピカでヒソカを襲撃し、ゴンがプレートを奪うための隙を作り出すという作戦。

 

 

ここで問題となるのはヒソカと対峙する三人側の戦力だ。

 

いくら攪乱が目的とはいえ、俺を援護してくれるのがレオリオとクラピカだけというのは流石に心もとないような気もする。

 

 

 

 

トルテやクララたちを作戦に加えるべきだろうか?

 

 

だが、クララはレオリオとの相性が良くないし、トルテやシスターたちは今どこにいるか分からない。

 

 

 

それにトルテたちの行動をマチは注視しているはず。

 

合流すればマチがこちらの思惑に気づくかもしれない。

 

 

いくらこちらの戦力が上昇したとしても、ヒソカとマチの二人が揃ってしまったら作戦の成功率が激減してしまう。

 

 

あえてこのまま彼女たちと合流しないことでマチを引き付けていてもらうというのもアリな気がする。

 

 

 

 

だが、そうなると最初の問題へと戻ってしまう。

 

 

レオリオもクラピカも一般人とは比べものにならないほどのポテンシャルを持つが、念能力者であるヒソカの相手をするのは流石に厳しい。

 

彼らが怪我をしたりピンチになったりしたときに、ゴンが黙って見ているとは思えない。

 

作戦を破棄してでも彼らを救おうとするだろう。

 

 

彼らではヒソカの攻撃を受けきれない以上、俺が矢面に立って二人に攻撃がいかないように戦わねばならない。

 

多少の無理をすれば可能かもしれないが、それほど長い時間つづけるのは厳しい。

 

 

そうなれば撤退するしかなくなるが、果たしてヒソカが見逃してくれるのか。

 

 

 

 

 

 

最悪の場合は、生き残るために彼らを囮にしてでも逃げなければならない。

 

 

そのためには、最低でもヒソカが餌として認識する程度の能力が欲しいが、現状ではどうだろうか。

 

 

俺はクラピカとレオリオを見ながら考える。

 

 

 

 

 

そんな俺の様子を見て、俺が彼らを心配していると勘違いしたのか、レオリオが話しかけてきた。

 

 

 

「オレは絶対にハンターになってやる。このくらいの危険は覚悟の上だ」

 

彼は医者になりたいという自身の夢を語り、そのためならば殺戮者にすら立ち向かうと宣言までした。

 

 

 

「私は賞金首ハンターになりたい。同胞たちのため、幻影旅団から奪われた眼を取り戻す」

 

彼の一族は、激しい感情がトリガーとなり眼が綺麗な緋色に染まる。

 

クララと一緒だな。

 

そんな綺麗な眼を狙っている危険な男が、幻影旅団という犯罪組織に所属しているらしい。

 

これまでに何人もの仲間がその男から眼を奪われ、非常に苦労しているそうだ。

 

 

 

俺の知識から推測すると、その犯人は多分、オモカゲという男だと思われる。

 

彼は念能力により、コピー人形を作ることができるのだが、眼だけは実際の人間から奪わなくてはならない。

 

おそらく世界七大美色の一つとされる緋の目を自身の人形に使うために集めているのだろう。

 

 

 

 

 

なるほどな。

 

これはもしかしてチャンスなのでは?

 

 

 

マチオルタとの契約により、俺はオモカゲを狩る手伝いをしなければならない。

 

正直に言えば、あまりやりたくない仕事だ。

 

ターゲットであるオモカゲという男は『コピーもとの人物と遜色ない能力を持つコピー人形を何体も作り出すことができる』という非常に強い能力を持つ。

 

しかも、この人形は顔を合わせた相手から目を奪うことが可能。

 

さらには、人形をオモカゲ自身が取り込むことでその能力が使えるようになったりもする。

 

 

 

こんな明らかに強いやつと戦うなんて、あまり気分が乗らない。

 

 

 

 

だが、この戦いにクラピカを巻き込めるとなると話が変わってくる。

 

 

原作世界線において、クラピカは同胞を皆殺しにされた怒りから、旅団相手にしか使えない強力な能力を持つ旅団絶対殺すマンとなった。

 

 

この世界線でも同じようにオモカゲ絶対殺すマンとなってくれたら、比較的安全にターゲットを狩れるかもしれない。

 

 

ヒソカとオモカゲという二つの危険物を同時に処理できる、まさに一石二鳥の作戦を思いついた。

 

 

 

 

「お兄ちゃんたちの覚悟はわかったよ。でもヒソカと戦って生き残るためには、とある技術が絶対に必要になる」

 

 

念能力は秘匿技術?

 

クララがあれだけ好き勝手しまくっているというのに今更だろう。

 

 

 

「期限は四日。それまでに全員が最低限の技術を身に着けられなかったら、作戦は中止。それでも良いなら、手を組もう」

 

 

 

 

はっきり言って、四日という期限はかなり短い。

 

最も基本的な『纏』を覚えることすら困難だと思われる。

 

 

 

しかし、水筒が二本だけという物資の少なさを考えると、それ以上待つのは苦しくなってくる。

 

 

 

そもそも俺は既に合格の条件を満たしているのでこの作戦を実行できなくても良いし、彼らも残りの三日でプレート集めをがんばれば試験を突破できる可能性が残る。

 

 

 

 

もし四日目の段階で彼らが『纏』を習得できなかったら、諦めて潜伏を続けよう。

 

 

今日から四日間は囮となり得る存在が三人もいるため、仮に見つかっても逃げ切れるチャンスが多くなるはずだし、それ以降はプレートを揃えたクララたちと合流して守りを固めれば良い。

 

 

 

 

絶食状態で潜伏し続けたら体力をそこそこ消耗してしまうだろうが、最終試験の会場まで移動する間に多少は回復できるはず。

 

 

 

ピエロの脅威を排除し、オモカゲ絶対殺すマンを降臨させるためならば、この程度のリスクは許容しなければならないだろう。

 

これは会長に良いルーキーが多いと印象付けたり、俺が試験官からの高評価を得たりできるチャンスでもあるのだ。

 

 

 

 

 

 

 

もしも全員が習得できたら、潜伏をやめて襲撃を行い、ピエロの注目をゴンへと押し付ける。

 

 

最低限の能力を持ち囮にもなれる存在が三人もいるならば、作戦が失敗しても俺が生還できる確率はそれなりに高いだろう。

 

 

 

 

ようするに、彼らが習得に成功しようが失敗しようが、どちらに転んでも俺の危険はある程度少なくできる。

 

 

 

 

 

 

それに、俺にはまだ切り札だって残されている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

修行中の三人から十分に離れた場所で、俺はチョコロボに向かって話しかけた。

 

 

 

 

「カルト、依頼がしたい。ターゲットはピエロが一人だ」

 

 

もし作戦が失敗して最悪の状況になりそうなら、チョコロボを通してこちらの音を聞いているだろうカルトたちの手を貸りる。

 

 

暗殺者であるアルカとカルトならば、奇襲や不意打ちは得意だろうし、ピエロを仕留めるのは無理だとしても足止めくらいはできるだろう。

 

 

そんなわけで通信装置となったチョコロボを通して仕事を頼もうと思ったわけだが、何も返事がない。

 

 

 

 

 

「……あの。もしもし、カルトさん?」

 

しばらく待ってみたが何の反応もなかったので、もう一度話しかけてみた。

 

 

 

だが、残念なことに何も起こる気配がない。

 

 

まだ時刻は夕方だし、もう寝ているということはないと思う。

 

 

 

 

「えっと、聞こえてますか? もし俺がピンチになったら、ちょっとだけ手を貸してほしいんですけど」

 

 

 

しばらく時間をおいた後にもう一度話しかけてみたのだが、チョコロボが「あい」と短い返事をしてくれただけで、それ以上カルトたちからの返答は得られなかった。

 

 

この返事は『了解』を意味すると考えても良いのだろうか。

 

判断に困る。

 

 

もし依頼を受けてくれたのだとしたら、もう少し何か分かりやすい反応があっても良いとおもうのだが。

 

 

ひょっとして、カルトさんたちはお忙しいのかもしれない。

 

それとも、実は受験中は依頼を受けつけていないとか。

 

だとすると、別の作戦を考えなければならない。

 

 

 

 

 

そんなふうに頭を悩ませている俺のもとに、一枚の小さな紙片が飛んでくる。

 

その紙を調べてみると『冷気を操る能力者に襲われていて忙しい』と書かれていた。

 

 

 

 

 

 

またか!

 

 

俺は無意識に足元の小石を全力で蹴り上げた。

 

その石は、木の上に隠れていたらしい忍者に勢いよくぶつかって墜落させる。

 

 

 

 

たしかに俺はクララに『タキシードとローブを襲うな』と指示しただけで、『暗殺者を襲うな』などとは言わなかった。

 

だが、わざわざ言わなくてもそのくらいわかるだろう。

 

いきなり暗殺者さんを襲ったりしたら、向こうも迷惑だろうに。

 

 

 

 

仕方がないので、まともにクララの相手をせず可能な限り怪我をさせないでくれとカルトたちに依頼をした。

 

 

まさかシスター・マリアからもらった貴重なお小遣いをこんなことで消費するはめになるとは。

 

 

依頼料はいくらになるのか。

 

そして残ったお小遣いで、ピエロに関する依頼を受けてもらえるのか。

 

 

 

前途は多難だ。

 

 

 

 

 

 

ゴンたちの様子を見に行こうとした俺の前に、先ほど俺が撃墜した忍者が立ち塞がった。

 

 

 

 

「たしかにアタシはアンタに『忍者を襲うな』と教えたことはないよ。でも普通は言わなくてもわかるだろう?」

 

 

忍者が頭部を覆っていた布をとって、その場に投げ捨てる。

 

その行動からは、かなりの怒りが感じられた。

 

俺から不意打ちを受けてしまったことが許せないのだと思われる。

 

 

 

「いきなり襲われたら忍者だって迷惑だろうが。少しは考えて行動しな」

 

忍者装束を身に着けたマチは、こちらに強い眼差しを向けてきた。

 

 

なぜそのような格好をしているのか。

 

その答えは容易に想像できる。

 

忍者の仕事の一つには『暗殺』がある。

 

標的の近くに忍び寄り、刀や手裏剣、毒や忍術など様々な技を使って仕留めるわけだ。

 

 

 

つまり、白タキシードは囮であり、彼女は忍者装束の特性で夜の闇に隠れて、俺を襲おうとしていたのではないだろうか。

 

 

 

 

まさかここで夜襲を仕掛けてくるなんて全く想定していなかった。

 

 

たまたま俺の蹴った石が彼女に命中したから気づくことができたが、もしそうでなければ確実にヤられていただろう。

 

 

とはいえ、最悪の事態を回避したというだけで、まだ助かったわけではない。

 

 

 

マチはくノ一装束を着ていることから、いつでも夜戦を行える状態だと思われる。

 

それに対し、こちらは夜戦のための準備や心構えなどは一切できていない。

 

 

万事休すだ。

 

 

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