マチをママにする程度の能力 作:まだ名前はありません
トルテの家が見つかって、迎えが来るまでの間、俺たちは寝食をともにし、まるで本当の兄妹のように仲良くなった。
もちろん一緒に遊んだりするだけでなく、修行もたくさんやった。
トルテは足音の殺し方など様々な技を知っており、幼女なのに驚くほどテクニシャンだった。
その技の内いくつかを教えてもらったが、十分に使いこなすにはもっと練習が必要だろう。
もっとも教えてくれたのは効率的な拷問のやり方とかだけで、足音の殺し方とかはダメと言われた。
たぶんそれらは門外不出の技術なのだと思われる。
別れ際に彼女は「トロイのハードな責めにも耐えられるように、がんばって鍛えてくる」と言い残してから帰っていった。
彼女は、最初に戦った時の印象のせいで、俺が他人を痛めつけるのが好きだと勘違いをしている。
なんとか誤解を解こうとしたのだが「大丈夫。わたしには隠さなくてもいいから」と言われ、とりあってもらえなかった。
というか、よく考えてみると拷問の技術ばかり教えようとしてきたのもそれが理由かもしれない。
しかし、まさか最新の拷問に
だがよく考えてみれば当たり前かもしれない。
大量に摂取させられてギャラクシーしまくったら、いつ失血死するか怖くなってしまうだろう。
流石に俺も幼女にギャラクシーさせるのはダメじゃないかと思ったのだが、「お世話になるんだし食費くらいは負担させてよ」という提案を拒否できなかった。
もし断ったら、お前のギャラクシーに価値なんてない、と言っているようなものだからだ。
「うん、いいよ。トロイ、すごく上手」
俺には拷問の才能があったらしくトルテには褒められたが、おやつを食べ過ぎてご飯が食べられなくなったりしてマチママにはちょっと叱られた。
その後も、トルテとは電話やメールを介してやりとりを続けている。
定期的に荷物が届いたりもする。
多分、お歳暮的なものなのだろう。
荷物の中には、その時によって違うものが入っているが、特に気に入っているのがトルテの家で開発されたという蛍光色の栄養ドリンクだ。
遊戯王とかのパックを買うと必ず一枚光るカードが入っているが、それと同じようにトルテからの荷物にも必ずこの蛍光色のドリンクが入っている。
眠くて朦朧としている時でもこれを一本飲むだけで一気に頭がスッキリするので重宝している。
これがあるだけで、修行の効率がかなり上がる。
電話でトルテの話を聞く限り、彼女の修行はかなり順調らしかった。
同い年の女の子に置いて行かれるというのも悔しいと思うので、俺も色々と頑張ってみようと思う。
強くなるためにはどうすれば良いか、俺は頭を悩ませた。
その結果、とりあえず武器を用意するのが手っ取り早いのではないだろうかという結論に至った。
結局のところ、なんだかんだ言っても丸腰でいるより武器を持っていた方が強い気がするのだ。
念能力者であっても銃弾程度の威力があれば十分に脅威となり得るわけだ。
たとえば銃を持った悪いやつに襲われた時、咄嗟に身を隠すための盾が使えたりしたらきっと心強いだろう。
攻撃する武器に関しては槍が良いのではないだろうか。
槍は剣の三倍強いという話をどこかで聞いたことがあるし、投げ槍として使えば遠距離への攻撃手段にもなる。
右側に槍、左側に盾。そんな感じにするとバランスが良いのではないだろうか。
単純に強さだけを求めるなら銃を持てば良いのだろうが、銃は俺をいじめる不良の武器という印象が脳に根付いているせいか、なんとなく嫌悪感があるのだ。
「――というわけで、ママ、武器を売っている場所に連れてってくれない?」
「外ではアタシのことは姉さんて呼びな。アンタは死んで生まれ変わったアタシの弟。そういうことになってる」
「はい」
そんなやり取りをした後、姉さんと手をつなぎ多目的トイレを後にする。
武器ぐらいならネットでも売っているのだが、やはり実際に武器屋に行って実物を見てみないと細かいところがわからないからな。
姉さんに手を引かれながら走ること数時間。
俺たち二人は軍の秘密基地っぽい場所の前にいた。
途中からなんかおかしいとは思っていたのだ。
進めば進むほど人の気配が少なくなっていったから。
「ねぇ、姉さん。ここ明らかに武器屋さんじゃなくない?」
「ここは横流しをしてるからね。安上りなんだよ」
姉さんはサラッとそんな暴露をしつつ、身長の3倍以上ある壁を飛び越えて施設の中へと入っていく。
俺はどうするか少し悩んだ後、気合を入れて壁を殴りつけた。
横流しは悪。悪には天罰。
ちょうど壁に穴を空けたタイミングで何かの警報のようなものが鳴り出したので、ミルクの香りを辿って急いで姉さんのもとへと向かう。
姉さんは武器庫っぽいところで、管理担当者らしき人と話していた。
「あの、その、どうやら急に何者かが小型ミサイルかなにかを撃ち込んできたらしく、外壁に穴が……」
「あ、その犯人、もうそこには居ないから大丈夫ですよ」
俺が話しかけると担当者の人がぎょっとした顔で振り向いた。
「えっと、どちら様でしょう?」
「アタシの弟」
「こう見えて、鍛えてるのでちょっと強いんです」
近くに置いてあったバズーカっぽい武器を片手でひょいと持ち上げてみせると、担当者の人は「なるほど?」と分かったような分からないような微妙な顔をして頷いた。
「ところでさ、この子が槍と盾が欲しいとか言ってるんだけど、そういうのある?」
担当者の人は「盾はこちらにありますが……槍?」と首を傾げた後、「ちょっと確認して参ります」と言って走り去った。
数分後、戻ってきた担当者の人は両手で重そうな箱を抱えていた。
彼は箱を開けながら、中に入っているものの説明をする。
「以前に極少数のみ生産された短槍銃です。装弾数は2発だけですが、威力は十分にあります」
円形の盾っぽいものから二本の杭のようなものが生えている。
たぶん、あの杭の部分を発射するのだろう。
盾であり同時に槍でもある。
これを左右両方に装備したら最強なのでは?
そう思い、予備も含めて何個か購入してもらうことにした。
「どうかな、木馬ちゃん」
両肩に新武装を装備してペガサス級強襲揚陸艦のような見た目となった木馬ちゃんは、無言のまま俺の周りをぐるぐると回る。さながらメリーゴーランドのようだ。
彼女が何を伝えたかったかは不明だが、なんとなく喜んでいるような気がした。
これまで、同い年のトルテがどんどん強くなるのに、自分だけずっと変化がないことを彼女は気にしていたに違いない。
これはただの外付けパーツなので、残念ながら『トロイ』のブランド名を与えることはできない。
俺はこの新しい追加武装の部分を勝手に『
【2回目】比較的、雰囲気が他よりマシだったと思う部分を教えてください
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