転生したら銀髪の少女になってた……。
「いやいや可笑しいでしょうよ。てかこの耳、絶対に異世界物とかでお馴染みの妖精さんじゃありませんか。」
開幕から何を言ってるのか分からないと思うが俺も分からん。と言うか、これってプリンセスコネクト!Re.dive!に出てくるコッコロの体だし。
「…意味分からん。なんでよりによってTS化したんだよ。」
近くの池で自分の顔を見る……やはり、何処をどうみてもコッコロだ。
着てる服や声も含めて…。これって所謂憑依転生?だとしたらここはアストルムの世界…なのか…?
「う~ん…もし本当にここがアストルムだとしても、普通に可笑しくないか?
コッコロって言うのは、アストルム内でのアバターだから憑依転生するなら現実世界の体に入ってないと…。」
と言うものの、自分の足りない頭では考えても思い付かない。もう仕方ないので山を降りる事にした。
てか、なんで山の中に居るのだろうか…。山を降りた先に広がっていたのは……車や家などの建物だった。
「いやバリバリ現代の日本やんけ。誰だよ、アストルムとか言ったの。」←こいつ
憑依転生してるんだかしてないんだか分かる事はないが、取り敢えず散策から始める。身長的に一人で少女が出歩くのは、危険が伴うが…今はそんな事はどうでも良い。
何故なら背中には槍があるから!……てかこれ見つかったら警察に連行されるくね?
「……見つからずに行こ。」
少女…偽コッコロは、警察に見つから無いようにする為に隠密行動をする。
要は物陰に隠れながらこの町を探索することである。
暫くして……ここを探索していたらここが何処だか分かった。軽く纏めると…
・ここは自分の知ってる町ではない。名前は駒王町。
・この世界に自分の家族は居ない。
・人間以外の種族がいる。
一つ目と二つ目に関しては警察に教えてもらった。その前にめっちゃ怒られてしまって泣き掛けた。
警察の人、遠慮無さすぎてほんと怖い。そして三つ目…これはもう実際に出会っている。
そして今、対峙している。
「貴様…人間ではないな?しかも面白い力を持っている…。」
「誰だよお前。」
「決めたぞ。貴様を眷属にしてじっくり調べることにしよう。」
そう言う奴は自分の体を舐め回すような目付きで見つめてくる。正直なところ、元男の自分からみても気持ち悪くて吐きそうになる。
そいつは何かの玉を作り出してこっちに飛ばしてくる。偽コッコロは、それを避けようとした…したのだがその玉が着弾する前に爆発。
「うあっ!」
その爆風に吹き飛ばされ地面を転がる。そこから腹に向かって拳を叩き込まれ、空気を吐いて更に遠くへと飛ばされてしまう。
「ゲホッ!ゲホッ!…うえっ…!」
涎を吐きながらも、偽コッコロは立ち上がって逃げる。これは転生前から変わらない、本能で分かりきっていた。
『あれには勝てない。』
『実力で負けている。さっさと逃げろ。』
現実と想像は違う。定番なら、チート特典使って排除して危機を乗り越えるのだが…現実は違う。
非力な力と、柔い体…。そして扱えるかすら分からない槍…こんなので何か出来るわけじゃない。
「何だよあれ…!?」
しかし逃げても逃げても相手は余裕綽々と言うのか…まるで舐められてる気分だ。
だが結局、舐められてるのは事実だ。相手も自分の事をただの獲物としか見ていないだろう。あんなのに捕まったら何をされるかなんて想像もしたくない。
「ハァ…ハァ…!」
息を切らしながら逃げていく偽コッコロ。だが、体力の限界が近くなってきたのか…歩みも遅くなっていく。
「(俺の足が…動かない…!)」
そして遂に動かなくなった。こんなに体力が無いものなのか…この体は…。そして聞こえるのは足跡、俺は木の穴になっている窪みの所に入った。
その中で息を殺しながら…。
「(来るな来るな来るな来るな来るな来るな!!!!)」
心の中で必死に願った。神なんて物は本来なら信じていないが、今回ばかりは願うしかない。
図々しいのは分かっているがもうこれしかない。自分の心はもう恐怖一色だった。
「(お願いだから…来ないでくれ…!)」
すると願いが届いたのかどうかは分からないが、足音が遠ざかっていく。
「チッ…逃がしたか…。」
そんな声が聞こえたのを最後に足音が完全に聞こえなくなった。偽コッコロは、安心感か披露からか…そっと目を閉じて眠ってしまった。