今の自分は人ではない。耳が尖ってる時点でお察しだろうが…。
とか言ってもエルフみたいに妖精が見えるわけでも扱えるわけでもなし。魔力?そんなものは知らないみたいな感じであった。
まあ、そんなどうでも良いことは置いておいて…今自分の居る所は、姫島家。ここは神社らしいが、巫女服のようなのを着てる様子はない。
「……クソガ。」
「どうしたの?コッコロちゃん。」
「なんでもねぇ。」
そしてあの後、姫島朱璃(朱乃の母親)が自分の馬鹿げた話に親身になって話してくれた。
話の内容としては自分は力を上手く扱えない落ちこぼれなので、エルフの里を追い出されたみたいな感じのでっち上げである。そもそも転生か転移だか分かんない上に、子供の戯言なんぞに耳を傾ける訳も無いので、戯言を戯言で上書きした。
そしたら何か急に泣き出したからビックリした。何かここ、色々難しい家系らしいね。(話はあんまり聞いてない)
そんで今は娘さんである姫島朱乃ちゃんと朱璃さんと一緒に暮らしている。(父親も居るらしいがみたこと無いので知らん。)
「ねぇ、コッコロちゃん。」
「……何だ?」
「なんでおとこのこみたいなくちょうなの?」
「……さぁ?何でかな?」
その問いには適当にはぐらかすことにする。バカ正直に答える訳もないから、隣で考えてる朱乃ちゃんから視線を外して外を見る。
その一ヶ月後くらいで……事件が起こった。
謎の人間が姫島家を襲撃してきたのだ。しかも俺と朱乃ちゃんを庇って朱璃さんが死んだ。
……何でだ?何でこんな自分を庇ったんだ?何で?なんでなんでなんでなんで?
朱璃の娘を庇うならまだ分かる。何でこんな見ず知らずの自分を庇う必要があるのか…さっぱり分からない。
「バラキエルの娘よ。お前の存在が我々にとっては邪魔なんだ。
そこのよく分からないガキと共に死ね。」
そう言い放った男の一人が朱乃に向かって光の槍を投げる。偽コッコロはその事に気づいて朱乃を離れさせようとするも、朱璃の死体から一向に離れようとしない。
「(糞っ!)」
偽コッコロが何とか攻撃を自分の腕に当てることによって朱乃に攻撃が当たるのを防ぐが、その代わりとして自分の腕が使い物にならなくなった。
「ちくしょうが…!」
偽コッコロは悪態を付きながらも、槍を持ってあいつらへと向かっていく。しかし戦闘など出来る筈もない。
偽コッコロは数の暴力でボコボコにされて、体中が傷だらけのまま茂みへと捨てられた。
「(何でだよ…何で負けるんだよ俺…!)」
痛む体に鞭を打って必死に這いずっていき、槍を支えに立つ。それに気づいた一人の男は、朱乃の胸ぐらを掴んでおり今にも殺しそうな雰囲気であった。
「っ!止めろっ!!!」
大声を上げた。自分に気づいたやつらが、一斉に襲いかかる。
偽コッコロは走り出した。さっき戦って負けたのにも関わらず、走り出した。
どうして痛む体を更に悪化させるような行動に移ったかは分からないが、彼女だけでも守ろうとしたのか…槍を振るい続ける。振り回すと言った方が正しいような振り方だが、それでも奮闘した。
「邪魔だ!」
「ガハッ!」
攻撃が自分の腹に刺さる。その後も、四方八方から刃物のような物を刺されまくってぶっ倒れる。
更に深く刺され、完全に地面に固定させられた。
「(あぁ…畜生…)」
自分が最後に見た光景…それは、光輝く謎のなにかが降ってきたところまでだった。