「じゃ、何があったのか教えてくれるかい?」
そう言って向かい側にちょこんと座っている偽コッコロを真っ直ぐに見つめるルカ似の誰か…ここで、彼女を偽ルカと呼ぶことにする。
偽ルカはしっかりと偽コッコロを見つめて質問するが、一向に返事は返ってこない。話しにくいことは分かるが、それでも話をしてくれなければ…何も始まらない。
「…俺に、涙を流す資格なんてありません…。あの人達を見捨てたこんな屑野郎に…優しくしないで下さい…。」
その言葉が出てきた途端…偽コッコロの目からまた涙が出てきた。自分に泣く資格なんかない。
必死に押さえ込もうと目から出てくる涙を必死に拭う。が、自分を突然抱き締めてきた偽ルカにビックリしてしまうも優しい声で……
「ごめんね、こんなこと聞いちまって。でもあたしは心配何だよ…。
あんたみたいにちっちゃい子が…あんな痛々しい傷を残してるのを、黙って見てるわけにいかないんだよ…。」
偽コッコロの頭を撫でる偽ルカの手は優しい手付きで懐かしさを覚える程。
「(お母さん…)」
偽コッコロはその身を委ねるように意識を落としていった。
偽ルカ視点
撫でていたらいつの間にか寝ていた。よほど疲れていたのか、それとも安心しちゃったのか…。
どちらにしても…今は寝かせた方が良さそうだね。でも、小さい声でお母さんって言葉を聞いた時…
「お母さんって呼ばれる年齢でもないんだけどね…。」
自分の事ではないのは分かっているが、偽ルカは苦笑しながら偽コッコロを見てこれからどうするか…そんな考えを巡らせていた。
そんな中、ふと、頭に一つの考えが思い浮かんだ。
『この子の保護者になった方が良いのではないか…。』
だがその考えは直ぐに消える。この子にも家族はおり、自分がその代わりを勤めるのは…。しかし今は親と離れているこの子を一人にするのも…一人で悩み続ける偽ルカであったが…
「決めたよ。あたしはこの子の親代わりになる。この子を一人にさせたら…多分、壊れちゃうから。」
今は…この子の親になってあげようと心に誓う。本当の親とは違うけど…それでも、この子の支えになって上げたい。
時計を見てみると、既にお昼を回っており…自分もお腹が空いてきた。偽ルカは二人分の昼食を作るために、台所へと向かっていった。
観測者はそんな様子を覗き見る。コッコロとして男を転生させて何をしようとしているのかは分からないが、少なくとも…自分の都合で動いていることは間違いない。
「これであの子にも保護者は付いた。性格とかの面はどうすることも出来なかったから、前世の奴を引っ張ってきたからあんなだけど…。
でも無理矢理性格を書き換えるのも面白いわよねぇ。」
これからの事を考えればわくわくが止まらない…観測者はそんな事を考えながら、観察を続ける。