「……コッコロちゃん。」
そう呟くのは駒王学園の生徒である姫島朱乃。彼女は、コッコロの事を今でも忘れないでいた。
「(あの時、私に力があったなら…コッコロちゃんを守れたのでしょうか…。)」
今でも思い出すのは母親が殺されたあの日の夜。自分を守って死にかけていたコッコロを連れていったあの女性。
自分は泣くことしか出来ず、救えなかった。でも、今は違う。
「(もし会えたなら…今度こそ、コッコロちゃんを守りたい…!)」
今の自分には力がある。だからこの力で今度こそ…
「ちょっと、朱乃!聞いてるの?」
「…え?」
「え?じゃないわよ…。あなた最近空を見つめすぎてるわ。」
「ごめんなさい…。考えごとをしてて…。」
これから移動教室の為に移動する朱乃。その時にチラリと目が横へ向く。其所に居たのは…白髪で小さな体躯。
そして何よりも…その見覚えのある風貌であった。
「コッコロ…ちゃん…?」
偽コッコロは駒王学園に来ていた。流花から学校には通わなきゃならないと言われて、この学校に来た。
自分は高校生だからと伝えてこの学園にやってきた。流石に小学校に行かされるのは精神的に自分が死ぬ。
「(小学校からやり直されるのは普通に嫌だ…。)」
自分の体は、どう見てもランドセルの方が似合いそうだが、それだけは絶対に御免だ。
それに、流花さんの家で穀潰しには成りたくない。
そんなわけで偽コッコロは職員室を探すのだが、さっぱり見つからない。暫く歩き回っていると…誰かにぶつかってしまった。
「あっ…ご、ご免なさい!」
「あ~…ごめん、あたしも見てなかったわ。悪い。」
偽コッコロは顔をあげる。其所に居た、ぶつかってしまった相手は…
「ク…クロエ…!?」
「え…あたしら今出会ったよね?何であたしの名字知ってんの?」
声に出てしまったが間違いない。容姿は間違いなく、聖テレサ女学院のクロエだ。
自分が原因で流花さんと同じ形で生まれてしまったのか。
「あ、…すみません。貴方の話は少し聞いていて…」
「え…話って何?」
「えっと、金髪で目付きの怖い女の子が居るって聞いて…」
嘘である。そんな噂なんぞ聞いたことすらないし、むしろでっち上げまである。
だが理由を作るとしてもこれしか思い浮かばない。
「………マジで?あたしってそんな噂流されてんの?マジかー…。」
「(ごめん…。)」
偽コッコロは心の中で謝った。その後、クロエに職員室まで案内してもらった。色々と話を聞いてみたけど、やっぱりクロエは優しいんだって思った。
「ここが職員室だから。んじゃ、あたしは次の授業あるから。」
「あ、ありがとうございます!」
また、クロエに会えたら良いな…そう思いながら職員室へと入っていった。