ありふれた物語の森羅万象   作:RASっさん

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1章 異世界転移は十八番がすぎる
第一話 異世界転移は十八番がすぎる


 月曜日。それは一週間の内で最も憂鬱な始まりの日。きっと大多数の人が、これからの一週間に溜息を吐き、前日までの天国を想ってしまう。

 

 無論、俺もその1人で、昨日夜遅くまで新しいゲームのテストプレイをしていたので今日、眠気に勝てる未来が全く見えない。

 

『だからあれ程寝ろと言ったのだ……』

「いやぁ、新作って言葉には魔法がかかってるわ……ついついやり込みたくなるんよ」

『はぁ……いつまでたっても変わらないな、久遠』

 

 スマホに繋がる、ワイヤレスイヤホンから聞こえてくる呆れた声。だけど俺はもうこの声を毎日聞いているので逆に安心するものだ。スマホを取り出し、電源をつける。

 画面の奥から現れたのは、一人の女性。

 

 虎のマークが印象的な騎兵帽。ヨーロッパの大礼服をモデルとしたロングコートの軍服。ツーサイドアップで結ばれている腰まである長い銀髪が今日も美しい。

 

 彼女の名はアルタイル。ひょんな事から三年前、俺、一ノ瀬久遠(いちのせくおん)のスマホに現れた絶背の美女であり、現在もこうしてスマホの中に居座っている者だ。

 スマホの中に美少女が、ってよくある展開だけど、彼女の存在は極めて異質だ。

 

 その理由をざっくり説明すると、彼女はこの世界をぶち壊そうとした、いわゆる破壊神みたいな者なのである。だけど紆余曲折の末、戦いに敗れてここに行き着いた。

 どうして俺のところに来たのか、そもそもなんで生きているのか、他にも色々と分かっていないが、とりあえずスマホの中では無力とは分かったので、こうして俺のスマホの中で平穏な世界を過ごしているってことだ。

 

 そんなこんなでアルタイルと一緒に過ごす事から約3年。それまでに1度も彼女は消滅したりしていない。

 これがまた不思議で、スマホの劣化や通信障害など、彼女がいるあいだ全く起こらなかったのだ。さすがに3年となると何かはあると思ったが全然現役にも劣らないスペックを見せている。

 

 そうそう、彼女から俺の呼び方は「久遠」である。初めは一ノ瀬殿、と武将みたいで堅苦しかったんだが……その呼び方は彼女の表面のキャラとしての振る舞い。素の状態では名前で呼ぶらしい。

 名前呼びは結構前からされ始めたが、それはアルタイルがこちらの生活に順応してきている証拠でもある。

 

 ワイアレスによる遠隔の会話も可能であり、右のポケットにスマホを入れることで彼女も学校へこっそり登校している。

 

 ……高校に。もう高校二年生になってしまった。中学の頃はだらだらとすきなことできてたんだが、高校になると進路とか友人関係とか気づかなきゃ行けないから一苦労だ。

 

 まぁ、今までの友達とは良好な関係を結べているが。

 教室の扉を開くとまだ数人しかおらず、他のみんなは居なかった。まぁ1時間目までは40分もあるしな。早く来すぎたか。

 

 教室を見渡すと端っこで本を読んでいる知り合いがいたので声をかけてやることにした。

 というか声掛けないとまずい気がした。

 

「おう、浩介。おはよう」

「……気づいてくれた。よかったぁ……」

「やっぱり今日も気づいてもらえてないんだな……」

 

 ブワッと歓喜の涙を流しているのは遠藤浩介。どうやら今日もまだ誰にも発見されていなかったらしい。自然体でこの影のうすさ……恐るべし存在感。

 

 ちなみに彼の影の薄さは日に日に強くなっているらしく、最近は親に認識されなかったと聞いている。そのまま晩御飯の時まで気付かれなかったとか……

 恐ろしいのは彼らが浩介の存在自体忘れかけていたこと。これはもう一種の呪いなんじゃないか……? 

 

 うーん、でも影が薄い能力はそれでなにか役に立ちそうだな……

 

 と、遠藤が俺のイヤホンに気づいたようだ。俺もこの時間ならとスマホを取り出すと、そこには既にアルタイルが映っていた。

 

「あっ、アルタイルもおはよう。もう学校は2年目となると慣れたかな?」

『無論だ遠藤殿。勉学は聞いている分には退屈しないのでな。毎日がとても充実している』

「えー? あれの何処がおもろいってんだ」

『久遠は先ず趣味以外の興味を持つことから始めるべきだ。何事も挑戦が必要だとこの前の漫画に書かれていたと思うが?』

「グッ……いつの間に……」

 

 ……成長といえば彼女が漫画やアニメを見るようになったことだ。俺みたいなヘビーゲーマーにはなっていないが、総作品に対する別に嫌悪は幾分マシになったようだ。

 

 まあ、彼女の言う神々の創作物に少し関わってくれて安心はした反面、日々またブチ切れないか不安でもある。

 

 だけどこの調子だと平気みたいだな。

 

 そのまま3人で他愛もない話をしていたら残り3分となり、見知った生徒たちも増えてきた。すると毎回このくらいに来る友達も現れる。

 

 今日はいつも以上に眠そうだ。俺と同じくゲームをしたのだろう……だけど俺以上に酷いってことは? 

 

「よっ、ハジメ。今日も徹夜だな?」

「……あぁ、おはよう一之瀬君……ふぁぁ。ちょっと昨日は張り切り過ぎた……」

 

 やっぱりか……うん、シャーないな。

 南雲ハジメとはあれからもよく一緒に集まってオタ話やゲーム作りをしている。

 

 自慢になるが、彼の父の力も少し借りて自作ゲームをコミケで売ったりもしたぜ? 売上は……初回にしては良かったと思う。手に取ってくれる人もちょくちょくいたし。

 

 南雲愁の会社のゲーム……ってのもあったかもしれないが、自分たちの力で達成できた時の喜びは別格だったぜ……

 

 今回もハジメは愁さんの手伝いで徹夜になったのだろう。相変わらずの頑張り屋さんだねぇ。

 

 そういえば、最近ハジメのやり込み癖は俺を超えてきている……RPGでの実力も俺に並んできた。

 俺のゲーマーとしての個性が危うい……今度徹夜しようかな……

 

『またくだらない事を考えついたか?』

「えっ……顔に出てたか?」

『はぁ……南雲殿、彼へ何が良い薬はないか?』

「あはは……」

 

 そきてこんな感じで話していると周りもだんだん賑やかになってくる……今度は悪い方向で。

 後方からやってくる無駄に五月蝿い足音。そして聞こえて来る下衆い声にまたか……と心の中で吐いた。

 

「よぉ、キモオタ共! また、徹夜でゲームか? どうせエロゲでもしてたんだろ?」

「うわっ、キモ~。エロゲで徹夜とかマジキモイじゃん~」

「またお前らかよ……」

 

 何が面白いのか、げらげらと笑い出す4人集。左から名前を言ってくと、初めに声をかけた檜山大介、そしてバカ笑いしてる斎藤良樹、近藤礼一、中野信治。

 大体この四人が頻繁にハジメに絡む。俺はついでだ。

 

 ハジメは完全に慣れてしまい、毎回4人をスルーしているのだが、俺としてはガツンと1回お仕置きしたほうがいいんじゃないかと割と本気で思ってる。

 

 いじめ……とまでは行かないが後々エスカレートしていくと面倒くさくなって行くからな。

 

 取り敢えずこっちからガンつけておくか。学校のカースト的に俺はこの4人より高い……肉体的にも、学力的にもだ。だからそいつらは俺に睨まれたら何も出来ない。

 

『……彼らの行為は相変わらず愚かで憤ろしいな』

「全くだ……嫉妬するなら告ればいいのにな」

『即刻振られるだろうがな』

「違ぇねぇ」

 

 舌打ちをしながらその場を立ち去る4人を確認したアルタイルとの会話通り、彼らの行動にはれっきとした理由がある。

 

 それはご覧の通り。

 

「南雲くん、おはよう! 今日もギリギリだね。もっと早く来ようよ」

 

 ニコニコと微笑みながらハジメのもとに歩み寄ってきた女子生徒。このクラス、いや学校でもハジメにフレンドリーに接してくれる数少ない例外であり、この事態の原因でもある。

 

 言うまでもない。白崎香織である。アルタイルの出会いから3年もたった彼女の体型は一層女性らしさが増し、黒髪も腰まで伸びている。素晴らしい成長を遂げた彼女の登場で男子の視線が釘付けになっている。

 

 無論、慈愛の女神のような性格も健在で、こちらでも学校の二大女神として君臨している。あの天之川までも受け入れる懐の深さを見るとこうなるのも納得だ。

 

 そんな彼女がハジメに毎日のように接するのだ。二大女神が、オタクに。そう周りは認識するに違いない。

 

 相手がハジメってのも運が悪い。こいつは基本「趣味の合間に人生」の人で、自分のスタンスは自分で決めるのだ。なので生活態度はそこまで変わらない。

 

 だけど香織も香織で、ハジメの態度を気にかけるのは彼との接点が欲しいからだ。彼女の片想いはもう3年……このまま一生成就しないんじゃないか? ハジメの為にも早く告って貰いたい。

 

 仕方がないのでせめてもの防御で俺は殺気が多くする方と二人の間を身体でガードしておく。

 ついでに浩介もしてくれているが、影が薄いので効果は今一つのようだ。

 

「白崎さん……おはよう。できれば改めるよ」

「その台詞、前も聞いたよー? またゲームでしょー!」

「う、うん……ごめんなさい……」

「はっはっ! ハジメも香織の前じゃあ萎むわな」

「『一之瀬君(久遠)もだよ(ぞ)!!』」

 

 あっ、2人に返された。俺そんなに怠惰な生活してるかなぁ……? 

 ちゃんと学校では寝ない努力してるし……って寝ちゃあダメか。その考えがまずダメか……まぁいいか。

 

 と、そろそろ3人も来る頃だし、俺はそろそろ退散した方が──

 

「南雲君。おはよう。毎日大変ね」

「香織、また彼の世話を焼いているのか? 全く、本当に香織は優しいな」

「全くだぜ、そんなやる気ないヤツにゃあ何を言っても無駄と思うけどなぁ」

 

 はい、間に合いませんでした……エンカウント率がいつも高いんだよなぁ……時計を見る。うん、あいつらがいつもより少し来るのが早い。

 

 3人とも各々が見違えるように成長した。

 

 まずは八重樫雫からだな。相変わらずのポニーテールにした長い黒髪。切れ長の目は鋭く、しかしその奥には柔らかさも感じられるため、冷たいというよりカッコイイという印象。中学校からはそのカッコ良さがより出てきた印象がある。

 

 身長も高い。170を超えたと聞いたんだけど……もうモデルとかやってもいいんじゃないか? 

 

 続いて正義の直上馬鹿こと天之川光輝。キラッキラな性格は相変わらず健在だが、顔面ステータス諸々はそれを裏切らずにすくすくと成長したようだ。ウザったい。

 

 容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能の完璧超人で、誰にでも優しく、正義感も強い。これが主人公格という物か……! 

 

 何で性格難のこいつが高スペック持っちゃうんだよぉ……お陰で俺や雫は四六時中尻拭いをしている気がする。

 

 投げやり気味な言動の坂上龍太郎は、予想通りの姿へと成長した。短く刈り上げた髪に鋭さと陽気さを合わせたような瞳、190センチメートルの身長に熊の如き大柄な体格、見た目に反さず細かいことは気にしない脳筋タイプ……100点。

 

 そんな脳筋? ってみんな思っちゃう? それなら、例えばこんな感じで……

 

「おい龍太郎、そいつは言い過ぎだぜ? ハジメは一日一日頑張って生きてんだ……俺みたいに」

「確かに……それもそうだな、悪い南雲」

「「「脳筋……」」」

 

 香織も含めた幼なじみ3人が綺麗にハモる。うん、実際俺もこいつチョロいなって思ってる。

 

 だがここで邪魔が入る。言うまでもなくこいつがしゃしゃり出た。

 

「それが分かっているなら直すべきじゃないか? いつまでも香織の優しさに甘えるのはどうかと思うよ。香織だって君に構ってばかりはいられないんだから」

 

 光輝がハジメに忠告する。光輝の目はやはり、ハジメは香織の厚意を無下にする不真面目な生徒として映っているようだ。

 

 違うんだよなぁ……ハジメはただ己の道を進みたいって思ってるんだし。香織という女神が関わるだけでこんなにも面倒なことに巻き込まれるなんて、運の悪いこった。

 

 だけど自分の親友がこうも言われるのは些か来るものがあるので弁護する。

 

「まぁ、だけどハジメは成績も普通に良いし、寝てるのも既に将来をみ添えての事だからな。香織もこいつの睡眠を心配してるだけだろ?」

「なっ、一之瀬! お前はハジメの味方をするのか?」

「……」

 

 うん、やっぱりこいつ嫌い。1+1=100万とかのレベルのぶっ飛び方だ。すると香織も俺の発言に引っかかったのか訂正してくる。

 

 ここで気の利いた発言をお願いしたい! 

 

「? 2人とも、なに言ってるの? 私は、私が南雲くんと話したいから話してるだけだよ?」

 

(『違う、そうじゃない』)

 

 俺とアルタイルの虚しい気持ちが共有される。

 

 同時にざわっと教室が騒がしくなる。男子達はギリッと歯を鳴らし呪い殺さんばかりにハジメを睨み、檜山達四人組に至っては何やら相談を始めている。ハジメがリンチにされないようしばらく見張っとくか。

 

「え? ……ああ、ホント、香織は優しいよな」

 

 そしてこいつはぁ〜……なんで今の発言がハジメに対して気遣っているってなるの? 頭一体何でできてんだ! 

 

 畜生め……最近はいつもこうだ。馬鹿と天然と脳筋の3連コンボが何かしらの化学反応を起こし、ハジメが良くそれに巻き込まれている。

 

「……ごめんなさいね? 二人共悪気はないのだけど……」

「うん……仕方ないよ」

 

 最後に雫がこっそり謝罪するのもルーティンと成りつつある。いや、これルーティーンになっちゃあかんやろ。

 

 そうこうしている内に始業のチャイムが鳴り教師が教室に入ってきた。俺らはその場で解散し、いつものようにハジメが夢の世界に旅立ち、当然のように授業が開始された。

 

 そんなハジメを見て香織が微笑み、雫はある意味大物ねと苦笑いし、男子達は舌打ちを、女子達は軽蔑の視線を向ける。みんなそれぞれ彼に思うところがある中、俺らが感じるのはたった1つ。

 

『……やはり南雲殿が1番の大物ではないか?』

「あぁ、最近俺もそう思ってきた」

 

 ハジメってやっぱりすげぇ奴だな。

 

 

 ━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

「昼ご飯、ご一緒してもいいかしら?」

「おお、雫か? 珍しいな。あのクソが毎回ガード固いから今日も一緒かと思ったが?」

「本当に2人って仲悪いわね……」

 

 珍しくも雫が昼に一緒に飯を食うようだ。彼女も爆発的な人気を誇っており、俺と一緒ということで全方向から殺気を感じたが、別に気にはしない。

 

 寧ろ誇りに思うぜ……ドヤァ。

 

 勿論、こんな日は普通ない。

 その理由が天之川だ。いつもあいつは香織、雫をまるで正妻、側妻にしたかのようにくっ付いているからな……

 

 無駄にイケメンで、なのにあの難儀な性格だから幼なじみである2人も放っておけないのだ……変な気を起こさないか心配でもあるらしい。

 

 まぁ、最近は香織のハジメ愛が爆発しているので雫と俺がカバーしている気がするが……

 

「俺はお前が心配になってくるぞ……」

「平気よ、平気……ただ南雲君が私は心配だわ。変に他からヘイトを稼いでいるから」

「あー、それ前に浩介とも話したわ……」

『南雲殿は香織の心境に本当に気付いていないのか?』

 

 するとアルタイルが疑問に思ったことを口にした。まぁ……気づいてはいるのだろう。本当のニブチンはいないだろうしな。

 

 ギャルゲーとかにも精通しているあいつならこんなパターンだって予測しているはずだ。

 

 だけど彼の性格からして……

 

「ありゃあ自分なんかを好きになるはずがないって勝手に思ってるな」

「そうね……だから香織に対する反応も中途半端なものになってるわ」

『3年間もあの状態が膠着しているのか? 前までは家でも会話する仲でもなかったのか?』

「「あいつ(彼)はそれでも気づない奴だ(なの)」」

 

 そう……何時までも気づかない。これはもう香織がストレートで告白した方がいい気がする。

 

「そういえばお前剣道の腕さらに伸びたよな……この前オリンピックの強化選手の誰とかさんから一本取ってなかったか?」

「あんなの、たまたまよ……でも、どうしても剣を振る時に風の抵抗がかかるのよね……アルタイルさん、無理は承知なのだけれど、アドバイス頂けないかしら?」

 

 珍しくも雫がアルタイルに頼んできた。それを真摯に聞いていたアルタイルはしばらく考えていたが、すぐに答えを出した。

 

『そうだな……雫は剣を振る際、その剣に重さを感じているだろう……しかし君の実力ならそれに支配されることは無いはずだ』

「ええっと……つまり竹刀を振る時に竹刀の重さに振り回されている、竹刀の重さは意識せずに、だけど竹刀を振ればいいのね……ありがとう、参考になったわ」

「なんで分かった!? ってかサラリと意味不明なこと言ってるぞ!?」

 

 あれ? 俺のみみもしかしておかしい? 矛盾が普通に2人のセリフから出ていた気がするんですけど!? 雫は何かを掴んだような顔してるし! 

 

 あぁ、今更だが、アルタイルは香織と雫の呼び名も名前に変わった。少し女の子らしくなってて何より。

 

 その後も雫に剣の心得やら、型の数種類の違いやら教えて、本人も満足そうにしている。心無しか昼飯のペースも上がっている。

 するとアルタイルが俺だけに聞こえるようイヤホンのみ耳打ちしてきた。

 

『ここだけの話だが、今の説明は弥勒寺殿や白亜殿が戦闘の際に基本としている型の一つだ……一般の者には不可能の筈なのだが……』

「マジかよ。ついに人間やめ始めてるぞこいつ」

 

 速報、雫は異能とスタンドが溢れる世界……閉鎖区underground-dark night-の世界でやって行けるくらいの実力が着いたみたいだ。

 

 このまま俺の相手はもう卒業して欲しい。最近俺サンドバックにしかなってない気がするんだが……? 

 

 すると教室の角席……ハジメがいる席に美少女が寄っていっている! これは他からの視線……殺気も着いていくように彼の元へ。

 

「あっ……香織がまたハジメのとこを寄ってるな」

「本当ね、一緒にお昼を食べようとしているみたい」

 

 香織からしては大好きな彼と一緒にいたい一心……だがハジメからすればそれに応えたいものの眠いし、何よりヘイト誘導は勘弁……! 

 

 2人の思惑がここまで俺たちに伝わってくるとはな。てかもう手に取れるくらい簡単にわかっちまう。

 

「おっと、雫さんや。その表情完全に香織を見守るお母さんになってますぞ?」

「そういう一之瀬君も完全に2人の恋の行方を見守る爺やになってるわよ」

『……2人は彼らの保護者にでもなったのか……』

 

 アルタイルから精一杯のジト目を頂く。だって仕方がないじゃん。ここまであの二人が行ってるんだから見守りたくなってしまうじゃん。

 

 と、次に来るのはやっぱりイケメンさんです。

 

「香織。こっちで一緒に食べよう。南雲はまだ寝足りないみたいだしさ。せっかくの香織の美味しい手料理を寝ぼけたまま食べるなんて俺が許さないよ?」

「え? なんで光輝くんの許しがいるの?」

「「ブブッ」」

 

 盛大な爽やかスマイル攻撃をいとも簡単に跳ね返す香織さん、マジパネェっす。雫までもが吹き出している。

 

 だけどそろそろ頃合かと、弁当箱を片付けながら彼女は席を立ち上がった。

 

「はぁ……私、そろそろ彼らのところに行ってくるわ。このままじゃあまた南雲君が面倒事に巻き込まれそうだし」

「お前いつもその役目だよなぁ……あいつに毎回尻拭いしているお前が本気で心配になってくるぞ」

「幼馴染だし、仕方がないわよ……というより、光輝も悪気はないんだし、一之瀬君も大目に見てあげて?」

 

 そう言い残し彼女はストッパー役として彼らの所へ行った。すげぇ奴だぜ。まるでみんなのオカン……は失礼すぎるか。

 

 さて、俺は俺で先ず、何だかんだで殆ど手をつけていない飯を食べようと──

 

 ──した瞬間に凍りついた。

 

 目の前の違和感に気づく。天之川の足からなにやら光っているように見える。

 これが小便を漏らした綺麗な光だったらそいつの今世最大の黒歴史にすることが出来たのだが、そんな単純なものでは無いらしい。

 

 何故なら光がどんどん広がっているからだ。彼を中心に香織を、ハジメを、先程到着した雫や龍太郎までも包み込んでいく。

 同時にその光に何やら幾何学的な紋章が彫り込まれているのにも気づいた。

 

 その光がどう考えてもまずい奴だと1目見れば分かった。だが理解は1瞬でも行動まで数秒はかかるものだ。

 今すぐ俺が近くの窓から飛び出そうとしても多分間に合わない。それくらい突発的に現れた光であった。

 

 まもなく教室の隅々まで光が行き届き、未だ教室にいた愛子先生が咄嗟に「皆! 教室から出て!」と叫んだのと、魔法陣の輝きが爆発したようにカッと光ったのは同時だった。

 

 あーやべぇ。ここはシャーない、1つ最後の言葉を述べようじゃないか! 

 

「問おう! 貴公が私のマ──」

『違う! 1人のマスターに対するサーヴァントがクラス一つ分の物語はおかしいだろう!』

「あっ、分かった? じゃあ多分召喚してる方は、こんな感じで……余は召喚し、君の顕現を促した──」

『それは余が1人ずつ顕現させたのだ! 大体どうして君が余の台詞を言え──』

 

 彼女の言葉は眩い光によって掻き消されてしまった。

 

 この事件は後に、白昼の高校で起きた集団神隠しとして、大いに世間を騒がせるのだが、それはまた別の話。




ちょいと補足

一之瀬久遠
→本作の主人公。基本ボケ役。重度のゲーマーで中でもRPGをメインとしたネトゲが好き。ハジメとはオタク仲間として、雫や香織などは中学の頃に知り合った中として過ごしている。尚、天之川とは水銀とアルコールくらい嫌ってる。

アルタイル
→レクリエイターズのヒロイン的存在。基本ツッコミ役。彼女は被造物、つまり誰かに作られたキャラクターとして存在している。今回はその彼女が一之瀬の所へ来てしまった。(原作見てない方への説明がムズい…もうアニメ見て)

アルタイルの存在を知っている人物
→ 一ノ瀬久遠、南雲ハジメ、白崎香織、八重樫雫、遠藤浩介、坂上龍太郎

閉鎖区underground-dark night-
→レクリエイターズ内で存在する、異能力バトルによるテリトリー争いがメインの物語。そのキャラクターである白亜翔と弥勒寺優夜の戦闘は私もワクワクしながら見てました。

 はい、初めて見ました…といっても本当に初めての小説投稿なので文面は下手っぴです。しかもクロスオーバー…双方の作品をしっかり理解してないと後々失敗しちゃう…

 意外とすぐ、ポッキリと心が折れるかも知れません。

久遠「いや折れんな、てか投稿したんだったら責任もって書けや」

 おっしゃる通りです…って事で頑張ります。

Re:CREATORSは皆さんどのくらい知ってますか?

  • 全く知らん
  • 名前くらいなら…
  • 水篠 颯太はクソメガネ(=知ってる)
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