マイペース更新とは書いてますのでユルシテ……とにかく、今回も楽しんでってね!
みんなのトラウマ、オルクス大迷宮に到着〜…なーんて、ギャグでも面白くないか。
こんな朝早くに到着しているので迷宮前には冒険者一人もいない。本当に俺だけで行く事になる……そして俺は大迷宮の事について整理していた。
今朝の攻略では20層辺りで檜山がトラップに引っかかり、40層でベヒモスとトーテムソルジャーの挟み撃ちに会った末ハジメが転落……トントン拍子で続いたイベントに生徒らが気力を失うのは無理もない。
だが俺は信じている。あのハジメなら、どうにかして生きているのではないかと。根拠など全くないが、あいつなら──
「あいつなら平気だよな……っし、じゃあ先ずは一層目と行きますか」
『あぁ、長い旅路になりそうだ。余は少し寝ているとしよう』
「…え?そこはサポートしてくれないのかよ」
『誰のせいで昨日は睡眠が取れなかったと思っている』
「……さーせん」
アルタイルの言葉に苦笑しながらも、迷宮を俺は1人で入っていく……
……勿論全力疾走で。
だって1人であんなに魔物相手出来るわけねぇだろ!魔石回収なんてもっての外…あの時は他の生徒たちも居たから余裕もって進めたから出来ていた訳であって。
事実、この迷宮は集団用の魔物を出してくるので、1人で対応していたら何時までも目的地に辿り着かない。ソロでのダンジョン攻略の厳しさは、迷宮の構造からして必然だった。
途中ですれ違ったゴブリンやロックマウントなどの魔物も完全にスルー。俺は1人で行っちゃいます!そうだ、俺はソロだ!
だからソロらしく全部スキップするんだよぉ!
20層の転移する光石に到着。全く戦闘せずにここまで来たから傷一つ着いていないが、スタミナは結構持っていかれた。やっぱりステータス補正があってもこの緊張感で走り続けたら体力の消耗は避けられない。
俊敏に長けているのは助かったが、これは一休みしなきゃな。因子収納で水を取り出すとアルタイルからの報告が入る。
『ほう……ここまでの時間は約1時間。先日と比べて3倍も早い。戦闘は一切無かったがな』
「起きてたのかよ。まぁ、でも1人ならこれくらい……いやダメだ、普通に疲れたな」
……途中の魔物が全員近接かつノロマだったから平気だったが、遠距離の1つでもあれば危なかったかもしれない。
例えば魔法の1つでもやってきたら俺の対応方法って、脚攻撃しかないのだ。避けるのも一つの手だが、それはこの洞窟内ではかなり限られる。知性のある魔物なら避けた先に目掛けて追撃するだろう。
かといって、脚技は若干溜めるのに時間がかかる上、脚で打ち消すまでなのだ。初手なら防げるが、数発連続は厳しいし、毎回反動で脚が傷つく問題もあるし…
対策をしっかり立てとかなきゃな……だが現状では無理だし、どうしようかなぁ。
「さて、これからどうするか…直ぐに確認するか、順当に下がっていくか」
『目的は南雲殿の救出だろう?ならば俊敏を活かして逃げ続ける他ないと思うが』
「そうだな…もう事件から1週間は経過しているし、一刻でも早くあそこに行かなきゃならん」
…回復もしたことだし、取り敢えず光石にタッチ。フロアはたちまち光に包まれて、思わず目をつぶる。ここまでの一連の流れ、全て前回と同じだ。
目を開いたらそこはみんなにトラウマを植え付けた、石橋の上に降り立っていた……だけど違和感がある。前に来た時と何かが変わっている…?
違う、むしろ逆だ。壊れたはずの石橋が完全に回復している。あの時は中心は全壊していたはずの橋が……全部元通りに戻っている。まるで倒壊した事実が嘘のようだ。
これは、あれか?1度ダンジョンを抜けたら復活している良識のあるシステムか?でもそんなことしたら──
直後、スマホからアルタイルの警報が鳴り響く。
『久遠!3時方向からベヒモスが出現、同時に反対からは──』
「トラウムソルジャーの群れだな、畜生!」
全員ちゃんと復活してやがる!ハジメの努力をまるで無駄にするような出現に悪態を吐きながらも、俺は迅速に行動開始した。
というのも、こんなパターンも想定してたりする。この計画の中で最も重要視していたのは奈落への降り方だ。ここから始めなきゃ何も始まらない。
石橋が崩落して分かったが、この奈落相当深い。多分普通に人が降りたらピチュンしてしまうレベル。減速手段を持たないと間違いなく死ぬ。
ってなるとそれを持っていなかったハジメも死んでんじゃね?って思う人もいるが、ハジメなら平気だろ。主人公補正でも掛かっているんだよ、きっと!
っ事でぇー、石橋の端っこまで下がり助走距離を充分にとる。なるべく前へ飛ぶことを意識しながらぁ──
「飛べる!俺は、俺は死にましぇーーん!!」
『それは逆に死ぬ者の台詞だ』
俺は迷わず石橋から飛び降りた。アイキャンフラーイ!!
ベヒモスもまさかの行動に「なんでぇぇ!?」と驚いているに違いない…だけど俺はマジなんです。これくらいの度胸がないと、助けるなんてまず無理だし!
勿論、死ぬつもりは毛頭ないんだがな!!
すかさずプラン1発動だ!跳んだ先にはこのエリアの限界点とも言える壁がある。そこに手をかざして──
「
因子収納で取り出したのは、銀色に輝く鉤爪である。手の甲から出る3つのフック状に尖った刃は壁を削りながらも確実に減速を促していく。
何で鉤爪なんてものが存在するかって?そんなの持ってきたに決まってるだろ。王国の宝物庫に寄った際お蔵入りになったと思われる奴だ。まぁ、これ使われる事そんな無いだろうからな。
「ガリガリと削りながら、その突起で引っかかることも……侵入にピッタリのこの装備ですが、余程の軽装でない限り体重に耐えられず……そして使われている材料もどれも高値で……」
「要するにコストと見合ってねぇってことかよ……」
そんな説明もあったりしたのだが、今回は俺も完全に手ぶらだし、別に壊れたって問題ないんだから遠慮なく使用している。
あぁ、そういえばこれ、浩介当たりなら忍者道具として使いそうかもしれないが……生憎あいつの天職は暗殺者だからね。セーフよ、セーフ。忍者と暗殺者は別物なのだ。
爪が壁をガリガリと削りながら、減速していく。途中で刃こぼれが限界になり壊れるが、その前に因子収納でもう一つ取り出して交換。
減速と落下を繰り返していく中で、ようやく奈落の全貌が見えてきた。
光の一切ない暗闇というか……これは酷い。至る所から異臭がする。漂う魔力もどこか暗く、この世のとは一線を画すような……そんな感じだ。それは獣の血か、それとも……
こりゃあハジメが喰われている可能性が大きくなってきたぞ。まずいな……まさか奈落にも魔物がこんなに活発化しているとは。
って、さすがに爪の耐久値が限界だな。もう一個取り出しながら再度手に装着。ボロくなった方をポイッと捨てながら、次ので壁をガリガリ削り続ける。
…音の反響も大きくなってきた。深くまで落ちている証拠なのだが、これは迷宮の何層まで降りているのだろうか。
……そんなことをして5分程。中々に深い底にやっと辿り着いた。丁度最後の爪が壊れたところだ。
「っと、到着。途中滝にぶつかった時は驚いたな」
『……南雲殿が上手く水流に乗れていれば、致命傷は避けているかもしれないな』
アルタイルの言う通りだ。強い力で噴射していた水なら落下の威力を押し殺すことが出来る。これならばハジメが生きている可能性もある。
奈落の底は光の一切ない場所だった。何とかアルタイルが居るため普通に会話しているが、これは1人だったら心細すぎる……おかしくなっちまうぞ。
「アルタイル、スマホ使うぞ」
『あぁ、だが光りは暗くしておくことだ』
スマホのライトで当たりを照らしながら10分ほど経ったか。全く消えないこの危険な感覚、そしてかなり高く緊張感が上げられている状況に思わず冷や汗を垂らした。
「……なぁアルタイル。お前から見てここの奈落の生き物はどう思う」
『弱肉強食がはっきりとしているな……そしてその差も上の階層と比べて大きい。ベヒモスなど比べ物にならないくらいだ』
「だよなぁ……って事はあれも多分──」
暗闇の中、スマホの光を消しながら、だいぶ慣れてきた目で前の奴を指す。
そこに居たのは可愛らしい、兎さん……なんだが、中型犬ほどの体格と、ムキムキに発達した足腰が目立つヤバそうな兎さんだ。
どう考えても普通の兎じゃねぇ。ってか見れば見るほど自分の死がすぐ近くにあるって自覚してしまう。
『脚から濃いエネルギーを感じる。恐らくラットマン等とは比べ物にならないくらい強い』
「……今は避けることが第一だな。ここから離れて何処か休める場所に行こう」
そう呟きながら気づかれないように距離をとった…一旦、彼らに見つからない場所に隠れた方が良さそうだな。
コソコソ動きながらそんな場所を探していると…ちょうどいい洞穴があるじゃねえか。
「ふぅ、ここで作戦を……あ?これって──」
禍々しい物体。ダークマターのように黒く、硬く、腐敗しているとも言えるそれはだが食用の固形物である。
文献で呼んだな……確かこの肉って魔物の肉だったはずだよな?強烈な毒性で、食う者は永遠の痛みと共に命を落とすという。
座学でも間違いなく食べるなと念を押されている代物だが、それが何故か生の状態で置かれていたのだ。
「毒性があるにも関わらず相当喰われたあとがあるってことは──」
『間違いなく彼ではないのか?』
……確かに食べ物として食えなくはないが、毒性なのだ。そのものが人に害を与えるのに、食べたとは……ハジメ見たいな一般人ステータスなら普通に死ぬはずだ。
いや、だが死体はどこにも見当たらない。それどころか骨ひとつもないなこの洞窟……まさか──
「……アルタイル、今から馬鹿なことしていか?」
『余にとって君の芸など滑稽で不愉快以外の何でもないが?』
「…… 別に芸をしようとは思ってねぇよ……これ、食べれるよな」
『余の推測だが、魔物の食用物には魔石による高度な魔力循環がされていた状態なのだ。君のような人間には害を与えるのも頷ける……それでも君はそれを喰らうか』
「まぁ……多分この食べ物でレベルアップは出来る。あいつが生きていることを考えると魔物の肉はここを生き残るキーだ」
目の前のダークマターモドキの前に座り、それを手に取った。こいつを食べれば何かしらの力は得られるはずだ。
因子収納から物を取り出す。そういえば王城の厨房で──
「……そういえばくすねて来た物の中で調味料も入れてたな……塩コショウっと」
『君の天職は盗人かスリではないのか』
いやぁ、脱走する時になるとタガが外れてしまうのだよ……犯罪学における真理でなかったっけ?結構大きな罪を犯しているから窃盗とかが重罪からランク下がった気がして、それほど大きい積荷感じなくなるやつ。
とにかく、試しに調味料で何とか味を華やかに……詠唱で炎の魔法を唱えることは可能だが、この肉既に焼けてるから問題なし!
ほんじゃ、頂きます……モキュっと。
「……」
『奈落で食す、固形品の味はどうだ?』
「あ──……ゴムを食ってる見てぇだ。硬ぇ上に生々しいし、普通に食いたくはないな。ってか多分100人中100人は不味いって明言するだろう」
舌で味わおうとするほどゴムのねっとりでバサバサな感触が出てくる。うん、これは確かに魔物の肉を誰も食べたくないわけだ。
たとえ毒抜きをしても絶対俺は食わん……なるほどだがバラエティ番組で無人島ロケする奴らは多分こんなの食ってるんだよな。その人達の芸人魂を改めて評価してやりたい。
ここは仕方がない、一気に飲み込んで──
「……っ!!」
ドクン、と心臓が高鳴り、発汗機能が働いたと直感した。もう物は胃の中だ……吐き出すことも出来ないのでこのまま受け入れるしかない。
あっ、やべぇ……この感覚は……
「あ゛……あ゛……があ゛ぁぁぁぁあ!!!!!」
『久遠!?』
身体中の至る筋肉がはち切れそうになる。関節が、健が、全ての部位が俺の中で暴れ始める。血流が一気に勢いを増し、脳内に流れるアドレナリンが何とか俺の意識を覚醒させる。
痛い…………痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い……!!
っ……そういえばここの魔物は奈落にいることで魔力が変質してしまっている。それがさらに身体へ蝕んでいるのか?
だけどこれはそれだけじゃない……ボヤける視界に写っている俺の右手が……それ自体が意志を持つかのように細胞が過剰反応を起こしている。
間違いない……身体が……
「あ゛あ゛あ゛……っぐ……がらだ……が……」
『変異……いや、分解されている!』
身体が無理にそれに順応しようとしているのだ。
人間、全ての生命体が持つその本能的順応機能はこの魔力に慣れようとしているのだ……だがこの力に耐え着ることが出来るかは別問題。
あぁ……やべぇ。視界だけじゃねぇ……脳内に常時反応する痛みが俺の痛覚神経と思考回路を止めにかかっている。瞼がとたんに重くなり、身体に入る力も抜けて行く。
アルタイル……こりゃあ思った以上にキツい。
『魔物の肉により体内魔力が暴走している……久遠、意識を保て!』
「あ…あ゛ぁ゛………あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」
聞こえねぇ……そんな場合じゃねぇ。このままじゃ……意識が……もた……な──
『聞く耳持たないか……それなら──』
『久遠。余がセレジア・ユピテリアの永遠の門を受けた際に顕現した魔法を思い出せ……そして唱えろ」
「
「あ゛あ゛ぁ゛……い゛っ゛……じっ……」
「…ほ、
「因子……再生!!」
…………身体が、分解が、痛みが、全て止まった。治まったと言うべきか。目を開ける余裕が出来て、自分の体を改めて見る。
すると気づいた、俺の身体が……まるでポリゴンのように青くバラバラになっているのだ。試しに手を脇腹あたりに当ててみるとそのまま通り過ぎた。えっ、俺今幽霊か?
状態は何であれ、取り敢えず一命は取り留めたようだ。まともに取れていなかった呼吸を再開し、冷静さもやっと戻ってきた。
「ぜぇ……ぜぇ……死ぬかと、思った……」
『良く戻ってきた。やはり君には素質があるようだ』
隣で満足そうに話すアルタイルに軽く睨みながら苦笑する……くそぅ、高みの見物めー。
だけど彼女の力がなかったら俺は死んでいたはずだ。また森羅万象に助けられた。
身体の変化が収まり、青色の光も消えてゆく。と、腹や腕なども実物を持つようになり、身体がまるで食べる前の状態へ戻ったようだ。
「はぁ、はぁ……因子再生、か。これはつまり俺が死ぬことは無いって事じゃないか?」
『因果を歪める者が相手なら君に攻撃は因果の行くまま通る筈だ。だがここにいる魔物なら……まぁ死ぬことは無い』
これは周りに存在する因子にも適応されるので、傷や病などでさえ元の状態に戻すことが出来る。魔力が存在する限り、そして因子が存在する限り俺の体は瞬時に回復できるようになったってことか。
アルタイルはこれで転移や透明化など、応用の効く技として扱っていたが俺はそこまで細かいことは出来ない。だけどこの能力はこの先で必要不可欠になるであろう力だ。
遠慮なくこの化け物能力を使わせてもらおう。
『フッ……それにしてもその姿は中々滑稽だぞ?君も被造物に近付いて来たのではないか?』
「ん?何のことだ?」
何故か鼻で笑われた……だが理由が分からずにいると彼女はそこにあった水たまりを指差しながら続けた。
『そこの水面に顔を写してみてはどうだ?』
「おう……って、は?」
言われるがままに顔を映す。だがそこに映ったのは予想外の顔だった。
「赤メッシュじゃねーか!」
自慢の黒髪に赤い線が見事に入っている。それも何本も、俺の髪の半分くらい占めているのだ。
しかも身体付きも良く見たら筋肉が着いてガタイが良くなってやがる。身長も2、3センチ伸びたようだ。
他にも、やけに視界がはっきりとしていたり、感覚が研ぎ澄まされたように色々な音が耳に入ってきたりでてんやわんやだ。
「……アルタイル、これどういう事だ」
『原理は分からないが、君の
「本当だ……マジか、リミッターゲージかよ」
改めて顔を映すと、確かに赤メッシュの割合が減った。多分因子再生が粗方全ての部位を復元させられたからだと思う。
ある意味分かりやすい表示ができて助かった……と思ったけど、俺自分の髪がどうなってるとか判別できねぇじゃん。
まぁこの世界だったら揶揄われる事はないだろうし。これが地球で起こったら絶対になんか言われるからな。浩介辺りがゲラゲラ笑ってきたそうだ。
あと、そうだ。変化といえば──
「あっ、ステータスオープン」
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一之瀬久遠 17歳 男 レベル:10
天職:創造主(クリエイター)
筋力:240
体力:220
耐性:150
敏捷:400
魔力:470
魔耐:200
技能:リニューアル・
===============================
「……
『汚いぞ、言葉を選べ』
全てのステータスが3桁を超えて恐ろしいことになっている。何だよ魔力470って……因子収納し放題じゃねぇか。
それにスキルもなんか追加されてるし。胃酸強化と五感強化……どっちとも魔物を食べたことで手に入ったのか?という事は──
「魔物の肉を食ったら……その分ステータスが大幅に伸びるってことか?」
『そのようだ……魔物に同化して行っているとも言えるが。このまま続ければ君が化け物と呼ばれる日も近いな』
あぁ……この魔物を全部食べることが出来たら。もし俺がまだ成長できるのならば……この世界で化け物級にはなれるかもしれん。友を余裕で守れるくらいの力が手に入るのかもしれん。
こうしちゃいられねぇな……ここには肉が残ってない以上、次の獲物を早速探さねば行けない。
取り敢えず、実験がてらでさっきの兎さんと会いますか。
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先程の場所までやってきた。相変わらず兎はフンスフンスさせながらそこから離れていない。よし、ここなら普通に戦闘可能だな。
……小石をコン、と蹴る。静寂の洞窟に明瞭に響く音をそいつはしっかりと長い2本耳で聞き取った。
そして俺の方を振り向く。今までいたことのなかった人間に驚いているのだろうか。このまま逃げてくれればそれはそれで──
『久遠、戦闘態勢だ』
「あー、やっぱり平和的には無理なんだな」
愛嬌ある……たとえそれが中型犬ほどの大きさでも、兎ならと甘く見ていたんだけどなぁ、どうやら相手は喧嘩上等なタチらしい。
脚に踏み込む力でそこの地面が陥没し、俺に目掛けて凄まじい速度で突っ込んできた。そのスピードベヒモスの攻撃なんて比にならない……1秒にも満たないほどの物だった。
……その筈なんだが。
意外と視認できる。五感が確か強化されているようだが、それにしてもここまで見えるのか?今気持ち後10秒くらい待たないと相手の攻撃が届かない気がする。
だが油断は禁物だ。相手は奈落のやつなんだし、威力はいくら俺の耐久があれど無意味のはずだ。
……開脚し、意識を技に集中させる。
俺も自分の技能が強化されるイメージ……そう、肉体が更なるレベルを超えてくれたのだ。技の質も上がると信じている。
流れるように右脚を持ち上げ、そのまま地に着いた軸足を回す。遠心力と、蹴る方のスナップで攻撃に速度を付ける。
……そうして相手を……斬る!!
「”リニューアル”」
シンプルかつ、鞭のように振るわれた脚は向かってくる兎の顔面に当たり……そのまま消し飛ばした。
そう、消し飛ばしてしまったのだ。叩きつけたりしていないのに、頭の失った兎はそこで一気に力が抜けながら俺の横を通り過ぎる。
地に倒れた時はただの死体となって血を流し続けていた。
「……うそん」
『ほぅ……既に人を止めているな。天職も創造主から被造物と正式に変更するべきじゃないか?』
それは俺も激しく同意したい。こんなのファンタジーにも程があるぞ……自分が放った蹴りだとは信じられない。
……この後兎の肉を食べたら、俊敏の値が異常に増加した。一気に2倍になったのだ。流石スピードファイターの兎さんだ。
試しにそこら辺の岩に蹴りを入れたら大破した。それはもう、粉々に。呆気なく欠片と変わった姿に目を白黒させてしまう。マジかよ……
でも良いことばかりでもなくーー
「足折ったかも」
『はぁ…因子再生でとっとと直せ』
「耐久値をどうにかしてあげないとな」
……感慨にふけってる場合じゃねぇな。今ならハジメを探せるくらいの力がついたんだ。早速向かわなければ行けない。
『当てはあるのか?』
「そりゃあ勿論、あいつなら一つにしか行かねぇよ」
ゲーマーなら必ずしも行きたくなるだろう。ってかダンジョンではお決まりのシステムさ。
最下層……そこにいるボス部屋を突破すればここはクリアだろうからな。
ちょいと補足
一之瀬久遠
→魔物の肉による力はハジメと少し効果が違う。ハジメは魔物のスキルも手に入れているが、久遠はそのスキルが手に入らないものもある。しかしステータス上昇は若干高く、森羅万象の能力も追加されているため結果両者の強化はさほど変わらない。
アルタイル
→彼女のステータスは全盛期の時は魔力が無限に近くあり、森羅万象による能力バフも加えると余裕でトータスの世界で無双できる。しかし地球では世界の修復力が働いたことが幸いし、能力の大幅な弱体化が彼女をチートの存在から引き離した…だが差し引いてもほかの被造物を圧倒する力を保有している。
魔物の肉での久遠の変化点
→大幅なステータス上昇
→肉付きが良くなり、身長も数センチ伸びた(現在179センチ)
→赤メッシュが現れ、世界の修復力に弾かれるまでのリミッターとして働いてくれるようになった。目は何故か青くなった。
魔物の肉
→一応ハジメが作った洞窟内で食べた肉…2度目以降は食べてもステータスに変化がないためその場に置いていった事になっています。
はい、案外あっさりとした強化回ですね。そして次回、再会の時!(ネタバレ全開)…流石に1章でここまで長く伸ばすのもなぁと思いこの次第です。
そういえばですが、お陰様でこの物語も10話となりました…正直、たったこれだけでも続けている自分に驚いています(笑)。これからも下手ながら自分なりの物語を書いていくつもりです…よろしくお願いします!
Re:CREATORSは皆さんどのくらい知ってますか?
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全く知らん
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名前くらいなら…
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水篠 颯太はクソメガネ(=知ってる)