被造物がだんだん明らかになってきたこの回。自分はその中でも弥勒寺優夜がやっぱり印象に残りましたねぇ。主人公のライバルであり、その物語ではラスボスでもあるという設定が確かに人気を集めやすいなぁと思ってしまう。
そして彼の板額から溢れ出るペル○ナ4のキャラ感が何とも…笑
さてさて、タイトルから滲み出てくるネタ回…どうぞ楽しんでってね!
生成魔法を無事に習得し、ハジメ達の準備を待っている時の事だ。
俺はハジメが居座っている工房へと向かう。ここはオスカー・オルクスが使っていた工房のようで、器具やらアイテムやら、錬成に必要なものがあらかた揃っているらしい。
扉を開ければすぐそこであいつは錬成している。
魔法陣を展開させて何か作っている所で声をかけた。
「よっ、ハジメ……それってもしや……」
「おう、そのまさかだ」
彼が今作っているのはハンドルのパーツ……どう考えても車だった。周りを見れば他にもマフラーやタイヤ、細かい部品も散らばっており、それら一つ一つがハジメ作であるのは見ればすぐに分かる。
「お前の能力フル活用されてるなぁ……こりゃあ現代兵器が世界で火を吹く日も近いかもな」
「ふん、こいつらは俺が俺のために使う。誰かに提供とかしねぇよ」
こいつに生成魔法を与えたら現代技術のオンパレードだな……いづれ飛行機とか戦車とか作りそうで怖くなってくる。
何れ戦車とか、戦闘機とか……はたまた原子力を利用した爆撃……わ〜お、まるで悪役じゃねぇか。
顔を引き攣らせまいと我慢する……目的であって来たのでそちらを優先させるとしよう。
「そうそう、お前に相談が」
「あん?どうした?」
それはステータスを見せ合いしたあの時の事である。
「ステータスプレートを貰った時の約束したこと覚えているか?」
「あぁ、お前専用の武器作ってやる……って」
「そういう事だ。時間がある時でもいいから、俺の武器を作ってくれねぇか?」
格闘術だけでは限界がある……ヒュドラみたいなデカい魔物は何とかなるかもしれないが、遠距離を持つ敵が出てくると話は別だ。
相手に接近する工程を省けたい……なので遠距離武器が欲しくなってしまった次第だ。
早速弱点を補うための人頼り……情けないがここで妥協しても意味が無いためここに来たのだ。
まぁ、ハジメも今は忙しそうだし、タイミングを間違えたか……
「いいぞ、お前の専用武器、作ってやる」
「おぉ……マジか!」
ところが思わぬ二つ返事を頂いた。予想外の答えに思わず興奮してしまう。こいつの武器なら性能を期待してもいいだろうしな。
それならと、ポッケに入れていた軽い設計図を彼に渡す。内容はもちろん、俺専用の武器。
「それなら構造は決めてある。こんな感じのを……」
受け取ったハジメは暫くその紙を眺めていたが、やがて苦虫を噛むような表情でこう伝えてくる。
「……いや、だがこれじゃあ1発しか撃てねぇぞ?威力に全振りで大丈夫なのかよ」
「あの能力を思い出してみろよ……あっただろ?」
「……成程、それなら納得だな」
そして直ぐに取り掛かってくれた。車作ってる最中なのに、良いのかと聞けばお前の方を優先させるに決まってるだろ?と返される。
あぁ……こいつも律儀だなぁ……そして本質もなんも変わってねぇわ。良い友達を持ったもんだ。
……そういえばこの際言っておかなければならないことがあるな。作業に取り掛かっているハジメに向かって声をかける。
「あぁ、そういえばよぉ」
「あ?」
「あの時、助けられなくて……すまん」
ハジメが作業の手を止めて俺に目を向ける。俺も目を離さずに謝った。
「お前の転職やステータスからも見て、あの時俺がもう少し気配りしてりゃああんなことにならなかった筈だ……脚をダメにしたり、ハジメに錬成任せたりでな。だから謝んなきゃと思ってな……本当に、ごめん」
色々と責任を感じていたのは今でも変わらない。特にあの事件直後は何万もの「もしも……」が頭を埋めつくしていた。
どうしても想像してしまうのだ。あの時自分の選択のどこかを正しておけば……と。
今となっては後の祭りだが、それでも目の前の親友に頭を下げずにはいられなかった。
ハジメがどんな顔をしているのかは分からない。頭を下げて暫くすると、前からまた作業の音が聞こえてくる。
同時にハジメの落ち着いた様子も分かった。
「俺はあの時お前を助けたかったから錬成した。どっちが生き残った方がいいかって聞かれたら間違いなくお前だからな」
「そんな理屈じゃダメだろ……それに俺がしっかりしてれば──」
「変わらなかったと思うぞ?」
遮られて思わず目をぱちくり。変わらなかった……か?
「あの時のベヒモスは確かにやばかった。多分お前が少し強くなってたところで俺らのどっちかが落ちる未来は変わらなかったと思うぞ」
「うっ……確かに」
……あのベヒモスには結局勝てなかったんだったな。
俺もあの時のコンディションは最高だったはずだ。
毎日欠かさず鍛錬し、技を磨き、
それに、とハジメは続けた。
「俺は落ちたが……結果オーライって事だ」
「ユエさんやその体を手にしたからか?」
「それもあるが……何より俺の本心が分かったからというか、決心が着いたというか……とにかくこの世界で生きる為の覚悟みたいのができたんだよ」
その目は紅くギラりと光る……彼の確固たる意思が目に見える程に。
今までのハジメの遠慮気味で、少し気配りをするような面影は見当たらない。だがそれはいい事だ。少なくともこの世界では。
殺伐としたこの世界で生き抜くには相応の犠牲が必要となる……それを分かっている者は俺達の中でほとんど居ないだろう。その中でハジメはここで1番に決められたらしい。
自分の守れる者は何がなんでも守り、敵対する奴らは容赦なく殺す。
……物騒なモットーだが、嫌いじゃない。ってかなんかカッコイイ。
「だから気にすんな。むしろ助けに来てくれて感謝しなきゃ行けないのは俺の方だ」
「はぁ……まぁ、お前が言うならそれでいいか」
こっちはまだ納得できてねぇんだが……良しとしよう。あいつが許してくれたということで。
その後も数時間、製作者と立案者で武器の制作に勤しんだ。俺の専用武器になるんだし、下手に妥協はしたくなかったからな。
改造、失敗、創造、破壊……トライアンドエラーを繰り返して6時間が経過した。何回目の錬成か……双方びっしょりと汗を掻きまくりながらも続けた……
結果、出来たのは1本の銃である。ショットガンのように銃口が長く、1発の威力が高い。が、装填時間も早くし、更にハジメの纏雷によってレールガン並みの速度を出すことが出来る。
銃本体は耐熱性に優れているタウル鉱石を使っており、中にはこの武器の核ともなる燃焼石が内蔵されている。
仕組みとしては燃焼石同士がぶつかり合うことで摩擦熱が発生し、さらにバレルの中で何重にもハジメ特製纏雷でエネルギーが電磁加速される。
結果、ハジメのドンナー以上の威力をたたき出せる代物になった。
その威力は軽く地面を抉るほど。魔物の身体に撃つとオーバーキルになりかねない代物になった。
しかしこれには重大な欠陥がある。それはエネルギーが大きすぎてタウル鉱石が熱に耐えられずに溶けてしまうことだ。
これでは銃口が溶けてしまい、弾はせいぜい1発しか撃つことが出来ない。
……だがそれが狙いなのだ。
この欠点カバーするのが俺の
第22楽章、因子模倣……これは自分のイメージするものをそっくりそのままコピーすることが出来るチート技である。
生成魔法で開放されたこの能力はアルタイルがサーベルを永遠に生成することが出来るカラクリの元である。
オリジナルさえ何処かに閉まって置ければそれと全く同じコピーを想像し続けられるのだ。つくづくチートだと思う。ただ、今は制限が施されており、減量となる素材がないと作ることはできない。
幸い、この素材は希少な鉱石を使用しておらず、この迷宮で無限に近く貯められる。ハジメの銃には世界で最も硬い金属、アザンチウムが含まれているからダメだが…威力のみに重点置いた俺の銃なら、量産できるというカラクリだ。
そしてつまり、この能力と目の前の武器の相性が最強だというわけだ。
まぁ、魔力がそれなりに消費されるので無限にという訳では無いが……実質数の暴力で戦う戦法が確立される結果になるのだ。
「というか一之瀬、これ完全にあれだろ……」
「まぁ、俺の能力がこれに合うんだし、別にいいじゃねぇかよ」
ズラリと並ぶ無数の銃。標的に向かって無慈悲に放たれる弾幕からはロマンそのものを感じてしまう。
それを行える人物といえば、あの人しかいないだろうな。
2人で顔を見合せながら言葉をはもらせる。
「「マ○さんスタイル」」
1発しか打てないマスケット銃の大量生産によるゴリ押し戦法。某先輩魔法少女が主に使っていた戦法である。
本来あれは本人の能力によってリボンから出来ているが、そんな器用なことこの世界にはない。
だったら実際の奴を作って因子模倣で量産するっきゃないでしょう。
ファンタジーを現実に!今ここでみんなの夢を可能にしたのだった。
手を俺の専用武器になるであろう銃の前にかざす。さぁ、俺のものになれ。
「
するとその銃が浮かび上がる。俺の側まで来るよう調整した直後、構造をコピーできたと確かな実感が感じられた。
掴めた。
因子模倣により左後ろに塵が集合し、やがて全く同じマスケット銃が生成される。形や模様まで、何一つ狂いの無い再現が成される。
同じくして右後ろ。上。そのまた上。左。右。奥にも──
「こりゃあ爽快だな……」
「ああ、俺もここまで上手くいくとは思ってなかった」
気づけば工房は俺の模倣した中で溢れかえっていた。その以上な光景にハジメも思わず感嘆の言葉を漏らしてしまう。
かという俺もまさかこんなに上手くいくとは思ってなかった。あれ、これは遠距離に有利になったとかの範疇超えてないか?
寧ろこれをメインに戦った方がいい節までも感じられた。だとしたら魔力のキャパシティを増やさなきゃな……
「お前、ティ○・フィナーレ撃った後に死んだりすんじゃねぇぞ?」
「ふっ、安心しろ。寧ろその後にホーリーマ○になってさらに覚醒してやる」
「闇落ち確定じゃねぇか!!」
えー、でも強さなら間違いなくホーリーマ○が有利だろ。
まぁ冗談はさておき、だがそんな敵がでてきた場合は注意しなきゃな……俺らがつけた力も、大迷宮だからこそ手に入れられるもの。
魔族が万が一これを手にしたら本当に手の付けようがない物になるかもしれない。
その為にももっと俺らは強くならなきゃな。そいつらが手出ししようのないくらいに。
「それにしても……」
因子模倣を解除し、原物であるマスケット銃を眺める。ハジメもその中に目を落とし、暫くその銃を見つめ──
「「やっぱりロマンだな」」
2人でガシッと握手を交わす。俺らの創作意欲に対する熱量は、友情は、不滅だ!!
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握手を交わす久遠とハジメ。2人の創作へのロマンに対する友情が今一度確かめられた瞬間であるのだが。
そんな2人を扉の外から、ユエとスマホのアルタイルが覗いていた。アルタイルのスマホはユエの手にあり、2人揃って彼らを見ている状態だ。
ユエは久遠と同じくハジメの所へ行こうとしていたが、2人が何やら作業をしているので扉の奥から見守ることに。
ハジメが銃を作る姿は何度も見ているが、実際はどのような物を制作しているのかは本人の口から聞かないと分からない。なのでアルタイルを呼び出し、彼女の解説の元2人の行動をこっそり見ていたのだ。
普通は気配遮断をしているユエであろうとハジメなら直ぐに気づくはずだが……生憎彼は自分の親友とのロマンの追究に熱くなっているため気づくことは無い。
そして久遠も同様で全く気づかない。今も未だに久遠のマスケット銃の機能について熱く語り合っている。
「ロマン……ハジメの武器の事?」
彼らの世界の造語に疎いユエが首を傾げながら呟くと、アルタイルが彼らに溜息をつきながらも答える。
『正確に言えば人の求める一種の快楽。久遠や南雲殿の場合は彼らの世界ですら創造の範疇でしか存在しない武器がそれだ』
「?……創造の範疇って」
『彼らの世界の技術でもあれほどの火力を放てる銃や虚空から量産される銃などは存在しない……彼らが想像し、そうあって欲しいと願う虚構の世界の産物でしかないのだ。故にそれは浪漫、つまりロマンと呼ばれる』
アルタイルの説明にユエが感心し、その知識を元に彼らに目を戻す。2人が盛り上がっている武器の他にはハジメの機能満載の義手、まだ出来ていないものの移動手段の車や、様々な物体が混在している。
それらは彼らが普段手に入れられないもの。漫画や、アニメだからこそ感じる欲なのだ。それが魔法と錬成の技術でリアルに作れてしまう。
……それに錬成師である彼やこういう系大好きな久遠が興奮しないわけが無い。
それに納得したようにユエは微笑んだ。
「ん……なるほど。じゃあ2人は今、ロマンの中」
『そうだな……しかし、はぁ……彼らが羽目を外さないかこちらも気が気でならないな』
後で久遠にキツく叱っておくか……と、彼の心構えを叩き直そうと決意したアルタイルである。
尚、その後実際に2人に告げようとするものの、久遠がロマンの素晴らしさについて2時間近くの公演(延長あり)を行ったため最終的にアルタイルが折れることになってしまった。
ロマン、恐るべし。
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時刻は夜。太陽が月へと変わり、辺り一帯に綺麗な夜空が拡がっているこの時間にハジメは愛するユエさんを呼び出していた。
目的は彼女に渡すものがある為。ハジメはあれからも武器以外にも護身用のアイテムやら、手榴弾のようなお手ごろ兵器やら開発しまくっていた。
勿論ロマンはめちゃくちゃ含まれているが、全てはこの先の旅でユエさんを守る為に作っているのだろう。
まぁ、そんな感じで、ユエさんにも何かしらのアイテムを渡して彼女後からの1部になってほしい…そう思って、〝魔晶石シリーズ〟と名付けたアクセサリーを始めとする一式を贈ったのだが、そのときのユエさんの反応は……
「……プロポーズ?」
「なんでやねん」
少々ぶっ飛んだ第一声に思わず関西弁で突っ込むハジメ。いや、だがシチュエーションはもろプロポーズだからなんとも言えない……
あっ、現在俺らが何で彼らの行動が分かるかって?それは俺とアルタイルで2人のラブラブに発展しそうなシチュエーションを遠くから双眼鏡で眺めているからだ。
すげぇよ、異世界にギャルゲーは持ってこられなくても良かったんだ……だってあいつらがそのギャルゲーみたいなもんだからな。
さて、ハジメのワードチョイスに期待が高まる!
「それで魔力枯渇を防げるだろ? 今度はきっとユエを守ってくれるだろうと思ってな」
「……やっぱりプロポーズ」
「いや、違ぇから。ただの新装備だから」
「……ハジメ、照れ屋」
「……最近、お前人の話聞かないよな?」
「……ベッドの上でも照れ屋」
「止めてくれます!? そういうのマジで!」
「ハジメ……」
「はぁ~、何だよ?」
「ありがとう……大好き」
「……おう」
微笑むユエさんと、少し照れくさそうにしているハジメ。両者の初々しい反応が面白い、そして微笑ましさも感じてしまう。
あー、これは2人の好感度がどっちも上昇したね。イベントとしては成功だ……ただ、問題がある。
何故か彼らを中心とした半径10メートルくらい暖かい空間ができてしまってるんだが?余波がここまで届いており、双眼鏡を外しても彼らの幸せなオーラが伝わってくる。
どんな生物もあれには勝てまい。ヒュドラでさえあの空間を邪魔することは不可能!
「なんだ、あの空間……このまま死んでもいいか?」
『余もそろそろ電源を落とすか……あの光景、被造物同士の恋より熱くこちら側も絶えられん……』
「…今更だけど、俺らって純愛には寛容なのに、同類とも言える甘ったるい雰囲気に弱いけど…この二つって厳密に何が違うんだ?」
『議論する前に電源を切ろうか』
待て待て待て、電源は落とさせねぇからな?
だがアルタイルも流石にキツそうで目を空に逸らしている事から2人の雰囲気に圧倒されているのが分かる。
ユエさんと最近それなりの関係を築けているアルタイルだが、それでもラブラブ状態の吸血鬼はキツいに変わりないようだ。
「まぁ、あいつもユエさんと出会ってなきゃあ化け物として生きていたに違ぇねぇからな……」
『彼女を想うのも当然か……それに彼はどうやら奈落で既に在り方を決めているようだ。君はどうなのだ。敵対する者に対して君はどう動く?』
敵対する奴らだと?少し過去を思い出して見て──
王国や教会のクソッタレ共。世界の平和など大きな目標を立てておき、その裏で繰り広げられる己の利益の押収。
更には生徒たちの余りにも舐めた態度。自らがまるっきり違う世界に飛ばされたにも関わらず持つことの無い危機感。
そんな世界に対して聖人君子でいられるか?
……いや、無理だろ。
俺もだからハッキリとこう答えた。
「迷わず殺すつもりで行く」
『そうであれば彼も助かる。神により狂った地で生きて行くためには犠牲は付き物だからな』
「まぁ、流石にあいつも無差別殺人を起こすたまじゃねぇし、普通の旅にはなるだろうけどな」
ハジメもユエさんも一癖二癖着いてしまってるからなぁ……俺は2人を影から支えよう。2人を眺めながらそう心に決めた……
「いや、まだ桃色空間かよ!やっぱり誰もいなきゃあいつら永遠にイチャイチャしてやがる!!」
『余らの存在にも気づいていないようだ…もう、好きにさせておけ』
……もういい。あいつらからは一旦離れよう。そうだ、俺も空を見て心を浄化させよう。人間、ストレス解消に自然を感じるってのがあると言うし。
……夜空には幾つ物干しが輝いており、とても幻想的だ。都会じゃあこんな景色は見れないからな。
月も他の星に負けないくらいの光を放っており、思わず張り詰めていた緊張を解いてしまう。
「……一応ここでは人工の月が出てるけど、それでも綺麗だな」
『あぁ……本当に、美しい……』
アルタイルからそんな声が聞こえてくる。するとスマホが光だし、スマホ台の大きさで彼女が飛び出す。軍服の彼女はそのまま月を見上げて頬を弛めていた。
星、好きだもんな。アルタイルという名前も星から来ており、創造主であるセツナさんから付けてもらった影響もある……地球でも夜空を良く眺めていたからな。
「だけどそっからじゃあやっぱり見るのも一苦労だな」
『それ程でもないぞ?余もこうして立体となることで視野も格段に広がるからな』
そうして軍服の彼女はそうしてまた月を見て微笑んでいた。
……そんな彼女を見て、前々から決めていたある事をここで話すことにした。
端末を持ち上げ、月をもっと近くでみれるよう上に上げる。
「そうだ……お前に言い忘れていたが、俺も目標ひとつ建てたんだよ」
『ふむ……南雲殿のように一皮剥けることか?』
「いやいやいや……そんなもんじゃなくてさ」
いや、まぁ俺も大人の階段に登りたい気持ちはそりゃああるけれども!今はそんなことよりアルタイルに伝えなければいけない事があるので真面目に。
「この世界なら可能じゃないかと思ってな……お前をそこから引き出すことが」
『っ……』
言葉を失うなんてお前らしくないぞ?だが言いたいことは分かる。
俺も自分の発言にもっと責任を持たせるべきかもしれない。だが、これは異世界に来てからやって見なきゃと思っていたのだ。
「魔法がある世界なら不可能を可能にすることが出来る……あんな銃だってできるし、空も飛べるくらいだ……1人をスマホから解放するくらい雑作ねぇだろ?」
加えて、この世界にある神代魔法は普通の魔法と別格の強さを誇る。その場所を巡ればアルタイルを取り出すことなんて簡単なのでは?とまで思ってる。
もうスマホなんて窮屈すぎるだろうし、正直バッテリー切れはまだしも、魔法が被弾したりして機種が壊れるのが一番怖い。
出来ればなるべく早く彼女をこの空間から解放してやりたいのだ。
……だが当の本人は嬉しいどころか表情を曇らせて黙り込んでいる。
理由は……俺も分かってるんだけどな?
『……君は本当にそれを望むのか?』
「というと?」
『言っておくが余は君達の世界を滅ぼそうとした……人間に対する感情も消えた訳では無い……セツナを殺した世界を余は許さない。それはこの世界でも変わらないと思うぞ?』
やっぱりか……
ご存知の通り、彼女は俺らの世界では真っ当な「悪」として存在していた。少なくとも地球の敵であり、その動機となる人間に対する憎悪の感情が消えたなんて言えるわけない。
俺も彼女がスマホに閉じ込められていることに対して何処か安心感に漂っているのも事実だ。出来ればこのまま彼女をずっとスマホの中に入れたままが、俺も見張れるしいいんじゃないかと思う。
……だが違う。そんなんじゃないだろ。
「安心しろよ。これでも俺はお前と3年も一緒にいるんだぞ?お前が大丈夫だってことは何となくだが分かってるし、お前を止めるための術も用意してある」
『術?余に弱点など存在しないぞ?万物を超越した余に君が出来ることがあるとでも言うか』
「……アルタイルが過去にSNSでレスバしてた記録を今ここで開示──」
『貴様、何処からそれを得た!今直ぐに削除しろ!!』
すげぇ形相だ……まぁ内容はセツナを未だに煽り散らかすカスに大したものだから突っかかるのも無理はない。
彼女の端末に保存していたデータを消しながらも続けた。
「とにかくだ……それ相応の信頼はお前にしてんだよ。だからお前がこっから出たあとどうするかより、先ずはその状態を打破させたいんだよ」
『……』
お前が俺らにたいす感情の本質なんて分からない。もしかしてその気の許しも皮の1枚に過ぎないのかもしれない。
だがそれが例え外皮1枚であっても、それが1枚であることは変わりない。俺はそれに賭けたい。
彼女の、アルタイルの今に俺は賭けるのだ。
もし彼女が俺らをまだ恨んでいて、敵対してきたら?世界の終わりになっちゃったら?
……そしたら俺が命を張って止める。さっきのデータでも見せて少なくとも彼女が滅ばさないようにするまでだ。
っていうか……人間そんなもんだろ?
疑い、観察し……その上で信頼が作られていく。俺らのこの会話だって3年間が積み重なってできたものなのだ。
俺は、アルタイルを信じている。
誰よりも信じているからこそ、彼女を助けたいと思う。
『……好きにしろ。余は知らないからな』
「アッハッハッ、じゃあ遠慮なくそうさせてもらうぜ?」
……さて、もう少しだけ星を眺めていようかな。今のうちにこの光景を、ここまでの時間を脳に、心に焼き付けておきたい。
俺らの新たな旅はもう直ぐ始まるのだから。
ちょいと補足
南雲ハジメ
→ユエによる大人の階段を登ってしまったことに対して、「地球での俺はやる側じゃなくて見る側だったのに…世の中どう転ぶかわからねぇな」と感想を残している。因みにそれで久遠とアルタイルの関係が恋人…それとも師弟?なのか分からなくなっている。
ユエ
→アルタイルのスマホに「囚われている」状態に過去の自分を照らし合わせ、シンパシーを感じている。そのためハジメが居ない時はよく彼女と一緒におしゃべりしている。アルタイルからハジメの地球での生活、様子を知ることが出来て非常に満足している。
マ○さん銃
→某魔法少女のマスケット銃。本来はマ○さんの出す魔法のリボンで形成された物だが、本編には絶対取り入れたかったのでこうして書いた次第。このまま久遠のメインウェポンとして火を吹くだろう…
はい、今回は久遠の武器登場回…そしてこの世界への目標開示でもありますね。この先どうにかしてアルタイルをデレデレさせたり、久遠とユエさんの会話やらもねじ込みたいところ…あっ、私次第ですね…ハハッ。
そして1章での久遠サイドは一旦これで完結となります!後は生徒サイドを1本、更にもう1人のサイドも…個人的にはこれが物語を形成する上で大事になりますからね。丹精込めて書かねば!!
あっ、クリスマスももう終わっちゃった…今年もボッチやぁ〜
ヒロイン枠誰か欲しい?
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雫(1番匂わせているキャラかな)
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リリアーナ(現状漫才ポジにいる)
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レクリの誰か(作者めっちゃ困ります)
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アルタイル一択(出番もっと増やせや)
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要らない(久遠は孤高でええやろ)
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ユエさん(NTR!NTR!)
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香織(昼ドラ展開!?)