ありふれた物語の森羅万象   作:RASっさん

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ありふれた職業で世界最強2期第4話視聴感想

 潜水艦、どっから出てきたんや…って初見さんは思っちゃうでしょうねぇ〜。取り敢えず4話まで視聴しましたが、2期のありふれはストーリー性や作画がかなり改善された反面、やっぱり細かい所は削るしかないのは否めませんね…まぁ、ハジメだからで全部解決できそうですが笑。

 そろそろ新しいスパイス欲しいですよねぇ…って事で新展開!


第十九話 【ウサミミが仲間になりました】

 ハウリアのイザコザを何とか終えてやっと俺らは出発した。何だかんだで1時間くらい時間を潰してしまったな……

 結局ハウリアは全員そのケツを赤く腫らしてしまった。まだまだハジメからは逃げられないようだな。

 

 隣を見やるとシアの尻が赤く腫れている。本人も大層痛そうにしており時折そこを摩っている。

 いくらゴム弾でも、あの攻撃は嘸かし痛いってのに……容赦ねぇな……流石に可哀想なので労りの言葉くらい与えよう。

 

「こりゃあまた酷くやられてるな……ドンマイ」

「うぅ……まだヒリヒリ染みてきますぅ……ハジメさんは叩かないと落ち着かないんですかぁ!」

「はぁ……鬱陶しい奴だ」

 

 ハジメの覚めた態度にシアがジト目になる。ユエさん並みの細めになってるな。

 

「鬱陶しいって、あんまりですよぉ。女の子のお尻を銃撃するなんて非常識にも程がありますよ。しかも、あんな無駄に高い技術まで使って」

「そういう、お前こそ、逃げるとき隣にいたヤツを盾にするとか……人のこと言えないだろう」

「『確かに』」

 

 サラッと同胞を盾にしながら逃げていくあたり、彼女の性格も透けてくる。指摘された本人は吹けない口笛で明日の方向を見始めた。

 おい、指導者さん。ハジメも揃って教育方針に何らかの問題があるんじゃないのか?

 

「フッ……シアはワシが育てた」

『ふむ……久遠の教育もスパルタにすれば少しは自重が──』

 

 いや、それはどう考えてもダメだとは思う。シアの言動が無慈悲無関心モットーのユエさんから影響受けているとなれば特に……てかアルタイルも思わず考えるんじゃあない。

 

 そんなこんなで和気あいあいと? 雑談しながら進むこと十五分。一行は遂に大樹の下へたどり着いた。

 

「……おぉ、これは……」

『むっ?……ほぅ……』

 

 感想は驚き半分、疑問半分といった感じだ。アルタイルも思わず言葉を切る。他も、予想が外れたのか微妙な表情だ。

 俺らは大樹についてフェアベルゲンで見た木々のスケールが大きいバージョンを想像していた。

 

 しかし、実際の大樹は……見事に枯れていたのだ。

 

 大きさに関しては想像通り途轍もない。直径は目算では測りづらいほど大きいが直径五十メートルはあるのではないだろうか。

 だが明らかに周囲の木々とは異なる異様だ。周りの木々が青々とした葉を盛大に広げているのにもかかわらず、大樹だけが枯れ木となっているのである。

 

「大樹は、フェアベルゲン建国前から枯れているそうです。しかし、朽ちることはない。枯れたまま変化なく、ずっとあるそうです。周囲の霧の性質と大樹の枯れながらも朽ちないという点からいつしか神聖視されるようになりました。まぁ、それだけなので、言ってみれば観光名所みたいなものですが……」

 

 俺らの持った疑問にカムが解説を入れる。それを聞きながらハジメは大樹の根元まで歩み寄った。そこには、アルフレリックが言っていた通り石板が建てられていた。

 

「これは……オルクスの扉の……」

「……ん、同じ文様」

 

 石版には七角形とその頂点の位置に七つの文様が刻まれていた。オルクスの部屋の扉に刻まれていたものと全く同じものだ。ハジメは確認のため、オルクスの指輪を取り出す。指輪の文様と石版に刻まれた文様の一つはやはり同じものだった。

 

「ここが大迷宮の入口みたいだな……だが……こっからどうすんだよ」

 

 ハジメは大樹に近寄ってその幹をペシペシと叩いてみたりするが、当然変化などあるはずもなく、カム達に何か知らないか聞くが返答はNOだ。

 アルフレック率いる長老組もこの続きは教えてくれなかったしなぁ……だけど隠しているそぶりもない。

 

 その時、石板を観察していたユエさんが声を上げる。

 

「ハジメ……これ見て」

「ん? 何かあったか?」

 

 彼女が注目していたのは石板の裏側だった。そこには、表の七つの文様に対応する様に小さな窪みが開いていた。

 

「これは……」

 

 ハジメが、手に持っているオルクスの指輪を表のオルクスの文様に対応している窪みに嵌めてみる。

 

 すると……石板が淡く輝きだした。

 

 何事かと、周囲を見張っていたハウリア族も集まってきた。しばらく、輝く石板を見ていると、次第に光が収まり、代わりに何やら文字が浮き出始める。そこにはこう書かれていた。

 

 〝四つの証〟

 〝再生の力〟

 〝紡がれた絆の道標〟

 〝全てを有する者に新たな試練の道は開かれるだろう〟

 

「……どういう意味だ?」

「……四つの証は……たぶん、他の迷宮の証?」

「……再生の力と紡がれた絆の道標は?」

 

 頭を捻るハジメにシアが答える。

 

「う~ん、紡がれた絆の道標は、あれじゃないですか? 亜人の案内人を得られるかどうか。亜人は基本的に樹海から出ませんし、ハジメさん達みたいに、亜人に樹海を案内して貰える事なんて例外中の例外ですし」

「……なるほど。それっぽいな」

「……あとは再生……私?」

『恐らくそれとは別のようだな』

 

 ユエさんが自分の固有魔法〝自動再生〟を連想し自分を指差す。試しにと、薄く指を切って〝自動再生〟を発動しながら石板や大樹に触ってみるが……特に変化はない。

 

「むぅ……それじゃあ一体……」

「……ん~、枯れ木に……再生の力……最低四つの証……もしかして、四つの証、つまり七大迷宮の半分を攻略した上で、再生に関する神代魔法を手に入れて来いってことじゃないか?」

「となると再生魔法……見たいな神代魔法もあるって事か?ってか四つの試練を攻略した上ってことは──」

『それほどこの試練は過酷……もしくは得られるものが強大すぎるという事か』

「はぁ~、ちくしょう。今すぐ攻略は無理ってことか……面倒くさいが他の迷宮から当たるしかないな……」

「ん……」

 

 ここまで来て後回しにしなければならないことに歯噛みする2人。しかし、大迷宮への入り方が見当もつかない以上、ぐだぐだと悩んでいても仕方ない。気持ちを切り替えて先に三つの証を手に入れることにするしかないようだな。

 

 ハジメはハウリア族に集合をかけた。

 

「いま聞いた通り、俺達は、先に他の大迷宮の攻略を目指すことにする。大樹の下へ案内するまで守るという約束もこれで完了した。お前達なら、もうフェアベルゲンの庇護がなくても、この樹海で十分に生きていけるだろう。そういうわけで、ここでお別れだ」

 

 そして、チラリとシアを見る。その瞳には、別れの言葉を残すなら、今しておけという意図が含まれているのをシアは正確に読み取った。いずれ戻ってくるとしても、三つもの大迷宮の攻略となれば、それなりに時間がかかるだろう。当分は家族とも会えなくなる。

 

 シアは頷き、カム達に話しかけようと一歩前に出た。

 

「とうさ「ボス! お話があります!」……あれぇ、父様? 今は私のターンでは……」

 

 シアの呼びかけをさらりと無視してカムが一歩前に出た。ビシッと直立不動の姿勢だ。横で「父様? ちょっと、父様?」とシアが声をかけるが、まるでイギリス近衛兵のように真っ直ぐ前を向いたまま見向きもしない。

 

「あ~、何だ?」

 

 取り敢えず父様? 父様? と呼びかけているシアは無視する方向で、ハジメはカムに聞き返した。カムは、シアの姿など見えていないと言う様に無視しながら、意を決してハウリア族の総意を伝える。

 

「ボス、それに大佐!我々も2人のお供に付いていかせて下さい!」

「えっ!父様達もハジメさんに付いて行くんですか!?」

「てかちょっと待て、今俺のこと言ったか?」

 

 カムの言葉に驚愕を表にするシア。十日前の話し合いでは、自分を送り出す雰囲気だったのにどうしたのです!? と声を上げる。

 

 かという俺も思わず突っ込んでしまう。うん?今なんて?いつの間にか俺も昇格している気がするんだけど?

 

 だが誰に似たのか、俺らのツッコミをスルーしつつカムは続けて答える。

 

「我々はもはやハウリアであってハウリアでなし!ボスの部下であります!是非、お供に!これは一族の総意であります!」

「ちょっと、父様!私、そんなの聞いてませんよ!ていうか、これで許可されちゃったら私の苦労は何だったのかと……」

「ぶっちゃけ、シアが羨ましいであります!」

「ぶっちゃけちゃった!ぶっちゃけちゃいましたよ!ホント、この十日間の間に何があったんですかっ!」

 

 カムが一族の総意を声高に叫び、シアがツッコミつつ話しかけるが無視される。何だ、この状況? と思いつつ、ハジメはきっちり返答した。

 

「却下」

「なぜです!?」

 

 ハジメの実にあっさりした返答に身を乗り出して理由を問い詰めるカム。他のハウリア族もジリジリとハジメに迫る。

 

「足でまといだからに決まってんだろ、バカヤロー」

「しかしっ!」

「調子に乗るな。俺の旅についてこようなんて百八十日くらい早いわ!」

「具体的!?」

 

 なお、食い下がろうとするカム達。しまいには、許可を得られなくても勝手に付いて行きます!とまで言い始めた。

 ここでもハー○マン軍曹モドキ……の訓練のせいで妙な信頼とか畏敬とかそんな感じのものが寄せられているようである。

 

「じゃあ、あれだ。お前等はここで鍛錬してろ。次に樹海に来た時に、使えるようだったら部下として考えなくもない」

「……そのお言葉に偽りはありませんか?」

「ないない」

「いや、その言葉間違いなくダウトだろ」

「一之瀬は黙ってろ……」

 

 うんうん、とハウリアも俺に同意してくれた。やっぱりそうじゃねぇか。

 それにしても、だ。こいつらの俺に対する意識が変に美化されたようだな……大佐って言ったか?

 

 俺にはそんな称号を受け持つキャラじゃないんだけどなぁ……こいつらのボスへの忠誠やら、努力は間違いなく俺を超えているし。

 だから俺はそんな呼び方を止めさせようとした。

 

 ……いや、待てよ?

 

 大佐って呼ばれているくらいだし、別に止めさせるメリットなんてない。俺もボス程では無いものの、上の立場で居るならそれなりの待遇を得られる……今後の旅でよる際に便宜を計ってもらえる……?

 

 更にはコイツらのノリ……ハジメに対する有利な武器なのでは!?

 

「おい、あいつの言葉が嘘だったら、人間族の町の中心でボスの名前を連呼しつつ、新興宗教の教祖のごとく祭り上げてもいいからな。俺が許可する」

「っ……ヘイ、大佐の言葉感謝致します……大佐から得たこの情報は我々で最大限に活用させて頂きます」

「おい、何だその写真!チラッと見えたが俺が服を新調している時のやつじゃねぇか!」

「愉快なボスがあんなポーズやこんなフレーズを口にしている写真、お前らに託そう」

「「「イエッサー!!」」」

「お、お前等、タチ悪いな……」

「そりゃ、お前の友だからな」

「そりゃ、ボスの部下を自負してますから」

 

 今まで弄って来たが……フハハハ!これくらいで終わると思ったか!俺のお前に対する弄りはまだプロローグの半分すらにも到達していないのだ!

 

 とても逞しくなった部下達? に頬を引きつらせるハジメ。ユエがぽんぽんと慰めるようにハジメの腕を叩く。ハジメは溜息を吐きながら、次に樹海に戻った時が面倒そうだと天を仰ぐのだった。

 

「ぐすっ、誰も見向きもしてくれない……旅立ちの日なのに……」

『シア殿……余と同じく孤高をあゆむのならこれくらいで挫けてはならないぞ』

 

 傍でシアが地面にのの字を書いていじけているが、やはり誰も気にしなかった。せめてアルタイルから言葉を貰っただけでも……うん。

 

 

 

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 この後、俺らは次の度への準備をした。ハジメは自らの作ったガジェットの最終確認、シアは家族と別れの言葉を交わしている。

 その間、ぶっちゃけ俺がすることは無い。精々肉体に問題がないか確認すること……

 

 まぁ、花を集めるのはありっちゃありだが、また虚無になるのでパス。

 なので今は森の中を探索していた。限界まで魔力感知を働かせながら。元々この森は魔力探知がしにくい場所だからな……尚更神経を集中させる必要がある。

 

 結局、あの少女には1度も出会えていない。ハジメ曰く、そんな少女は見てないとの事。

 あいつが特訓で見てないってことはもうどっか行っちまったか?

 

 ……だが、不思議なことに直直カムたちからは彼女の存在が認識されている。あいつらは彼女が内向的だからまだ俺たちに慣れてないのだろう……そう話していたが、渓谷での出来事から考えるとそうは思えない。

 

「アルタイル、反応はあるか?」

『……現状では感知できない。彼女の魔力の波長は出会った時に覚えているからな』

「だよなぁ……マジで姿を隠すのがうめぇハウリアだ」

 

 ハウリアの気配遮断……彼らのアイデンティティであるその能力をネアは強く受け継いでいると思われる。

 俺はともかく、アルタイルのレーダーに反応しないのは相当なものだ。

 

 フェアベルゲンに到着してから彼女は忽然と姿を消した。だがほかのハウリアは目撃しているし、俺らを意図的に避けているのは周知の事実だ。

 

 あの子、絶対になにか仕出かしそうな感じだったからなぁ……熊人を襲った時に何がするんじゃないかと踏んでいたんだが、外れたし。

 意外と消極的で、ここに残るつもりなのか?……あの目を見てたらないよな。何かをやらかすような目たたし……

 

 ……ダメだ、考えがうまくまとまらない。一旦ハジメの所に戻るとす──

 

「っ!森羅万象(ホロプシコン)!!」

 

 第4楽章、魔力着衣。念じて直ぐに身体が軍服という名の鎧に包まれる。戦闘では初めての装備だ。ホログラムから現れてくる新たな衣服はまるでナノマシンのようだ。

 

 直後背中に鈍痛が走る。衝撃は軍服により緩和され、ダメージがゼロとなるが、明らかに何者かが俺を襲って来た。森羅万象(ホロプシコン)をとっさの判断で使ったことでその奇襲は防げたみたいだな。

 

 背後からの刺客攻撃。魔力反応を攻撃フェーズまで一切感じなかった……正直、1発は貰う覚悟だった。暗殺の隠密性がいかに優れているのか実感できる。

 

 だがさすがは森羅万象(ホロプシコン)、相手の刃が俺の軍服から離れない。多分防がれたことで思考が固まってしまってるのだろう。

 何せ衣服イリュージョンだからな。無理もない……が、判断が遅すぎる。

 

 今のうちに落とすか。振り向きざまに回し蹴りをしようとすると、やっと気づいたのかその者は腕をクロスさせていた。

 

「ふん!」

「うっぐっ……!」

 

 クオン・リニューアル──右廻転蹴り

 

 ガードしてても無駄だぞ?と言わんばかりの蹴りが彼女の腕に直撃する。

 自慢じゃないが魔物によるステータスだ。幾らハー〇マン方式いえども、並の防御力じゃあ防げない。

 

 だがその者はそれを利用して上手く距離をとることに成功した。同時にやっと全貌を見ることに。

 背丈は小さく、薄汚いローブで身体と顔を隠している。が、アイデンティティは隠せていねぇな……

 

 ご丁寧にも、フード部分に2箇所破れがあり、そこから長いうさ耳がひょっこり現れている。

 ……なんだろう、この世界基準だったら獣人の暗殺者は居るかもしれんが、ここでは余りにもその人物が分かりすぎてしまう。

 

 どう考えてもこんな事をするやつはあの子しか居ないだろ……

 そもそも、ボスの命令に反するハウリアなんて居ないだろうしなぁ。

 

 そんな事を呑気に考えていたら、可愛い暗殺者は背を見せて逃げの体制に入っていた。さすがにここで逃すと後々本当に見つからなくなってしまう。

 襲った理由は捕まえた後に聞くとして……

 

 流石にもう覚えたよな、最強さん?

 

『安心したまえ、先日は少々油断していたが、今回は嘘偽りない彼女を覚えたぞ……これで地獄の底までその魔力を見失うことは無い』

「ぶっ飛んだ追跡能力だな……死んでも逃げられないとかどっかの死神かよ」

『フッ……本来の姿ならば相手を追跡、時間経過による死角からの必中、必殺の刃を行うことも出来るぞ?心臓麻痺から血管破裂まで死神の一撃をお見舞しよう』

「誰が○ュークになれと……てかデメリットなしの1人デ○ノートとかどんな○ろう系主人公じゃい」

 

 ……あれ?これ誰かに激しくブーメランじゃないか?

 気のせいか、そんな遠くない白髪眼帯男がビクッと震えたように感じた。

 

 まぁ、○ろう系も当たりはしっかり存在するもんな!実際この作品もその部類にしっかり入る…はず。

 だから親友!別にお前のことは悪く言ってねぇから安心しな!

 

 ……閑話休題、アルタイルの魔力感知はこのスマホにいる彼女が持つ数少ない能力の一つである。

 俺たちが持つ魔力を感じ取り、それを追跡する……まるで警察犬のようだな。

 

 今回もその能力を遺憾なく発揮させる。もう少女は深き森林の中に隠れてしまったが、アルタイルの魔力感知にはずっと映り続けている。

 

 もう、少女は軍服の彼女からは逃げられない。

 1度目をつけられてしまったは最後、後はじわりじわりと退路を防がれてしまう運命なのだ……!

 

 実際アルタイルの指示の元、高速でそいつの跡を追う。俺の魔力完治では感じられない僅かな気配をアルタイルはしっかりと掴んでいる。

 やがて彼女の隠している魔力も感じられるくらい近くなってきた。

 

 そろそろだな。木々を踏み台にして前方へ加速。相手からの俺の気配を周りに分散させて──

 

「そうら!!」

「っ!……あぁっ!」

 

 枝からぶら下がりキックなるものをかます。横からの攻撃に逃げの体制でいた彼女は今度は呆気なく吹っ飛んだ。

 ガードを与える隙も作らなかった一撃……俺、だいぶ戦闘能力上がってきたなぁ。

 

「ナビ、ありがとよ」

『……余も出番が欲しかったからな』

 

 えっ、何その不貞腐れた顔、めっちゃ可愛いんだが!?言ったらしばらく口を聞いてくれなさそうだからその感想は胸の中にしまっておく。

 

 これからも大いに彼女を使いたい所だ。アルタイルに感謝しつつ、魔力着衣を解いた。軍服が虚空へ分散し、元の姿へ戻る。もう襲われることは無いだろうからな。

 

 ダメージが大きいのか、未だに蹲っている彼女に近づき、そのままフードを取った。あっ、と本人は口を開けたがもう遅い。

 

 紺色のロングヘアーに同じく紺色の瞳。

 

 分かってたことだが、やっぱりだな。

 

「さてさて……どういう事が説明してもらおうか、ネア」

「……」

 

 分かっていたことだが、彼女はだんまりだ。このまま切り抜けようとでもしているのか……まぁ、こいつの内向的な性格からしてあまり俺には理由なんて言いたくないのだろう。

 でも前回の件もしかり、今回も俺をいきなり襲ってきたんだ。流石に聞かない訳には行かない。

 

「ふむ……これでも黙りとなるとこちらも強硬手段を撮らざる得ないな」

「……っ」

 

 咄嗟に身構える少女。あー、そういえば奴隷とかハウリアはなるって聞いたし、それを想像したのか……大丈夫だ、そんなことはしねぇから……

 

 ポケットから回復薬を取り出す……一見ただの飲みのものだし、実際にはそれでしかない。

 だがブラフって技があるんだよな。相手がこの回復薬を回復薬と認識していなければ案外簡単に黙せるんだよ。

 

 例えばこんな感じ。

 

「他のハウリアのように言動が痛々しくなって常時ハイになる薬がここに──」

「すみませんです洗いざらい吐きますので許してください」

 

 早っ……てかよっぽどあいつらにはなりたくなかったようだな。疑う余地なく頭を下げてきやがった……

 やっぱりあのハウリア達の釈編はネアにとってもトラウマものだったようだ。そりゃあ普通はあんな風になりたくはねぇもんな。

 

 回復薬をポッケにしまいつつ、事情を聞くことにした。

 

「そんで?何で俺を襲ってきたんだ」

「ずっと私を追い回していたので……威嚇の姿勢を見せれば近づかなくなると……逆に目をつけられてしまいましたけど」

『余らを少々見くびりすぎているようだな……君も久遠の動きを見ていただろうに』

「それは……はい、私も考えが及んでませんでした……」

 

 理由は思いのほかシンプルだった……俺をしつこいと感じて威嚇か。

 

 彼女も心の中であったんだろうな……自惚れというか、油断というか……渓谷での彼女なら間違いなく俺を襲うような真似はしなかった。

 まぁ、あの後俺はハジメの特訓には加担してないし、ハジメがボスだ。俺の認識が下がってしまっても仕方が無いと言うべきか……

 

 にしても、俺の魔力感知に引っかからないのは相変わらずとんでもないな……てかハジメの魔力感知にも引っかからんとか……

 

「お前も凄ぇな。いくら樹海とはいえ、ハジメに見つからない状態で過ごしているのは中々だぞ?」

「ここはハウリアにとって庭みたいなものですし、隠れるのは得意ですから……それで……2人はなんで私を追ってるのですか」

 

 警戒心を解かないあたり、まだ俺らを信用していないのか……これでもお前の事は他のみんなにバラしていないんだけどな。

 嘘方便を言っても意味無いし、ここは正直に伝えるべきか。肩を竦めながら答える。

 

「そりゃあ、気になるだろ?元々あの集落と離れたとこにいた上、他のハウリアとは別行動をしていた……それに俺らとハジメを意図的に避けてまでいるってどう考えても怪しすぎるだろ」

「うっ……確かに怪しいですね」

 

 彼女もやっと自覚したのか、少し顔を赤らめながら恥ずかしそうにしていた。こんな分かりやすい行動をとってちゃあ、暗殺者としての技術は確かでも、在り方は無理だろうなぁ……

 

 さてさて、彼女の目的をまだ完璧には理解していないが、他にも聞きたいことがあるしそちらを優先しよう。

 先ず、先程のあの動きについてだ。背後の取り方、影の潜め方、奇襲技術、タイミング……全てが一級品と感じたあの攻撃だ。

 

 正直、ハジメがハウリアに教えたのはさほど多くない。貧弱だったハウリアをまともな戦力に改造するのに相当な時間がかかるからな……応用チックな所は手付かずのはずだ。

 加えて彼女はハジメに顔を出そうとしていない。それはつまり──

 

『南雲殿の訓練には参加していない……しかし先程の動きは暗殺者の如く素早いものだった。君は何処でそれを習ったのだね』

「へ?……いえ、ただ遠目で皆さんが練習しているのを見て真似ただけです」

『……ほぅ……』

 

 ……つまりは他のハウリアやハジメの動きをトレースしたってことか……成程?中々の腕だな。

 

 ん?スマホからボソボソと聞こえる声からして何かまた企んでるな?……っと、俺だけに聞こえるよう耳打ちしてくる。

 

 アルタイルにしては珍しく声色が明るい。

 

『久遠、彼女は面白い能力を備えているようだ。ここは君が──』

「度に誘えと?……まぁ、そりゃあそうだろうけど……お前が連れていくって言うのが意外だな。幾ら面白いからっていきなり連れてこうだって──」

『直にわかるさ。今は彼女の芽はその片鱗すら見せていない。このまま脇役として腐らせてしまう。脇役が主役を立てる以前に、脇役へ脚光を浴びさせるための主役が必要だ』

「それが俺と?……裏方の方が似合ってんだけどなぁ……」

 

 またまた、アルタイルの癖である寸劇比喩表現が出ている。相当な自信だ。

 まぁ、ネアの力は俺よりも彼女の方が理解が高いのだろうし、アルタイルの言う「脇役」は主役を立てる……つまりは俺をサポートもしてくれるとの事。

 

 自慢のつもりは無いものの、俺の強さは地上の比じゃない。森羅万象(ホロプシコン)だって使えるし、チートの一言に尽きる。

 そんな俺に張り合える強さを秘めているのだ。なら確かに連れて行って開花させる方が後の旅にプラスとなる。

 

 本当は樹海に残すって思ってたんだどなぁ。俺よりもハジメの方が絶対主役っぽいし……だけど──

 

「はぁ……まぁそこら辺で野垂れ死にしてもらっちゃ困るしな」

 

 今のこいつを見ていて思った。多分俺らが去ってから数日でもすれば1人で出ていくだろう。

 さっきから彼女の目を見て散ればわかる。渓谷で出会った時と変わりない、強い意志を感じる。それも少し危険な物も混じっている。

 

 他のハウリアも心配するだろうし、ネアを1人で行動させるのも気が引けてきた……っし、連れてくか。

 目的もまともに聞いていない子を連れていくのもどうかと思うが、乗りかかった船だ。

 

 ……と、グダグダ言ってたがそれは建前だ。

 

 正直に言うと俺も同行者の1名は欲しかったからな。このままじゃあハジメがユエさんとシアの2人を連れていくことになり、俺の立ち位置が益々空気になってしまう。

 だからパーティメンバーの増加には異論ない……能力を懸念にしていたが、アルタイルからのお墨付きならいいか。

 

「っし、お前がもしここから出ていくのなら俺らに着いてこい」

「え?」

「正直言って、ここの外の敵は強いぞ?お前を襲った魔物はまだまだ序の口……人間にも狙われる可能性だってある」

 

 嘘は言っちゃあいない。実際あの時襲ってたハイベリアは魔力がないこの地で脅威だっただけであり、魔物としての強さは下に入る。

 魔人の存在もあるし、諸々を考慮すると彼女がやって行ける可能性は限りなく低い。

 

 さらに問題なのはネアが獣人であるということ。帝国兵のこともあるし……多分外の世界をまだ完全に理解していない。

 

 ネアのスタイルは子供であっても惹かれるものがあるからな。いつそこら辺の奴隷商に目をつけられるか。

 他のハウリア見たいな殺伐としたオーラを身につけていない分、捕まりやすいのは確かだろう。

 

 ぶっちゃけ言えば、こいつを引き連れるのは色々と面倒くさくなりそうだが……アルタイルが薦めてくるんだから仕方がない。

 

『何より余は君に興味を抱いているのだ。1度は助けられ、且つ敗れている君に拒否権などないと思いたまえ』

「そういう所だぞ……アルタイル」

『むっ?何がだ』

 

 いや、高圧的なところが……その、ドSっぽい所がね?完全にネアも怯えちゃってるから。

 うさ耳をペタリと畳みながら震えてるから。可愛いけど。

 

「うーん、それじゃあ半ば誘拐にもなりそうだし、他のみんなに会っておくか?」

「……いえ、別にいいです。一緒に着いて行きます」

「そっか……んじゃ、腕は直しておくぜ」

 

 先程の回復薬を掛けてやる。いきなり薬をかけられ、しかも色が先程のと同じのでビクッと震えるネアだが、それが普通の回復薬と気づき安堵する。

 

 同時にその真実も知り、俺をキッと睨む。ありゃ、意外と勘がいいな。

 

「アッハッハ!お前にはこうでもしなきゃ口を聞いてくれないと思ったからな……だからその目を止めろ」

「……イチノセさん、嘘つきです」

 

 ……ハテ、ナンノコトデショウ?

 

 そんなこんなで、ネアを回復させてそのままハジメ達の所へ向かった。少女は終始俺から距離をとりながら着いてきていたのだが、俺は危険人物かなんかだろうか……

 

 これからの旅で彼女の俺に対する謝った認識を解こうと決意しながらも、俺らはハジメのところに到着した。

 

 バイクの最終確認をしていたハジメが俺に気づいて、その後ろの存在に目を細める。

 

「おい、一之瀬そろそろ出発──誰だそいつ」

「おう、前に言ってた人見知り訳ありウサミミ少女のネアだ」

「……前の2つは余計です。この人と謎の女性に同行することになりました……ネアです」

「……シアの友達?」

「シア姉さんは姉みたいな立ち位置で──」

「はい!……って、えぇぇぇ!?ネアちゃん!?ハジメさんハジメさん!何処かで彼女が着いて来る伏線ありました!?」

「んなもん何処にもねぇぞ……いや、お前が言ってた俺が見てないハウリアがこいつか」

 

 ユエさんにより知り合いと気づいたシアがウサっと驚く。確かに同じハウリアとして2人は何かしらの交流関係があるだろうな。

 

 それはネアも同じようでどこか居心地が悪そうにしていた。多分シアが居るからか……はっきり言ってこの構図はやかましい陽キャと目立ちたくない陰キャのバッタリ会っちゃった展開だからな。

 ネアもさぞかしこの状態から脱却したいのだろう。

 

 俺は俺でカクカクシカジカ……説明中……シカジカカクカク──

 

「そんな訳で、急遽連れてくることになった。アルタイルの勧誘が大きいが……俺としてもこいつを1人にさせるのはどうも気分が悪いからな」

「へぇ……まぁ俺は別にどうでもいいな。そいつはお前が面倒見るんだろ?俺らの足を引っ張らなきゃ問題ねぇよ」

「っ……」

 

 ネアが俺の背中の後ろに隠れるように数歩下がる。服の脇辺りを握られた柔らかい感覚……今なにかに目覚めかけた気がするが違ったか?

 

 ん?何か反応したようだが……あれか?ハジメが無意識に放った威圧に怯んだ感じか?

 流石に子供にそりゃあないだろ……とハジメを軽く睨んでおく。少しバツが悪そうにしている……そのまま反省しなさい。

 

 ……まぁ、取り敢えずハジメからOKサインは出たな。これで問題なく彼女を連れて行くことができる。

 

 バイクに腰をかけながら、座席の後ろをポンポン叩く。ヘルメット何てものはねぇから酔っちゃうかもしれないが知らん。

 

「ほら、お前も乗れよ。安全運転で言ってやるから」

『フッ……楽しみが1つ増えた。君がどんな風にこの盤面を揺るがすのか、せめて余を飽きさせることはないようにな?』

「はぁ……やっぱり樹海に居た方が良かったかもです……」

 

 俺とアルタイルの若干高圧的な誘いに少し垂れ耳にしつつもネアは後部座席に座った。手を俺の腰に当てながらもその顔は少し良くなっていた。

 理由はなんであれ、ここから出て行くことを喜んでいる……?

 

 うーん、シアとの関係もギクシャクはあるけど、そこまで悪くは思わないんだよなぁ……

 

 ……ダメだ、結局何も分からない。埒が明かないし、ドライブに集中するか。ハンドルを強く握って加速した。

 

 そんなわけで俺たちの樹海は成果なし……ただし、ネジのぶっ飛んだハウリア共が完成し、俺のメンバーに紺髪ハウリアのネアが追加された。




ちょいと補足

一之瀬久遠
→アルタイルの助言もありネアを連れていくことにした。因みに出発する直前に例のマスケット銃に『ネアを連れてく』とシンプルな手紙を突っ込んで樹海に発砲おいたので誘拐ではない…と本人は述べている。

ネア
→久遠とアルタイルに半ば拉致られた形で同行することになったハウリアの少女。彼女から見てアルタイルは怖いお姉さん、久遠は「人で雑な度だけど思議な力を持つちょっと言動に議が必要なイチノセさん」となっている。

 やっと久遠のパーティに同行者が増えたよ…今までアルタイルはスマホの中なのでちゃんと「人」が居てくれるとこの先の話の進行がスムーズになってくれそうです。ネアちゃんのキャラは濃くなっていくのでお楽しみに〜

 次回、やっとブルック!(やっとか)

ニアさんの設定はどっちに寄せる?

  • 原作(茶髪、メガネなし、小顔)
  • 今作(橙色、メガネあり、インテリ風)
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