ありふれた物語の森羅万象   作:RASっさん

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 お久しぶりですね〜さて、大学生になっちゃった…そして投稿までめちゃ空いちゃった……こ゛め゛ん゛な゛さ゛い゛ぃ゛ーー!!

 タグ、マイペース投稿から亀投稿に変えるべきかな…取り敢えず本編に行ってみよう!


第二十話 やっと始まりの街についたよ

「っしゃあ、そろそろ見えてきたな……ネアは平気か?初めてのバイクによる乗り物酔いとかしてないか?」

「平気です……慣れました」

 

 もう慣れたのか……元々耐性が着いているのか、それとも適応力が凄いのか……こいつの秘められしポテンシャルが未だに分からん。

 疾走するバイクの風で紺色の髪を靡かせ、表情をあまり変えようとしない、ハウリアの少女ネア……あっ、でも耳はリズム良く揺れているし案外楽しんでいるのかもしれん。

 

 遠くに町が見える。周囲を堀と柵で囲まれた小規模な町だ。街道に面した場所に木製の門があり、その傍には小屋もある。

 ほぅ、それなりの街だな。あの小屋は門番の詰所だろうし、いい買い物もできるかも……

 

 ってかやっと始まりの街みたいな所に着いた!こっから俺らの冒険が始まるのだ!

 

『ホルアドの街は入らないと言うか』

「いや……まぁ、ぶっちゃけフィーリングだ。ホルアドではダンジョンしか行ってねぇし」

 

 今俺らが向かっている街はブルックといい、ダンジョンは無いものの、樹海が近くにあることで冒険者や商人で盛んな街だ。

 ……な?これだけでワクワクしてこないか?冒険者ギルドなんて特にRPG心に突き刺さる。どの世界にもギルドは定番だからな。

 

 高揚感を抑えることが出来ない……ハンドルを握る手で何とかその興奮を抑えているくらいだ。今ならアクセル全開にでもして──は、2人乗りの状態でやる事じゃねぇな。

 

「Heyアルタイル。ブルックまで後どのくらいだ?」

『ピロン、約500メートルです……おい貴様は余になんて醜態を晒そうとしている』

「とか言いつつノリノリじゃねぇか。何だよ『ピロン』って。しかもそれっぽく口にだすんかい」

 

 ……アルタイルも実は楽しみなんじゃないかって思う。そういえば地球でもスマホゲームをいくつか試していたし。

 そこからはいつものようにギャーギャーし始めたのだが……そんな様子を見てか、ネアが珍しく自ずから話しかけてきた。

 

「……2人は彼らと比べて随分賑やかですね」

「ん?……あぁー……」

『無理もないが……』

 

 ネアが指した後方にいる3人はハジメ達の事だろう。3人乗りというかなりキツキツな彼らではシアが基本ボケを担当しているが、それでも必要最低限の会話で進んでいるようだ。

 それに比べれば確かに俺たちはガヤガヤしているのかもしれん。ネアには相性が良くないかもな。

 

 だけどな、ネア──

 

「アルタイルとは3年はこんな感じだからな……黙りの時の方が少ないというか」

『基本は久遠の戯れに巻き込まれているのだが……これはいけない、余も大分毒されたようだ』

「イチノセさんはともかく、アルタイルさんは毒されてはいけないのでは……?」

 

 いやいや、それはアルタイルもこの世界に順応してきてるってことだな。少し傾いたジャンルに、と付け足すけどな。

 すっかりと俺のペースに着いて行けるようになってしまったのだ……あの傍若無人の傲慢極まりない彼女の影は見るまでもない。偶に出すけど。

 

「とにかくだ、ネア……」

『余らに同行することになったのだ……』

「『この雰囲気に慣れなければな』」

「えぇ……嫌ですぅ」

 

 ちょいとかつてのハウリアの性格が出たネアだった。

 

 と、そろそろか。ハジメに合図を送りながらバイクを止めた。因子収納で回収しつつ、俺達は以下にもここまで旅してきたような雰囲気で門番に近づいた。

 ここからはステータスプレートの提示か?それじゃあ、チョチョいと弄って……

 

「止まってくれ。ステータスプレートを。あと、町に来た目的は?」

 

 規定通りの質問なのだろう。どことなくやる気なさげである。俺は門番の質問に答えながらステータスプレートを取り出した。

 

「食料の補給がメインだ。旅の途中でな」

 

 ふ~んと気のない声で相槌を打ちながら門番の男が俺のステータスプレートをチェックする。問題は無いと次にハジメのステータスプレートに目を通す。

 そして、目を瞬かせた。ちょっと遠くにかざしてみたり、自分の目を揉みほぐしたりしている。

 

 この反応……ハジメ、隠蔽忘れてたな?ステータスの数値と技能欄を隠蔽する機能がプレートにあるのに。座学で習っただろ?

 まぁでも、使う機会がなかったからそのままにしてしまっていたのだろう。奈落→樹海とこの世界で過酷なところ連チャンだもんな。

 

 ハジメは、咄嗟に誤魔化すため、嘘八百を並べ始めた。

 

「ちょっと前に、魔物に襲われてな、その時に壊れたみたいなんだよ」

「こ、壊れた? いや、しかし……」

「壊れてなきゃ、そんな表示おかしいだろ? まるで俺が化物みたいじゃないか。門番さん、俺がそんな指先一つで町を滅ぼせるような化物に見えるか?」

 

 両手を広げておどける様な仕草をするハジメに、門番は苦笑いをする。俺たちはジト目だけどな……

 いけいけしゃあしゃあと嘘をつくハジメに、付き人のユエさんとシアでさえ呆れた表情を向けている。こいつはポーカーフェイスの技能をいつの間にか付けたのか。

 

「はは、いや、見えないよ。表示がバグるなんて聞いたことがないが、まぁ、何事も初めてというのはあるしな……そっちの3人は……」

 

 門番がユエとシアにもステータスプレートの提出を求めようとして、3人に視線を向ける。と、そこでその者達がスタイル抜群のプロポーションである美女と気づきトリップしかけた。

 

 うん、言いたいことは分かる。が、その反応は門番としてはあからさますぎないか?他人の彼女にあからさまな反応は、業務中に怠惰とかでクビにされるぞ……

 ハジメがわざとらしく咳払いをする。それにハッとなって慌てて視線を彼に戻す門番。

 

「さっき言った魔物の襲撃のせいでな、こっちの子のは失くしちまったんだ。兎人族は……わかるだろ?」

 

 その言葉だけで門番は納得したのか、なるほどと頷いてステータスプレートをハジメに返す。

 

「それにしても随分な綺麗どころを手に入れたな。白髪の兎人族なんて相当レアなんじゃないか?それに紺色の子も中々……あんたら、意外に金持ち?」

 

 未だチラチラと二人を見ながら、羨望と嫉妬の入り交じった表情で門番がハジメに尋ねる。ハジメは肩をすくめるだけで何も答えなかった。

 

「まぁいい。通っていいぞ」

「ああ、どうも。おっと、そうだ。素材の換金場所って何処にある?」

「あん? それなら、中央の道を真っ直ぐ行けば冒険者ギルドがある。店に直接持ち込むなら、ギルドで場所を聞け。簡単な町の地図をくれるから」

「おぉ、そいつは親切だな。ありがとよ」

 

 門番から情報を得て、ハジメは門をくぐり町へと入っていく。俺達もそのまま彼に続いて行った。

 町中は、それなりに活気があった。かつて見たオルクス近郊の町ホルアドほどではないが露店も結構出ており、呼び込みの声や、白熱した値切り交渉の喧騒が聞こえてくる。

 

 これだよ、これ。ザ・街のような騒がしさは訳もなく気分を高揚させるぜ。スマホ越しだが、アルタイルも初めての景色に表情が緩い。

 ただ1人、ネアが複雑そうな顔をしていた。別に怒っている訳では無いが……

 

「どうした?もしかしてこういうザワザワとした所は苦手か?」

「……いいえ、私は大丈夫です……ただ、首が改めて気持ち悪いと……」

「あぁ……」

 

 首……とは首輪の事だ。亜人族が差別対象の認識は未だに変わっていない。それはたとえハウリアが力を手に入れたとしても変わるはずがない。

 

 そのためシアとネアには偽装として首輪をつけてもらっている。勿論、なるべくの配慮で違和感のないように仕上げているが、それでも思うところは……あるよなぁ。

 少し不服そうにしている彼女にアルタイルが話しかけた。

 

『ネア殿、君はハルツィナ大樹海を旅立とうとしていたようだが、その上で理解すべき事がある……それは君の立場だ』

「立場……ですか……」

『亜人という存在は魔力を持たない種族である……それが故に人間から差別対象として見られているのは確かだ』

 

 諭すように、彼女は続ける。この世界での在り方を。亜人がこの世で示される価値を。

 

『無論、全ての人がそうは思わないことだろう。人間は良くも悪くも寛容であるからな……だからと言って自らが彼らと同じ土壌に立てるとは思わない方が良い』

「…………」

 

 あーあ、嫌な話だなぁ……これには俺も苦くならざるを得ない。辛いが現状のハウリアは人と対等で見られることは……そこまでない。帝国の方針や、亜人の人間に対する異常な危機感を見れば一目瞭然。

 

 どうにかこの世の中をぶっ壊したいところだが。生憎、今の俺らじゃあ不可能に近い。

 

 ……変わらず賑やかな市場にハッと我に返る。そうだ、ハジメ達がもうギルドに向かっているじゃないか。このまま置いてかれる訳には行かねぇな。

 未だ、暗い表情のネアに手を差し伸べた。

 

「ほら、取り敢えずあいつらの所へ行くぞ。ここに居ても意味無いからな」

「はい……」

 

 亜人もそうだが、人間も面倒くせぇな。こんなモフモフの耳をどうして同類と認めないのか。コミニュケーション取れている時点で、同じ人種だと思うんだがな……

 

 そう考えていたせいか、思わず内心愚痴っていたせいか。

 

 手を握る彼女が呟いた一言を思わず聴き逃してしまった。

 

……やっぱり無理なんだ

「ん?なんか言ったか?」

「いえ、何も……それより皆さんは次はどちらへ行くのですか?」

「あぁ、ギルドに向かおうとな……ハジメと乱獲した魔物がたんまりとあるからな」

 

 

 

 ━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 ゴホン、気を取り直して……ギルド!それをパーティの略称として呼ぶこともあるが……大抵は冒険者がクエストや報酬の受け取りを行う国や街の組織だ。

 

 カウンターには大変魅力的な……笑顔を浮かべたオバチャンがいた。恰幅がいい。横幅がユエさん二人分はある。どうやら美人の受付というのは幻想のようだ。

 思わず壁によろけてしまう……あれは幻想だったのか!?この〇ばとか、プリ〇ネとかに出てくるスタイルのいい姉ちゃんはリアルには無いというのか……!

 

 ちなみに、ハジメは別に、美人の受付なんて期待していないようだ。していないったらしていないのだ。その証拠に、俺みたいに反動を受けてもいなければ同様の色も見せていない。

 

 だから、ユエとシアの先程から冷たい視線が突き刺さっているのもスルーなのだ。

 ……俺もアルタイルとネアからの視線は感じない。感じないと言ったら感じないのだ。

 

 そんな俺達の内心を知ってか知らずか、オバチャンはニコニコと人好きのする笑みでハジメ達を迎えてくれた。

 

「両手に花を持っているのに、まだ足りなかったのかい? 残念だったね、美人の受付じゃなくて」

 

 ……オバチャンは読心術の固有魔法が使えるのかもしれない。俺を放っておいたハジメは頬を引き攣らせながら何とか返答する。

 

「いや、そんなこと考えてないから」

「あはははは、女の勘を舐めちゃいけないよ? そこの彼みたいに、男の単純な中身なんて簡単にわかっちまうんだからね。あんまり余所見ばっかして愛想尽かされないようにね?」

「……肝に銘じておこう」

 

 ハジメの返答に「あらやだ、年取るとつい説教臭くなっちゃってねぇ、初対面なのにゴメンね?」と、申し訳なさそうに謝るオバチャン。何とも憎めない人だ。チラリと食事処を見ると、冒険者達が「あ~あいつもオバチャンに説教されたか~」みたいな表情でハジメを見ている。どうやら、冒険者達が大人しいのはオバチャンが原因のようだ。

 

「さて、じゃあ改めて、冒険者ギルド、ブルック支部にようこそ。ご用件は何かしら?」

「ああ、素材の買取をお願いしたい」

「素材の買取だね。じゃあ、まずステータスプレートを出してくれるかい?」

「ん? 買取にステータスプレートの提示が必要なのか?」

 

 ハジメの疑問に「おや?」という表情をするオバチャン。

 

「あんた冒険者じゃなかったのかい? 確かに、買取にステータスプレートは不要だけどね、冒険者と確認できれば一割増で売れるんだよ」

「そうだったのか」

 

 オバチャンの言う通りだよな……冒険者カード見たいのがステータスプレートで済まされるこの世界ではそれが色んな役割を担うだろう。物品の割引や特典なども着いてくる……ポイントカード見たいだな。

 

「他にも、ギルドと提携している宿や店は一~二割程度は割り引いてくれるし、移動馬車を利用するときも高ランクなら無料で使えたりするね。どうする? 登録しておくかい? 登録には千ルタ必要だよ」

「う~ん、そうか。ならせっかくだし登録しておくかな。悪いんだが、持ち合わせが全くないんだ。買取金額から差っ引くってことにしてくれないか? もちろん、最初の買取額はそのままでいい」

「可愛い子二人もいるのに文無しなんて何やってんだい。ちゃんと上乗せしといてあげるから、不自由させんじゃないよ?」

 

 オバチャンがかっこいい。ハジメは、有り難く厚意を受け取っておくことにした。ステータスプレートを差し出す。遅れて俺も差し出した。

 

 今度はきちんと隠蔽したので、名前と年齢、性別、天職欄しか開示されていないはずだ。オバチャンは、ユエさん達も登録するかと聞いたが、それは断った。残りはそもそもプレートを持っていないので発行からしてもらう必要がある。しかし、そうなるとステータスの数値も技能欄も隠蔽されていない状態でオバチャンの目に付くことになる。

 

 ユエさん辺りは魔法特化型だし、魔力は相当だろう。シアは肉体強化次第では奈落のステータスを持てるんじゃないか……?

 ネアは……うーん、間違いなくあの勇者よりは強いが、そこは要チェックってところだな。今すぐステータスが分からないのが悔しい。

 

 アルタイル?えっ、彼女にステータスの概念なんてないから。どうせインフィニティとか、∞とか、ERRORとか……そんなところだろう。何故か彼女のステータスのぶっ壊れ具合ははっきりとイメージできてしまう。

 

 戻ってきたステータスプレートには、新たな情報が表記されていた。天職欄の横に職業欄が出来ており、そこに〝冒険者〟と表記され、更にその横に青色の点が付いている。

 

 青色の点は、冒険者ランクだ。上昇するにつれ赤、黄、紫、緑、白、黒、銀、金と変化する。……お気づきだろうか。そう、冒険者ランクは通貨の価値を示す色と同じなのである。つまり、青色の冒険者とは「お前は一ルタ程度の価値しかねぇんだよ、ぺっ」と言われているのと一緒ということだ。切ない。きっと、この制度を作った初代ギルドマスターの性格は捻じ曲がっているに違いない。

 

 ちなみに、戦闘系天職を持たない者で上がれる限界は黒だ。辛うじてではあるが四桁に入れるので、天職なしで黒に上がった者は拍手喝采を受けるらしい。天職ありで金に上がった者より称賛を受けるというのであるから、いかに冒険者達が色を気にしているかがわかるだろう。

 

「男なら頑張って黒を目指しなよ? お嬢さん達にカッコ悪いところ見せないようにね」

「ああ、そうするよ。それで、買取はここでいいのか?」

「構わないよ。あたしは査定資格も持ってるから見せてちょうだい」

 

 オバチャンは受付だけでなく買取品の査定もできるらしい。優秀なオバチャンだ。ハジメは、あらかじめ〝宝物庫〟から出してバックに入れ替えておいた素材を取り出す。品目は、魔物の毛皮や爪、牙、そして魔石だ。カウンターの受け取り用の入れ物に入れられていく素材を見て、再びオバチャンが驚愕の表情をする。

 

「こ、これは!」

 

 恐る恐る手に取り、隅から隅まで丹念に確かめる。息を詰めるような緊張感の中、ようやく顔を上げたオバチャンは、溜息を吐きハジメに視線を転じた。

 

「とんでもないものを持ってきたね。これは…………樹海の魔物だね?」

「ああ、そうだ」

 

 ここでもテンプレを外すハジメ。奈落の魔物の素材など、こんな場所で出すわけがないのである。そんな未知の素材を出されたら一発で大騒ぎだ。樹海の魔物の素材でも十分に珍しいだろうことは予想していたので少し迷ったが、他に適当な素材もなかったので、買取に出した。オバチャンの反応を見る限り、やはり珍しいようだ。

 

 ちょっとだけ、奈落の素材を出して受付嬢が驚愕し、ギルド長登場! いきなり高ランク認定! 受付嬢の目がハートに! というテンプレを実現してみた……いことなどないったらない。だから、ユエとシアは冷ややかな視線を止めて欲しいと思うハジメ。体がブルリと震える。

 

 クソゥ!テンプレ回避するとは……畜生めぇ!

 

 横の友から「おい何いかにも残念そうな顔してんだ演技続けろ」って聞こえた気がする。

 

「……その様子だとまだ何か隠しているようだねぇ」

「いや、別に。何にもないっすよ、うん。全くもって何もない。俺は何も持ってねぇし何も出来ることはねぇ……我慢するのみ」

「おばちゃんの勘が君の言葉全てが嘘だらけと言っているけどねぇ……あいや、最後のは本当だね」

 

 テレパシー使えんだろこのばあちゃん。まぁ、生憎俺は、何も持っていない。因子模倣で完全に見えないところから取り出すことは流石に怪しまれるからな。

 だからオバチャンはハジメに目を戻したが、疑惑の眼差しは晴れないのであった。

 

「……あんたも懲りないねぇ」

 

 オバチャンが呆れた視線をハジメに向ける。

 

「何のことかわからない」

 

 例え変心してもオタク魂までは消せないのか……何とも業の深いことだ。とぼけながらハジメは現実から目を逸らす。

 

「樹海の素材は良質なものが多いからね、売ってもらえるのは助かるよ」

 

 オバチャンが何事もなかったように話しを続けた。オバチャンは空気も読めるらしい。良いオバチャンだ。そしてこの上なく優秀なオバチャンだ。

 

「やっぱり珍しいか?」

「そりゃあねぇ。樹海の中じゃあ、人間族は感覚を狂わされるし、一度迷えば二度と出てこれないからハイリスク。好き好んで入る人はいないねぇ。亜人の奴隷持ちが金稼ぎに入るけど、売るならもっと中央で売るさ。幾分か高く売れるし、名も上がりやすいからね」

 

 オバチャンはチラリとシアを見る。おそらく、シアの協力を得て樹海を探索したのだと推測したのだろう。樹海の素材を出しても、シアのおかげで不審にまでは思われなかったようだ。

 

 それからオバチャンは、全ての素材を査定し金額を提示した。買取額は四十八万七千ルタ。結構な額だ。

 

「これでいいかい? 中央ならもう少し高くなるだろうけどね」

「いや、この額で構わない」

 

 ハジメは五十一枚のルタ通貨を受け取る。この貨幣、鉱石の特性なのか異様に軽い上、薄いので五十枚を超えていても然程苦にならなかった。もっとも、例え邪魔でも、ハジメには〝宝物庫〟があるので問題はない。

 

「ところで、門番の彼に、この町の簡易な地図を貰えると聞いたんだが……」

「ああ、ちょっと待っといで……ほら、これだよ。おすすめの宿や店も書いてあるから参考にしなさいな」

 

 手渡された地図は、中々に精巧で有用な情報が簡潔に記載された素晴らしい出来だった。これが無料とは、ちょっと信じられないくらいの出来である。

 

「おいおい、いいのか? こんな立派な地図を無料で。十分金が取れるレベルだと思うんだが……」

「構わないよ、あたしが趣味で書いてるだけだからね。書士の天職を持ってるから、それくらい落書きみたいなもんだよ」

 

 オバチャンの優秀さがやばかった。この人何でこんな辺境のギルドで受付とかやってんの? とツッコミを入れたくなるレベルである。きっと壮絶なドラマがあるに違いない。

 

「そうか。まぁ、助かるよ」

「いいってことさ。それより、金はあるんだから、少しはいいところに泊りなよ。治安が悪いわけじゃあないけど、その二人ならそんなの関係なく暴走する男連中が出そうだからね」

 

 オバチャンは最後までいい人で気配り上手だった。ハジメは苦笑いしながら「そうするよ」と返事をし、入口に向かって踵を返した。ユエとシアも頭を下げて追従する。食事処の冒険者の何人かがコソコソと話し合いながら、最後までユエとシアの二人を目で追っていた。

 

 俺もオバチャンに会釈をしつつ、出口へ向かった。去り際に「ふむ、いろんな意味で面白そうな連中だね……」と、彼女の楽しげな呟きが聞こえてきて、あの人油断ならねぇと痛感したのだった。

 

「やっぱり都合よく美人の姉ちゃんなんて居ねぇな」

『……そうだな』

「……」

 

 冒険者ギルドは、何だろう……イメージ通りだったが、イメージ通りではなかったな。

 

 

 

 ━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「……アルタイル、さん。もしかして残念がって、ました?」

『……何を言っているのかよく分からないな』

「だから、一之瀬さんが言ってた……受付の方が美人なお姉さんじゃないという──」

『何を言っているのか──よく分からないな』

「あっ、ハイ」




ちょいと補足

一之瀬久遠
→異世界ネタはガッツリ望んでいた。例えこの異世界が幻想と違っていても、少しは期待しててもいいじゃない!尚、この後にも「宿主の1泊料金詐欺を値切りまくる」展開(初めから値段通りだった)やら、「BBダーンって叫びながらエルフの弓兵が追いかけてくる」展開(そんなの居るはずない)やら期待していたが、最終的に悟りを開いた。現実、見ましょか。

アルタイル
→異世界ネタは興味なし…は、嘘である。久遠ほどではないものの、暇な時に読んでいた漫画、ラノベによる在り来りな展開がもしかするとあるのではないかと、気になっていた。そして最終的に悟りを開いた。現実見ましょか。

 というわけで、改めてお久しぶりです。色々忙しくなったのは事実ですし、投稿頻度も…改善できるか難しいところですね…大学ってキツくね?

 この物語も取り敢えずは2章の最後まで頑張って書こうかなと思っています。それまでにモチベが復活するかもしれませんし…元々見切り発車の作品できたからね。

 それでもダラダラ不安定で音信不通になるよりはマシだと思った次第。

ニアさんの設定はどっちに寄せる?

  • 原作(茶髪、メガネなし、小顔)
  • 今作(橙色、メガネあり、インテリ風)
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