天井から乱雑に降り注ぐ瓦礫の雨。大小、大きさはバラバラだが全てがこの距離で落ちてくるとその衝撃は計り知れない。
すなわち、巻き込まれたら死ぬ。
ハジメの方を見る。直ぐにあいつは頷き、俺もやるべき事は決まった。ネアを片手で抱えて直様、この場所から離れた。
「わっ!?クオンさ──」
「絶対に離れるなよ!ここからは死と隣り合わせだ」
【超五感強化】を駆使して、上から降ってくる瓦礫に対面する。片目にハジメが瓦礫の上を飛び交う姿が映ったが、あいつらは空中で避けて生き延びるらしい。
かという俺は……今更だがまともな飛行手段がない。ハジメのように【空歩】は取得しておらず、魔物に対する適性が足りていなかったか……それが途轍もないディスアドバンテージとなってるな。
ってことで地上から対面するしかない。念の為、自前の最強レーダーに確認はするが──
「アルタイル、落下物の予測はできるか?」
『……無理だ。森羅万象があれば或いは……この量の対処は今の演算能力だけでは全く足りない』
「そっかぁ……そんじゃ、本気で生き残るしかねぇな!ネア、いつでも準備しておけ!」
「はいです、クオンさんからは離れません」
そう言うわけで、ネアが俺の首に手をホールドするのを確認しつつ、戦闘に入った。
基本は瓦礫の回避。小さな欠片は気にせず、大きな塊が来た場合はリニューアルで対応。どのタイミングで落下物が来るかは【超五感強化】でなんとか読み取る。
瓦礫のスピードがとんでもないな。天井から10数メートルもあるのに加え、ミレディの重力魔法がその速度を上げまくっているのだ。
「リニューアル──」
クオン・リニューアル──回転蹴り軌
落下の予測地点に足を突き出し、瓦礫の重心部分にぶちかます。一撃で5メートルもある瓦礫がバラバラになるが、安心はできない。
その上からも大量のパーツが降ってきているのだ。直ぐに次の技を繰り出す。
クオン・リニューアル──踵上げ打
クオン・リニューアル──前蹴り砕
クオン・リニューアル──正拳突
打つ、砕く、突く……あらゆる技巧を用いて効率的に瓦礫を壊す。なるべく俺らが生き残れるスペースを確保し、常に来る死の天井を対処する。
このまま俺の脚が持ってくれれば良いんだが……幾らリニューアル技が強力とはいえ、ベヒモスの時みたいに脚がオシャカになったら今度こそまずい。
少し回避回数も増やしながら、このまま……
クオン・リニュ──
「んぐっ!」
『久遠!』
何が……起きた?脳震盪のような……頭に直撃した何かで思わずバランスを崩してしまう。脚技も解除され、一気に無防備になる。
横目に何が映ったか確認……瓦礫?俺の五感の範囲外から?
……違う、あの野郎!
だが、気づけばかなり大きな塊が俺らの頭上まで来ていた。クソッタレ……何とか”踵落とし爆”で回避するしか──
「クオンさん、反動お願いします!」
「ネア!」
だが、その一撃は俺らに届かなかった。ネアがライフルでぶっ放してくれたためだ。ゴーレムを怯ませるほどの一撃は瓦礫を真っ二つにする。
もちろん、反動は大きく俺も含めて地上に転がる。だが何とか最悪は切り抜けられた。このままネアを掬い上げ、背中の位置に戻して再開する。
にしても、厄介すぎるだろ…ミレディ・ライセン。
あの野郎、一部の瓦礫をピンポイントで操作させている。確かにこれら数百に及ぶ瓦礫は一斉に「落とす」だけと、彼女にしては簡単なものだ。
だから、そんな中で幾つか精密な動作をさせることも可能だ。例えば別の重力を横にかけて俺にぶつけたりすることとかな。
頭に直撃した瓦礫はそうして俺に隙を作った。ネアがいなければもっと追い込まれていたな。だが、感謝するのは後……ってか、今は言葉を発する時間も深刻なタイムロスとなる。
何とか体制は戻したものの、待っているのは更なる課題だ。俺は横にまで五感の意識を広げるが、当然上に対する反応もわずかに遅れる。
そしてそれはこのリアルタイムでは死ぬほどきつい。コンマ数秒のズレで俺のリニューアルも完璧に対処するのが難しいし、対処できない場合もできてしまう。
……あぁ、ほら。こんな風に来られちゃあ──
「グッハっ…まだ……終われるかぁ!」
完全に避けられず、何とか背中を後ろに回す。目の前に瓦礫が素通りし、俺の顔面や体に大きな傷が抉られた。
因子再生…効率悪いし、そんなものに手を回している暇もない。頭の血を振り払って次の瓦礫に対処。
今度は三つ一斉に俺の方に振ってきた。飛び回っているハジメに比べて俺の移動範囲が狭いことが、この集中砲火になってるのかよ……!
しゃらくせぇ!リニューアル!!
クオン・リニューアル──踵上げ打
クオン・リニューアル──横蹴り刺
クオン・リニューアル──回転蹴り軌
ドガガガがガガ!!!
抉る、削る、突破口を少しでも作り続ける。3連撃の負担は途轍もないが、今を少しでも長く生きるため、俺はそれを放った。
だからこそ、そこには間違いなく隙が生じていた。俺の、技の後の硬直時間と着地地点に……
もう3枚の瓦礫が落とされていた。
「ぐっ…まずい……!!」
「きゃっ!」
「『ネア!』」
いち早く気づいたネアが対物ライフルをぶっ放して1枚削る。だが、その反動で俺の背中から落ちてしまった。
急いで彼女のところへ行かないとまずい……が、残り2枚の瓦礫が無常にも俺らへ突っ込んできている。
だめだ、間に合わねぇ……!
「そこで身を小さくしろ!なるべく他の瓦礫に気をつけ──んぐっ」
『久遠、残念だが崩落は続くぞ』
「クソッタレ!……ネア!生き残ることだけ考えろ!」
結果その瓦礫は俺らを分断してしまった。でも間髪入れずに俺に振ってくる他の残骸に悪態をこぼすしかなかった。
ネアなら……小柄な彼女なら運良く瓦礫の間で生き残れるかもしれない。でも、いつまで彼女が生きていられるかも分からない。
時間はあっという間に過ぎていく。でもその間の落下物との攻防も激しさが収まることはない。俺も対処に精一杯だ。
クソ……クソっ!ネアのところに早く向かわないと行けないのに!俺は立て続けに振ってくる瓦礫を壊して、何とか彼女を助けられる時間を確保しようとした。
でも……あぁ、畜生…
「アルタイル、ネア、悪ぃ……」
『諦めたか?』
「いや、そのつもりは無いが事実だけ──」
遂に瓦礫が2箇所ピンポイントに集まり始めていた。1つ目は恐らく飛び回っているハジメたち。そしてもう1つは──俺に向かって。
対処……残念ながらできる気はしない。右脚もボロボロで、溜めの時間が稼げそうにない。回避もこの広範囲は厳しいだろう。
俺は諦めが悪い男だ。だから、泥臭く生き残ろう。
でも、これだけは言えた。
「これ、普通にゲームオーバーだわ」
━━━━━━━━━━━━━━━
暗闇で前がよく見えない。轟音が耳に響く……感じたこともないような振動が床に与え続けられている。
頭が痛い……多分、瓦礫の一部が頭に当たったんだ。巻き起こる埃に咳込みながら、状況を把握しようとする。
南雲さんから渡された武器……「銃」は、完全に壊れていた。少し先にひしゃげたパーツが落ちていて、使えそうにない。
私の対抗手段が、この崩落で失われた。これじゃあ、クオンさんの助けに入れない。
……それ以前に、足が瓦礫に挟まっていて抜け出せない。引っこ抜こうとしても帰ってくるのは何かが抉れるような鈍痛。多分、瓦礫の一部が刺さってるんだ。
動こうとするたびに倍の痛みが帰ってきて呻き声が漏れてしまう。こんな痛み、今までで感じたことない。
何とか顔を前にあげると、隙間から外の状況が把握できた。
瓦礫の隙間から、迷宮の瓦礫が落下している光景が写っていた。その中でクオンさんが体を動かして回避している。
……あっ、クオンさんが何かを叫んでいる。私に向かって……小さくって……
多分、身を屈めれば生き残れるって言ったのだろう。確かにこの小さな空間の中に私はギリギリ生き延びている。
このまま動かずに何とか瓦礫を耐え切れば──
……クオンさんは?あの人は、大丈夫でいられるのだろうか?
いや、きっと大丈夫だ。彼の足の技は凄かったし、突破力もある。自身が俊敏に長けているから、頑張って瓦礫を抜けられるかもしれない。
何より、背中の自由も取れたから……きっと上手く立ち回れているはずだ。
私、というお荷物がいなくなったから。
何で、私はこうなのだろう。
せっかくクオンさんに戦う力を貰って、南雲さんに攻撃が通る武器を貰って……それでも私はこんなところで隠れて生き延びようとしている。
結局、これじゃあ……ハウリアの里から逃げようとしてた時と同じだ。私はそのまま卑怯に生き延びてこっそりこの場を離れちゃうのだ。
……あぁ、そんな考えになっちゃう……私って本当にダメだ。やっぱりここで生きるよりは死んだほうがいいかもしれない。
…でも、そんな私をあの人は止めてくれた。生きる理由を強引にも私に提示して、私に償わせる力もくれた。
正直、こんな私が生きていいのか疑問だ。だって、私の中には今まで死んでいったハウリアたちが着いている。罪の意識は薄くなったけど、消えたわけじゃない。
このまま、彼らに引きずられて、先に死んでしまおうか……
「……違う…」
目の前の彼は必死に天井からの猛攻を耐え抜いている。全身血と傷だらけで、隙間から見える彼が放つその技は既にキレを失い、足はもう見るに耐えないほどボロボロになっていた。
だけど彼は諦めていない……クオンさんは自身の身体が傷つこうが、足を振るって生き延びようとしている。
それでもあんな姿……私でも、これ以上見たくない。これ以上、彼に傷ついて欲しくない。
こんなところで、のうのうと生きる時間なんてない。
「動いて…」
……何で、動かないの?痛みなんて、彼の方がよっぽど受けているはずなのに。私に何もできない……?違う、彼にせめて瓦礫の来る場所を教えてあげられる。
私だって、クオンさんの役に立ちたい。彼に生きててほしい。こんなところで死んで欲しくないに決まってる。
「動いて…うぐっ……動いて、よ……」
引き抜こうとするたびに、傷口の広がりが大きくなる。でも、そんなこと知ったことか。
これ以上、逃げちゃダメなんだ。私の罪だから死ぬとか、みんなに顔向けできないとか、それ以前に──
私を助けてくれた、クオンさんが死ぬのだけは……何があってもダメだ。
絶対に!
だからお願い、動いて……この足ですぐにクオンさんの元に行かなければならない。戻って、迷宮の攻略に参加しなければならない。
動いて……私の……足!
ねぇ、動け……動いてよ!
動け……私の、脚!!
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瓦礫が全て崩れ落ち、辺り一帯に煙が舞う。空中でハジメが、地上では久遠が悪あがきをしていたようだが、流石にあの大質量は凌ぎきれなかったかと、僅かな落胆と共に巨石群にかけていた〝落下〟を解いた。
巨石群の落下に呑み込まれ地に落ちていた浮遊ブロックが天上の残骸と共に空間全体に散開するように浮かび上がる。
「う~ん、やっぱり、無理だったかなぁ~、でもこれくらいは何とかできないと、あのクソ野郎共には勝てないしねぇ~」
ミレディは、そう呟きながらハジメ達の死体を探す。と、その時、
「そのクソ野郎共には興味ないって言っただろうが」
「えっ?」
聞き覚えのある声に、驚愕と僅かな喜色を滲ませた声を上げて背後を振り返るミレディ。
そこには、確かに、荒い息を吐き、目や鼻から血を流してはいるものの五体満足の南雲ハジメが浮遊ブロックの上に立ってミレディを睥睨していた。
「ど、どうやって」
自分の目には確かに巨石群に呑まれたように見えたハジメが、目の前にいることに思わず疑問の声を上げるミレディ。
そんな彼女は今、間違いなく隙だらけであった。別の方から鳴る充電音に気づかないくらいは。
逆にその音に聞き覚えのあったハジメは、ニィと口の端を吊り上げて笑う。
「答えてやってもいいが……俺ばかり見ていていいのか?」
「えっ?」
直後──
キュィィィィィィン!!!
「は!?」
ボコン!!
初めてミレディは驚きの声と共に、倒れた。自身の巨体に防御力が備わったゴーレムがまさかバランスを崩すとも思っておらず、そのまま壁に激突しながら浮遊ブロックに落ちることになった。
一体何が──と、衝撃の入った胸の装甲を見ると思いっきり凹んでいた。それどころか完全に崩れ落ち、アザンチウムの第2装甲が見えている。
同時に向こうの瓦礫の中からドバッと人影が現れる。その正体は、同じくボロボロになりながらも五体満足でミレディに対面する、一之瀬久遠とネア・ハウリアだった。
ハジメと違うところを挙げれば、彼らは揃って何かの後ろで支えるように立っていたこと。この世界では見ることはない、メタリックで大きな砲台。その威力はレールガンもを越える突破兵器。
マ○さん列車砲。
『威力を増大させる魔力は存在しない……が、周りの浮いた瓦礫のかけらを吸収することで攻撃により物質的”重み”を持たせられる。君のようなゴーレムであれど、立って入られまいな』
「愉快な説明キャラありがとうね〜……って!?君たちも生きてたの!?割と殺す気で君たちに落下させたんだけど!」
「あぁ、お陰でこの有様だっつーの……おまけにありったけの魔力を注ぎ込んでこの列車砲を生成したからな、魔力も空っぽだ」
「でも……これで暫くは動けないです!」
列車砲の攻撃は魔力だけではなく、様々な物質まで吸収する。それは炎ならば火炎球のように、瓦礫を吸収すれば鉄球のように。
幾らミレディ・ゴーレムの耐久力が優れているとはいえ、鉄球……それも列車砲で現時点最高速の威力を喰らえば心臓に届くことはなかろうと、多大なノックバックが入るのだ。
その証拠にネアの言葉通り、彼女は暫く動けそうにない。体が浮遊ブロックにめり込むように埋まっており、身動きを奪っている状態なのだ。
当然、これを機に追い討ちが入る。完璧に彼女に接近できたのはハジメの相棒。
「〝破断〟!」
ユエの凛とした詠唱が響き渡り、幾筋もの水のレーザーがミレディ・ゴーレムの背後から背中や足、頭部、肩口に殺到する。着弾したウォーターカッターは各部位の表面装甲を切り裂いた。
「こんなの何度やっても一緒だよぉ~、両腕再構成するついでに直しちゃうしぃ~」
「いや、そんな暇は与えない」
ハジメがアンカーを打ち込みながら一気に接近する。
「あはは、またそれ? それじゃあ、私のアザンチウム製の装甲は砕けないよぉ~」
「知っている!だからユエ!」
ミレディの言葉を無視して、ハジメがユエの名を呼ぶ。すると、跳躍してきたユエが更に魔法を発動した。
「凍って!〝凍柩〟!」
願いと共に本来は氷の柩に対象を閉じ込める魔法のトリガーが引かれる。しかし、氷系統の魔法は、水系統の魔法の上級魔法であり、この領域では中級以上は使えないはずである。
それでも、ミレディ・ゴーレムを一時的に拘束するためにどうしてもこの魔法が必要だった。
追い討ちのようにゴーレムの背面が一瞬で凍りつき、ブロックに固定される。
「なっ!? 何で上級魔法が!?」
驚愕の声を上げるミレディ。ユエが上級魔法である氷系統の魔法を使えたのは単純な話だ。元となる水を用意して消費魔力量を減らしただけである。あらかじめ、ミレディ・ゴーレムを叩きつけるブロックと全身に先ほどの”破断”で水を撒いておいたのだ。
それでも、莫大な魔力が消費され、ユエが所持している魔晶石の全てから魔力のストックを取り出す羽目になった。ユエは肩で息をしながら近場の浮遊ブロックに退避する。
「よくやったぞ、ユエ!」
体を固定されたミレディ・ゴーレムの胸部に立ち、ハジメは〝宝物庫〟から切り札を取り出す。虚空に現れたそれは全長二メートル半程の縦長の大筒だった。外部には幾つものゴツゴツした機械が取り付けられており、中には直径二十センチはある漆黒の杭が装填されている。
ハジメはそのまま、直下の身動きが取れないミレディ・ゴーレムをアームで挟み込み、更に筒の外部に取り付けられたアンカーを射出した。合計六本のアームは周囲の地面に深々と突き刺さると大筒をしっかりと固定する。同時に、ハジメが魔力を注ぎ込んだ。すると、大筒が紅いスパークを放ち、中に装填されている漆黒の杭が猛烈と回転を始める。
キィイイイイイ!!!
高速回転が奏でる旋律が響き渡る。ニヤァと笑ったハジメの表情に、ゴーレムでなければ確実に表情を引き攣らせているであろうミレディ。
パイルバンカー。
〝圧縮錬成〟により、四トン分の質量を直径二十センチ長さ一・二メートルの杭に圧縮し、表面をアザンチウム鉱石でコーティングした。世界最高重量かつ硬度の杭。それを大筒の上方に設置した大量の圧縮燃焼粉と電磁加速で射出する。
範囲は狭いが、その分全てに突貫力を込めた一撃で勝負を決めるつもりだ。とにかくやばいのを察したミレディは直ぐに周りの半壊したゴーレムに指示を出す。
せめてハジメが打つ時間を食い止めれば、何とかこの状況を打破できるかもしれない。だがその希望も2人の声でかき消される。
「っ!?……でも背後はガラあ──」
「忠告どーも、でも心配はいらねぇよ」
ハジメの背後は久遠とネアがとっていた。それぞれがハジメを襲おうとしているゴーレムを向いており、脚の溜めも完了していた。
「ネア、俺に合わせろ!」
「はい、クオンさんに……着いていくです!」
2人は一斉に飛び立ち、敵に向かって同時に放った。
「「
クオン・リニューアル──回転蹴り軌
ネア・リニューアル──回転蹴り
久遠の横回転蹴り……その反対には彼と
美しいまでとも言える型で攻撃した2人の脚は共に手下ゴーレムを破壊していく。頼みの綱であった兵士は全滅し、完全に無防備状態。
「存分に食らって逝け」
そんな言葉と共に、吸血鬼に白木の杭を打ち込むがごとく、ミレディ・ゴーレムの核に漆黒の杭が打ち放たれた。
ゴォガガガン!!!
凄まじい衝撃音と共にパイルバンカーが作動し、漆黒の杭がミレディ・ゴーレムの絶対防壁に突き立つ。胸部のアザンチウム装甲は、一瞬でヒビが入り、杭はその先端を容赦なく埋めていく。
……だが足りない、ミレディ・ゴーレムの目から光は消えなかった。
「ハ、ハハ。どうやら未だ威力が足りなかったようだねぇ。だけど、まぁ大したものだよぉ?四分の三くらいは貫けたんじゃないかなぁ?」
「だな……だからこれで止めだ。やれ!シア!」
ハジメはそんな言葉とその場を退避し、共に代わりに現れたのは、ウサミミをなびかせドリュッケンを大上段に構えたまま、遥か上空から自由落下に任せて舞い降りるシアだった。
「っ!?」
シアが何をしようとしているのか察したのだろう。今度こそ、焦ったようにその場から退避しようとするミレディ・ゴーレム。
自分が固定されている浮遊ブロックを移動させようとするが猛スピードで落下してくるシアに間に合わないと悟り……諦めたように動きを止めた。
シアは、そのままショットシェルを激発させ、その衝撃も利用して渾身の一撃を杭に打ち下ろした。
ドゴォオオ!!!
轟音と共に杭が更に沈み込む。だが、まだ貫通には至らない。シアは、内蔵されたショットシェルの残弾全てを撃ち尽くすつもりで、引き金を引き続ける。
ドゴンッ! ドゴンッ! ドゴンッ! ドゴンッ! ドゴンッ! ドゴンッ!
「あぁあああああ!!」
シアの絶叫が響き渡る。これで決めて見せると強烈な意志を全て相棒たる大槌に注ぎ込む。全身全霊、全力全開。
轟音と衝撃で遂に漆黒の杭がアザンチウム製の絶対防御を貫き、ミレディ・ゴーレムの核に到達する。先端が僅かにめり込み、ビシッという音を響かせながら核に亀裂が入った。
地面への激突の瞬間、シアはドリュッケンを起点に倒立すると、くるりと宙返りをする。そして、身体強化の全てを脚力に注ぎ込み、遠心力をたっぷりと乗せた蹴りをダメ押しとばかりに杭に叩き込んだ。
シアの蹴りを受けて更にめり込んだ杭は、核の亀裂を押し広げ……遂に完全に粉砕した。
ミレディ・ゴーレムの目から光が消える。シアはそれを確認するとようやく全身から力を抜き安堵の溜息を吐いた。
直後、背後から着地音が聞こえ振り向くシア。そこには予想通りハジメとユエがいた。遅れて久遠、ネアも到着する。シアは、満面の笑みで皆んなへサムズアップする。
仲間たちもそれに応えるように笑みを浮かべながらサムズアップを返した。
七大迷宮が一つ、ライセン大迷宮の最後の試練が確かに攻略された瞬間だった。
ちょいと補足…
ネア・ハウリア
→色々と進化しちゃったハウリア。後ろ向きなのも彼女の一部。だが、それを乗り越えてこそ彼女は久遠からもらった力を完全にモノにできる。自身の天性の才能も、魔物による肉体も、彼女の揺るぎない覚悟も、揃って初めて奇跡とも言える反応を起こすのだ。もう彼女は振り返らない。彼の背中を追って前へ進むのみ。
一之瀬久遠&アルタイル
→内心、ビビってる。ネアが瓦礫の下敷きになって下手したら死んでいるかもしれないと焦っていたところで何故か彼女が復活。おまけに異常なパワーアップで久遠らのヘルプに入ってくれたし。これネアの方が強いんじゃね?とか、余より活躍してないか?と疑問は尽きないが今は戦闘中。こんな場面にギャグはいらない。前へ進むのみ。
終わりが…見えてきた。2章もいよいよ大詰めになってきました。ネアの活躍も最後の最後に出せましたし、マ○さんシリーズも出てきて個人的に満足です。
今思えば、この物語のキーでもある森羅万象が2章でもう使えなくなるなんて…幾ら原作がシアに焦点置いていてたって、そりゃあねえぜ…まぁ、上手い落とし所は作れたとも思ってはいるんですけどね?
さて、次回はお別れですね…ウゼェやつとの☆
この先欲しい要素は?
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バトル(肉弾戦)
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バトル(森羅万象などの頭脳戦)
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ラブコメ(もっとヒロインを前にだせ)
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ギャグ(ネタを増やせ)
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マミる(もっと血流そうぜ?頭とか)
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アルタイル(単純明快)