ありふれた物語の森羅万象   作:RASっさん

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第三十話 How to Re:create?

 白い部屋を抜けた先は書斎のような場所になっていた。見たことも無いような文字の本や、数千年も前に作られたようなオブジェなどがずらりと並んでいる。

 

 おそらくは、この世界を当時旅していた時に手に入れたものだな。珍しい物に気を取られてると、ミレディがいつの間にかテーブルとイスを用意してくれていた。

 

「ほらほら、早く座ってね〜……はぁ、人を招くなんていつ以来だかねぇ……ん、さっきの水」

「へぇ、お前にも人に粗茶を出す常識があるのか…」

「クオンさんその発言普通にアウトです」

「別にヘーキだけど?…てか、かなーり昔に全く同じこと言われたし」

 

 何かを思い返しているようだが、あんまりいい思い出じゃなさそうだな……気を取り直して、彼女が続けた。

 

「んで、世界に現界するための条件だっけ?なんでまたそんな事を知りたいのさ」

「その前に、改めて見せなきゃいけないな」

 

 テーブルの上にスマホを置く。そこからホログラムで軍服の姫君が立体になって現れた。ちょっと出てくる時に演出出してるな……

 

 全身軍服仕立ての礼服を纏い、足まで伸びる銀髪を靡かせる。

 

「こちら、スマホに囚われた姫様です」

『…余、直々に自己紹介といこう。名はアルタイル、訳あってこの端末に居座っている』

 

 暫く固まっていたミレディだが、アルタイルの自己紹介で我に返ったのか、目をゴシゴシさせながらスマホに近づいて観察していた。

 

 流石の解放者もこの小さな箱に入った少女には驚きが隠せないようだ。

 

「へぇ〜…美少女が端末に居るなんて、君も中々楽しそうなことしてんじゃーん。このミレディちゃんを持ってしてちょっと霞むくらいの可愛さだね☆」

「そもそもお前の顔が分かんねぇよ」

『生憎、彼にその気があればこの世から退去している。決して君の想像は起きていないから安心して欲しいね』

「なーんだ、進展もなしかよチェ〜」

「『……』」

 

 あー、この人のテンション絶対にブレないんだなぁ。俺らは揃って、目の前の解放者に対する威厳がどんどん下がっていくのを感じた。

 

 でも、これが彼女の素ならば仕方がないのだろう。彼女はそのまま何か分析するように頭を唸らせていた。

 

「ムムム……見た感じ、このミレディちゃんと同じ状態だね」

「同じ…ってあれか?魂が定着しているってことか?」

「そそ!このゴーレムの定着はラーくんにしてもらったからね〜…ふむふむ、それなら君のその状態も魂が入っていると思うよ?」

 

 ラーくん、が誰だかは知らないが…おそらく解放者の1人なのだろう。よく考えればミレディもちゃんと人の姿はあったのだろうし、その人がゴーレムに定着させてくれたのか。

 

 ってことはアルタイルもミレディと同じの発言はーー

 

「やっぱりお前が俺の端末に定着している状態なのは間違いないようだな」

『余がこの端末に閉じ込められた時は、確か世界の狭間から一つの座標点を見つけた時だったな。魂もその時に入り込んだわけだ』

「…『世界の狭間』?」

 

 アルタイルの何気ない言葉にミレディが反応を示した。何か引っかかることがあったのか?

 世界の狭間…多分それだよな?

 

「アーちゃん、その話って本当?」

『それが世の呼び名なら即刻訂正を願いたいが……世界の狭間にいたのは事実だ』

「それって確か、お前が俺の世界でドンパチやった後に、同じく魂だけだったセツナさんと何処かに行ったんだろ?」

 

 あの時、セツナさんは不思議な力により一時的に現界可能な状態となっていて、でも彼女が自殺する運命も着いてきていた。

 

 それで、アルタイルが“因果再構築”で死ぬ事実を書き換えようとして……最終的には2人で別の世界へ消えた……というシナリオのはずだ。

 その後はセツナさんが幻となって消えたのだが……確かに謎は残っているな。

 

『そう……だがあの後、セツナはただの幻であり、余はあの夜空の広がる空間に暫くは空虚な時間を過ごしていたな』

「で、なんか分からないけど俺の所に来ちゃったと」

『もう、あの空間には2度と戻れないだろうな』

 

 あの場所、スクリーンで映っていたが絶景だったなぁ……一面が浅い水面となっていて、夜空が永遠に広がっている。

 

 音も、演出も全てが美しかった……そんな世界が本当に存在するとなると、行ってみたい気にもなる。

 

 …一方で、ミレディが先ほどから自分の世界に入っていた。ブツブツと「……世界の」だ、「概念魔法に…」だ。こっちを置いていって欲しくないのだが…

 

「んで、ミレディさん?そろそろ現実に戻ってきてくれないかぁ?おーい…」

「ちょっ!なにミニ・ミレディちゃんボディを叩いてんのさ!その鉄筒をハリセン代わりとか…ツッコミがなってないよ?」

「そもそもツッコミに何でハリセンがいるのです?」

 

 1人で考察しまくっているミレディに、即席で生成したマスケットでコンコン叩いてやっと気づいてくれた。ネアの純粋なツッコミが良い緩衝材となる。

 

 まぁ、彼女なりに考えていたのだろうが、俺らにも教えて欲しい。そこを察したのか、今度こそ真面目ミレディになり畏まって話し始めた。

 

「じゃあ、何処から説明しようかな〜…先ずはアーちゃんの状態についてね。アーちゃんは今、魂が端末に完全に固定されている状態だね」

『固定…か。それはまた随分と強調するじゃないか』

「そりゃだって、世界の狭間から自力以外で抜け出せる方法ってないからね〜」

「……あの、さっきから出てくる『世界の狭間』ってなんです?」

 

 ネアが聞き覚えの無い言葉を疑問にミレディは答えた。

 

「『世界の狭間』は複数の世界の間にある空間で、何の世界からの干渉もされない……ただの無法地帯みたいな感じかな?」

 

 彼女が言うには、その世界は如何なる世界に干渉されず、同時にいかなる世界に干渉できない場所であると言う。常に「無」なのだが、この世界に行き着いた者の思考、感情がトレースされる。

 

 なるほど、アルタイルの気持ちがあの景色に反映されたのか。それなら彼女が求めていた美しい世界観にも納得できる。

 だが、となると一つ疑問に思うことが出てきた。

 

「…ん?追放される?アルタイルはそこへ行ったんじゃないのか?」

『余もそのつもりだったが…』

「そんな行きたくて行ける場所でもないよ〜…例えば、世界のルールに大きく反した場合、もしくは世界の修正力がその者を敵と認識した場合は世界から消されるね」

 

 …聞き覚えのある言葉に思わず眉が動いた。今、この人世界の修正力って言ったよな?

 

「お前、世界の修正力とかも知ってるのか」

「そりゃあ、これでもクソ神をぶっ殺そうとした身だよ?みんなの神代魔法を合わせた時に頭に入ってきたのさ…そして直感した。神代魔法にも、これ以上やっちゃいけない線があるって」

 

 言葉の重みからか…彼女からのプレッシャーがその重大さを表している。

 

 世界の修正力は、アルタイルが世界を滅茶苦茶にする上での要素の一つだった。世界の修正力を突破するくらいの負荷をかければ世界は滅びる。

 

 逆に、中途半端な力の行使や、1人による無茶な行動は世界から一つの異物として弾き出されるらしい。

 

「例えばさ、神代魔法って超強力でさ…ぶっちゃけ神様の存在自体を消そうと思えばできるのさ」

「うわぁ…何だその近道」

 

 まぁ、彼女の言う神代魔法は世界を軽く手繰れちゃう力あるらしいし、本気を出せば存在そのものを消す方が手っ取り早いかもな。

 

 ゲームじゃないんだし、別にテンプレを踏む必要もないだろうし…でも、と彼女は否定した。

 

「でも、それは世界が構築される上でのルールに反しちゃう。あのクソが作ったのか、それとも元から存在したのか…とにかく、対抗手段は神のところまで無理矢理行ってこの手で殺すことしかできなかったの」

「じゃなきゃ、そもそもトータスという世界から追放されちゃうからか……」

「そーいうこと〜…神を殺す前に世界から消えちゃうなんて本末転倒でしょ?だから正当法で戦ったんだけど……後一歩、足りなかったなぁ……」

 

 最後に、話疲れたようにこぼした言葉が本心なのだろう。自分達の世界を変えられなかった、迷宮を作り、他の人にしか神殺しを託せなかったと…そんな色が見える。

 

 よく考えたら、神に抗おうとすること自体すごいんだよなぁ。俺らがそれを目的としないのも、思わず申し訳なく感じてしまう。

 

 …話を元に戻そう。要するに世界の狭間に行ったアルタイルの状態が彼女の言っているライン越えに繋がるなら。

 

「アルタイルは森羅万象(ホロプシコン)を世界に弾かれるまで使いすぎたせいで俺らの世界から追放されちゃったわけか…なら、何で俺のスマホに行き着くことができたんだ?」

「流石にそれは分からないかなぁ〜。一度弾かれた世界に戻るには相当な時間がかかるはずなんだけどぉ…何かしらの強力な因果があって2人が出会えたのは確かだね」

『余と君の因果か…』

 

 こいつと俺…被造物と自称一般人、力あるものと無いもの、軍服の姫君とオタク高校生……言ってしまえばま反対に思えるんだが。

 

 でも敷いてあげるとするならば──

 

「俺とお前、2人ともセツナさんのファンだな」

『ほぉー、余は創造主を偶像崇拝していると?』

「……2人ともテンション似てますね」

「『それはない』」

「お〜、2人とも息ぴったり」

「『……』」

 

 ネアの言葉に思わず口を揃えてしまった。そしてここぞとばかりにニヤニヤされてしまう。

 

 何だよ、返答を真似したのはお前の方だろ?その「はぁ…」みたいな顔やめろ。

 

 ……意外と似ているのか?俺たち。

 

「まぁ、でもこの世界に限界することは可能じゃないかな?」

「あ、そうなのか?」

「だってこの世界は君たちの世界と違うんだから。アーちゃんがまた力を行使しすぎて世界から弾かれなきゃいい話だし〜?」

 

 そもそも、この世界にアルタイルも転移できた時点で、世界に現状の彼女が弾かれていないからな。どれくらい力の制限があるかはともかく、彼女の現界は可能らしい。

 

 その言葉を聞いて少し安心した。このままこの旅の目標が息詰まるのだけは勘弁だった。

 

「現界条件はだからとっても簡単!魂魄魔法を手に入れて、適性があったらどっかの器にでも入れちゃえばいいんだよ!」

「器…それって水35ℓ、炭素20kg、アンモニア4ℓ、石灰──」

『それ以上は言わせんぞ』

「あはは…器はそうだねぇ…こんなゴーレムでもいいし、無機物にも一応定着はできるね。後は……人の死体にも可能かなぁ?なるべく死にたてホヤホヤならなお良し!」

 

 ……ちゃっかり詠唱を防がれて悲しいかな。

 

 でも、人に入ることもできるのか。魂の移動先って案外何でも良いのか?思った以上に制約がないな。

 

「それって例えばネアに入れることも可能なのか?」

「えぇ!?私、死んじゃうんですか!…でもそうですよね。罪の数なら私が1番マイナスが大きいですよね……」

「悪かった!大丈夫だからな!お前のことは大切な仲間として扱っているからぁ!」

『……墓穴を掘るとは、この阿呆め』

 

 まずい、つい普通の調子で聞いてしまったせいでネアの過去を掘り返してしまった。まだ完全に乗り越えたわけじゃないんだからな。

 こればかりはアルタイルの言葉も否定ができない。

 

「一応、可能だよ?立証はしたことがないけどね…多分、二重人格みたいになるんじゃないかな?」

 

 でも、住めば都だろうけどねぇ…さすがゴーレムだ。無機質に入っているんだ、説得力がちげぇぜ。

 でも大体の情報はえれたな。要するに俺らの次なる神代魔法は……魂を移動させる魔法だ。それで、アルタイルをさっさとこの世界に現界させよう。

 

 やるべき方針が決まったのは彼女の目にも映ったようだ。

 

「そのために必要なのは魂魄魔法。魂魄魔法は名前の通り、魂を司る魔法だよ〜何とミレディちゃんが生きていられるのもこの魔法があるから、魂だけ移動させたり、定着させたりもできるってわけ!」

「アルタイルさんの原理も同じという訳ですね…そしてその神代魔法が神山に存在するんですね」

「確かラーくんの魂胆魔法があるはずだからね。試練はあのハゲだし、結構面倒だけど君たちなら余裕だと思うよ〜」

 

 軽く答えるミレディ…何かサラッとディスってなかったか?だけど魂魄魔法が今は最も必要な神代魔法であることが分かった。

 

 となると、場合によってはハジメと別行動も…大迷宮を効率的に攻略するためだとかいえば普通に許可降りそうだし…

 

 にしても神山……神山、ねぇ……あの、最初に召喚されたところだよなぁ……イシュタルのじーさん率いる、神の使徒を崇める集団。

 しかもあそこは最も世界への宣伝力の強い場所だ。「神だから〜」の一言で簡単に情報操作もなされる。

 

 よりによってそこにあるのか……魂魄魔法…

 

「クオンさん、それじゃあ次は神山にしますか?」

「あー……いや、もう少しハジメ達と行動しよう。うん、それから決める、それがいいと思う」

「……?」

 

 ハジメにどうにかして動向を頼んで、俺の謀反罪を帳消しにできれば──っておい、アルタイル!!

 

『フッ、ここで王都のツケが来たようだな。あれだけ啖呵切って派手に消えたのだから、さぞかし豪華な歓迎が待っていることだろう』

「え゛っ…クオンさん、何したんですか?」

「……いやぁ、実はな──」

 

 普通にバラしやがったこの姫さん。俺のプライバシーを少しは考えてくれよ。ネアに詰められたことで俺の逃げ道は無くなってしまった。

 

 結局ここで事のあらましを全て話すことになった。王都への条件提示やオルクスでの出来事、王都からの脱走まで。

 全部話し終えたあと、彼女はすごく冷めた目で俺を見ていた。それはもう、今までにないジト目で。

 

「馬鹿ですね、本っ当にに馬鹿ですね」

「いやぁ…まぁ、元から抜け出す計画は立てていたわけだし?結果オーライよ」

「その結果試練に堂々と挑めなくなったんじゃないですか……」

 

 まぁ…うん、そう言われると何も言い返せない。完全に単独で抜け出しちゃったし、メルドさんにも理由は秘密でって言ったしな。

 

 メルドさん…雫たちも元気なのだろうか。そういえば迷宮の生活が濃すぎて忘れていた。

 相変わらず天之川がバカして、龍太郎が付随して脳筋バカやって…香織がフォローになってないフォローをして、雫が全部背負う…

 

 ……あかん、想像しただけで彼女の苦労がやばい気がしてきた。もし再開することがあれば神水を一部献上するべきかもしれない。

 

 すると隣でミニ・ミレディが腹を抱えながら床を転げ回っていた。そんなに面白いかよ。

 

「プークスクス、赤髪くんも調子乗っちゃった?ねぇねぇ、今どんな気持ち?自分でけアウトローな感じで目立っちゃって、でも今になって指名手配のレッテルで帰らなきゃいけない赤髪くん、今どんな気持ちぃ?」

「……」

「ちょっ!?急に発砲は洒落にならないから!もうこの体しかないんだって!」

 

 腹が立ったのでマスケット銃で牽制してやった。こいつ、本当に出来上がったキャラしてやがる。コミカルにぴょんぴょん跳ねて避けるのも、全てがウザいなぁ…

 

 発砲を止めるとミレディはその場に座り込む。へたり込むって表現が近いのかもしれん。

 

「でも…そっかぁ。やっぱりどれだけ時代が変わっても、この世界の根っこは変わってないか……」

「ここの住民じゃない俺が言うのはお門違いだが、かなりヤベェ状態だぞ。ここまで盲信的に神を信じるなんてとんでもねぇ。あの目は……神に──」

「洗脳されている、でしょう?まぁ、あのクソがやる事といえばそれが一番効率が良くて、面白かったんだから。本当、参っちゃうよ……」

 

 ……ミレディの話を聞いている限り、この世界の人々の信仰の深さに驚いてしまう。ここまで神に絶対の忠誠を誓うのか、と。

 世界の不条理に気づいていても、神の一振りにより味方が消えていく。その時の絶望もまた神は楽しむ。

 

 正直、俺なら神どころか、その世界すら嫌いになりそうだ。彼女もまた、同じ感想を持ったのだろう。

 

『君は人に憎悪は持たないのか』

 

 今まで黙っていたアルタイルは静かにミレディに問うた。皮肉でもなんでもない、彼女だからこそ持ち合わせた疑問だ。

 

『世紀に渡って観測し続けた君なら、思うはずだ。人間の本質、根底は必ず泥のような濁りがある』

「濁り…そーだねぇ、根底はそんな結末だよ。あの神は特にドロッドロだね」

『…それに抗うことの出来ない君たち人の子もまた、濁りがある。流転する世界で、混濁が残るのはそのためだ』

 

 …この世界でおこる人間と魔人族の戦争。帝国と獣人の奴隷関係。絶滅種族が人里隠れて生き延びる現実。これらは全てお互いに信用していないからだ。

 

 人ですら、自分の色や外見で差別する。他種族いるこの世界ではそれが顕著に現れているのだろう。

 

 そんな世界で、何千年も見守ろうとする覚悟。

 

『君は、何故──』

「それ以上に人が大好きだからだよ」

 

 だが予想以上に簡潔な答えが返ってきた。ミレディはいつの間にかアルタイルに正面で見返して答えている。

 

「疑心暗鬼だ、信仰だ…そんなもの持つのは当たり前だよ。それぞれの本心なんて相手にわからないものだし…でも結局それは仲良くなれちゃうんだよ。案外話してみれば良い奴だっているし…ミレディちゃんはこれでも友達100人は常にいたんだよ〜?」

「真面目な話にギャグ突っ込む辺り確かに世界は広いな…」

「え、信じてない感じ〜?」

 

 でも、何となくわかる。こんなキャラだけど、根はすげぇ良い奴なんだろうな。きっと当時の彼女は持ち前の明るさで仲間を増やして、解放者のリーダーとしてみんなを動かし、本気で世界を変えようとしたわけだ。

 

 それもこれも、人を愛しているから。神のように慈愛の心を持って包む愛ではない。人を対等に、全員が自分の友達であるように一人一人の手を掴む…そんな愛だ。

 

 彼女のそんな気持ちでここまできているとなると…正直、尊敬しちゃうな。

 

「ま、とにかく。世界はとっても素敵なところで、頑張れば一つにもなれちゃう素敵なところってわけ。そんな所を神の遊戯台にされちゃあムカつくよねぇ…だから、よろしく頼むよ若輩たちよ!」

「勝手に俺らを神殺しに誘導するんじゃねぇ」

 

 直ぐに巻き込もうとしやがって…でも、もし…もしも神様が俺らの邪魔をしてくるってなら?

 

 その時は、仕方がないけど殺すのはやぶさかではないかもなぁ?

 

「そんなとこ。どう?アーちゃん納得した?」

『…感情論は好かんがな。取り敢えず理解した』

 

 おー、アルタイルも本当に彼女の言葉に納得を示したようだ。ミレディの持つ論理、本当は嫌いだろうに。

 それだけ、彼女の人に対する認識が良くも悪くも正しく、かつ受け入れて前に進もうとする意志を感じられたからだろう。

 

「今更だが、貫禄を感じるな。お袋の知恵というものか」

「なんだと〜!ミレディちゃんはこの世界で永遠のアイドルとして輝くのさ!キラッ☆」

 

 …そんなところがなければ、素直に尊敬できたんだけどねぇ……さて──

 

 俺は残りの水を飲み干して咳を立った。長居しすぎるとハジメたちに対する言い訳がしづらくなってしまう。

 スマホを手に取り、未だにキラっ☆ポーズのミレディに別れの挨拶をする。

 

「それじゃあ、俺らはここら辺で。今度はちゃんと流されっから頼むわ」

「えっ、クオンさん。普通のルートで帰らないんですか?」

「いや、ハジメのところに戻るのに、濡れてないのは流石にまずいだろ?そこらへん辻褄を合わせないとな」

「なんなら泥も混ぜちゃう?オプションでいけちゃうけど?」

「…流石に勘弁してくれ」

 

 …白い部屋に戻り、開く床の真上に立つ。このままミレディによって俺らをトイレの刑で返してくれる算段だ。

 ミレディが浮遊ブロックの上に立ち、トラップを作動させようとした。

 

「いやぁ、マジで助かったわ。こんな情報がなければ俺も目的達成にもっと時間がかかっただろうからな」

「本当は色々言いたいことはあるけど、さっきのカツアゲくんじゃないし特別だよ〜……そういえば思ったんだけど、君たちの目的ってあの白髪くんと違うよね?さっき同じとか言ってたけど」

 

 …流石にバレてるわな。まぁ、ここにはハジメは居ないし、彼女には別に言ってもいいか。

 

「ああ。最終的にはハジメと同じところに着くが、それまでにはアルタイルをここから出すことが1番の目的だな」

『余が外に出れば、この世界の安泰は消えるだろうがな』

「うひゃ〜……アーちゃん、出来ればここはスルーしてくれたりしない?ほら、情報提供のお返しとかで」

『はっはっ』

「雑に流された!!」

 

 ……まぁ、その時は俺が身を挺してでも止めるから心配しないでくれ。アルタイルが不必要な破壊をするタイプではないし、ミレディの心配は杞憂で終わるだろうけどな。

 

 そんな感じで、最後も軽いノリで俺らはこの迷宮を出ることになった。迷宮の四方から水が流れ始め、重力魔法もかけていない俺らはなす術もなく流されていく。

 

 最後にミレディは何か言ったような気がしたが、激流に流されて耳に入ってくることはなかった。

 

 

 

 

 

 

「概念魔法、一番手にしたら危ないのは君だろうけど……自分を、見失わないでね?」




ちょいと補足…

一之瀬久遠
→アルタイルを現界させるため、ハジメとの別行動を視野に入れている。が、本人がハジメよりも肩身が狭い状況なためもう暫くは一緒に行動しようかなと考え直した。改めて、彼が物語前半で強引に抜け出したツケが帰ってきていて後悔している。

アルタイル
→過去に世界の修正力によって世界から通報され、世界の狭間で彷徨っていたことが判明。久遠との出会いには何かしらの強力な因果があったが、アルタイルは何故か分かっていない。本人は自分が世界に追放されることを誰よりも警戒していたはずだが、セツナを助けるために構いなしに能力を使用した結果のようだ。

そろそろ第二章も終わりかなぁ…改めて、ミレディのキャラって凄い良いよね。ノーマルミレディ、ミニ・ミレディ、ミレディ・ゴーレム、全員好きです。

この先欲しい要素は?

  • バトル(肉弾戦)
  • バトル(森羅万象などの頭脳戦)
  • ラブコメ(もっとヒロインを前にだせ)
  • ギャグ(ネタを増やせ)
  • マミる(もっと血流そうぜ?頭とか)
  • アルタイル(単純明快)
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