ありふれた物語の森羅万象   作:RASっさん

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 そういえば話数のストックとかありましたね…

久遠「…は?今までお前ノリでここまでやってたのか!」

 …いやぁ、だって初めてだったし…見切り発車ってやつ?一応タグにマイペース更新って書いてたし…

アルタイル『口を動かすな。早急に手を動かせ』

 はい、ということでどうぞー。 



第四話 イジメは惨め、正義も難儀

森羅万象(ホロプシコン)、第23楽章……因子収納」

 

 3つに分かれる台詞を口にしながら、俺は目の前にある1本の鉄剣に集中する。

 するとその剣の先端から青く、ホログラムのように分解していき、それがどんどん広がっていく。やがて全てが因子に分解されると空気中に消えていった。机の上にあったはずの剣は忽然と消えてしまった。

 

「これで成功したのか?」

『あぁ……試しにその剣を想像しながら因子収納をもう一度声に出してみよ』

 

 言われた通りにもう一度言葉を放つ。

 

森羅万象(ホロプシコン)、第23楽章……因子収納」

 

 すると高速で手の平に因子らしき青い何かが集まっていき、やがて先程収納した剣に戻った。

 おぉ!こうやってものを出したり入れたりできるのは便利だ!

 

 今は俺の部屋で王国から供給された武器をこうして実験台にしている。早速因子収納の力を確認したかったからなんだけど、思いのほか成功して今は気分が高揚している。

 だけど完全には成功ではない……現にステータスを確認すると魔力の値が10減っている。

 

 因子収納1回で5も使うとなると、そう簡単に出し入れすることも出来ない。ほかの魔法だって覚えるのかもしれないし、収納はともかく何かを出す作業は極力減らすべきだな。

 

「てか、因子収納なのに因子で武器を出しているから正確に言えば因子解放とかじゃねぇのか?」

『苦言は余ではなく能力を付与した神の一人に聞いてもらいたい……実際余も不思議には思っている』

「そっか……まぁいいか。この能力はこれからも世話になりそうだ」

 

 ついでにステータスも開く。あれから数日メルドさんの訓練を受けてみるみるとレベルが上がって行った。

 まぁ、それで何か変わったかーと言われればそこまで何だけど、数値はしっかりと変動しているようだ。

 

 ===============================

 一之瀬久遠 17歳 男 レベル:8

 天職:創造主(クリエイター)

 筋力:80

 体力:70

 耐性:50

 敏捷:90

 魔力:130

 魔耐:70

 技能:森羅万象(ホロプシコン)[+因子収納]・魔力操作[+魔力循環][+魔力変換]・言語理解

 ===============================

 

 ふむふむ……こうして見ると魔力の伸びが予想以上だ。100レベ行く時には4桁に行ってたりしてな。だけど防御力になる耐性は50と心もとない。見切りの仕方などは八重樫流でどうにかなるかもしれないが、実践空気は1度も味わったことがないから油断ならないな。

 

 静かにステータス画面閉じながらこれからのことを考える。王都には喧嘩を売る前提でここを抜け出すのは確定事項として……

 

「問題は何処へ行くかだな」

『以前、図書館でこの世界に関する書籍を読んでいなかったか?』

「あぁ、まぁどんな国があってどんな場所があるかはあらかた分かったけどな」

 

 この世界は人間族、亜人族、魔人族と3種類に別れており、それに準じて生息地域も区分されている。

 

 先ずは亜人族。ケモミミ、フワフワしっぽなど認識は地球と同じだが、異世界では厄介なレッテルが着いている。

 それは被差別種族であること。主な理由としては魔力を全く持たないことにある。この世界に魔力がある理由としてはエヒトを初めとした神々が魔法を使って想像したためであり、俺の使う魔法は神代魔法の劣化だと言われている。

 

『余の力は神が創るような贋作ではないぞ』

「まぁ流石に神でも因果を司るのは難しいだろうよ……」

 

 で、亜人はその魔力を持たず、魔力のルーツ通りに考えるとエヒトに見放された悪しき種族と捉えられているのだ。胡散臭い魔力の起源らしき話に同調したこの世界かなり終わってるな。

 今は迫害から逃げるべく、ハルツィナ樹海の奥地にひっそりと暮らしているらしいので、そこへ行けば会うことは出来るだろう……まぁでも、相手が差別を受けるということは自然に俺ら人間に対する印象も悪くなるわけで、全く歓迎はされないだろうけどな。

 

 因みに魔物に関しては自然災害と同じ扱いを受けており、神の恩恵を受けることはないただの害獣扱い。これも見た目から亜人族と区別したようにしか思えん。

 また、現在戦争をしている魔人族も、エヒトとは違う神を信仰してはいるが、亜人族に対する認識はだいたい同じようだ。

 

 魔人族は数が少ない代わりに個々の実力が非常に高く、魔法適正が高いため人間族よりもはるかに短い詠唱と小さな魔方陣で魔法を行使できる。それは子供も同じであるので脅威だ。

 魔人族の国である“ガーランド”も、ある意味最も戦士的な国かもしれない。

 

「こうして考えて見ると逃げ場はどこにもなさそうだな……まだ樹海がマシか」

『だが樹海を行くにしても帝国を通らねば辿り着けないな』

「そこも難関だよなぁ……」

 

 帝国は完全なる実力主義。そして奴隷国家としても有名な所だ。ケモ耳の亜人達が奴隷に……聞くには問題なくとも、実際はキツイんだろうなぁ。

 

 って事でそこが唯一の面倒ポイントだな。だがこうしてやって行くと行けるところなんて数える程しかねぇや。

 

「とにかくあと数日は情報を集めなきゃなぁ……」

『だが情報媒体が飛び交う地球と比べ、ここでの収集も難儀だな。今は王都の図書館と君の人脈で繋がっているが……』

「人脈……って、ニアさんの事か」

 

 王城の個室を得られた俺たちだが、その時に1人に対してメイドが着いてくれた。身の回りの事や家事、食事の時間などを教えてくれたりもする。要するにみんなのオカンである。

 

 そして俺についたメイドが……って、今来た。ドアがコンコンとノックされて、いつものように明るい声が聞こえてきた。

 

「一之瀬様、失礼します」

「はい、どうぞー」

 

 そのまま促すとドアは開き、メイドが入ってくる。橙色のミディアムのにウェーブがかかっており、身長は165と少し高め。

 

 凛とした雰囲気を常に出しているので一見インテリ系のメイドかと思うが実は結構気さくで明るい。

 

 実は騎士の家系であるニアさんは男尊女卑が相変わらずのこの世界で剣の才能があるにもかかわらず、王国のメイドをさせられているという中々に悲しい過去を持っている。

 

 だが本人曰く、王国でも騎士の入団資格は例え女性でも取れるようで、メイド業を認められたらすぐさま狙いに行くとか。メイド業自体も苦には思っておらず、騎士の夢は叶わんとも王国に仕える事は忘れない……君の夢、応援してるよー。

 

 そんな彼女は今はしっかりメイドさん。滑らかな手つきで紅茶をカップに注ぎ、本を開いていたテーブルの傍に置く。

 

「一之瀬様、今日も勉強ですか?」

「まぁ、世界のことについて何も知らないのはなぁ……能力もずっと訓練していると魔力が無くなるし。最近はそれで不真面目だとか言われてるんだがな」

「ですが、一之瀬様は起床時間が早いので、結果指定の訓練はされていますよね?」

「まぁな。でも早すぎて誰も見てねぇんだわ」

『クックッ、この世界で多少の心身的負荷のかかる状態で君は4時に起きているのだ……その肝の座り具合は余を超えるぞ?』

「あっ、まじ?そりゃあ自慢できそうだ」

 

 因みにアルタイルの秘密を知っているのはここトータスではニアさんだけだったりする。まぁ、あれだ。地球ではアルタイルに自然に隠れてもらってたんだけど、異世界に来てからそこら辺、気の緩みができてしまったのだろう。

 

 即バレてしまったが、幸いニアさんは快く秘密を守ってくれることになった。代わりにこうして他愛のない話をすることが日課となりつつあるが。

 

 今は彼女の使う剣の作法についてだな。

 実際彼女は兄弟に並ぶ実力は持っていたらしい……本当に才能が勿体無い。

 

「へぇ、聞いた感じだとニアさんの剣術って相当高いんじゃないか?」

「滅相もございません!最近では剣を握ることも無くなりましたし……」

『だが、ニア殿の技量やステータスを見るに、久遠達、異世界人の力はあると思うが?』

「マジで?そりゃあ将来本当に化けるかもな」

「そ、そうですか?」

 

 ニアさんはあまり実感が湧いていないようだが、アルタイルがそう言っているのだ。間違いなく彼女には才能が秘められているのだろう。

 

 早くメイドから素晴らしい騎士になって貰いたい。

 

「それじゃあ、俺はちょっと訓練場に行ってくるわ。アルタイルも来るだろ?」

『ここに居ても暇なだけだ……漫画も通信が切れたことで事前にダウンロードした物しか見れなくなったからな』

「あー、それはキツイな……ニアさんとはこれで、今日も紅茶ごちそうさん」

「はい。行ってらっしゃいませ」

 

 アルタイル……確かにここは電波ないから、ダウンロードしている漫画しか読むことができない。地味にダメージが入るな。森羅万象(ホロプシコン)でどうにかして地球の電波に繋げることができたらなぁ……

 

 

 ━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 訓練場の入り口付近には人が居なかった。みんなは飯かな?まあ一人ならそれはそれで訓練に集中できるからいいんだけど。

 

 っと、その時だった。何やらゲスの笑い声とうめき声が聞こえてくる。

 

「っ!あいつら……」

『これは……あの虫共か』

 

 視線の先には4人組のバカが1人の男子生徒をリンチにしている真っ最中であった。

 

 言わずもがな、檜山大輔を初めとするハジメ虐めパーティーだ。4人とも魔法を出しており、どう考えてもハジメが無事じゃいられないような感じである。

 現に身体中至る所に痣があり、腹を抱えて蹲っている。

 

「アルタイル、森羅万象(ホロプシコン)の使い方はこんな感じでいいか?」

『問題ない。自然に存在する炎や風の原理を理解出来ているのなら君にも資格がある』

「了解した!」

 

 確認はとったし、早くあいつらにお灸を据えなきゃなぁ?

 

 ちょうど今炎の弾がハジメを直撃するところであった。

 

森羅万象(ホロプシコン)、第23楽章──因子収納!」

「なっ!?」

 

 炎が一斉に青い媒体となってその場から消えた。成功のようだな。出した本人の、中野信二がその事実に驚きを露にした。

 

 その隙を逃すとでも?懐に入って1発腹パンをかましておく。

 

「ガバァっ!」

「一之瀬、テメェ!」

 

 中野は抵抗することなくその場に倒れた。よし、これで残り三人っと。

 

 青筋立てて風魔法を檜山が詠唱しているが、遅すぎる。この間に惚けて何もしていない斉藤良樹に近付いて足払い。あっさり引っかかって倒れる辺り、訓練まともに受けてねぇな、こいつら?

 

 そして倒れているところに追い討ちの腹パン。異世界によるステータス増加は確かに身についているようで、そのまま気絶してくれた。

 

 と、あっちも魔法が準備できたようだな。風の刃に象られた魔法が放たれる。

 あー、魔法いいなぁ……俺も適性の一つくらい欲しかった……っとと、危うく現実逃避するところだった。

 

「これで死にやがれ!!」

『ほう……列記とした殺意を感じるな』

 

 アルタイルの言葉通り、目が血走っている。これ魔法の威力も調節してねぇな……ハジメがこれを受けていたら死んでいたかもしれない。

 

 こんな時くらい、もうちょっとハジメにも抵抗を見せて欲しいんだけどなぁ……だけどこれがあいつなりの優しさでもあるから何とも言えん。

 

 さて、目の前の魔法の処理だが……因子収納でこっちに保存しておくのもありだけど、今回はこれで行こう。

 

 ……脚を開きながら意識を技に集中する。呼吸を整えながら、技のイメージを何度もシミュレーションする。

 

 地球では俺は八重樫道場に通っていた。雫の祖父がやっている剣道の道場なのだが、そこには裏がある。

 忍者……ゴホン、じゃなくて少々武芸を嗜んでいる所であり、俺が入門した際、直ぐにそちらへ入らされた。

 

 実際の訓練は中々に辛い……殺す気で門下生や八重樫家の師範が襲いかかってくるのだ。初めはその威圧だけで腰が抜けたもんだ。特に雫の祖父の、八重樫鷲三さんの身に纏う覇気は、つい最近感じたイシュタルのじーさんと似ている。

 

 八重樫家って、実は異世界行ったことある?……流石に飛躍しすぎか。

 

 とにかく、その経験で俺は一つの型を学んだ。それは柔軟な脚による攻撃技であり、ここら辺では俺しか使っていなかった技だ。

 

 ──ああ、行ける!

 

 片方の脚を畳みながら、もう片方の脚で地面に柱のように立てる。そしてバネの容量で畳まれた脚を素早く前に振り上げながら、迫り来る風の刃にぶちかます!

 

「……リニューアル!!」

 

 ……本来、脚技は蹴ることのみ。しかし分析するとける動作には砕く、しなるのような技術も含まれているのだ。

 世界にはこの真理を追究し、自分だけにしかあみ出せない技や戦法を生み出した者達がいる。我々一般人が到達できないほどの、血の滲む努力と死に直面しようと抗う精神で乗り越えたものがたどり着く境地。

 

 それらは俺らのようなしがない学生には無理だと断定して言えることであった。

 しかし、今の俺たちにはステータスによる莫大的な身体能力の補正がある。よって可能となるのは、模倣。

 

 完璧な再現はできずとも、肩を自己流に改善することで完璧に近い形での模倣が可能となるのだ。不可能を可能にする。異世界様様だな!

 

 よって俺は俺の求めていた戦い方の一つを模倣する。

 それは遥か昔、本来は叩くと同時に砕くことで相手の攻撃を相殺する技だ!

 

 クオン・リニューアル──前蹴り砕!!

 

「は?」

「う、うわぁぁぁぁ!!」

 

 風と脚が割れるような桁まじい音を放つ。檜山の惚けた声がかき消されるくらいに。そして風が全方向に吹き荒れて防御もしなかった近藤礼一が壁にぶつかる。

 

 そして俺もこのまま終わらない。先程の火球、別にいらないんだよねー。

 

 ってことで──

 

森羅万象(ホロプシコン)、第23楽章──因子収納」

「なっ──」

 

 手から先程中野が出したと思われる炎の弾が顕現し、檜山へ襲いかかる。彼は咄嗟に避けようとするが、完全に交わすことはできず腹に被弾してしまう。

 

「ガァ……」

 

 そのまま脇腹を押さえながら戦闘不能になった。

 

 勝負あったな……我ながら呆気ない初の対人戦だと思う。

 

「アルタイル、この戦い方どうだ?」

森羅万象(ホロプシコン)の使い方は間違っていない。汎用性の高いこの技を使いこなせている……だが相手が弱すぎる。君にこの力がなかろうとも勝てたのではないか?』

「まぁ、こいつらはハジメとは違い本当に授業をサボっていたからな」

 

 何回かこの四バカが訓練場の隅っこで魔法で興奮している姿を目撃している。きっと初回の基礎の部分だけ学んで残りは遊んだりしているのだろう。魔法の詠唱とか、魔力の調節とか見ればその勉強不足が伺える。

 

 と、ハジメの容態を確認しなきゃな。目の前の戦闘ですっかり忘れていた。蹲っている彼のところへ駆け寄る。

 呼吸がまだ不安定だな……肺を重点的にやられたのだろう。

 

「ハジメ、喋れるか?」

「う、うん……ごめんね……関わらせちゃって……」

「気にすんな。ってかお前も助けくらい呼べよ。あいつら魔法に対する調整能力が全くなかったし、下手すりゃあお前も……」

「何やってるの!?」

 

 おっ、丁度いい所いいところにヒーラーが来てくれた。医務室に運ぶ手間が省けたな。騒ぎに駆けつけたのは香織と雫、あとは天之川だ。

 

 香織は、ゲホッゲホッと咳き込み蹲るハジメに駆け寄る。俺はそっと離れながら香織にハジメの汚している箇所を伝え、雫たちの方へ状況を説明する。

 

「かくかくしかじかで……ってことでハジメがリンチにされていたんでこいつらと戦闘になった」

「なるほど、そうだったのね……南雲君、何かあれば遠慮なく言ってちょうだい。香織もその方が納得する」

 

 確かに、と俺も思わず苦笑い。現にハジメの方では香織が回復魔法をかけながらも、本当に大丈夫かと聞いている。ハジメはあんまり関わってほしくないらしいが……

 

 本当にすれ違いの激しい二人である。

 

 だがもう一人違った思考の奴がいる。

 

「檜山たちはそんなことする奴らじゃないだろう!彼らの傷があまりにも酷い、対して君は全くの無傷……寧ろ君が彼らに突っかかったんじゃないのか?」

「そ、そうだ!俺達はな、南雲に訓練をつけようとしただけだ!」

「いやいや、状況見ろ。俺がハジメをこんなにボロボロにしたと?あとお前らの撃った魔法俺全部わかってるからな?あいにく俺には魔力適性がないんでー」

「天之川君、一之瀬くんは僕を助けただけだから……」

 

 はぁ……どうしてこいつとの会話の一言二言でこんなに腹が立つのか。檜山の見えすいた嘘もこの発言で一蹴する。

 ハジメもこう言っているんだし、ここは潔く引いてくれよな?だけどこれで終わらないのが勇者クオリティー。今度はハジメの方を見て咎めるような口調で口を開く。

 

「そもそも、南雲自身ももっと努力すべきだ。弱さを言い訳にしていては強くなれないだろう? 聞けば、訓練のないときは図書館で読書に耽っているそうじゃないか。俺なら少しでも強くなるために空いている時間も鍛錬にあてるよ。南雲も、もう少し真面目になった方がいい。檜山達も、南雲の不真面目さをどうにかしようとしたのかもしれないだろ?」

「「……」」

 

 天之川の言葉に二人して思わず黙りこくってしまう。投げ返す言葉が見つからない。

 

 言い忘れていたが、こいつの頭の中ではご都合解釈がメインで展開されている、例えば今回の場合、基本的に人間はそう悪いことはしない。そう見える何かをしたのなら相応の理由があるはず。もしかしたら相手の方に原因があるのかもしれない!という過程を経るのである。

 

 しかも、光輝の言葉には本気で悪意がない。真剣にハジメを思って忠告しているのだ。ハジメは既に誤解を解く気力が萎なええている。ここまで自分の思考というか正義感に疑問を抱かない人間には何を言っても無駄だろうと。俺も最初は反論していたが、その言葉でさえご都合解釈され予想もしない結果へと行くので諦めている。

 

 雫は申し訳なさそうに手を合わせてこっちに謝っている。うん、いいよ、別に気にしてない。諦めてるんだよ。

 

「はぁ……ハジメ、肩を貸そう。とりあえずメルドさんに今回の訓練をなしにして貰おう」

「なっ、またそうやって訓練に参加しないつもりか!」

「怪我人に無理矢理訓練させたら大怪我に常がるかもしれねぇ。一般論だ、天之川」

 

 そう言ってなんとか黙らせる。ハジメとともにメルドさんのところへ行くのだった。

 

 はぁ……前途多難だな、このクラスは。

 

 その後、メルドさんの公平な判決により、檜山たち4人は数日の謹慎と座学の強制出席を喰らった。チッ、あのままずっと閉じ込めりゃあよかったのに。

 

『あの愚者が彼らの刑罰を緩めたようだな……やはりどの世界でも正義は難儀だ』

「あいつの正義はまっすぐに見えて歪んでるだけだ。それより、どうしようか……」

 

 アルタイルの言葉はもっともだが、現在はもっと重要な事態に直面していた。先程夕食へ向かおうとしたら、メルドさんから発表があった。野太い声で口にした内容はこれだ。

 

「明日から、実戦訓練の一環として【オルクス大迷宮】へ遠征に行く。必要なものはこちらで用意してあるが、今までの王都外での魔物との実戦訓練とは一線を画すと思ってくれ! まぁ、要するに気合入れろってことだ! 今日はゆっくり休めよ! では、解散!」

 

 ……ついに実践訓練の時が来たらしい。

 

 




ちょいと補足

一之瀬久遠
→八重樫の道場で3年ほど格闘術を習ってきた。その中でも脚技を主体にした「テコンドー」に似たものを武器として戦う。彼の俊敏がその脚技に加わり、本来のテコンドーであるスナップの効いた、高速の攻撃が可能となる。

ニア
→ありふれた勢の皆さんは覚えているかも?そう、雫のそば付きメイドであり、後に中村恵理に殺される者です!…って死ぬ運命のキャラをなぜ彼につけたかって?そりゃあその方が面白くなりそうだからや。騎士の家系とか、本編で設けられていた設定は引き継いで、それに少し付け足しました。

リニューアル
→本作のオリ要素。意味は模倣、完コピではなくその技や技能を自分用にアレンジしたことを指す。大抵のリニューアルがつくものは創作からの引用だったり、ファンタジーに近づこうとしてできた産物だったりして、全体的な能力は本来のものより低下している。

前蹴り砕
→テコンドーでの技名はアプチャ・プシギ(前蹴り)といい、蹴る、砕くの二つの意味が合わさっている。本来この技は前に脚を突き出すことで、相手の部位の骨を打ち砕く技だと解釈している。尚、現在使われているテコンドーでは砕くことは至難の業であり、競技大会などで使われているのも「リニューアル」されて威力がかなり弱まったものとされ得ている。

 なんか補足の量が尋常じゃないなぁ…でも今回から久遠の持つ力の一部を見せたかったので書かせていただきました。4バカども、短い出演ご苦労。

 さて、前書きで書きました通り、ストック数0のカツカツ状態です。今は創作のアドレナリンによりなんとか持ち堪えていますが、いつまで続くか…

 取り敢えず、ありふれたの原作1章までは頑張らせていただきます…それまで宜しくお願いします!

Re:CREATORSは皆さんどのくらい知ってますか?

  • 全く知らん
  • 名前くらいなら…
  • 水篠 颯太はクソメガネ(=知ってる)
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