千景「悪魔召喚プログラム…」
大社から渡された切り札と似て非なる、もう一つの武器。
曰く、古今東西の妖怪、悪魔、妖精や果ては神々を召喚するのに必要な手順を全部自動で行ってくれるアプリ、らしいけれど
「―――ッ!こんなものッ……!」
そんな強力な力が最初からあるなら、あの二人は死ななかった!!!
高嶋さんは大怪我を負わなかった!!!
「今更…こんなものでどうしようというのよ…!」
仲間の死、死への恐怖、勇者への誹謗中傷、実家への迫害、寝たきりの母、子供みたいに喚く父、挙句の果てには全部奪っていってしまう乃木さん。
もう、私の心は限界だった。
いっそのこと―――――
だめ
そんなことをしたら、私は失望されてしまう
私は価値ある人間じゃなくなってしまう
認められたい
頼られたい
愛されたい
「高嶋さん……」
家に居たくない。かといって丸亀城にも戻りたくない。
どこにも居たくなくて、あてもなく村を歩く。
気が付くといつの間にか鬱蒼とした森の中を彷徨っていた。
このまま全て忘れて野垂れ死んでしまった方が、楽なのかもしれないわね
そんな事を思っていると、ふとどこからかか細い鳴き声する。
声のする方に向かうと、衰弱仕切り今にも死んでしまいそうな仔狐が一匹倒れていた。
野生動物は触れる事は危ない事だけれども、誰にも助けてもらえず、誰にも気づかれず、死に怯えるだけの小さな姿が今の自分の姿と重なって見えてしまった。
思わず震える仔狐を抱き上げる。
「大丈夫よ。貴方には、私がいるわ。」
何もできないけど、せめて貴方がいたことを、私は覚えていたい。
誰にも存在を知られずに死んでしまう事、それはきっと悲しくて恐ろしい事だから。
そっと抱きしめると仔狐の震えは収まった。
けれど鼓動と呼吸はやがて小さくなっていき、遂には何も感じられなくなった。
それでも、少しでもその命あったことを覚えていたくて、冷たくなるまで抱え続けた。
気がつけば夕暮れが辺りを赤く照らしていた。
亡骸に土を被せ、墓標代わりに石を置く。
去り際にもう一度だけ、あのこのいた場所を目に焼き付ける。
「名前をつけてあげれば良かったかしら…」
そんな事を呟きながら帰路に着く。
――――――わたし、チェフェイ
ふと、そんな声が聞こえた気がした。
ふふ…かわいい名前ね
「そう…また会いましょう、チェフェイ。」
少しだけ、ほんの少しだけ心が軽くなったような気がした。
そうと決まれば早く勇者として復帰しなければ。
ポケットの中で端末がひとりでに起動する。
――――――コンゴトモヨロシク
欲望を食らって強大になるチェフェイちゃんです。
ぐんちゃんの2つ目の切り札玉藻の前概念と融合させてみました。