陸と海の狭間で   作:稲村

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ど、どうも、妙高型重巡の末っ子の羽黒です!

今日は朝から足柄姉さんがやたらとハイテンションです。聞いた話によると新しい車が来るのだとか…羨ましいな。

とと、それでは本編、どうぞです!


第八話:足柄×Yaris cup car(MXPA10改)

「納車あああぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!」

「わっ…五月蝿いわよ足柄」

 

ここは鎮守府内にある艦娘寮、その妙高型重巡部屋。妙高型重巡3番艦である足柄は、今日新しい車の納車日を迎えている。

 

「だって!人生初の!新車よ!!!!」

「はいはいわかったから、もう表に停めてるんでしょ?」

「そうなのよ!もう早速色々パーツも発注したし早速取り付けを…」

「あっちょっと足柄!朝ご飯は?」

「もう食べたわ!」

 

そういうと、バタバタと部屋を飛び出して下の駐車場に行った、そこには水色の新車が停まっており、その車をじっと見つめる軽空母の龍驤もいた。

 

「あぁ、この車足柄のやったんか。」

「あ!龍驤、昨日届いたばっかりなんだ〜。」

 

トヨタが世界戦略車として売りに出されたコンパクトカーのヤリス。GRヤリスみたいな過激モデルも存在するが、足柄が納車したのは普通の5ドアヤリスである。

 

「そういや前の派手なスポーツカーは売ったんか?」

「うん、結構気に入ってたんだけど、姉妹みんなで出掛けられないし、何より故障が相次いで修理費がね…」

 

足柄は今までハイソカーを好み、81系マークⅡ3兄弟(マークⅡ3台、チェイサー4台、クレスタ2台)を乗り継いでドリフトにハマり、次に乗り換えたのがJZZ30型のソアラ。後期型の2.5GT-T、希少な純正5速MT、サンルーフ付きの個体をベースに、ブーストアップのエンジョイドリフト仕様で5年ほど所有していた。

 

が、週末にはドリフトに向かい、ミニサーキットや(大きな声では言えないが)峠で振り回して遊んでいた事もあり、次第に綺麗だった車体はボロボロになっていき、年式が年式という事もあり故障も相次いだ為、新車に乗り換えることにした。が、足柄が求めている車格帯の車でMTはほぼ存在せず、もう一度ソアラを探そうと思っていた矢先に、雑誌で見かけたヤリスが目に留まった。

 

 

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1ヶ月前

 

「ヤリスかぁ…」

「どうした足柄、お前が悩むなんて珍しい。」

 

鎮守府にあるバーで呑んでた時の事、たまたま隣の席に座ったのが姉に当たる那智だった。足柄はそのまま那智にヤリスを買うか迷っている事を伝える。

 

「ヤリスか…GRではないんだろう?」

「うん…でもノーマルの見た目が好きとは言え、なんかイマイチパッとしないのよね。」

「ふむ…だったらカップカー仕様はどうだろう。」

「カップカー?」

 

ヤリスは先祖であるスターレットの時代からワンメイクレースが開催されている。エンジンなどのパワー系に手を加える事は禁止されており、足回りのセッティングとタイヤのチョイスで勝負するという、一見単純なように見えてとても奥が深いレースだ。競技人口を増やす為に、初期投資が少なく済むのも特徴で、昔からディーラーでカップカー仕様の個体が購入出来る様になっており、買ったそのままでもレースに出られるというのが魅力の一つである。スターレットからヴィッツになり、ヤリスに変わった現在もそれには変わりなく、TRDが改修したカップカー仕様が売り出されているのだ。

 

「これなら過激な走りも想定しているだろうし、レースに出ないのであれば改造するのも自由だ。見た目はそこまで変わりない、と言うか廉価版に近いものになっているが…」

「これこれ!こういうクルマを私は求めていたの!」

「お、おう…まぁ、助けになったのであれば良かった。良いクルマだし、納車したら大切にしてやれよ?」

「ええ!」

 

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「…って言う経緯でこれにしたの。」

「ははぁ…だから見た目ノーマルなのに中がジャングルジムになっていたりするのか。」

 

カップカー仕様はエンジン等の機関系には一切手が加わっていないものの、足回りや内装のロールケージ等にはしっかり手が入っている。見る人が見ればノーマルのヤリスとは異なる事に気づくだろう。

 

「んで、たまにミニサーキット楽しむ位だから…」

「色々パーツを拵えた訳ね。」

「そう!これから色々取り付けていくわよ!」

 

そういう足柄と龍驤の前にはパーツの箱がズラリ。今日1日では終わらない作業や、専門知識のいる物もあるので変えられる物から変えていく事にした。

 

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「一通り終わったわね…」

「後はコンピュータのリセッティングやな。」

「ええ、ここまで手伝ってくれてありがとう。」

 

丸一日掛かっての作業だったが、その甲斐あってヤリスはカッコよく仕上がった。エアロはガレージベリー、マフラーはHKS、ホイールはTE37SV等…車幅も広がってしまったので公認作業も必要になるが、日が暮れてしまうほど時間が掛かったため、その作業はまた後日となった。

 

「どんな走りをするのか楽しみだねえ。」

「走れる日が待ち遠しいわ!!!」

「全く…足柄、もうご飯よ、龍驤さんもよかったら一緒に。」

「妙高姉さんのご飯は美味しいのよね〜。」

「そっちさえ良ければご相伴に預かるとしようか、今日は鳳翔も出払っているし。」

 

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「しかしまぁ、妙高型は儲かってるのかね…ここ1年で足柄も妙高もクルマ買い替えちゃって。」

「まぁ出撃頻度は高いですから…」

「艦娘も一部を除いたら基本歩合制だからね〜」モグモグ

「ちょっと足柄…」

 

ここの鎮守府は基本的にレベルの高い艦娘が揃っている、特に重巡に関しては妙高型の出番が多い関係で、暇は少ないもののその分給料は多いのだ。

 

「この間の大規模侵攻も、確か足柄達が支援に行ったんだっけか。」

「ええまぁ…私たちも行ったんですけど、別鎮守府所属の本部隊が先に敵を壊滅させちゃいまして、何もやる事なく帰ったんですよね。」

「そうそう!私気合い入れて行ったのに、行ったら敵の本拠地は壊滅させられたあとだったもの。不完全燃焼だったからその後の演習とかで発散させたけど。」

「だからか、あの時の演習相手少しビビってたで?」

 

2ヶ月ほど前、フィリピン方面で姫級の深海棲艦の目撃情報があり、日本からも支援部隊として足柄達が出ていた。確かに大規模な侵攻を企てていた形跡はあったものの、全盛期の力はないようで、現地の本部隊だけで片付いてしまったと言うことがあった。暫くの間何も出来なかった上、やる気を入れていた足柄はそのストレスを日本に帰ってきた時の演習で全てぶつけた結果、6人いた相手の殆どを足柄1人で倒してしまい、相手のメンバーはその時の足柄に少し恐怖を抱いた程だった。

 

「まぁここ最近は少し落ち着いてきたし、平和になってきてる事はいい事なんですけどね。」

「まぁ争うのはこっちとしても不本意やし、私らとて国にとって不要な存在になるのが本来一番良いからな。物事を競うのであればアレみたいなのが一番ええし…」

 

と、外に停まっている水色のヤリスを見る。カップカーレースに出場する為…本来であればレースをする為のクルマだが、足柄の主目的は楽しく走る事である。故に那智と競う事こそあれ、レース等を経験した事はない。

 

「改造しちゃったから色々厳しいけど、ジムカーナとかに出てみようかな…」

「ええやないか、鎮守府の面々何人か誘って今度参加してみようや。」

「ふふっ、龍驤さんもよく車を改造してるとこ見かけますけど、競技とかには出られてるんですか?」

 

龍驤が乗るのは、3代目のホンダ・プレリュード(BA7型)。日産・シルビアの5代目に当たるS13型と共にデートカーブームを牽引したデートカーの代表格である。その中でもモデル末期に3000台限定で販売されたSi ステイツというグレードが愛車だ。

 

「まぁ出たい欲はあるけど、出るならもう一台買ってからやなぁ…」

「ぶつけたり事故ったら部品出ないもんね…」

 

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GEのフィット辺りとかどう?等と会話が盛り上がってきたところで、良い時間になった事もありここらで御開きになった。龍驤を見送った後、妙高はふと足柄に言う。

 

「ねぇ、明日も休みな事だし何処かに出かけない?」

「良いわね!鎌倉とかどう?」

「そこまで行ったら江ノ島も行きたいわね…」

 

車というものは一部を除き、基本的には個人所有の物である。故に(違法でない限りは)改造しようがどんな乗り方をしようが自由だ。これまでの足柄は正しく自分の為の車選びをしてたと言える、それはそれで楽しいものであったが、誰かの為の車選びをして、ヤリスを手に入れた足柄は、こういった何気ない『誰か』とのドライブが何気ない日常の中で選択肢として加わった事に喜びを感じた。これから、足柄のヤリスは1人だけではなく、姉妹みんなとの思い出を育むクルマとなるだろう、今日はその記念すべき初日だ。

 

「そうと決まれば早速出発しましょ!支度支度〜。」

「ちょっと、慌てなくても大丈夫よ。まだ時間はあるし、私は外泊届を出してくるわ。」

「妙高姉さんありがとう!先に準備してるね!」

 

鎌倉や江ノ島は今まででも一人で散々行ってきたが、仲間と行く事で新たな発見がある事に期待する足柄だった。

 

 

 

 




足柄×MXPA10改

外装:ガレージベリーフルエアロ、エンブレム類取り外し

内装:レカロSR-7(運転席シートのみ)

エンジン:SARDチタンマフラー、トムススーパーラムⅡ(エアクリーナー)、CPU書き換え

足回り:現状ノーマル(車高調に変えたい)

ホイール:TE37SV(16インチ、F/R共7.5J)
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