サリーのロボトミーコーポレーション   作:エリック

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「今日の議題は……分かってるよな?」

「えぇ。安全チームとしても、早く片をつけるべき事案ですから。」

「今日は変則的で3人のチーフ会議ですしね……」

「そうだな。それじゃあ、その原因についての対策と訓練の決議案を話していこうか。」


#19~20 サンチェス④

「サンチェス→雪の女王に本能作業」

 

(来ました……!)

 

サンチェスは心の奥底で歓喜した。昨日雪の女王と対峙して、自分の理想を叶えられる方法と知識の一部を教わった。

だから今回は、その理想を叶えるために氷の欠片をもらいに行く。

 

そのチャンスがやっと回ってきた。

 

洞察作業でも雪の女王の機嫌を取っていたが、雪の女王は頑なに氷の欠片をくれなかったのだ、別の作業でおべっかをきかせるのも試してみたいと思っていたところに本能作業。

これはもう、貢物で機嫌を取れと管理人が言っているようなものだろう。

 

(誰も泣かず、誰も苦しまず、あの人が心の底から笑える世界を作りたいと願ったんです。どんな手段でも使ってやりましょう。)

 

サンチェスは得がたい知識を得るために、雪の女王と対峙した。

 

「お久しぶりです、女王陛下。ご機嫌いかがですか?」

 

【ふむ、小僧か。して何用で我が城へとやってきた?】

 

「本日は、管理人から貢物を賜っておりまして。受け取って頂けると幸いです。」

 

めいいっぱいへりくだり、サンチェスは雪の女王の機嫌を取ろうとする。

けれど、雪の女王にはサンチェスの目論見など見え透いていた。

 

【要らん。私は物を食わぬ故。】

 

「……どうしても、でしょうか?」

 

【くどい。】

 

にべもなく断られ、サンチェスはガックリと肩を落とす。

そんな哀れなサンチェスの姿を見て、雪の女王は口を裂いて嗤った。

 

【小僧、そうまでして氷の欠片が欲しいか?】

 

「……!!!」

 

【小僧の魂胆は分かっておる。私をいい気にさせて、この欠片から得られる知識が欲しいのだろう?例え、どんな代償を払うことになったとしても。】

 

全ては自らの手のひらの上だと言いたげに雪の女王は語っていた。

サンチェスは図星を突かれたが、これ以上機嫌を損ねないように何も言うことができない。

 

【ならば、】

 

膝をつき、惨めに這い蹲る哀れなサンチェスを見て雪の女王が言う。

 

【貴様にこの氷の欠片をくれてやろう。】

 

「……!!!よろしいの、ですか……?」

 

【二言は無い。昨日も受けた1度目の口付けだ。お前によく馴染むだろう。】

 

「ありがとう……ございます……!」

 

サンチェスは氷の欠片の影響で冷えて回らない呂律を無理やり回して雪の女王に感謝を告げる。

雪の女王はそれに手の甲を数度振るって応えた。

 

雪の女王の指示通り、サンチェスは収容室を退出する。

 

「頭が軽くて……色んな知識が巡っています……!」

 

万能感からくる愉悦に浸りながらサンチェスはメインルームに帰還する。

明らかに普通では無い表情を浮かべるサンチェスをシャオとメレンデスは心配するが、何を聞いても「もう少しなんです……」としか返さないサンチェスには何を言っても無駄だった。

 

再び管理人はサンチェスに本能作業を命じるが、2度目の口付けはされなかった。

理由は、【まだ1度目の口付けが馴染んでいないから】というものだったため、サンチェスも無理に食い下がらずにすぐに退く。

 

「サンチェス→雪の女王に本能作業」

 

3度目の作業がサンチェスに出され、彼は急いで収容室へと向かっていった。

扉を開けた瞬間、少し弱まった吹雪と自分にほほ笑みかける雪の女王の姿が見える。

 

(あぁ、やっとだ。)

 

サンチェスは2度目の口付けを確信して目を閉じる。

雪の女王はそんなサンチェスを憐れむような、愛でるような、愛玩するような目で見ていた。

 

【それではお前に、2度目の口付けを。】

 

ゆっくりと雪の女王がサンチェスに近づく。

サンチェスの頬を両手で包み込むように上げて視線を合わせ、雪の女王はサンチェスに問いかける。

 

【我が臣下、貴様はこの知識に何を望む?】

 

サンチェスは恍惚とした表情で応えた。

 

「誰も死なず、苦しまず、あの人が心の底から笑っていられる。そんな永遠を作り出せることを。」

 

雪の女王は再度サンチェスに微笑みかけ、

 

そして──

 




安全チームのある職員に作業指示が出る。

「メイ→雪の女王に愛着作業」

「あれ?サンチェスくんが指示されてなかったっけ?なんで今私なんだろう?」

メイは少し不思議に思いながらも収容室へと歩き出す。

『待ってください、メイ。』

しかし、その行動は気だるげな声によって止められた。

「ネツァクさん。どうかしましたか?」

『今回の作業は、愛着じゃありません。』

ネツァクはいつになく真剣な表情で、だがどこか諦めたような表情でメイに話しかける。

「……と、言いますと?」

ただならぬ雰囲気を察して、メイはネツァクに聞き返した。

『職員:サンチェスはアブノーマリティ:雪の女王に2度の口付けを受けて感情を忘れてしまいました。このままだと、彼は死ぬでしょう。』

「………………え?」

メイの時が止まった。唐突に目の前に差し出された、5度目の死の予感。

『サンチェスを救い出すには、雪の女王と決闘を行い、勝利する必要があります。そして、管理人はあなたをご指名です。』

ネツァクは白地に赤のラインと2輪のバラの装飾がついた剣をメイに差し出して言う。

『行ってくれますか、メイ?』

明確な死の予感にメイの視界が歪んでいく。
助けなきゃ、無理だよ、何人殺した?また喪うのか。

メイの頭の中で言葉がグルグル回る。

そしてメイは──
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