もしも、アズールレーン学園に入学したら   作:白だし茶漬け

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も、もう2月……!?時の進みが早すぎてキング・クリムゾンかメイド・イン・ヘブンを喰らってる様な感じがする白だし茶漬けです。

今回は1話ぶりのあのお二方が登場です。今回は特に用語とかは無いので、後書きには何も書いていません。




図書室の妖精さん

 

 学園たるもの、先輩後輩という関係というものがある。

 

 先輩という存在は憧れの存在にもなるけど、時には目指すべき目標にもなり得る存在だ。

 

 知っている人だと、モントピリアがクリーブランドに対して抱いている感情と同じような物だろう。

 だけど今日この日、空母クラスに置いてその先輩後輩という関係という形が様々なものがあると思い知った。

 

 今日は空母クラスでの授業であり、少し特別な授業でもあった。全てのクラスには実際に艤装を使って模擬訓練する授業があり、それ自体は特別では無い。

 

 だけど、稀に2年生または3年生と授業が被る事があるから、1年生のKAN-SENは先輩のKAN-SENの技術をこの目で見れるという訳だ。

 

 因みに指揮官である俺はKAN-SEN達の指揮が授業目的だ。実際にKAN-SEN達を指揮し、より完璧な指揮を目指していく。……の筈だったけど。

 

「優海〜! お姉ちゃんの勇姿をしっかりとみていくのよー! 」

 

「良いから早く動いてよ赤城姉さんー! 先生にも怒られちゃうよ! 」

 

 学園の海上で赤城姉さんが笑顔で大きく手を振り、授業が中々進まずにいた。そう、今日は空母クラスの授業であり、2年生の授業と被っており、その被ったクラスには赤城姉さんと加賀姉さんのクラスだったのだ。

 

 因みに土佐姉さんは戦艦クラスだから被る事は無い。……少し寂しいけど、仕方ない。

 

 赤城姉さんが意気込んで赤い式神を飛ばし、式神は赤い炎を纏って艦載機となると、艦載機は空を舞って訓練用の艦載機を撃ち落とした。

 更に赤城姉さんの周りに赤い炎を纏った矢も無数に訓練用の量産型セイレーンの船に直撃し、見事赤城姉さんは訓練を終えた。

 

「へぇ、姉さんあんな風な戦い方をするんだ…… 」

 

 他のKAN-SENと比べると独特な戦い方だ。忘れずに特徴をメモしたり動画を取ったりして記録し、これからの指揮の役に立とう。

 

「優海ー! 見てくれたー!? 」

 

「うん! 良かったよ姉さんー!! 」

 

「当然よ〜! 貴方の姉だからこれぐらいはとうぜ」

 

「はーい赤城先輩〜次は私の番なので変わって下さーい 」

 

 意気揚々と手を振った赤城姉さんを白い長髪を持ったKAN-SENが笑顔で押し倒し、赤城姉さんは顔面から海に顔をぶつけた。

 

「あ〜ごめんなさい赤城先輩〜! つい力が入っちゃいました〜♪ 」

 

 わざとらしく笑顔で謝罪し、さっき赤城姉さんを押し倒した……というか吹き飛ばしたKAN-SENは確か翔鶴というKAN-SENだ。

 

 重桜の1年生で同じ授業を受けた事があり、交流もそこそこにある部類だ。

 

 翔鶴は……なんて言うべきなんだろう。赤城姉さんの事を尊敬しているのか、貶しているのか……よく分かんないKAN-SENだ。赤城姉さんにちょっかいは出すと思いきや、赤城姉さんの良いところとかちゃんと見ている側面もあり、まるで天邪鬼の様な子だというのが俺の中の印象だ。

 

 翔鶴について考えていると赤城姉さんは物凄い勢いで体を起こし、ずぶ濡れのまま鬼のような形相で翔鶴に迫った。

 

「翔鶴〜? 後ろから倒すなんていい度胸してるじゃない……本気で燃やすわよ 」

 

「きゃー赤城先輩こわぁい。指揮官〜助けて下さい 」

 

 翔鶴は一目散に俺の後ろに隠れ、翔鶴を追いかけた赤城姉さんは俺を前にして顔を近づけた。

 

「どきなさい優海、今すぐその雛鶴を灰と化すから 」

 

「お、落ち着いて赤城姉さん……! 」

 

「どうして邪魔をするの!? 貴方……翔鶴とどういう関係なの? 」

 

「どんな関係って……ただのクラスメイト! 友達だから 」

 

「えっ……指揮官酷いです! 私の事は遊びだったんですか? 」

 

「え、何言ってるの翔鶴? 遊びってどういう…… 」

 

「だって指揮官、私と連絡先交換しましたよね? そして夜な夜な秘密の連絡をしたり……」

 

「まぁ確かに夜に連絡とかしてるけど秘密って訳じゃ」

 

 瞬間、赤城姉さんの背後に灼熱の炎が浮かび上がり、目に見えて赤城姉さんの怒りが爆発していた。何が何だか分からずに戸惑い、鬼も恐れる顔へとなり、俺の目から涙が溢れそうになった。

 

「あ、赤城姉さん……? 」

 

「うふ、うふふふふ。優海ったら私をこんなに悲しませるなんて……お仕置が必要かしら〜? 」

 

「ね、姉さん!? 落ち着……」

 

 しかし言葉は届かず、赤城姉さんは不気味な高笑いのままありったけの火力を俺にぶつけた。この後から意識は無くなり、この後の事は覚えていなかった。

 

 

 

 

 

「……はっ! 」

 

 目が覚めると俺は白いベットの上に寝ており、意識を失った直前の赤城姉さんの姿が目に浮かぶと思わず体を起こし、額に冷や汗を浮かべた。

 

 お、恐ろしかった……あんな姉さん見たのは初めて……では無いな。昔もあんな風に暴走したのを見たような気がする。

 

 その時は天城母さんのゲンコツで何とかなったけど、今回は誰が止めたのだろうか……いや、止められる人がいるかさえ怪しいぐらいだ。

 

 急いで赤城姉さんを止めようとしたが、体が痛くて思うように動けず、そんな中ベットの周りに掛けられたカーテンが開かれた。

 

「む、指揮官。目が覚めたのか 」

 

「あ、えーと……確か、エンタープライズ先輩……でしたよね? 」

 

「覚えていてくれたのか。1回しか会ってないのに、記憶力が良いんだな 」

 

 銀色の長髪に白いカッターシャツの上に黒の制服を羽織る様に着ていたKAN-SEN、エンタープライズ先輩が俺の前に現れた。

 

 確かにエンタープライズ先輩とは始業式の時にしか会ってないし、話をした事は無いけど、何だかほかとは雰囲気が違ったからよく覚えていた。

 

「……エンタープライズ先輩がここまで? 」

 

「あぁ。暴走した赤城を止めた後な。幸い怪我は軽い、昼まで休めば元通りになるとヴェスタル先生は言っていた 」

 

「そうですか……というか赤城姉さんをよく止めれましたね 」

 

「加賀も手伝ってくれたからな。私だけじゃ止めれなかっただろう 」

 

「姉さん達は今……どうなったんですか? 」

 

「赤城は今三笠さんにこっぴどく叱られているだろうな 」

 

「あぁ…… 」

 

 何となくそんな光景が簡単に思い浮かべられるような気がする。三笠さんも小さい頃お世話になったし、俺もしょっちゅう怒られたりもした。三笠さんのゲンコツ結構痛いんだよなぁ……それが容赦なく受けるとなると……考えたくもなかった。

 

「ともかく、暫くは安静だ。ゆっくり休んでいくといい 」

 

 エンタープライズ先輩は起き上がった俺の体をベッドで寝かし、布団までかけてくれた。

 

「はぁ……折角2年生の先輩達と話せるチャンスだったんだけどなぁ 」

 

 授業中で先輩達と話せる機会は滅多に無いし、色んな事が聞けるのはこの授業ぐらいしかない。折角のチャンスを棒に振ってしまった感が否めず、俺はふて寝気味でベッドにくるまった。

 

「上級生と話したいのか? だったらそれ程気に病む事はないと思うな 」

 

「え? 」

 

「この時期には学年同士で交流会がある。恐らく連絡が来るだろうから、待っていると良い 」

 

「へぇ……じゃあ、エンタープライズ先輩もそこに? 」

 

「いや……私は居ない 」

 

「ど、どうしてですか? 」

 

「私はKAN-SENであり、兵器だ。セイレーンと戦って勝利を掴む為に、日々鍛錬は怠らない。そうする暇があるなら、私は自身のスキルを磨くだけだ 」

 

「そんな……一応学生なのに 」

 

「人とKAN-SENは違う。……さて、体調は良さそうだし、私はこれで失礼する 」

 

「あぁ、ちょっと…… 」

 

 引き止める間もなくエンタープライズ先輩は保健室から出ていってしまった。

 

「何だか寂しい人だったな 」

 

 KAN-SEN、それはセイレーンと戦う事を宿命づけられた存在。

 

 メンタルキューブから生まれた存在であり、ヒトとは違うという人は確かにいるけど、それと同じぐらい人間と大差なく扱っている人だっている。その人がいるからこそ、このアズールレーン学園がある筈なのに……

 

「……KAN-SENはただの兵器じゃないのに 」

 

 ボソリとそう呟いたと同時に授業が終わるチャイムが鳴った。それと同時にヴェスタル先生が戻ってきてくれて体を診察して貰い、大きな怪我は無く次の授業には出られた。

 

 

 数時間が経ち、もうすぐで今日の授業が終わる時にある事を耳にした。

 

「ねぇねぇ知ってる? 図書室の妖精の話 」

 

「あぁ〜知ってる知ってる。なんか放課後の図書室には妖精が出るって話だよね 」

 

(妖精……? )

 

 近くにいたKAN-SENがそんな噂話を面白がって話、俺も興味深くなって思わず盗み聞きした。

 

「でね、その妖精に会うと……呪われるらしいよ? 」

 

「えぇマジ? まぁでも図書室なんてそうそう行かないし関係ないよね〜 」

 

「だよねー」

 

 簡単に纏めると放課後の図書室には妖精がいて、その妖精を見ると呪われるとか言われているらしい。

 ……それ妖精じゃなくて妖怪の類の様な気がするけど。

 

 だが困ったことに、それを聞いてしまった俺は好奇心が抑えきれず、いつの間にか図書室に立ち寄ってしまった。

 

 放課後に本を読む事が無いのか、外から見ると確かに図書室には人の姿が1つも無かった。

 

「鍵は……開いてるな。お邪魔します〜 」

 

 扉を開けて図書室に入ると、中はとてつもなく広かった。本のジャンルも様々な物が入っており、漫画から参考書、古事記、はたまた戦術本まであった。

 

「へぇ……結構揃ってるんだなぁ。お、これ気になってた本だ 」

 

 気になっていた本を立ち読みし、誰もいない静かな図書室だったおかげなのかすらすらと読めた。本来の目的を忘れて黙々と本を読み続けた。

 

 そんな時、静かに扉が開かれた音が耳に入り、足音が微かながら大きくなっていた。

 

「ん? 誰?」

 

 後ろに振り返るとそこには誰もおらず、入口付近にも誰もいなかった。

 

「まさか……図書室の妖精? 」

 

 読んでいた本を棚に戻し、辺りを警戒して背後を取られないように本棚を背にする。もう一度周りを警戒し、微かに近づく足音を頼りに目線を向ける。

 

 妖精さん? も俺の位置が分かっているのか、確実に足音は近づいている。

 

(……来る )

 

 足音が急に止まり、途端に足音の感覚が狭くなった。この狭い図書室で走っているのだ。その為足音が大きくなったけど……足音が何故か上から聞こえる。もしやと思い本棚の上の方に目を向けると、上から何か長い物を持った人影が俺に向かって振り下ろそうとしていた。

 

「う、上からっ!? 」

 

「貰った! 妖精討ち取ったり! 」

 

「俺は妖精じゃ……無いよ! 」

 

 振り下ろされる棒に向けて両手で挟み込む、これぞ真剣白刃取り。小さい頃時代劇を見て高雄さん相手にこれを出来るまでやったからその経験がまさに今この瞬間活きた。

 

 両手の平から伝わるこの滑らかで何本も細い物で束ねている様な感じ、この感触は……竹刀だろうか? ようやく姿がはっきり見え初め、この竹刀を危なく振った人の姿を見ると……茶髪のポニーテールをしたKAN-SENであり、俺が知っているKAN-SENでもあった。

 

「ず、瑞鶴!? 」

 

「し、指揮官!? 」

 

 お互い顔見知りだったせいで瑞鶴は力を抜け、そのまま俺を押し倒す形となって地面に派手に倒れてしまった。

 幸い本棚に頭とかはぶつけておらず、無傷で済んだのが幸い……何だけど、俺の手に何かもちもちしたものが掴まれた。

 

(なにこれ? 柔らかくて弾力があって……それに何か硬い物もあるような…… )

 

 気になってもう一度掴むように力を入れた。

 

「ひゃう! 」

 

 すると耳元から裏声らしき高い声が耳に入ると、目の前には顔を真っ赤にし、そんな顔を隠すように口元を右手で抑えて目を逸らした瑞鶴がいた。

 

「し、指揮官……こういうのはその……もうちょっとそういう関係になってからの方が良いんじゃ無いかな 」

 

「……えーと、俺が触ってたのってつまり 」

 

 柔らかくも弾力があり、一部がコリッとしている硬さを持つ水風船の様な膨らみがあり、目の前には瑞鶴……答えは1つだった。

 

「ご……ごごごご、ごめん! 本っ当にごめん! 直ぐ離すから! 」

 

 そう、瑞鶴の胸だった。急いで瑞鶴の胸から手を離し、そのまま離れようとしたが、瑞鶴が俺を押し倒している体勢になっているから俺の方からでは離れられずにいた。

 

「ず、瑞鶴……! ちょっと退いてくれるとありがたいな? 」

 

「ちょ、それって私が重いって事? 一応気にしてるんだからね!? 」

 

「なんの話!? とにかく離れ…… 」

 

「んん? 誰かいるの……? 」

 

 瑞鶴と揉めていると突然隣の本棚の向こうから地面が軋む音が聞こえた。俺と瑞鶴は謎の緊張感に襲われて声を殺してしまい、足音はゆっくりと確実にこっちに近づいてきた。すると何故か電気が急に消えてしまい、瑞鶴は不意に俺の体に密着した。

 

「ずず、瑞鶴……!? ちょっとぐるじい…… 」

 

「我慢してよ! ちょっと怖いんだから……! 」

 

「そんな事言われても…… 」

 

 というか胸が潰れるほど抱きしめられているから動きたくても動けず、先程触ってしまった胸の感触が体で伝わり、不意に体が熱くなってしまう。

 

 だがそんな事はどうでもいい、電気が消えた中でも足音が大きくなり続け、やがて本棚から白い手がぬっと姿を表し……

 

 

?」

 

 

 そこには長く白い髪に……目が白く輝いた人型の物がぬらりと現れた。

 

「「ぎゃぁぁぁぁぁあぁぁあぁ!! 」」

 

「ぴゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!? 」

 

 三者三様の叫び声が上がると謎の人型は向こうの机の奥に隠れ、その後図書室の電気が再度付けられ、目の前にいる何かの姿が顕になった。

 

 机の奥に隠れた人物は頭隠して尻隠さずならぬ尻隠して頭隠さずを体現するように顔を見せて隠れていた。

 

 長い白髪に三つ編みを下げており、頭の上にはリボンを結んだカチューシャにこの学園の制服……この事からKAN-SENである事は間違い無いだろう。

 

「あ……あの〜お2人ともそういう事するのなら然るべき場所でやって欲しいんだけど〜…… 」

 

「「へ? 」」

 

 俺と瑞鶴はいつの間にか互いの腕を互いの背中に回して抱きしめており、ようやくそれに気づいた瑞鶴は顔を赤くして俺を突き放した。

 

「指揮官! 近いよ! 」

 

「何だよ! 先に襲ってきたのはそっちの癖に! 」

 

「それは……だってちょっと怖かったもん。というか、それよりも貴方誰なの? 」

 

「まさか……図書室の妖精さんとか? 」

 

 瑞鶴は転げた竹刀を拾い、白髪のKAN-SENに剣先を向けた。

 

「わ、私は怪しい物じゃ無いよ!? 私は軽巡クラス2年ロイヤルのエディンバラです! 」

 

「に、2年? てことは……先輩? 」

 

「ん? 良く見れば貴方……指揮官ですか? 」

 

「は、はい。指揮官の天城優海……です 」

 

「わ、私は空母クラス1年、重桜の瑞鶴……です 」

 

「…… 」

 

「…… 」

 

「と、とにかく椅子に座りましょう! あ、紅茶やクッキーもあるから良かったら是非! 」

 

 気まずい自己紹介を終え、エディンバラ先輩が眼鏡を拭いて深呼吸していた。どうやら最初に目が光っていたというのは、眼鏡の反射の光だったようだ……暗かったとは言え、変な早とちりをしてしまった。

 

 エディンバラ先輩は紅茶とクッキーを机の上に置き、俺は一声かけてからクッキーを1つ頬張る。

 

「あ、このクッキー美味しいですね」

 

「ふっふーん、お菓子作りとかは結構自信あるんだな〜私」

 

「えっ、これ自分で作ったんですか!? 凄いですね」

 

「確かに……翔鶴姉でもここまで作れないかも」

 

「ふぅ、いや〜ここってたまに電気が消えるから困るんですよね〜。早く修理すればいいのに 」

 

「あの、エディンバラ先輩が噂の図書館の妖精何ですか? 」

 

「図書館の妖精……? あ〜なんか噂になっていると思えば……うーん、多分そうかも。でも何もしてないですよ? ただ図書室になんの用ですか〜とか、訪ねてるだけです 」

 

((多分それが原因かも……))

 

 俺と瑞鶴は同じことを思った。

 

 急に消える電気に本棚の影から出てきたらまぁ怖いし逃げる。俺だって怖くて逃げそうになったもん。

 

 だけど実際はエディンバラさんがただ話を聞こうとしただけという、最初に出会った人はとんだ早とちりのKAN-SENだったようだ。

 

 それにしてもこのエディンバラってKAN-SEN、どこかで見た事ある様な顔をしている。じっと顔を観察し、誰か似ているKAN-SENを思い出していると、エディンバラ先輩が頬を赤らめて眼鏡を少し上げて話した。

 

「え、えーと……私の顔に何か付いてる?」

 

「あ、ごめんなさい。何だか見た事ある様な顔してなって。誰だっけなぁ……」

 

 記憶を辿って似ている人を探し続ける。白髪で、髪が長くて、瞳は青くて、ロイヤルのKAN-SEN……なんか居たような気がする。もう一度エディンバラ先輩の顔を見て、記憶を辿り、頭の中でパッと電気のようにある1人のKAN-SENが思い浮かべた。

 

「そうだ、ベルファスト先輩だ! 何だかエディンバラ先輩ってベルファスト先輩に似てますよね? もしかして姉妹ですか?」

 

「そ、そうなの! 私はベルファストの……い、妹……だったり?」

 

「だったり……? どういう……」

 

 言葉の意味を聞こうとすると、図書室のドアが開き初め、俺達3人は入口に目を向けた。

 

 目を向けた先には、エディンバラ先輩と同じ絹のように白くて長い髪に、メイド服を来ていない制服姿のベルファスト先輩がここに来た。

 

「べ……ベル!? なんでここにいるの……?」

 

「本日の部隊は諸事情があっておやすみですからね。それよりも……ご主人様と瑞鶴様が何故ここに居るのかが疑問ですが」

 

「え? 私の事知ってるの?」

 

「はい、この春入学した全ての方の名前と顔は覚えていますので」

 

 化け物かこの人……? 俺でも日に日にクラスが変わるからKAN-SENの名前を覚えるのは大変なのに、ベルファスト先輩は涼しい顔でそう言ってきた。これで2年生何だからまだ伸び代があるのが恐ろしい。

 

「えーと、私達は図書室の妖精を一目見ようとここに来て、そしたら正体がこの人だったと……」

 

「図書館の妖精? 随分と可愛らしい別名を付けられましたね、姉さん」

 

「「姉さん?」」

 

 さっきベルファスト先輩の事を姉と言っていたエディンバラ先輩に顔を向けると、エディンバラ先輩は冷や汗と苦笑いを浮かべて目を逸らした。

 

「えーと、ベルファスト先輩。エディンバラ先輩はベルファスト先輩の妹……なんですよね?」

 

「いいえ違います。私はエディンバラ姉さんの妹でございます」

 

「って、本人言ってるんですけど……エディンバラ先輩」

 

「さ、さーて! 家に帰ってクッキーでも焼こうかな〜!」

 

「ちょちょちょっと待ってください! 嘘つかれてこのまま逃がすわけ無いでしょうが!」

 

 逃げようとしているエディンバラ先輩を瑞鶴は押さえつけて止め、エディンバラ先輩はそれでも逃げようと手足をばたつかせた。

 

「だってこんな目に会ったら逃げるしかないでしょ〜! 逃げるは恥だが役に立つって言うでしょ〜!?」

 

「なんかその言葉言っちゃいけないような気がするんですけど!?」

 

「まぁ二人とも落ち着いて下さい。図書室ではお静かに、ですよ」

 

 ベルファスト先輩は瑞鶴とエディンバラ先輩を仲裁し、わずか1分足らずでこの場を収めた。

 

 ベルファスト先輩がいれた紅茶は重桜の緑茶と違う上品な香りと渋みがあり、エディンバラ先輩の甘いクッキーととても合う。まるで、このクッキーの為に作られた紅茶みたいだった。

 

 図書室が小さなお茶会となり、一時の休息を堪能すると、エディンバラ先輩がベルファスト先輩に声をかけた。

 

「それよりもベル、どうしてここに来たの?」

 

「先程言いましたが、本日の部隊はお休みであり、折角だから姉さんと帰ろうかと思いまして」

 

「なーんだ、それなら一言連絡すれば良いのに」

 

「姉さんは連絡しても返事が遅いですから」

 

「うぐっ、ともかく一緒に帰れるなら帰るけど……」

 

「……なんか、あれだね。姉と妹、逆みたいだね」

 

 瑞鶴の何気ない一言がエディンバラ先輩に刺さり、エディンバラ先輩は眼鏡のレンズが割れるようなショックを受けた。

 

「うぐ……ま、まぁたしかにちょっと頼りない姉だけど、ベルファストまでとは行かなくても、私だって結構やれるんですよ?」

 

「でしたら、その実力を見せてはどうでしょうか?」

 

「ふぇ?」

 

「ご主人様、明日お時間はありますでしょうか?」

 

「ん? うん、暇だけど……どうしたの?」

 

「ロイヤルメイド隊は、メイドとしてご主人様を優雅で最高級のご奉仕をする事を目標としています。そこで1つ、ご主人様にはこの方針に協力して欲しいのです。いわゆる、実技という物ですね」

 

 ベルファストがロイヤルメイド隊の方針やら話してくれたが、それと俺の時間に何の関係があるんだろうか? 分からずじまいで首を傾げると、その後ベルファストはとんでもない事を言い出した。

 

「ご主人様には、明日1日、エディ姉さんの奉仕を受けて貰いたいと思います」

 

「…………はい?」

 

「…………ふぇ?」

 

 俺とエディンバラ先輩が鳩が豆鉄砲を喰らったかの様な顔をすると、ベルファスト先輩は何を企んでいるのか分からない笑みを浮かべたのだった。

 

 ……これ、姉さん達にどう説明しようかな。

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