いや〜かなり期間が空いた。滅茶苦茶空いた。
メインの所に集中しちゃいましたね。
はい、すみませんでしたァァ……
最近は秋が消滅して冬の様な寒さになっておりますが、皆さんお気をつけください。因みに私、体壊しました。
都会の寒暖差舐めてた
自由を唄う陣営ユニオン。
ユニオンは陣営の中でも最も繁栄している陣営と言われており、領土も大きく四大陣営の中では最も力があるとされている。
夏休みの課題に向け、四大陣営の代表者のサインを貰わなければ退学というとんでもない課題をエリザベス理事長から出された。
四大陣営の代表者はロイヤルのエリザベス理事長、重桜の長門ちゃん。鉄血のビスマルクさんという人。
この中でエリザベス理事長にサインを貰ったからあと3人。
次はユニオンに行って代表者にサインを貰う訳だけど……ユニオンには代表者というべき人物が居ないらしい。ならどうやってサインを貰えばいいんだって話なんだが、そこは問題ない。
何故なら、ユニオンのKAN-SEN達が揃って代表に相応しいという人物がいるらしい。その人にサインを貰えれば良いとエリザベスさんからの許可は貰った。
そのKAN-SENの名前は……ヨークタウン。
エンタープライズの姉さんらしい。
どんな人かと端末で調べてみると確かこの人は重桜であったことがある。
エンタープライズさんと似てはいるけど、印象が全然違った。例えるならエンタープライズさんが雄々しい鷹ならば、ヨークタウンさんは親鳥のような儚げな印象を持った。
空港で出迎えてくれる人がらしく、空港のロビーでそれらしい人を探すと、ふと何か横断幕の様な物が目に映った。
横断幕の文字には『welcome commander!! ☆。:*・゜』。
指揮官を歓迎しますという意味の言葉があった。
指揮官……って、俺の事だよな? 誰が横断幕を掲げているのだろうと目を下ろすと、ブレマートンさん、ボルチモアさん、マーブルヘッド等など、学園のKAN-SEN達が大きく手を振っていた。
そしてその中心には、俺が探していたヨークタウンさんが小さく手を振って歓迎してくれていた。
「あ、しきかーん! こっちこっち!!」
ブレマートンさんの大声がこっちに届き、荷物を持って横断幕の方へと足を運んだ。
「ブレマートン先輩、ボルチモア先輩! お久しぶりです!」
「ようこそユニオンへー! 久しぶり指揮官!」
ブレマートン先輩と顔を合わせたのはこの前のデートのふり以来だ。あの時もこうやってユニオンに行ったけど、観光らしい観光はしていない。
ただ分かっている事と言えば料理がとにかくビックスケールという事だろうか。
「ロイヤルからの長旅で疲れたでしょ? もう泊まる場所用意してるから、少し休んでよ!」
ブレマートンさんは俺のキャリーケースを持ってくれると、残るは背中に背負った鞄だけになった。
「わぁ……ありがとうございます!」
半日程飛行機に乗り続けたからまぁまぁ疲れているのが本音であり、荷物を持ってくれたのはありがたい。
お言葉に甘えて荷物を持たせた。
荷物が軽くなった分身軽になったから、これなら今からでもユニオンを観光できそうだ。
ユニオンは調べた限りロイヤルに負けず劣らずの観光名所がある。
セントラルパークやテキサスシティ……あ、ブロードウェイとかも行きたい。頭の中で観光する自分を思い浮かべながら妄想に耽り、思わず笑みが零れる。
これが課題の無い夏休みだったら自由を満喫出来たんだと思うと、悲しい現実が頭の中に襲いかかり、心に傷を負って笑みは涙へと変わった。
「まずはヨークタウンさんに会わないとなぁ……」
「ヨークタウン姉に会いたいなら、私が案内してあげるよ!」
案内を名乗り出ながら俺の前に飛び出したのは金髪のツインテールに最早服とは言い難い、黒いブラと足の付け根ぐらいしか無い短いズボンに、マントを羽織った活発そうなKAN-SENだった。
あまりにも肌色が多くて思わず目を逸らすと、金髪のKAN-SENはグイッと顔を近づかせた。
「ん? どうしたの? 指揮官」
「いや、えっと……あの、えと……」
殆ど胸元が見えているからもんもんとした気持ちが抑えきれず、恥ずかしさで死にそうになる。
そういえばブレマートン先輩も際どい衣装を着ているし、ユニオンってこういう人が多いのかな……。俺には刺激が強すぎて自然と距離を離してしまう。
けど、金髪のKAN-SENは離れようとする俺の手を掴んで無理やり開かせるように手を動かし、真っ赤になっているであろう俺の顔を見てにやにやと笑っていた。
「ん〜? 指揮官、どこ見て顔を赤くしてるのかにゃー?」
「ごご、ごめんなさい……こういうの、慣れてなくて……」
「別に怒ってなーいよ。というか指揮官、私の事知らない?」
目の前のKAN-SENは自分の顔を指さし、確かに言われてみれば誰かに似てる様な……いや、見た事ある。
金髪のツインテールにエメラルド色の目……あ、思い出した。
「ホーネット?」
「そう! 良かった〜覚えていてくれたんだ!」
当たって正直ホッとしている。
いつもはアズレン学園の制服に、今のように帽子が被っていないし、雰囲気も全然違ったから正直自信は無かった。その為か、思わず無意識に思い浮かんだ疑問を口にしてしまった。
「いつもそんな服装を?」
「んー? ビキニとホットパンツの事? ユニオンでは普通だよ?」
「ふ、普通……なんだ」
陣営も違えば普通という定義も違う事を肌身で感じ、若干のズレを感じてしまう。
けど、このズレを受け入れて行く事も指揮官として大事な事だと母さんや先生も言っていた。
拒絶するのではなく受けいれるように、ホーネットの方に目を向けると、歩く度に強調するように揺れる胸を見てその心意義がガラスに吹っ飛んでしまった。
(やっぱ無理かも〜……!!)
おかしい、どうしたんだろう俺……煩悩まみれで観光どころでは無くなり、手で顔を隠して自分自身に呆れて大きなため息を出してしまう。
「指揮官〜本当に大丈夫ー? にしし」
そんな俺の行動にホーネットはまた笑って見上げるようにして俺を見ていた。
「指揮官ってさ、チェリーだよね〜」
「チェリー? さくらんぼの事?」
「あぁ……そういう感じ? ううん、なんでもないよ。ほら、タクシー呼んだからヨークタウン姉の所にいこ!」
「??????」
意味深な言葉だと思うけど……まぁ、大した意味は持っていないだろう。荷物を持って空港の外にあるタクシーにホーネットは乗り、後に続いてタクシーに乗った。
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タクシーから見える窓の光景は高いビルが連なり、多くの人々が歩く光景ばかりだった。
ロイヤルとは違った光景で目に映るもの全てに興味が移り、タクシーの窓を開けて少しだけ顔を出してユニオンの空気を受けた。
「どう指揮官? ユニオンに来た感想は」
「……凄いなぁ。1度少しだけ来たんだけど。重桜やロイヤルより活気があるね」
「ああ、そういえばブレマートンの彼氏役になったんだっけ。指揮官、お手柄だったって聞いたよー?」
「やれる事しただけだよ」
数ヶ月前、ブレマートンさんからストーカー撃退のための彼氏役を引き受けてデートの振りをする為にユニオンへは一度行った事あるけど、観光らしい観光はしていない。
だから、ユニオンの特色とかはあまり感じられなかった。あの時はストーリーがブレマートンさんに襲いかかろうとしたから大変だったなぁ……。
ブレマートンさんからあの後聞いた話だと、ストーカー関連の話は聞いていないから何よりだ。
けど、妙に俺の事を遊びに誘っている様な気がする。俺も俺で予定の方があるから、合わせられないのは残念だけど、ユニオンにいる内は予定を合わせておきたいなぁ……。
「あ、指揮官。あそこ見て!」
ホーネットが指を指した方向には、少し大きな白い舘があった。
あそこって確か……ホワイトハウスというユニオンの偉い人達が執務をする場所だ。あそこにヨークタウンさんがいるのだろうか。
タクシーはホワイトハウスの敷地内へと入り、入口手前で止まった。タクシーからおり、ホワイトハウスの入口から感じられる圧のような物に耐えながら、俺は生唾を呑み込む。
「あはは、そんなに緊張しなくても良いよ。さっ、ヨークタウン姉が待ってるよ〜」
ホワイトハウスの重い扉をホーネットが開け、早速中へと入っていく。
その名の通り壁や廊下は白く、意外にも簡素な作りだった。
高いビルがそびえ立ち続ける目立った街並みだったから、ここでも目立った作りになっていると思ったけど……ここには目立った装飾がない。
ロイヤルにあったエリザベスさんの屋敷の廊下に少し似ている所もあるけど、ここには赤色とかそういう目立った色はなく、ほぼ白で統一されている。
「意外でしょ? ここって地味だよねー。あっ、ここがヨークタウン姉が執務している部屋だよ。じゃ、後でね! 指揮官」
ホーネットは先にホワイトハウス入口に戻り、1人になった俺は緊張しながら茶色の扉をノックする。
『どうぞ』
柔らかい声が扉の奥から聞こえ、俺は扉を開けた。
扉の先には茶色で統一され、部屋の奥にはユニオンの国旗が描かれた旗があった。
そして、机には白い髪に黒い服を来た穏やかそうなKAN-SEN、ヨークタウンさんがいた。
「ようこそユニオンへ。歓迎します、指揮官」
「ど、どうも……久しぶりです、ヨークタウンさん」
「ああ、覚えていてくれたんですね」
ヨークタウンさんと握手を交わし、俺が見てきたユニオンのKAN-SENと真逆の雰囲気に少しそわそわしつつ、思わずヨークタウンさんをじっと見た。
「私に何か?」
「い、いや、他のKAN-SENと比べてその……お淑やかだなって」
「ふふ。確かに指揮官にとっては刺激的な子たちばかりかもしれませんね」
刺激的すぎて鼻から血が出る勢いだった。ホーネットもそうだけど、ブレマートンさんも色々と凄いよなぁ……衣装から色々とはみ出しているし。
姉さん達も着物では胸元を出してはいるけど……ユニオンのKAN-SENたちのように開放的では無い。
……なんだか山の中で落ちていたイケナイ本をみてしまったような気分と同じだ。いけないと分かっていても見てしまう……そんな罪悪感と背徳感が自分の目を泳がせる。
「指揮官? どうしましたか?」
「いえ! 何でもありません!」
「そうですか? あ、課題の件を忘れていました。私のからの課題は……」
ロイヤルのエリザベスさんはロイヤルの事について知る課題だったけど、今回もそれに則るのならユニオンの事を知る……だろうか。固唾を飲んで聞こうとすると、ヨークタウンさんはニコリと微笑んでいた。
「そんなに気を張らないで。私からの課題はありません。生徒手帳とパスポートを渡してくだされば、私がサインしますから」
「え? ……ええ?」
思いがけない答えに俺は戸惑った。
いや確かに無条件で課題をクリアできるのは嬉しいし有難い。けど……何か違う様な気がする。
手帳とパスポートを出し渋る俺を見てヨークタウンさんは首をかしげて疑問符を浮かべていた。
「どうしたのですか?」
「いや……課題無しでサインを貰うのはちょっと違うかもなって……」
「違うとは?」
「なんて言えばいいのか……えっと、指揮官としてそれは許されないかもって思って」
苦笑いを浮かべながら、頭に思い浮かんだ事をそのまま言葉にした。
「確かに課題は大変でした。けど、指揮官として何を持つべきなのか知る機会でもありました。だから、ヨークタウンさんも指揮官として俺に何か必要な物があるんじゃ……」
「そんな事ありませんよ。貴方のこれまでのデータを見ましたが、大変優秀です。私なんかの意見は必要ではありませんよ」
「……本当にそう思ってますか?」
なんだか、ヨークタウンさんから諦めと似た様な物が感じられた。
まるで、今自分がいる場所を絶望の底だと思って、これ以上悲しまないようにしていた……過去の俺に似ていた。
親を亡くして、一人ぼっちだったあの時の俺と姿を重ねていると、何となくこの人はこのままではいけないんだなと思い、さっきの言葉が出てしまった。
ヨークタウンさんは図星を当てられたかのように手の動きを止めて、笑顔だった顔を曇らせた。
「え……と、本当ですよ?」
「そう……ですか。でも、課題は欲しいです。なんて言うか、妥協とかしたくないので!」
これは本音だ。折角指揮官になれたんだ。皆に恥じない指揮官になる為にこの課題があるのだから、妥協はするべきでは無い。
ヨークタウンさんはついに意志が折れたのか、何の課題を出そうか悩んでいた。
悩んでいる事数秒後、窓の外には
鷲はヨークタウンさんの腕に乗り、部屋の中にあった止まり木で目を閉じて休んだ。
一連の流れからして、ヨークタウンさんが飼っているのだろうかと気になっていると、こっちの反応を見たヨークタウンさんが鷲の事を話してくれた。
「あぁ、この子はイーグルちゃん。私とエンタープライズとホーネットが飼っている鳥です」
「へえ〜動物飼ってるんですね。良いな〜」
「最初は大変でしたけどね。……そうだ、課題はこうしましょう」
「まさか、動物を飼育するとかじゃないですよね?」
「ふふ、違いますよ」
動物を見て何かを思いついたのなら、まさかとは思い、軽く冗談を言うと、ヨークタウンさんはクスリと笑ってくれた。
よかった……ユニオンはジョークとかが流行っているから、本でユニオンのジョークを勉強していて良かった……。
「私からの課題は1つ。貴方にとっての『自由』を、一週間後私に話してください」
「自由……ですか?」
「はい。自由を聞いてどう思ったのか、それを持つ意味とは何か……貴方の気持ちを持ってきてください」
「自由か……」
言葉では理解出来るけど、深い意味となると確かに難しい。一概に自由に言っても様々な定義がある。
例えば……門限が無くて毎日夜遅く遊べられるとか、宿題とかしなくていい〜! 見たいなそんな自由がパッと思いついた事だ。
まぁこれをやったら天城母さんのゲンコツを食らうから絶っったいにやらないけど……。
とにかく、自分から課題を受け取ったんだ。頑張ろうと意気込むと、ドアからノック音がした。
ノックした人はヨークタウンさんの声を待たずにドアを開けたのは、茶髪で赤色のメッシュが特徴的な男の人だった。
「ようヨークタウン。ちーと今日の事なんだが……んぁ?」
「こ、こんにちは」
男の人と目が合って思わず挨拶すると、男の人は俺の事をじっとみながら、目と鼻の先まて近づいた。
「マーレ……じゃない。あ、もしかしてお前が噂の指揮官か?」
「そうよジン。この方は指揮官様の天城優海さんです」
「あぁお前が! ははっ、本当にマーレとそっくりだなお前!」
ジンと呼ばれた男の人は笑いながら俺の背中を叩き、彼なりのスキンシップを俺にしてきた。
「ま、マーレさんとお知り合いなんですか?」
「ん? アイツから聞いてねぇのか?」
「は、はい」
「んだよアイツ〜俺の事言わないって薄情な奴だなー!」
「ジン、指揮官様が困っていますよ」
「あぁ、悪ぃな」
ジンさんは俺から離れ、まずは自己紹介をするかと一息置くと、自分の顔を覚え込ませるように自分に親指を向けた。
「俺はジン・カービスだ。一応、ユニオンの後方支援部隊の最高責任者な。よろしくな」
後方支援部隊……確か、KAN-SENの武器や物資を調達してくれている、縁の下の力持ち的な部隊であり、この部隊のおかげでKAN-SEN達は戦えていると授業で習った。
そんな部隊の最高責任者……言ってしまえば1番偉い人が目の前にいると分かって緊張し、ガチガチになった体を固まらせてながらも俺は見よう見まねの敬礼をした。
「は、はい。よ、よろしくお願いします。カービスさん」
「はっはっは! 敬礼とかしなくていいって、楽になれよ。立場はお前の方が上だから、俺の事はジンって呼んでくれ」
「で、でも……」
「自由にやれよ。自由に。ハッハッハ! あ、ヨークタウン、やっぱ今日の事いいや。じゃあな!」
ヨークタウンさんに用があってこの部屋に入ったのに、こっちの用事を優先してくれたジンさんは笑って部屋から出て行った。
まるで嵐のような人に俺は空気を置いていかれ、そのまま突っ立ってしまった。
「じ、自由な人ですね……」
「生粋のユニオン男ですから。私からの話は以上です。そちらから何か質問は?」
「いえ、大丈夫です」
「でしたら、本日は夜に指揮官様の歓迎パーティーがあるので、それまでお休みください。滞在期間中はこちらが手配したホテルがありますのでそちらをご利用ください」
「あ、ありがとうございます! では、僕はこれで……」
「はい。課題、頑張ってくださいね」
ヨークタウンさんの和やかな笑みに送り迎えながら部屋を出ると、窓の向こうでホーネットが手を振っていた。
こっちも「今さっき話し合いが終わったよ」という意味を込めて手を振ると、少し早歩きでホワイトハウスから出てホーネットの元へ戻った。
「お疲れ〜指揮官! ヨークタウン姉はどうだった?」
「凄くいい人だったよ。あと、ホーネットとエンタープライズ先輩と随分と印象が違ったからビックリした」
「私達と全然似てないでしょー?」
「うーん……どうだろう。顔は少し似てるし、俺も姉さん達と性格とか違うからな〜」
加賀姉さんと土佐姉さんは似ている所はあるけど、天城母さんと赤城姉さんは似ても似つかない。
親子だからって、性格や顔が似ている訳では無いとは理解しているつもりだ。
だから、穏やかな長女のヨークタウンさん。寡黙なエンタープライズ先輩、そして活発なホーネット……いい姉妹だと思っている。
「そういえばエンタープライズ先輩を見かけなかったな……」
「おぉ? 指揮官、エンプラ姉の事が気になってる?」
ホーネットがニヤニヤしながらこっちの話に興味を持ってきた。何だか含みのある笑顔を向けられつつも、気になった理由を話す。
「そりゃあ、学園で2番目に出会った人だし、ロッカーも隣だから」
「え! そうなの? 因みに1番初めに出会ったのは?」
「ベルファスト先輩」
あの時は驚いたなぁ……まさか学園の目の前にメイド服の人が現れたんだから。
多分、後にも先にも俺しか体験出来ない出来事だろう。
「あぁ〜あのメイドね。あの子凄いよね、エンプラ姉から聞いた話、全てが完璧で成績は常にトップクラスらしいよ」
「あぁ〜そんなイメージあるある」
「だよね! 私は姉さん達と違ってダメダメだからさ〜」
「……そんな事無いと思うけど。この前の訓練の時、ホーネットの動きは凄かったよ。早い射撃に無数の艦載機を呼び出すのが、1番印象に残ってる」
「へっ?」
急にホーネットは自分のツイテールを掴み、口元を結びながらこっちを見てきた。
心做しか顔も赤くなっているし……風邪でも引いたのかなと思って顔を近づけると、ホーネットは髪から手を離し、顔を隠すように帽子を深く被った。
「そ、そう〜? に、にゃはは! もう指揮官は冗談が上手いね〜! このこの〜」
「冗談じゃないよ」
軽く肘で小突いてくるホーネットは揄われていると思ったのか、俺はそれを否定する。俺は冗談とか言うのが下手だし、本気で思った事は本気で言う性格だと思ってる。
だから、本心だとホーネットに伝えると、ホーネットの顔は更に赤く染まり、少し俺から距離を離した。
「あ……あはは……はは……そ、それじゃあ指揮官! 私、急用思い出したから、あ……後はごゆっくり〜!! また夜にねー!!」
ホーネットはその名に相応しい蜂の様に素早く真っ直ぐ走り去ってしまった。ユニオンの事とかもっと話して欲しかったから「待って」と言って引き留めようとしたが、それよりも早く人混みの中に流れ込んでしまい、完全にホーネットを見失った。
「お、俺……何か言った?」
もしかして今世間で気にされているセクハラをやってしまったのだろうかと頭を抱えて昼間を過ごした。