『金』の棋譜   作:Fiery

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とりあえずこれで終わり。
短編だから駆け足でもしょうがないよね……(泳ぎ目


エピローグを書こうとして雑多に情報がばら撒かれてしまう。どうしたらえぇねん

 そのニュースは、オレが身を置く将棋界の大事件の話なのに、どこか遠い国の事のように思えていた。

 

『史上初の女性名人誕生』

 

 名人。あのクズが持ってる竜王に並ぶ、将棋界の最高位。その位に、初めて女性が座った。棋界の歴史に永遠に刻まれるだろう大偉業を成し遂げたのは、これもまた『史上初の女性棋士』だ。

 水鏡金美。あのクズの姉弟子であり、オレが降級して諦めた奨励会を突破して、話しか知らない三段リーグという地獄を超えてプロ棋士になった女。プロになり立ての頃はまぐれだの、身体を使って骨抜きにしただの言われていたが、順位戦を勝ち抜いて毎年昇段し、タイトル戦の予選においても勝ち抜き、とうとうタイトル戦にまで到達する頃にはそんな声も無くなっていた。

 

 あの女は、オレたち女流棋士にとっては死神と同じだ。あの女が現れてから、女流棋士の地位みたいなもんが全て自動的に一段下がった。女流棋士の枠の中でいくらタイトルを獲ろうが、あの女が活躍する度に何か言われているような気がしてくる。

 

『――…有難うございました』

 

 一度だけ、エキシビジョンという形でだが、あの女が女流タイトルホルダーと対局した事がある。あの女が六大タイトルホルダーを同時に相手をするというふざけた内容で、勝てなくても一矢報いれると、当時はタイトルも持って無かったオレは思った。

 結果は、釈迦堂女流名跡以外はあの女の持ち時間を十分以上削れずに惨敗。その時に礼をしたあの女の声には、落胆の色が濃く出ていた。だからかもしれない……その後でタイトルを持っていた女流棋士が引退を発表して、女流棋士ではなくなったのは。

 その後で、空位になったタイトルにオレや万智(まち)の奴が座ったが、座り心地なんてものは良くねぇ。しかも、女流棋士でなくとも出られる女子オープンや女流玉座戦にはあの女の妹弟子の空銀子と、弟子に取ったって言う祭神雷がやってきて、女流棋士になる事なくタイトルを獲っていった。そして、女流タイトルホルダーなら女流棋士でなくても出れる女流玉将戦は、その二人が白黒つけ合う為の場となっていた。

 

 プロ棋士であるあの女であれば、こうなっても納得できたかもしれない。胸糞が悪くて、腸が煮えくり返るかもしれないが、女流棋士が束になってもあの女に勝つ事は不可能だと納得は出来る。でも、やってきたのはあの女とは違う女で、しかもそいつらは奨励会の段位持ち……プロじゃねぇ。それに勝てない、オレたちの存在意義って、一体なんなんだ?

 

「そうやって腐っとるんどすか? お(りょう)

 

 関東の将棋会館の一室に居れば、そんな風に声を掛けられる。顔なんざ見なくても分かってるから、オレは振り向く事なく無視した。

 

「翼さん、女流棋士になるみたいやで」

「……何?」

 

 無視できない名前が聞こえて、振り返る。そこには想像した通りの、してやったりという顔をした供御飯(くぐい) 万智が居る。女流棋士であり山城桜花のタイトルホルダーで、観戦記者もしているこいつは、オレよりも様々な事情に詳しい。

 

「あの人、プロになれたんじゃねーのか?」

「『女性の奨励会員が四段に昇段した時に女流棋士の資格を付与する』言うて、緊急の棋士総会で決めはったみたいやねぇ」

「……釈迦堂会長か」

「せやろね。流石に逃がした一匹目が大きすぎたの、気にしてはるやろしなぁ」

 

 あの人が動いたのであれば、既定路線だったのだろう。同じ女性が、決して行けないと思っていた遥か天空を飛ぶ姿を見れば、あの会長ならそう動くし根回しも万全だろう。

 

 ()()()()()()()

 

 強さだけが求められるわけではないから、そうなってしまうのもある程度仕方ないと、釈迦堂会長はおそらく諦めていた。でも、その言い訳を許さない存在が現れた。プロになり、実績を積み重ね、段位を上げ、とうとう名人にすらなった女が、弱さを理由に逃げる事を許さない。

 

 一年だけ、オレも奨励会に居たからほんの少しだけわかる。あそこを突破するのに、どれだけの事に耐えなければならないのか。ましてや女一人で立ち向かえる場所なのかと聞かれれば、オレは違うというしかない。事実、あの女もインタビューでは『厳しいから余り勧めたくはない』という旨の話をしている。男ですら八割が夢破れる世界を間近で見て、勝ち抜いた女の言葉には、誰もが納得せざるを得ない。

 

 そんな地獄を生き抜いて、栄光を掴んだ存在がオレ達と同じ女流棋士として参戦してくる……しかも、来るのはあのいけ好かない二人じゃなくて、女子で初めて小学生名人となって奨励会に入った、オレも憧れたあの岳滅鬼翼さんだ。……あの女には憧れない。あの女は死神で、翼さんとは違う。

 

「……てめぇはどうなんだ、万智」

「――…そやねぇ。お燎には悪いけど……名人戦の棋譜を見て、あれはあかんと思うた。()()()()()()()

 

 どういうことだ? と視線を向ければ、万智の奴は対面の椅子に腰かける。

 

「全七局、全てに新定跡と新手が組み込まれとる。それは竜王サンの独創的な将棋にも似とるけど……まぁそこは姉弟子やから、お互いに影響があったんやねぇで済む。名人との対局で強なりはった話を考えればまだ、わかる」

 

 でもな、と言葉を切った万智が、どこか陶酔した表情に変わった。

 

「最後の七局目の終盤……()()()はあの時、名人すら導いとった」

「……おい」

「神とまで称されていたあの名人相手に、もっと上があると言って()()()()()()()()()

 

 万智の眼に狂気的な色を感じ取って、オレは思わず椅子から立ち上がって距離を取った。それが視界に入っていないのか、どんどんとこいつの言葉が溢れ出していく。

 

「あぁ、一度だけでもええから対局出来まへんやろか……あの方に導いてもらえれば、こなたたちはもっと、もっと強うなれる……もっと、もっと」

「おい、万智。おい!」

「強うなれれば、隣に居られるんや……やから、やから……」

 

 怖い。

 何が怖いのかわからないのが怖い。万智の奴の変貌の理由に、あの女の影は見える。ただ、あの女が万智の奴に接触する理由なんてない。弟弟子のクズの取り巻きとして認知してるくらいで、話す事も殆どないと聞いていた。

 それが何で、棋譜を見ただけでこんな狂信者みたいな事になる? 恐怖の感情が抑えられず、オレは部屋を飛び出した。

 

 

 

 やはり、あの女は死神だ。女流棋士界を本人の意志に関わらず無理やり変えるだけの力を得た、災厄だ。

 

 

 

 

 

 

 名人戦より一カ月後、名人戦第一局の会場になったホテルで行われた名人就位式。清滝一門も総出で出席し、新名人である金美の謝辞が述べられれば清滝が大号泣して会場から連れ出されたり、妹弟子と弟弟子からの記念品授与であったり、愛弟子からの祝いの言葉だったりがあり、極めつけは女流棋士会会長として出席した釈迦堂会長から《新時代の戦女神(アテナ・レボリューシヨン)》なる称号を贈られそうになったりした。

 最後の分は丁寧だが『絶対に嫌だ』と言うオーラバリバリで謝絶したが、色々な媒体で生中継されていたのでしばらくは弄られる事が確定し、金美は後で会長を将棋で泣かす事を決めた。後日、プライベートで怒りの全駒をやって涙目にはさせた。

 

「あてっ、あてなっ、れぼ……ゲホッゴホッ」

「盤並べーや。弄った奴ら片っ端からぶっ飛ばしたるわ!」

 

 就位式の二日後、大阪に戻った金美は祖父母の墓前に参った後で、一門主催の祝賀会に連行された。東京には来なかった関西棋士達が勢ぞろいした祝賀会では主に、あの称号の事で弄られたために弄った人間相手に新名人、滅多に出ない関西弁からの怒りの多面指しである。

 そこに現役タイトルホルダー達も、女流タイトルホルダー達も乱入し、無駄に面子が豪華で騒がしい祝賀会は四次会まで続いたらしい。

 

「強くなったなぁ。水鏡名人」

「それ将棋の話ですよね? 代わる代わる飲ませてくる酒の話じゃないですよね?」

「どっちもだな」

「せめてどっちかに絞って欲しかったんですけどねぇ!?」

 

 ちなみに主役は逃げられなかった。ただ、肝臓の強さも名人級になったのか、飲ませてきた相手を全員正面から叩き潰しての大勝利である。日本将棋連盟関西本部総裁が最も手強かったが、一手差で勝利したためにそっちの意味でも恐れられるようになった。

 

 

 そんな頃に、銀子と雷は三段リーグへと上がった。二人が上がる前に岳滅鬼が一位抜けしたため、ここで三人が激突すると言う事は無かったのだが、この期で上がればすぐに戦う事になると気合を入れ直し、二人は三段リーグの地獄へと足を踏み入れる。

 同じ時期に三段に上がった椚 創多(くぬぎ そうた)という天才小学生も含めた三段リーグの恐ろしさを肌で感じながらも、自身の将棋を曲げる事無く二人は見事に一期でリーグを抜け、史上三人目と四人目の女性棋士となる。

 

 

 一足先にリーグを抜けた岳滅鬼は、釈迦堂から『女性奨励会員が四段になった時、女流棋士としての資格を付与する』制度の説明を受けて、門下である事もあり申請する事にした。これにより岳滅鬼は初のプロ棋士でありながら女流四段の女流棋士となり、他の女流棋士達の高い壁になる。

 というか早速、女子オープンや女流帝位戦の予選は阿鼻叫喚の地獄になった。序盤から少し進んだ程度の村に、ゲームクリア後レベルのプレイヤーが乱入したらそりゃそうよとしか言いようがないが、釈迦堂もこうして地獄になる事は見越して、女流棋士の意識改革とレベルアップの為に踏み切ったのだ。当然それを岳滅鬼も理解して、心を鬼にして予選を勝ち進んだ。

 

 

 桂香は女流初段となり、色々と結果も残せるようになってからのプロ棋士の女流参入を聞き、喜んだ奇特な人間の一人である。反対に八一の弟子であるあいと天衣は、女子オープン戦で女流棋士の資格を得て活動を始めた頃にそれを聞いて頬を引き攣らせた。

 彼女は自身の親友と同じように、三段リーグに一人しかいない女性として突破した岳滅鬼に、一方的な親近感を持っている。ネットでの研究会も割と積極的に意見交換をしていた仲で、関係性としては良い方だ。早速、プロ棋士であり女流棋士である岳滅鬼に研究会を持ちかけて、関西に来る事があれば会いに行く事も多い。

 時間がある時は女性名人が引きずり込まれ、その過程で妹弟子や愛弟子、予定が合えば弟弟子とその弟子まで乱入してくる、女流棋士にとってはオーバーキルな伝説の研究会が発足する事になるのだが、当人たちは和気藹々と将棋を指していただけである。大事な対局前などは真剣になるが、普段は『負けた奴が次の日の昼を奢る』などゆるーい理由で指している。

 

 

 師匠の清滝は、そんな弟子の影響で同じプロ棋士は元より、奨励会員やアマチュア、女流棋士にJS研までも幅広く集めた研究会『清滝道場』を開いた。元々自分の棋力の衰えを感じていた彼だが、弟子の金美に『頭が固い』と説教を喰らい、自分を省みた結果として至ったものがこの道場だ。パソコンについては触りを金美に聞いて、ソフトの研究も始めたという。

 齢五十を超えて尚、『俺の全盛期は明日』との揮毫通りに錬磨を重ね、自身の物の横には金美が名人となって初めて揮毫した『百錬成鋼』を並べた。

 

 

 あいと天衣は、難易度の上がり始めた女流棋戦に苦戦しながらも順調に勝利を重ね、天衣は銀子が未だ居る女王へ、あいは雷が座る女流玉座への道を進む。入会試験で受けた敗北を返さなければ気が済まないと言わんばかりに壁に挑む二人に、師匠である八一は思わず苦笑した。

 

 

 

 そして、月日は流れていく。

 

 

 

「ほんっと、長かったわ」

「いや、十分短いですよ姉弟子。プロになって三年目でここに来るって」

 

 将棋盤を挟んで対話するのは、銀子と八一。ここは、八一が連続五期で永世竜王になるかどうかの大一番――…竜王戦だ。

 

「長いわよ。あんたが私を追いぬいた時からずっと、追いかけてきたんだから」

「……銀子ちゃん」

「ここで、あんたに勝つ。勝ったら、言いたい事があるから」

「――…いや、負けられないさ。俺も勝って、言いたい事があるし」

 

 パチリ、パチリ、と、言葉を交わす事無く、二人は話し出す。

 

「祭神は結局、順位戦を勝ち抜いて姉さん狙いですか」

「神鍋の奴が今回の名人挑戦を決めそうだから、ちょっと焦ってるのかもね」

「あぁ……『戦女神に挑み、勝ったら戦女神をもらい受ける!』って言っちゃったアレ……」

「それで負ける姉さんには見えないけど、まぁほぼ同い年を『お義父さん』と呼びたくないのは正直分かる。私もあれを兄呼びする気はないし」

「歩夢……強く生きろ……」

「何? 八一は兄呼びしたいの?」

「いやー、キツイっす」

 

 実際には喋らなくても、指していればそんな風な会話になっている。何時の頃からか、名人との防衛戦の時に見たあの場所に八一も居るようになった。自分一人だけで将棋を指しているようで味気なくて、だからこそあの人は誰かを探し求めていたんだと、今ならわかる。

 実際、前名人は陥落して尚A級に居る。その棋力は衰えを見せず、実際に翌年には名人挑戦を為している。金美と対話をする為にA級に居るようなもんだなと八一は思うが、彼は以前よりも生き生きと将棋を指し、他のタイトル戦も『のりこめー^^』とやってくる。というか去年も竜王戦にやってきた。止めてください身体が持ちません、と八一は泣きそうになった。

 そんな名人に、順位戦限定とは言えバチバチ互角な神鍋歩夢というプロが居るらしい。愛の力ってしゅごい。

 

「桂香さん、女流名跡良い所まで行ってますね」

「岳滅鬼さんに勝った時は思わずガッツポーズしたわ。あの人、私と竜王戦の挑決したせいで負けたみたいな事言われてるけど……」

「弱っていた所にって奴ですか? でも、その道を選んだのは岳滅鬼さん自身ですし、全部自己責任です。それに、弱っていたとは言え並の女流棋士じゃ仕留められないですよ、あの人」

「調子の良し悪しが勝敗に影響するほどの棋力の差になったのは喜びたいけど」

「銀子ちゃんも危なくなるって事だもんね。今の所、三人は互角に近い成績だから」

 

 銀子達女性棋士は、十局に一局は本気の現名人相手にも勝てるようにはなってきた。ただ、タイトル戦の挑決やタイトル戦本番には、流石の経験値で調子を合わせてくるために未だに難攻不落である。

 そしてこの事実は裏を返せば、それだけの相手に対して調子の良し悪しで勝敗を覆せるほど、桂香の棋力が上がっていると言う事だ。

 

「八一は、名人を獲りに行かないの?」

「A級までもうすぐだし……なったら、獲りに行くかな。いい加減、姉さんには相手を見つける時間を取ってもらわないと」

「釈迦堂会長の例もあるから、別にいいとも思うけど」

「姉さんの子供に、俺らで将棋を教えたら楽しそうだよね」

「……姉さんのタイトル、名人以外だと玉座と棋帝だったわね。みんなと相談しましょう」

 

 やる気を出した銀子が指した手に、八一が少し考える。強くなった……竜王になったばかりの頃の自分なら負けていたと、八一は素直に称賛する。

 

「でもこういうのは、男から言わないと格好付かないんだよ、ね!」

 

 妙手を切って返すカウンターに、今度は銀子が顔をしかめた。

 

「素直にやられてなさいよ、馬鹿八一」

「いやいや、なんせ俺竜王ですし?」

「頓死しろ」

「笑いごとに聞こえなぁい!?」

 

 ぶつくさ言いながら盤面を読む銀子を見て、彼は微笑んだ。ここまで来るのに、本当に色々あった。楽しい事ばかりではもちろんなかったし、何なら将棋が嫌いになりそうになった事だってある。

 でも、今こうして大事な人が自分と同じ場所にいるのは、将棋のおかげでもあるのだ。

 

「くっ……負けました」

「有難うございました」

「……第二局は勝つ」

「ストレートで勝ちまぁーす」

「姉さんに『結婚相手見つけてくださいよー』って八一が言ってたって言うわ」

「その盤外戦術は卑怯じゃないですかねぇっ!?」

 

 結局この竜王戦、銀子が一矢報いたものの四勝一敗で八一が防衛。連続五期獲得した為、永世竜王となった。その就位式でこの竜王が『空七段、俺と結婚してください!』と言い、銀子が『喜んで』と答え、式に参加していた清滝と金美が超反応して『エンダァァァァァァ!』と言えば、色んな所から『イヤァァァァァァァァァッ!?』と悲鳴が上がり、伝説になった。

 

 後で月光会長にしこたま怒られたが、受けは良かったらしい。

 

 

 

「ありましたね、そんな事も」

「あはは……お恥ずかしいです」

「それで、銀子へのプレゼントに名人位ですか?」

「まぁこれも、一つの姉孝行という事で」

「本当に良い度胸ですね、この愚弟。まぁ良いでしょう」

 

 バッ、と金美が扇子を開いた。そこには、彼女が師に贈った『百錬成鋼』の揮毫。彼女の今までの棋譜(人生)を示す言葉。折れそうに、挫けそうになった心身を何度も奮い立たせて、女性棋士という道を一人で切り拓いてきた女性の生き様。

 

「棋士なら奪ってみなさい。九頭竜竜王」

「全力で獲りに行きます。水鏡名人」

 

 彼女の金色に輝く棋譜(人生)は、まだ続いていく。

 

 

 

 




ぶっちゃけ、エンダァァァァイヤァァァァァがやりたくなった。



というのは置いといて、最後はやっぱり姉(ラスボス)VS弟(主人公)かなと思ったり思わなかったり。

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