『金』の棋譜   作:Fiery

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インタビュー的な話


完結後
完結したと言ったな? その後でネタが出てくる病もあるんだよ!


 

 

『将棋界のニューヒロイン・女性新四段対談』

 

 

 ――本日はよろしくお願いします。最初に軽く自己紹介を頂ければ……まずは岳滅鬼さんから。

 

岳滅鬼新四段(以下:岳)「わ、私ですか?」

空新四段(以下:空)  「棋士番号で言えばそうなるでしょ」

祭神新四段(以下:祭) 「ならその次はしら……空新四段で、最後私か」

 

岳「え、えっと……岳滅鬼翼新四段です。師匠は女流棋士の釈迦堂先生です」

空「空銀子新四段。師匠は清滝鋼介九段です」

祭「祭神雷新四段。師匠は水鏡金美名人でーす」

空「チッ」

祭「いや、ここで舌打ちとか止めろよ。流石に大師匠かわいそうだろ」

 

 ――お三方は面識があるのでしょうか?

 

岳「あ、あります、よ? 水鏡名人繋がりで」

祭「私と空新四段が叔母弟子、姪弟子関係で、岳滅鬼新四段は先生の研究会仲間でーす」

空「岳滅鬼さんが関東で私と祭神が関西だから、基本的にはネットでだけど」

 

 ――名人の研究会ですか。

 

岳「け、研究会と言っても、基本的には早指ししたり、勝った対局と負けた対局を分析したりですね」

空「一回、水鏡名人が岳滅鬼さんに旅費を出して関西に呼んだりもしたわ」

祭「その時は対局して気晴らしの観光してまた対局して、先生の指導が入って、清滝女流初段も入ってきたりしたな」

岳「な、何だかんだで、楽しかったです……」

 

 ――目標はありますか?

 

岳「まずは、一勝……それから、コツコツと」

空「……あるプロ棋士と戦う事」

祭「先生への恩返し。と言っても勝つ事じゃなくて棋界への貢献って意味で」

 

 ――三者三様ですが、空新四段は何方と?

 

空「それ、聞く必要ある?」

祭「某竜王の話だから、棋士なら大体皆知ってる」

空「……えっ?」

岳「……私でも、知ってますよ?」

空「えっ?」

 

 ――え、知らないと思ってたんですか?

 

空「ど、どう言う事」

祭「はい次行ってみよう」

岳「……いってみよー」

 

 ――お三方の仲は良さそうですが、研究会以外で交流も?

 

岳「たま、に?」

祭「たまにで合ってる。三段リーグは一期ズレたんだけど、関東に行った時は泊まらせてもらったり」

岳「私が関西に行く時、は……水鏡名人の家に泊めていただく事もあります」

空「……岳滅鬼さんは今、資金的に結構大変なのよね」

岳「釈迦堂先生からモデルの仕事を貰って、食べては行けました……後は、水鏡名人も気に掛けてくださり、関東に来る度に色々と良くしていただきました」

祭「プロにならないと将棋で食べていく事は難しいからねぇ……」

 

 ――棋士を志した理由は?

 

岳「元々親の影響で将棋が好きで、そこから小学生名人になって……と言う感じです」

空「私は……最初師匠に弟子入りした理由が、指導対局で負けたから。プロになりたいと思ったのは、姉弟子の名人がプロになったからと、戦いたい奴とプロとして戦う為」

祭「いつ聞いてもアンタの理由がぶっ飛んでるわ」

空「そっちは水鏡名人に恩を返したいからでしょ」

祭「お前が言うんじゃねぇよ!?」

 

 ――恩とは……聞いても良い内容でしょうか?

 

祭「あー、まぁ要約すると、昔先生に助けられてそのまま引き取られたんです。その時に私の将棋を褒めてくれて……色々としんどいし厳しいぞって言われたんですけど、同じ世界に入って恩返ししたいなって思って」

 

 ――なるほど、そうだったんですか。

 

空「引き取られた後の最初の顔見せの時は、水鏡名人以外には警戒心丸出しだったわ」

祭「お前には言われたくねぇ」

 

 ――お三方の棋風についてうかがいます。祭神さんは攻め、空さんは受け寄りのバランス、岳滅鬼さんは攻め寄りのバランスと言う事ですが、この棋風になったきっかけなどは?

 

岳「わ、私はその、恥ずかしながら奨励会に入った後で一度大きく変えちゃって」

祭「奨励会の壁って奴かー」

岳「そ、そう……それで、例会で指してる時に、関東に来た水鏡名人……当時は六段だったかな、が『ちょっと勿体ないですね』って声を掛けてくださって、指導を受けました」

空「私は師匠の内弟子になって、当時は奨励会員だった水鏡名人や清滝女流初段、弟弟子の九頭竜竜王と指してる内に自然と」

祭「私は先生に生石玉将の所に叩き込まれてそうなった感じ? 元々振り飛車党で、気質が攻めだからそのまま指してなさいって。まぁ後はしら……空新四段とか身近にいた相手と指してたなー」

 

 ――祭神さんは名人の指導はあまり受けていないのですか?

 

祭「得意な事を最初に磨かせるってのが先生の指導だったんで、それで得意な事磨いて、それから応用編って感じ。そこからはマンツーマン指導と、色んな人が居る将棋アプリのネット対局。で、しばらくして妙に強いのが現れるから何事かと思ったら、岳滅鬼さんとそいつ(銀子)が先生に勧められて同じのやってたって言う」

空「あのアプリ、たまに水鏡名人や九頭竜竜王も現れるわよ。しばらくやってると、ソフト使用疑惑で弾かれるらしいけど」

祭「野生の名人や竜王が現れるアプリとか怖くてもうやってらんねーよ!? え、それで思ったけどまさか」

空「竜王の弟子二人も、ネット対局するのにアレ使ってるわ。パソコンとスマホ両方に対応してるし」

岳「実は野生のプロ棋士も奨励会員も現れる……初段以上の元奨もかな」

祭「魔窟アプリェ……」

 

 ――後でそのアプリ教えてください。それで、岳滅鬼さんが受けた指導というのは?

 

岳「私の棋譜を確認して、少し指してもらって、適性を見てもらいました。適性としては攻め向きなんですけど、奨励会で指してた棋風も生かして、バランス寄りにした感じです。後はおすすめの戦法を教えてもらい、そのアプリのネット対局で……」

空「水鏡名人はテーマを持って指させる事が多いから」

 

 ――テーマ、ですか?

 

空「内容的には研究の分類だけど、自身の棋風にあった戦法を選んで、どう動かすのが自分に合っているかを探らせる。相手の棋風によっても変わるから、対局は数をこなす。高段まで行く必要はあるけど、そう言う意味ではネット将棋は便利だった」

祭「私の場合はそれが振り飛車で、基礎を固めるのに都合のいい場所があったからそこで修行して、そこから探りを先生とやってたかな」

空「指導方法についてはいつも悩んでたわ。でも、そう言うノウハウを蓄積するのが今後の将棋界には重要だからって、悩みながらも楽しそうにはしてたけど」

 

 ――水鏡名人の指導方法ですか。広まれば凄そうですね。

 

祭「今仕事を増やすと先生マジで死ぬ。ただでさえ名人になってから色々取材やイベント入ってんのに……私の事が手から離れれば休む時間増えるだろーから、まずは休ませて」

岳「そ、そんなに?」

祭「移動時間が睡眠時間、みたいな事は言ってた」

空「九頭竜竜王との仕事の量の差が激しくない?」

祭「どっちも将棋界最高位だけど、美女と普通の高校生くらいの男、来てほしいのどっちよ」

岳「……」

空「……」

祭「その沈黙が答え言ってんだよ」

 

 ――こほん。どうも皆さん、水鏡名人の影響を受けているようですが……

 

祭「私は弟子だしそりゃそうよって言いたいけど、先生の影響は先生がプロになった時から出てると思うぜー?」

岳「ま、まぁ……あの時も凄いニュースになったし……」

空「ニュースもそうだけど、『女性のプロ棋士が出た時に女流棋士の資格を与える』『奨励会を退会した女性が希望すれば、退会時の段級位に応じた女流棋士の段級位で資格を与える』なんてのは名人が居なければ作られなかったはずだから、そう言う意味では影響大よ」

 

 ――史上初の女性棋士にして女性名人は、そこまでの影響力があると。

 

祭「少なくとも、制度の成立に関しては確実に早くなったと思うぜ?」

空「退会時の編入制度は名人が奨励会三段の時に出来たけど、女性棋士への資格付与については岳滅鬼さんや私達みたいな続く女性が現れたから、とも言えるわ」

 

 ――その制度を利用して、女流棋士の資格も得たのは岳滅鬼さんだけのようですが。

 

岳「私はその、師匠が女流棋士なので……そちらのお手伝いも出来ればなと」

祭「女流棋戦の難易度上がるわぁ……」

空「元々私とあんたで難易度上げてた感じはあるけど」

祭「女流棋士以外が出れる奴だけじゃん。ガッキーが女流棋士やると、残り完全にカバーするぞ?」

 

 ――が、ガッキー?

 

祭「……この面子で話すと猫被りが続かねーな」

空「あんただけでしょ」

岳「……空さんも、だね。あ、ガッキーは、研究会の時から呼ばれてるんで……」

 

 ――そ、そうですか……岳滅鬼さんは今後、女流棋戦にも出ると言う事ですか?

 

岳「スケジュールと体力次第で探り探り、ですが……」

祭「私と銀子はタイトル返上するかなって所」

空「持っておくと、こっちの方の生活に影響が出るから」

 

 ――これ、凄いニュースですね。

 

祭「流石に学業とプロ棋士と女流棋戦の三足は無理」

空「同じく」

岳「高校生活懐かしい……」

 

 ――お二人はまだ高校生でしたね。

 

祭「最初は、先生から『高校は出とけ』って言われてるから通ってる感じだったけど、プロ棋士も色々とアンテナ張ってないといけない仕事だなってのは先生を見て知ったから、そう言う意味では女子高生って便利な立場だな」

空「水鏡名人が通ってた高校だから、将棋界の事にも理解のある学校だし」

祭「先生と大師匠が理解させたっつー方が正しいかもしれねーけどな……」

 

 ――そのお話が気になりますが、そろそろ最後の話題……恋愛観についてお聞きしたいのですが。

 

祭「銀子には聞く必要ねーよな?」

 

 ――アッハイ。祭神さんと岳滅鬼さんだけで結構です。

 

空「何故」

祭「お前とお相手、ネットで既にどう呼ばれてるか後でちょっと調べろ」

 

 ――まずは年上と年下ならどちらが良いですか?

 

空「年上の弟」

祭「お前に聞いてねぇ謎かけみたいな答え言うな座ってろ。んー、まぁ私も上の方がいいか。今の年で下はちょっとなぁ」

岳「わ、私も年上かな……」

 

 ――将棋を知っている人と知らない人ではどちらが良いですか?

 

空「し(祭神新四段に口を塞がれる)」

祭「将棋が私より強いと嬉しーかなァ」

岳「し、知ってる人で……」

 

 ――家庭的な男性か、外でバリバリ働くような男性。どちらが良いですか?

 

祭「どっちでもいい。でもヒモみてーな奴はゴメンだ」

岳「い、いざと言う時支えてくれる人なら……」

 

 ――今現在、これはって人居ますか?

 

祭「……先生が男だったらヤバかった」

岳「い、雷ちゃんの理想、それっぽいね……」

祭「そう言うガッキーも居そうだよなァ?」

岳「の、ノーコメントでお願いします!」

 

 ――なるほど、昇段に続いて違う春も来そうだと言う事ですね。

 

岳「い、いや、あの人はそんなんじゃっ」

祭「後で女子会。対談はここまでな」

 

 ――ふふふ、たっぷり聞かせてもらいますなぁ?

 

 

 

 




一番原作と変わった点:イカちゃんがツッコみ役

この時点では
岳滅鬼さん:21歳
イカちゃん:18歳(高三)
銀子ちゃん:16歳(高一)

かなーと妄想しながら、こんな話が浮かんできた。

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