史上初の女性棋士であり、史上初の女性名人である水鏡金美名人。
師匠は二度の名人挑戦経験を持つ、関西将棋界の重鎮である清滝鋼介九段。
妹弟子には、父娘で棋士となった清滝桂香女流初段と、女流二冠を持つ『浪速の白雪姫』空銀子新四段。
そして、弟弟子に史上最年少竜王である九頭竜八一竜王。
そんな一門が一堂に集い、今回インタビューをする事が出来た。
――皆さん、今回はよろしくお願いします。
清滝九段(以下:清)「よろしく頼みます」
水鏡名人(以下:水)「よろしくお願いします」
清滝女流初段(以下:桂)「よろしくお願いします」
空女流二冠(以下:空)「よろしく」
九頭竜竜王(以下:九)「よろしくお願いします」
水「五人揃ってのインタビューとか、初めてじゃないですか?」
清「せやな。大体は単独か、対談形式やろ。うちの一門はそこまで多くないとはいえなぁ」
桂「おと……んんっ、師匠。弟子が四人は充分多いと思うんだけど……」
九「奨励会への推薦の為だけの師弟関係も無くは無いですからね。人数だけで言うならもっと多い人はいますよ」
空「四人中三人は内弟子……女流初段は実の娘だから一緒に住むのはある意味当然だけど、そう言う意味では今だとトップクラスに多いんじゃないかしら?」
水「例外の私も、師匠の家と自宅は歩いて十分程度の距離ですしね」
――家族のような一門だと、将棋界では有名ですね。
清「まぁ、そうですな」
水「私と女流初段は幼馴染ですからね」
桂「何年来だろ……二十年以上だよね?」
水「そうそう。小学校入学前から知ってますし、小学校は学区が違ったんで別でしたが、二人揃って師匠に弟子入りした後はほぼ毎日顔を突き合わせて対局したり、研究したり」
桂「師匠の順位戦の時とかは会館まで見に行って、蔵王九段が飴をくれたりしました」
水「その前に『子供が夜遅くまで居るんじゃないっ』と二人して怒られてましたがね」
清「そんで、二人が十五の頃に女流二冠と竜王を弟子にしたわけですな」
九「俺が空女流二冠より二週間遅く弟子入りしたんで、一門の中じゃ一番下ですけど」
空「竜王が来て次の日くらいに、当時奨励会二段だった名人に二面指しでボッコボコにされました」
九「この姉弟子容赦ねぇ、と当時は思いました」
水「諸事情で余裕のない時だったので、それについては大変反省してます」
桂「奨励会に入った後もそうだけど、
水「そんな私やら、ギスギスする弟子たちを見かねて、師匠が『サッカー観に行くぞ!』と言ってくれたんでしたか」
清「そんな事もあったなぁ……元々後援会の方からチケットを頂いて、とりあえず連れて行きましたわ」(笑
――サッカー観戦が仲良くなるきっかけだと?
清「そうですな。すぐに仲良く、というわけやないんですが……皆で一緒にスタジアムに行って一緒に応援する言うんは楽しかったんですわ。そんな一体感みたいなもんが共有できたから、間違いなくきっかけではあると思います」
水「それから、一門の共通の趣味がサッカー観戦になりましたからね」
桂「師匠やわたし、竜王は声を出して応援するタイプなんですけど、名人と女流二冠はちょっと楽しみ方が変わってるというか」
――変わった楽しみ方?
水「選手を駒に見立てて、『あ、このプレーの効きは歩だな』とか考えながら観てます。あんまり、どっちを応援とかはしてませんね」
空「私は監督の指示や、チームメイトがどんな声を互いに掛け合っているか。サポーターの声がどんな影響を与えるか、という部分に注目してます」
――本当に変わってますね。
水「二人とも一般的ではないと思います(笑) でも、サッカーもそうですが他のプロスポーツから、将棋でも使えそうなものを探すというのは普通にあります。スポーツ観戦でインスピレーションを受けて生み出された戦法というのも存在しますから」
空「私の場合は、メンタル的な面ですね。試合中にどんな指示……『声』が選手に与える影響は何かを注視しています」
清「その横で騒ぐと二人とも睨んで来よるんですよ」
九「師匠は声が大きいですからね」
水「二人共、騒がしさで言えば同等です。女流初段が一番空気読んでくれてました」
清・九「ひどい!?」
――喧嘩などは多かったのですか?
清「名人とは割としましたな」
水「言い合いからの将棋で決着が多かったです。一番揉めたのは……私の奨励会入りですね」
桂「あの時かぁ……」
――ど、どういう事ですか?
清「恥ずかしながら、奨励会入りは反対やったんです。女子も極端に少なく、やるなら女流棋士やろと、研修会を勧めました」
水「それが嫌だったんで、本当にもう言い合いですよ。で、師匠が『平手で勝ったら認めてやる』って将棋盤を持ち出して来て」
空「当時何歳だったんです……?」
水「十一で、三級受験を目指してました」
九「今でこそ『良いじゃないですか』って言えますけど、当時は……」
清「当時、万が一受かったとしても、降級すんのがオチやと思っとったしな」
――結果は、どうなったんですか?
水「『死んでも負けたくない将棋』を、あの時初めて指しましたね」
清「手数を数えるのも億劫になるくらい、粘り強い将棋を指しよったんです。わしが根負けして『好きにしたらえぇ』と言ったら、『まだ勝ってない!』って意地を張りよる」
桂「あの時はかなちゃん泣いてるし、指す時に力が入り過ぎて爪も割れて……でも、絶対入りたいからって勝とうとしてました」
清「……そんな弟子の姿に、自分の将棋を再確認させられました。だから、わしは最後までやって、詰ましたんです。弟子を一人前の棋士と認めたから、全力で」
桂「泣きながら『負けました』って頭を下げたかなちゃんの姿は、本当に忘れられないなぁ。これが人生を懸けた勝負だった……彼女にとっては本当にそれを懸けて、負けた勝負だったのが心で理解出来ましたから」
清「まぁ結局、奨励会入りは許可しました。プロ棋士相手に平手で、三百手以上粘りおったし……先に根負けっちゅう負けを認めたのは、わしの方でしたから」
――壮絶な勝負だったと。
清「わしが今まで指した対局の中で、五指に入るもんですわ。下手な順位戦やトーナメントよりも色々とクる戦いやった」
水「そう聞くと、私が中々に問題児のようなんですが」
清「娘と変わらん歳の女子が泣きながら、わしを睨み付けて将棋指すんやぞ。心を鬼にしていたとは言え、流石にキツイもんがあるやろ」
水「……その節は大変ご迷惑をおかけしました」(深々と頭を下げる
清「何、もう色んなもんで返してもろたわ」
――他の方にも、その様な話が?
桂「無いです無いです。わたしの場合は研修会から女流棋士になるつもりだったし、師匠もそれに反対しませんでした」
空「私と竜王は小学生名人を獲ってから奨励会入りしたけど、反対はなかった」
九「その前に名人と大揉めしてたからなんですかね?」
清「それもあるし、将棋界の女性を侮る空気を名人がだいぶ払拭しよったからな。止めるほど悪い空気にはなってないと思ったのもあるんや。二冠は身体が弱いし、そう言うもんが体調に影響する可能性も高いと、お医者さまも言うとったから少しは心配しとったが」
空「確かに……女だから、と言われる事はそんなになかった気がする」
水「二冠が入った頃は私、プロに成りたてですけど……そういう風になっていたのなら、良かったですね」
――清滝一門は家族のように結束が固いですが、だからこその序列等はありますか?
水「一般的な意味の序列的には、私と女流初段は弟子入りが同時期ですが、誕生日の早さで私が一番弟子、女流初段が二番弟子になりますね。女流二冠が三番弟子で、竜王が四番弟子という形になります」
九「家族で言うなら師匠という親が居て、長女次女三女と末っ子長男って奴ですね。女性が多いので割と肩身が狭かった……」
清「長女がしっかり者でまとめ役。次女は家事を預かって、三女と長男は上二人に懐いて、たまに取り合ったりしとりましたな」
空「昔の話ですっ!」
九「いや、今でも割と研究会だのなんだので家に」
空「ぶちころすぞわれぇっ!?」
水「銀子」
空「……はい」
――女流二冠が一瞬で大人しくなりましたね。
桂「うちの一門の頂点はかなちゃんだったりします。皆頭が上がりません」(笑
水「まるで私が乗っ取ったみたいに言わないでくれません?」
清「事実やないけ。家での生活の面倒は次女が見てくれましたが、将棋面でわしに時間が無い時は長女が皆を見てくれとった。意外と世話焼きなんです」
水「今ここで言わないでください……そういうのは本当に、プライベートな時で良いじゃないですか……」
――名人の一面が垣間見えますね。
九「うちの一門は皆家族思いですけど、水鏡さんが一番家族思いですからね」
空「そうね。私達の入会試験の時も、合間の時間で見に来てくれたし。事ある毎に気にしてくれました」
九「当時大学生と棋士の二足の草鞋で忙しいのは間近で見てたんですけど、時間をひねり出すか予定こじ開けて、イベント事には必ず来ましたし」
桂「東京や他の地方に行った時は必ずお土産買ってくるんで、助かったりもしてます」
清「基本的に菓子を大量に買ってきて、半分は自分で食うとりますけどね」
――お菓子好きなんですか?
水「好きですよ? 和か洋で言うなら和菓子が好きですね。タイトル戦のおやつは大体大福を頼みますし」
桂「あんこが好きなんだよね。ただ、歯にくっ付きやすい最中とかはあんまり食べないけど」
清「最近はあいちゃん(雛鶴女流二級)や天ちゃん(夜叉神女流初段)、JS研の皆もうちに来ますんで、お菓子の消費量は多いから助かってはいますわ」(笑
九「俺や師匠も食べる事は食べますけど、あの子達の食べる量と比べると少ないですよね」
空「小学生だから、お菓子には目が無いって事でしょ?」
九「水鏡さんの次によく食べるの、空新四段なんですが」
空「余計な事言うなや」
桂「あらあら」
――皆さんは一門揃って研究会などはされるんですか?
九「研究会というか……コミュニケーション手段の一つが将棋なので、必然的に指す機会は多かったですね。昔は食事の後とかいきなり師匠と水鏡さんが指し始めて、いつの間にかリレー方式で指したりするし」
水「上手下手関係なく持ち回りで指していくんで、自分の手で発展した手を自分で咎めたりしましたねぇ」
空「自分の構想と違う手を指されたりすると途端に言い合いしたり、逆に何でそう指したか考えたら自分の手よりも良い手だったなんて事もありました」
清「後で棋譜を確認しても混沌としとるから、五人が五人とも『何やこれ』って言うたりな」(笑
桂「今やると、あいちゃん達も入ってもっと混沌としそうね」
水「大人数でやると楽しいでしょうけど、収拾つきますかねぇ……」(笑
――関西の指し初め式方式ですか。
水「あれと違うのは、全員で上手も下手も指すんですよね。勝とうとすると、本当に収拾つかなくなるんです」
九「棋風もぐっちゃぐちゃですからね。試しにその棋譜を神鍋七段に見せたら『この
空「でも、自分にはない発想を取り入れるっていう意味ならとても面白いです。どう足掻いても自分だけじゃできない盤面になるんで、発想を取り入れて読む力がつくというか」
清「『この手ってどういう意図なんや?』と普通に聞きますし、説明もせにゃならんので自分の考えを言語化する力もつくんですわ。そう考えると色々と有意義な鍛錬ではあるんやけど」
桂「まともな将棋の鍛錬かって言われると……ねぇ?」(笑
水「完全に遊びですよね。将棋の息抜きすら将棋っていう、訳の分からない状態ですけど」
九「
――何というか、本当に珍しい一門ですね。
清「普通ではないでしょうが、まぁ家族やからこそですわ。全員将棋を生業にしとるから対局や研究は真剣にやります。でも、将棋が楽しいもんや言う事も忘れん為に、それを楽しむ事にも全力やっちゅう感じですね」
――珍しいと言えば、清滝九段と清滝女流初段は父と娘の親子棋士です。他に例がない事ですが、この事についてはどのようにお考えでしょう?
清「そりゃあ、素直に嬉しい。自分の道を一番見てくれてた子供が、自分と同じ道を歩いてくれる……同じ方向を向いていられる言うんは、有り難い事です」
桂「……でも多分、わたしだけだとその道を途中で諦めてたと思います」
清「桂香……」
桂「将棋の時の父はやっぱり厳しかった。それは将棋で糧を得て、将棋の世界の厳しさを知っていたからです。わたしだけだったら、その厳しさにきっと耐えられなかった。耐えられたのは、誰よりも将棋が好きで、その厳しさに歯を食いしばって耐えた親友が隣に居たからだと思ってます」
――だそうですが、水鏡名人。
水「あー……いや、すみません。ここで話振らないでください」(ハンカチを取り出して目元を押さえている
桂「わたしが将棋を好きになったのは父のおかげです。でも、その道を今こうして歩けているのは、かなちゃんのおかげだよ」
水「今ここでそう言う事言わない……!?」
清「なんや金美。桂香に礼言われてるんやぞ」(大号泣
水「……師匠が私の分まで泣いて、涙が引っ込んだんですけど?」
桂「締まらないなぁ、お父さん……」
――清滝九段は女性棋士二名に女流棋士、そして竜王まで育てた名伯楽と言われています。その育て方の秘訣などは、あるのでしょうか?
清「そんなもん、ありはしませんよ。それにわしは、名伯楽なんかやありません。さっきも言うたように、金美の奨励会入りを最初は反対しとった。ホンモノやったら、止めはせんかったでしょう」
水「師匠……」
清「有り難い事に、皆プロになってくれた。金美と八一に至っては、名人と竜王や。桂香も銀子もちゃんと、目指した夢を叶えてくれた。それは決して、わしの力だけで叶えさせたもんやないんです。家族皆で勝ち取ったもんや。誰かが挫けそうなら、他の皆で支える……そんな家族に、皆がなってくれたからこそやと思ってます」
――家族の絆、ですか。
清「もちろん、わしが何もしてないと言う事はありません。わしも自分の兄弟子(月光九段)に頭を下げて、金美に指導対局をしてほしいと言うた事もあります。自分が師匠としてやるべきやと思った事はやってきたつもりですが、それでも本人の努力と周りの支えが一番のもんやと思います」
――皆様はどう思われますか?
水「弟子に努力させるのも、師匠の仕事です。そういう意味では、私は自分の師が清滝鋼介九段で良かったと、心の底から思っています」
清「金美……」
水「奨励会入りを賭けた将棋の時に、私を認めて全力で戦ってくれました。月光会長や生石玉将に頭を下げてまで、私にトップの人と指す機会を与えてくれました。私がプロになる為に辛い事も耐えられたのは、清滝鋼介という棋士の背中を見ていたからです」
九「俺は、地方への普及活動で行った将棋教室で師匠と指してもらって、師匠に憧れて福井から大阪まで来ました。内弟子として師匠の家で生活させてもらって、叱られた事もたくさんありましたけど……俺も、棋士・清滝鋼介が師匠で良かったと、心の底から思ってます」
桂「そもそもわたしはお父さんの娘で、棋士であるお父さんの背中を見て将棋を好きになった。ここまでこれたのはかなちゃんや銀子ちゃん、八一くんが居たからっていうのも否定しないけど、始まりはお父さんが居たからだった」
空「……私は最初、師匠に負けた事が悔しくて押しかけて、でも師匠はそんな私を弟子にしてくれました。寝ても覚めても将棋の事ばかり考えて……皆と一緒に将棋を指す事がいつの間にか楽しくなって……そんな私達をいつも見守ってくれていたのは、師匠でした。今は、感謝してます」
清「お、お前ら……」(大号泣
水「ここで取材に支障が出るほど泣かないでくださいね? 頼みますね? ほら師匠、鼻かんで! ちーんって!」
――まるで父親の介護をする娘ですね。
桂「お父さんも既に『うちの娘だ』って認めちゃってますからね。かなちゃんもたまに『お父さん』って呼ぶんで」(笑
九「名人戦の後の謝辞でも、師匠の事をお父さん呼びでしたからね」(笑
空「カナ姉さんがもし結婚相手を連れてきたら、師匠が『うちの娘はやらん』ってするのかしら……」
九「師匠なら絶対やりそう……桂香さんの時もやりそう」
――そういうお話はまだないのですか?
桂「残念ながらないですねー。かなちゃん、将棋が一番好きなので」
空「周りが男性だらけの世界なんで、きっちり一線を引いてるとは言ってました」
九「昔からの知り合いが多い関西棋士の集まりだと、結構フレンドリーですよ。でもまぁ皆さん、水鏡さんの事は娘とか孫とか思ってる人ばかりです。関東の若手に、水鏡さんに惚れてる奴がいるのは知ってるけど……」
空「……奴か」
桂「彼かー……」
――どなたですか?
九「流石に言えないです」
空「少なくとも、私は認めないわ」
桂「かなちゃんも苦手にしてるしね……」
――清滝女流初段は?
桂「聞かれると思ったけど、まだですねぇ。わたしも今は将棋が一番好きなので」
空「桂香さんが連れてきたらまず私と将棋を指してもらわないと」
九「じゃあその次は俺が指しましょう。多分師匠と水鏡さんも指すでしょうから、全員突破できる人でないと」
桂「それだとわたし、一生結婚出来ないんだけど……」
――好みの男性のタイプなどあるんですか?
桂「あー……かなちゃんが男性だったらまさしく理想だったかも」
九「水鏡さん級が相手だと俺ら全員突破されますよ銀子ちゃん!?」
空「そいつが二枚落ちで指させましょう」
桂「意地でも結婚させない気だ……わたしの事を良く知っていて、家族思いだし甲斐性は言うまでもない。将棋界の事も理解していて……文句のつけようがない」
九「その条件なら俺とか当てはまりませんか?」(迫真
空「おい」
桂「八一くんは弟としか見れないから……そもそも対象外かな。かなちゃんは同い年だし、もし男性だったら真面目に狙ってたかも……」
九「世界はこんなはずじゃなかった事ばかりだ……」
空「馬鹿八一……」
――インタビューでイチャつくの止めてくれませんやろか?(素
九「今ちょっと傷心中なんで……」
空「そもそもイチャついてないし」
桂「そう言えば二人はどこまで進んだの? 教えてよー」
水「人が師匠宥めてる間にどんな話してるんですか……」
――水鏡名人の好みの男性のタイプは?
水「この流れで言うなら、桂香が男性だったら真面目に狙っていたと思います」
桂「へ?」
水「私の事情も仕事も将棋界の事も知っていて、家事は万能。理想的でしょう?」
――名人は相手に家庭に入って欲しいタイプですか?
水「時間があれば私も家事はしますが、今は忙しく全国を回っています。一段落すればまた変わると思いますが、この仕事をしているとどうしても、という感じですね」
桂「あー、確かに。いやそれでも、ちゃんと帰って家事とかするのは凄いよね」
水「雷(祭神新四段)の師匠で、親代わりですから。ちゃんと親らしい事もしませんと」
桂「うーん……やっぱかなちゃん、お父さんの娘で長女だよ」
水「いきなり何です?」
空「ですね。私達のお姉ちゃんです」
九「これからも皆をお願いします、水鏡姉さん」
水「八一にそう呼ばれるのは久しぶりですが、一体どうしたんです?」
清「金美、男が出来たらまずうちに連れてこい。わしの《オッサン流》でまず試したる」
桂「じゃあその次はわたしで!」
空「わかってるわね? 八一」
九「最後の砦は任されましたよ。存分にやってください」
水「その試練、私が全部ぶち抜いてもええんやぞおのれら」
清滝一門の仲の良さが伝わるインタビューであったが、彼らがここまで来るまでに様々な問題や困難があった。それを乗り越えてきたのは偏に、将棋という盤上遊戯で繋がった絆。皆がお互いを想いあう、血を超えた家族としての繋がり。
気がつけば、この家には娘や息子だけでなく孫まで生まれていた。そうやって、将棋という絆で繋がった家族が生まれていく――…そんな将棋の可能性を、この
満面の笑みの五人の家族が写る、一枚の写真が。
最初はかしこまってたのに、皆いつの間にか普段の話し方になるインタビュー。