この虚言の魔術師に王冠を!   作:玉砕兵士

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3話

モンスターの次は悪魔扱いされたマホロアが必死に冒険者達の攻撃を避ける間にアルダープの兵士と事情を知らされたギルド職員がなんとかして冒険者達の誤解を解いてくれた。

 

 

 

 

なんともまぁ間の悪いことに実はアクセルの街の近くの森に上級悪魔が現れて暴れていたらしい。

 

 

それも討伐のためにやってきた魔剣の勇者が敗れて対処するのがまさに絶望的で怒った悪魔が攻めてくるんじゃないかとピリピリしている時にギルド前に堂々と現れたマホロアを遂に攻めてきた悪魔と誤解してパニックになったようだ。

 

 

 

 

ちなみにその悪魔はちょうどマホロアが来た日に奇跡的に討伐されたようで悪魔騒動は無事解決されたようだった。

 

巻き込まれたマホロアとしてはその悪魔に『コンナ時にクルナァ!』冒険者達にも『ボクはモンスターでもアクマでもないヨォ!!』と言ってやりたかったが。

 

 

その後は、いくら見た目がモンスターのようでも疲労困憊の様子のマホロアを見て申し訳なさそうにしていたギルド職員に冒険者登録をしてもらったりしたがその時に本当に大丈夫なのかと聞かれたのは別の意味もあるがそれはまた別の機会に話そう。

 

他にも悪魔と間違えて遠慮ない攻撃をしてしまった冒険者達は流石に見た目モンスターにしか見えないマホロアに謝る勇気はなかったようだ。それでも冒険者達はマホロアを申し訳なさそうな目で見送っていた。そんなこんなで宇宙船ローアへフラフラと帰っていった。

 

 

 

「………ナンダカ今日はショウカンされたり、コウゲキされたりろくな目にあってないヨォ。」

 

そう呟いてほとんど倒れるようにベットに飛び込むとすぐにスヤスヤと眠り始めた。

 

 

 

翌日

 

 

 

「コレはマズイネェ。………キノウも大変ダッタケド、今日もロクデモナイ日になりそうだヨォ。」

 

マホロアは宇宙船ローアのメインコンピューターに映し出された画面にあまりの事実に絶望しかけていた。

 

 

その画面には

 

 

『ハルカンドラ NO LINK』

 

 

基本的にローアは行き先が決まらなければ自動航行をしたり、目的地が決まればそこに登録して向かう物だ。

 

マホロアはハルカンドラをもちろん登録してある。自分の目的であるマスタークラウンがある星なのだから。

 

どんなに遠く離れても必ず向かう事ができるようにと、しかし画面は何度見ても『NO LINK』

 

つまりマホロアはたとえ宇宙船ローアを直したところで、ハルカンドラへと帰ることが出来なくなってしまったのだ。

 

それはマホロアが壊れたマスタークラウンを修復するための手段を限りなく失ってしまったに等しかった。

 

 

 

 

昨日散々な目にあったマホロアが、起きたのは太陽が真上にのぼったお昼頃。ぐっすり眠ったマホロアは昨日は外へと出たせいで散々な目にあったんだ。そうに違いないと考えると今日は一日ローアで過ごそうと固く決断し、今やる必要はないがハルカンドラへの航路を確認しておこうとコンピューターを操作していた時にハルカンドラへと行くことが出来ない事実を認識したのだった。 

 

 

 

 

何度も言わせてもらうが行けないのである。

 

 

 

 

これがまだ『ERROR NO FLY』ならまだ救いはあった。これはただ単純に飛行する事が出来ませんと示しているだけなのだから。

 

パーツがバラバラになって無くなっているのは墜落する様を見せつけられたマホロアと墜落したローア自身が飛べないのは一番よく分かっている。

 

これは行けるけど飛べるようにパーツを集めろという事だからだ。解決策はこの星に散らばったパーツを集めて飛べるようにすればいいだけである。

 

 

 

 

若干寝ぼけていたマホロアが『NO LINK』を見て完全に覚醒してまさかと慌てながら他に行った事のある星から有名な星まで片っ端から調べていくがその全てがことごとく『NO LINK』という残酷な表示しか出てこない。

 

考えられる可能性としてはメインコンピューターの故障。

 

しかしこれは真っ先に除外される。なんと言ってもこのマホロア自身がローアの修理を完全に行ってすぐのことなのであり得ない。

 

そして次に考えられる可能性は最悪だが、これしか無いとマホロアも思っていた。

 

何せ日付も大きく変わっており、自分が認識していた1ヶ月近くも進んでいたのである。

 

何か事件か、事故でも起きてなければおかしいというものだ。

 

 

 

 

別次元の宇宙に自分は飛ばされてしまい。ローアをそれに呼び込んだという事だ。

 

 

 

 

マホロアの考えた仮説はこうだ。

 

マスタークラウンを手に入れるため、ハルカンドラまで異空間(アナザーディメンション)を通って向かっていたが何らかの原因不明の事件又は事故が起こり。異空間(アナザーディメンション)に別次元の穴が出来てしまいそこに何故かは分からないが自分だけ入ってしまったという事だ。

 

 

だがそれもおかしな話だとマホロアは頭をひねる。

 

 

ローアごとではなく船内にいた自分だけ別次元を通っているのもおかしいところなのではあるが。

 

そもそも別次元というものが開くこと自体があり得ないレベルの話で全くもって聞いた事がなく、もし開いたとしてもわざわざそんな所に飛び込む事も無いし異空間(アナザーディメンション)に異常が発生した時点でそこから脱出するのが当たり前なものなのだ。

 

異空間(アナザーディメンション)は移動にもマホロアが戦闘にも多用するほど便利な物なのだが、相応に危険がつくものだ。

 

 

 

そこでまたマホロアはウンウンと唸っていたが、ふと自分が最近日課になりつつある手に持って魔力を流し込んでいる物(・・・・・・・・・・・・・・・・)にマホロアの目が止まった。

 

 

 

記憶を喪失した自分の近くにあった無限の力を持つハルカンドラの秘宝マスタークラウン。

 

 

パズルのピースが組み合わさり、虚言の魔術師マホロアの高い知能が真実を導き出し始めていた。

 

 

マスタークラウンを手に入れた自分は、何らかの目的で戦いを仕掛けてきた相手と異空間(アナザーディメンション)で戦闘を行い認めたくはないがそれに自分が敗北したのだろう。 恐らくはここでローアも敗北している。

 

そうでなければマスタークラウンが壊れているという理由がつかない。

 

そして壊れたマスタークラウンを使って最後の反撃に出たのか、逃げようとしたのかはどうでも良いとして、壊れているのに気付かずにか力を込めてしまいマスタークラウンが暴走して別次元の穴が開いたのだ。

 

こうして自分だけしかも別次元の宇宙のどこかもわからない星に辿り着いたのだろう。

 

記憶喪失もその頭にかぶっていたマスタークラウンの暴走であるのだろう。こうして考えてみると暴走した力が別次元の穴を作るのに全力を傾けていたことは幸運であった事を知り記憶喪失だけで済んでよかったと今更ながらにマホロアは冷や汗をかいた。

 

 

 

こうして記憶喪失の自分と半壊したマスタークラウンが出来上がり、訳の分からない状況に混乱した自分がローアを呼び出して終わりというわけだ。

 

 

 

こうして考えるとローアを呼び出せたのだから元の場所に帰る事も可能なのではないかと思えてしまうが、あくまでもこれは例外のような物でマホロアがローアを呼び出したから実現したのである。

 

ローアはマホロアのSOS発信を追跡して別次元の宇宙にいるマホロアのもとに向かったのであって目的地が分からない、手がかりすらない場所へ向かうことはそれこそ誰かがマホロアを助けるために呼ばないと出来ないのだ。

 

そして誰も自分を助けようとしてくれる事も無いだろうとマホロアは断言して言える。

 

 

これは言わずもがな虚言の魔術師の因果応報というべき物だろう。

 

 

 

元々1人だったので助けてくれなくても良いのは……まあ良しとしよう。

 

問題はこのままではマスタークラウンに地道に魔力を流し込むにせよ途方もない時間が必要だ。

 

本当に直るかもどんどん自信が無くなっていくマホロア。

 

昨日は外に出てロクな目に合わなかったが、今日はローア船内でロクでもない現実を知ってしまうことになるとはマホロア自身も思いもよらなかった。

 

そんな足元が音を立てて崩れていくような感覚にマホロアは茫然自失となってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

よし!気分転換にアクセルの街へ行こう。

 

 

 

 

『これは外に出て行く訳ではない。最終的な目的地がアクセルの街であって外ではないから最初の朝の決断を曲げているという訳ではないのだ!』という無茶な理論を誰に聞かせる訳でもなく心の中で唱えてマホロアはローアから逃げるように飛び出していった。

 

 

「ヤッパリ!シラナイ場所はイイネェ。珍しい物でイッパイだヨォ!」

 

大通りをフワフワと浮きながら若干はしゃいだ様子のマホロアは周りの住民からギョッとされたりして注目の的となっているが比較的友好的だ。

 

昨日のギルドの騒動と宇宙船の墜落という不幸な生い立ちが宣伝された事もあって、みんな同情しているようだ。

 

露店に出ている食べ物や、何でもないような装飾品を見ては子供のようにはしゃぐ様子を見ていると微笑ましく思えてしまう。

 

 

 

「ドウセダシ、何かヒトツお腹もヘッタシ買ってみようカナァ。」

 

と財布を持って、今まで持っていたお金が使えないことに気づくマホロア。

 

「オットそうだった、ギルドに行ってエリス硬貨とコウカンしなくっちゃいけなかったヨォ。」

 

 

人通りの多い道から、ふわふわと高度を上げて空からギルドを目指して飛んでいった。

 

 

 

 

 

「コレはとても価値の高い指輪ですねマホロアさん。」

 

「マァボクは宇宙人だからネェ。ギルドの人から見たら珍しいものでもボクにとっては路銀集めの道具にしかすぎないヨォ。」

 

目がお金のマークになっているギルド職員から宝と交換してもらったマホロアは大量のエリス硬貨が入った袋を持って早速何か注文しようと近くにある椅子に座る。

 

 

 

 

「よぉ〜!宇宙人君!」

 

とメニューをめくろうとしたマホロアの席の前にくすんだ金髪の男が前に座りながら話しかけてくる。

 

 

「ンン?ナンダイ。キミは?」

 

「俺の名前はダストってんだが、見たところアンタが昨日から噂で持ちきりになってた宇宙船のパーツを探してる可哀想な宇宙人だな。」

 

「ソウダヨ。ボクの名前はマホロア!これからヨロシクネェ。…もしかして宇宙船のパーツをミツケテくれたのカィ?」

 

「いいや残念ながら違う。だけど俺はこの街を牛耳ってる裏の顔役みたいなものだからな。まあでも俺様に頼めば直ぐにでも見つけてやるぜぇ」

 

 

 

なんだか言ってること全部胡散臭いけど……いいこと思いついたヨォ。

 

ジーッと見つめるマホロアにダストは内心でいっぱいお金持ってるこいつから飯代だけでもせびろうと考えていた。

 

 

「ソウナンダネェ!キミはこの街の顔役さんナンダネェ。ダスト!」

 

「そうだぜ、この街の顔役のダスト様なんだぜ!まあ、続きは飯でも食いながらにしようぜ。」

 

 

 

そう言ってダストは早速注文を取ろうとウェイトレスに

 

 

「このバカダスト!あんた何やってのよ。」

 

「シュワシュって痛!何すんだよリーン!?今せっかくこいつから飯を奢れそうなところだったのに邪魔すんなよ!」

 

「あっ、あんたって奴は初対面相手の人に本当に……とにかく早くこっちに来なさい。」

 

「あっちょっ、髪を引っ張るなって。やめろ!」

 

「うちのバカが本当にご、ごめんなさいねぇ。そ、それじゃあねぇ。」

 

 

いきなり現れてそして去っていったダストとリーンをキョトンしたような顔で見送ってからウェイトレスにマホロアはおすすめのカエルの唐揚げを注文した。

 

 

 

 

 

 

 

 

暫くリーンに引っ張られていたダストはギルドから離れたところでようやく解放された。

 

 

「イタタっ。俺をハゲにするつもりかよ!俺が誰に飯を奢ってもらおうと別にいいじゃねぇか。」 

 

「そもそも誰かにたかろうとしてんじゃないわよ!あんたって本当にクズね。それはともかくとしていい?あのマホロアに絶対に借りを作っちゃダメよ。」

 

「はあ?それってどういうことだよ??」

 

「マホロアが冒険者登録した後見人があのアルダープなのよ。」

 

「げぇぇ。あの豚領主か!アイツが後見人になるなんてアクシズ教に入信するぐらい俺は嫌だぞ……いや、やっぱりどっちも最悪だわ。」

 

 

アルダープのよくない噂を思い出してうえぇと言った顔をするダストにリーンは続ける。

 

 

 

「どういう経緯でマホロアの後見人になったのかは分からないけど、誰よりも金にがめついのに宇宙船のパーツを探すクエストで報酬まで出してるのよ。あのマホロアって宇宙人は一体どんな手を使ったんでしょうね?」

 

「嘘だろ。あのアルダープがか?」

 

「嘘みたいだけど本当よ。マホロアは結構フレンドリーっぽいけどあのアルダープが無償で人助けをするような奴じゃないから、マホロアを傷つけたりマホロアに借りを作るような事をしたらアンタだけじゃなくパーティーにまで迷惑かかるかもしれないんだから今度から気をつけなさいよね。」

 

 

 

 

 

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