マーマーマホロアーカワイイーナー
アクセルの街のギルドに急行したマホロアであったが、その時丁度カズマ達は湖の浄化の為のクエストに出発していた事をマホロアはギルド職員から知りパーティーに入ったのに梯子を外されたような気分ではあったが、今から行っても間に合わないだろうと簡単に諦めた。
数日前の乱闘寸前の騒ぎにあれだけ仲間に入るために力を入れていたにはドライな反応を見せるマホロアに職員も?を少し頭の上に浮かべていたようだったが、合理的な判断をする所は他の冒険者でもあるにはある事ではあったために直ぐに仕事へと戻っていった。
「マッタク失礼シチャウネェ、このボクに内緒でクエストに行っちゃうなんてイジワルなことをスルナァ。」
口では怒ってはいるもののマホロアは今アクアに会ったら何かのきっかけでまたイライラするような展開は今後を考えると致命的なミスになりかねなかったので冷静な時間は長くて良いに越したことは無いのである。
とまぁカズマ達に会いにきたはいいものの、相手が不在というタイミングの悪さにこれから何をするかを考えながらフワフワと所在なさげにギルドのシャンデリア辺りまで浮かんでいくのを周りからナニやってんだ?と変な目で見られて注目が集まりつつあるがまるで気にならない気にしないと言った我関せずのマホロア。
ぶっちゃけ最初の頃にモンスターと一方的に決めつけられて襲われていた頃を思えば、彼にはなんて事ないからだ。
目立つ事も今は落ち着いているが、生まれは宇宙彼方のハルカンドラでこの星以外の知的生命体として注目の的である事に変わりはないし、今は考え中で視界に入ってきても思考は中断しない。
暫くすると浮いているマホロアに慣れ始めてきたのか、職員や冒険者達の注意も酒やクエストボードに戻っていった。
マホロアも次に行くべき所に目星がついたのか、そのある場所に向かう為に換気のために開いていた2階の窓より飛び出して行く。
マホロアが飛んでいくのを見失わないように、正確に飛んでいく方角を見て1人の
それをマホロアはもちろん。
騒がしい喧騒の中で周囲の冒険者達も気にも止めず、それを気にする事もなかった。
マホロアの飛び立ったところ。
それは小さな魔道具店。
無論マホロアが目をつけたのだ。ただの何処にでもあるような魔道具店ではないし始めて街に来た際にアルダープの従者を質問攻めにして得た前情報ではこの街では売れそうにない高額な商品や軽い水害を引き起こす簡易トイレに、モンスターから愛する人を守る為にそのネックレス型の魔道具に魔力を込めると愛する人も周りも全て巻き込んで自爆する本末転倒染みたマジックもとい呪いのアイテム等を仕入れてる変わり者。
当然にして初心者冒険者が多いこの街で無駄な買い物は出来るはずが無いし、買おうとするほどの財のある者は貴族ぐらいで街中にそう都合よくいるわけがない。そもそもの効果からして役に立つどころの話ではないデメリットしかない魔道具ばかりである。
そんな産廃でしかも高額な魔道具を仕入れている為に常に貧乏であると言われている。
ここまで聞くと商才のないどころか頭が残念な人なのか呪われているのかと疑いそうな残念な店主と思われるが、元凄腕の美人冒険者で昔は氷の魔女と言われていたらしくアクセルの街では頼りになる存在らしい。
ここまで聞いていたマホロアの感想としては、失礼にも氷属性の力が強すぎて自分の財布を寒くさせてるんじゃないかと冗談半分にも思ったが心の中だけで呟くに留めておく。
「コノ星で勇名を馳せたスゴウデのアークウィザードネェ…マァ、どれだけの傑物か?それとも唯の貧乏人か?テンサイのボクがミテアゲヨウジャナイカ。ハナシを聞く限りでもアブナイヤツデモ無さそうだしネェ。」
そんなこんなで向かった先はアクセルの街の大通りから少しだけ外れた小道にある隠れた老舗っぽく見える小さな魔道具店。
その名も『ウィズ魔道具店』。
一見すると話に聞いていたほどに貧しくなさそうに見えるが、繁盛もしてないと言った感じだ。
マホロアはやや年季の入った扉のドアノブに手をかけて押すとリンリンと軽い鈴の音が広くはないが小さくもない店の中に響いていく
店の中は道具の大まかな種類自体が少ないせいか整理整頓も行き届いており、清潔さがあった。
その奥から『はーい』と女性の声とパタパタと軽い足音がマホロアに聞こえながら姿を現す。
「いらっしゃい…え!?ど、どなたって言うか明らかに人間じゃない!??」
(ショウガナイかもしれないけど、失礼シチャウ反応ダネェ。)
「ヤア!ヤア!ボクの名前はマホロア。キレイなお店に美人な店主サンダネェ!見ての通りニンゲンじゃ無いけどモンスターでもないヨォ!」
マホロアを見てギョッとした様な顔を出す長い茶髪のおっとり美人店主の出現と久しぶりな反応をされても慣れた様子で無害かつ愛想を振り撒くアピールをするマホロアに毒気を抜かれたのか、とりあえずは元々おっとりとした性格なウィズも落ち着ちつきお詫びに紅茶をサービスしてくれた。そこで紅茶を出された席でマホロアは自分の身の上話(ウソ)を美味しい紅茶とサービスで出てきたクッキーを齧りながら饒舌に語った。
「…とマァ、ボクはまたいつか旅に出る為に船のパーツを探してるんだヨォ。もしボクの船のパーツを見つけたらスグにヨンデネェ!モチロンお礼だってするヨォ!」
「そうだったんですね。ギルドの人や街の人からお話は聞いていましたが咄嗟に忘れてしまいまして、さっきは失礼な事をしてしまってごめんなさいマホロアさん。私はてっきり魔ぉ…あ、いや、やっぱりなんでもないです。」
「??…ウーン?……そういえばここは魔道具店って聞いたけどいったいナニを売ってるんだい?」
「はい!私のお店は小さいですけれど大通りにある他の魔道具店に負けない位の良い商品があるんですよ。マホロア様!」
(…様?)
気になる発言は後回しにしておいて、なんとなしに振りかけた話題を聞いて急にかしこまってキラキラしだした目をしたウィズは近くの棚からヒョイと魔道具を取るそんな様子の変わったウィズにマホロアが違和感を覚えながらも、ウィズは商品をテーブルに置く。
「これなんか如何でしょう?アクセルの街の他のお店には出していない最高純度の魔力を持ったマナタイトでこんなに凄いものは王都でしかお目にかかれないような逸品なんですよ!」
「オォーウ?たしかにソレはスゴい逸品ダネェ。」
ウィズがテーブルに出したものはたしかにアクセルの街ではお目にかかれないほどのマナタイトだ。
マホロアもショーウィンドウ越しにそれを見掛けていたし、ローアの中にもサンプルとして安い物をいくつか持っているので存在は知っている。
命懸けのクエストを受ける冒険者やこと魔法使いにとっては魔力の枯渇を避ける為にも、一度きりではあっても頼れる道具があるのとないのとでは冷静な判断を下す為にも切り札的な物はあるに越したことはないのだ。
しかしウィズが出したマナタイトは王都でしかお目にかかれない程の純度。その純度が高いということは比例していや、それ相応に値段も高くなるものだ。
「デモさぁウィズ、王都デ売ってる位のマナタイトってスッゴイ高いって聞いたんだけどコレって幾らくらいナノォ?」
「…お一つ1000万エリスになりますが命に比べればいえ、冒険者にとってはきっと必ず何処かでここぞという時に役立つ逸品だと思います!」
このようにべらぼうに高すぎて、決して初心者冒険者の街であるアクセルでこんな大金はたいて買える代物ではない。
幾らマホロアでも例外ではなく他の店で買った安い物と比較してもマスタークラウンを復活させる頃には余裕で破産するし、たとえ方々から金を借りて復活した後に借金を踏み倒して支配なんてとても現実的ではないし何よりマホロアのプライドがそれを許さない。
「ソンナ高額なモノ買えるわけないヨ!モシいたとしてもこの街で買おうとは思わずに王都へ買いに行くに決まってるヨォ。」
「アウ!…でで、でももしかしたら王都で活躍している通りすがりの凄腕の魔法使いや剣士の方がこれを見つけたら買ってくれるって売ってくれた商人の方が言ったんです!」
「キミ自身が売れると考えた訳じゃないのカイ!!ソンナおみくじ感覚でウレル訳ないヨ。というかボクってまだ一度もクエストになんか受けてないのによくこんな高いのよく売ろうと思ったネェ」
「それは…たた、確かにマホロア様の言う通り商人の人の言う事を鵜呑みにしてしまったのかもしれませんね。でも次の商品は自信がありますよ!昔はこれでも高名な魔法使いとして名が売れていた私の勘が売れると確信した物なんです!!」
(ハナシには聞いていたけど、さっきのでもうケッコウ不安だナァ。)
「聞くところによるとマホロア様は宇宙船のパーツを探しているんですよね?なかなか見つからない探し物ならこれがぴったりな商品になります!!」
そう言って自信満々にウィズが次にテーブルに置いたのは一昔前に作られたような古い瓶底メガネように見えるが耳にかける部分が黒に近い緑色の羽がついているようになっており、唯のメガネでは無いと言うことはわかるがその力まではなんなのか分からないといったものだ。
「……。」
(ローアの為なら即買っちゃってもイイけどマナタイトの話を聞いていた手前なんか心配ダヨォ。トイウカ、さっきから妙にサマ付けでボクの事呼んでくるのも一体なんなんダロウ?)
「これは自分の失くした物を頭の中にイメージするとその物が何処にあるのか少しの間だけ映してくれるんです!とっても便利だと思いませんか!」
自信ありげなウィズを気にかけることなくジーっとテーブルに置かれたメガネを見ながらコレを買うべきか確かめる為にマホロアはウィズに軽くカマをかけてみる事にした。
「ワーオ、確かに失くしたモノが何処にあるのかワカルのはとっても便利だとオモウヨォ!さっきのマナタイトは買わないけどウィズの勘は当たるヨォ!ちなみにだけどコンナとってもスゴい魔道具だけどボク、タクサン魔力を使っちゃうのはイヤダナァ。」
「大丈夫ですマホロア様!魔力なんて消費せずに使えちゃう素敵な商品なんです!デメリットといえば何を失くしたのか忘れちゃう事ぐらいなんです!!」
「致命的な欠陥ダヨ!!何を失くしたのかすらもワスレルなんて失くす前より状況がワルクなってるジャナイカ!!」
「あ、でもでも忘れないように紙に書いておけば大丈夫ですよ!…たぶんそれにマホロア様程の資金力ならもう一つ買って忘れた事を忘れないようにすれば解決します!」
「サイアクのループにハマっちゃってるヨ!…ていうかさっきから妙に様付けで呼んでたケドもしかしてギルドでボクが大量にお金を持ってるッテハナシを聞いたのカィ?」
「そ、そんなことは…ないですよ?」
疑わしげに見つめるマホロアの目から逃げるようにウィズは視線を逸らして否定しているが、ウソをつけないウィズの素直な性格故にバレバレの態度をとってしまっている。
それを見たマホロアは商人のくせに先程のような明らかな産廃を買って100%の善意で売ろうとするわ、お客であるマホロアに腹芸の一つもできないとはと、呆れたようなそれで良いのかと逆にウィズを心配してしまうぐらいには目の前の元凄腕魔法使いはお人好しで騙されやすく善良な性格だと思った。
こんな性格では、子供騙しの詐欺にでも引っ掛かってしまいそうなぐらいに心配になってしまうぐらいだ。
ソウソレは例えるならば壊れたウチュウ船に乗ってやってきたカワイソウなボクのウソを信じてボクからのお願いをダマサレツヅケテ際限なく聞いちゃうぐらいには♪
ニヤァ
腹の中で腹黒い企みを練り上げながらも表面上は先程からジトーっとした目でウィズを見続けられることについに根を上げたのかはたまた赤字続きの火の車な店の状況で目の前に垂らされた一本の細い蜘蛛の糸に縋ろうとしているのか
遂に涙目で失礼を承知でマホロアの両手を掴んでくる必死そのもののウィズにはマホロアの心中等分かるはずはなかった
これからお互いに多少の縁を結ぶことになり、後にこの店の従業員となる悪魔と時に熾烈に時には協力しながらアクセルの街で商売をすることになるが虚言の魔術師と氷の魔女の初めての邂逅はまずは虚言の魔術師が優位に立ったのは語るまでもないことだろう。
ウィズは美人!