脇役系主人公は見届ける   作:祐。

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第40話 アフターストーリー -Disaster strikes編-

 稲富発のバスが龍明に到着し、自分は合同作戦のメンツと共にその地へ降り立った。

 

 久々の龍明。そんな気がして、自分は思いっきり背伸びしながら龍明の海を眺めていく。

 のだが、そんな自分の横腹をつんっと突いてきた菜子によって、「へょぁ」なんて情けない声を出してしまう。これに少女が「なにそれウケる」と言って悪戯な笑みを見せていたものだったから、自分は「もう奢ってあげないから」と返答して悪戯し返したりしたものだ。

 

 こんな自分らがわちゃわちゃしている間にも、後ろのバスからは何でも屋達が続々と降りてくる。自分とよく似た反応で地面に足を着けたラミアやレイラン、オキクルミ。彼女らも故郷に帰ってきたかのような爽快感あふれる表情で町を見遣っていく中で、皆の様子もお構いなしに横を通り過ぎていくユノが、電子タバコを片手に距離を置いて佇んでいく。

 

 次に、タイチとビオラが降りてきた。ネィロへの報告を行うという名目で訪れた何度目かの龍明に、タイチは凝りもせず「やっぱ、いつ来ても面白い町だな!」と目を光らせて、ビオラを呆れさせていたものだった。

 

 そして、渋々と降りてきたレイジと、その彼の背を無理やり押して歩かせるチシカの図。特にチシカは初めての龍明ということもあるのだろうか、地面に降り立つなりレイジをドカッと押し出していくと、有り余ったテンションのままに彼女は背伸びしながらセリフを口にし始める。

 

「うひゃあーーーっ!! ここが龍明なんやなぁーっ!! なんやなんやっ、ウチ龍明なんて何も無い田舎町やろなんて考えとったけれど、なんや思うとった以上に空気がウマくて綺麗なトコやんけーっ!! 雨風に晒されとるレンガの歩道も、目ぇつくトコ全てこないにピッカピカによう清掃されておって、ほんまごっついでっ!! 意識高いなぁっ!! 第一印象サイコーやっ!!」

 

 そう言いながら、レンガの地面を指で擦り始めたチシカ。それに感動して頬ずりまでするものだったから、さすがに自分もなんて返事しようか言葉を濁らせてしまう。

 

 尤も、彼女の反応にオキクルミはだいぶ満足そうだった。自身が愛する町を褒められることの嬉しさからだろう、彼はチシカを隅々まで案内することを提案したりして、それにチシカが陽気に乗ったりなどして、どこか似たようなテンションを持つ二人が和気藹々と話していくその様子。

 

 この脇で、レイジがものすごく居辛そうな顔を見せていた。

 そうしてワイワイする集団から、こっそり抜け出そうと他所へ歩き出すレイジ。足音も立てないよう気を払いながら背を向けて数歩とコツコツ歩いていくと、すぐにも背中へ飛び掛かってきたチシカに、レイジは思わずと怒り出す。

 

「っ!! なんだてめぇ!」

 

「そんなつれないコト言わんとってーっ!! 今日は、合同作戦の振替休日やでっ。せっかくの貴重な貴重なお休みやねんから、ゾンビのあんちゃんも精いっぱい、龍明を楽しむ努力でもしたらどうやっ!!」

 

「俺には俺の過ごし方があんだよ。邪魔をするな! それと、ゾンビのあんちゃんって呼び方どうにかならねぇもんなのか!」

 

「ええやんかっ、ゾンビのあんちゃん。なーんも間違っとれへんやろ??」

 

「人をゾンビみたいに言うんじゃねぇ」

 

「はいはい、いちいちやかましいねん。そないなこと言うとる暇あるんやったら、ウチと龍明観光でも楽しまへん?? ——それと自分、案外エエ顔しとるやないか。ウチめっちゃタイプやねん、こーいう男臭くてクールな性格したあんちゃんコトっ。なんやエエ身体もしとるし背ぇ高いのもごっつ好みやし、ウチ、ゾンビのあんちゃんコトもっと知りたい思うとる」

 

「バカを言うんじゃねぇ」

 

「あぁっっ!?!? おいコラ誰がバカやねんっ!?!?」

 

「うおっ」

 

 べたべたに引っ付いていたチシカが、突如と激昂するなりレイジへと怒りの蹴りを放っていく。それを彼が感覚で避けてから距離をとって警戒していくその最中にも、チシカは犬のようにグルルルと威嚇しつつそのセリフを放っていったものだった。

 

「ウチに向かってバカ言うんは禁句やでっ!! 次言ったらケツの穴から大腸引きずり出して、その大腸で自分の首を絞めながら両目かっぽじってその目ん玉食わせたるっ!! あんちゃん死なへんなら問題ないやろっ!! 何なら今からしたろかっ!? あぁっ!? クール言われて図に乗ったら容赦せぇへんっ!! この色男っ!!」

 

「あ、あぁ……っ?? 脅すのか褒めるのか、どっちかにしろよ……」

 

 怒鳴るチシカに困惑するレイジ。だが、彼女にとってバカという言葉が禁句であることは、念頭に置いといた方がいいのかもしれない。

 

 ともかくとして、チシカが落ち着きを取り戻した辺りにでも、一同で町長室に向かい出したものだった。

 今回の合同作戦のメンバーで、ネィロに報告しに行こうというタイチの提案の下、とても和やかな雰囲気でこの龍明を歩いていく。チシカも先ほどまでの怒りを忘れたかのようにレイジへとアプローチを行っていっては、男好きのビオラもそれに乗っかって女性二人でレイジを困らせていくその光景。

 

 だが、二人の誘惑に対しても、レイジは素っ気ない態度ですべて受け流していたものだった。

 これもきっと、亡くなってしまったという恋人に対する誠実さなのかもしれない。一途を貫き通すレイジは、ビオラに胸を押し当てられようとも、チシカが意図的にへそや下半身を触らせてこようとも、彼は一切と相手にせず、ただただ居辛そうな顔で一同と共にしていく彼の調子。

 

 ……恋人の仇。先日にも出くわした被検体の男のことを思い出しながら、自分もこの輪に混ざって歩を進めていたその時のことだ。

 

 町長室が近付いてきた。あと数分でも歩けば、その建物が見えてくるだろう。そんな龍明の中心部である、店が建ち並ぶ憩いの街道を皆で進んでいく途中にも、自分と菜子、あとはラミアやレイランが、目の前から歩いてくる一人の青年に反応を示していった。

 

 アレウスだ。何だか、彼と会うのは久々のように感じられる。それを思って自分らがアレウスへと呼び掛けていくと、彼もまた、寡黙なサマで手を振って反応を返してくれる。

 

 尤も、アレウスに対してとびっきりの反応を見せたのはビオラだった。全てにおいて好みどストライクという彼女がアレウスに気が付いていくと、そんなアレウスは、うわっ、といった何とも言えぬ顔をしつつ口元を引きつらせて、振っていた手も次第と小さくしては控えめなサマを見せてきたものだ。

 

 そして、初対面であろうレイジとチシカも、彼の存在に気が付いて見遣っていった。

 ビオラと近しいものがあるのであろうチシカもまた、アレウスに対しては「なんや?? あのエエ男は」と好感触。レイジもアレウスの顔をじっと見ていくと、次第にも彼の足は緩やかと速度を落としていって……。

 

 ……立ち止まった。

 これに、自分は振り返る形で彼の顔を見たものだ。……しかし、その時にも目撃したレイジの表情は、とても穏やかと言えるものではない、深刻な憎悪を思わせる陰りを落としていて——

 

 ——懐へ回した右手。そこから拳銃を取り出すや否や、レイジは躊躇いもなくアレウスへと発砲し始めたのだ。

 あまりにも突然な出来事。響く銃声で皆が振り返る頃にも、放たれた一発の弾丸はアレウスへと到達して、それは敢え無くと弾き返されていく。

 

 無から取り出した刀。そこから引き抜いた刀でレイジの弾丸を防いだアレウスが、驚きと警戒が合わさる様子見の目で彼をうかがい出す光景。

 と、次の瞬間にも、レイジは自身のこめかみへと銃口を向けて、引き金を引いていったのだ。こちらも同様に躊躇いなく弾を撃ち出して自身を撃ち抜いていくと、即死であろう彼が倒れ込む途中にも出現した死神が、アレウスへと飛び出していく。

 

 その死神もまた、怒り狂うドクロとなってアレウスに襲い掛かったものだ。発出されるようにして飛び出してきた死神の急接近を前にして、口から取り出した死神の鎌でアレウスの命を刈り取ろうと豪快に振りかぶってくる。

 

 だが、彼もまた刀を収めていくと、そこから僅かながらの精神統一の後、瞬時にして迸った六つほどの斬撃が、行き来する形で彼の目の前に出現したものだった。

 

 次の時にも、鎌の薙ぎ払いは無機質な防壁によって完全に防がれた。

 鎌が食い込む、形容し難い輝きを放つ“実体化した斬撃”。これが死神の攻撃を無効化していくと、アレウスはそれを思い切りと蹴飛ばして、押し出すように前方へと放っていく。

 

 これによって、死神は実体化した斬撃の壁に押し込まれる形で吹き飛ばされていった。

 尤も、この程度の衝撃なんてもろともしないだろう。ドクロから光らせた赤い目がアレウスを見据えて滞在し続けるその様子。だが、直にして死神が薄っすらと姿を消し始めていくと、その頃にも肉体が再生し終えたレイジの起き上がるサマと共にして、彼は怒りに満ちた低い声音でセリフを口にし始めた——

 

「……薄々と感じてはいたもんだ。“あの男”が生き永らえている現在(いま)、“てめぇ”もまたこの世で、何食わぬ顔して平穏な日常を送っているのかもしれねぇ、なんてな……!!!」

 

 不死身の体質。撃ち抜いた自身の頭を押さえるようにしながら立ち上がったレイジの、殺意にまみれたその眼光。

 だが、そうしてアレウスを睨みつける彼へとタイチが近付いていくと、「おい」とレイジに声を掛けるなり、振り向いた彼の頬へと容赦の無い拳を食らわせたのだ。

 

 その力は、間近にいたこちらにさえ届いてくる衝撃。この威力で殴られたレイジが地面に倒れ込むと、タイチは馬乗りになって彼の胸倉を掴んでいきながら、眉間に迸らせた血管と共にレイジへとセリフを掛けていく。

 

「ふざけるなよ。おまえ、自分がしでかしたこと解ってんのか。あァ!?」

 

 力任せにレイジの上半身を持ち上げるタイチ。だが、レイジもまたタイチに対して殺意を向けていくと、次にも彼はそのようなことを言い放ってきたのだ。

 

「あぁ解っているさ。俺は、生き甲斐である仇への復讐を実行したまでだ!!!」

 

「復讐、だと?」

 

 と、タイチを払うようにして強引に退けたレイジ。これにタイチが地面を転がって体勢を立て直していく最中にも、起き上がるレイジはアレウスの顔を真っ直ぐと見つめ、この場の全員の耳へ届かせるような声でそれを説明し始める。

 

「百年以上も前になる。当時の俺は、独裁国家によって統治された国に住む、至って平凡な暮らしを送る最下層の一般市民だった。そこでは常に、貧困に苦しめられる惨めな生活を強いられた上に、独裁政権によって定められた条例によって、最下層である俺ら市民は、国家の人間に逆らうことを固く禁じられていた。——この独裁国家のことを、“アンチエスパー”とでも呼ぶとしよう。こいつは当時でも、実際に改名されたれっきとした国名で、現在においても、忌々しき歴史として学問で取り扱われているほどのビッグネームだ」

 

 独裁国家アンチエスパー。淡々と語り出したレイジのサマと、その彼のセリフを耳にした途端にも、アレウスはひどく怯えるような表情を見せて目を伏せていく。

 

 だが、レイジはセリフを続けたものだ。……アレウスをしっかりと見遣っていきながら。

 

「アンチエスパーの軍団員による熾烈な嫌がらせは、もはや日常茶飯事だったもんだ。主にストレスのはけ口として散々と利用された俺らは常に傷だらけで、その上にろくな食事も認められず、ゴミ箱を漁る薄汚いネズミの肉が、俺らにとってのご馳走だった。そんな生活が途方も無く続く、そんなある日のこと。その日もアンチエスパーの軍団員に散々と痛めつけられて、やり返すことも許されねぇ惨めな気持ちで街の路地裏を彷徨っていた時だ」

 

 殺意に満ちた声音に混じる、僅かながらの穏やかな低音。

 

「……激しい暴行の末に、路地裏に捨てられていた、アンジュという女と俺は出会うことになる。そいつは後に、俺の愛人となる奴だった」

 

 レイジに力ずくと退けられたタイチが、立ち上がりながらもレイジへと訊ね掛けていく。

 

「アンジュだと? その名前、ナチュラル・セレクションの時にも口にしていたな」

 

「そいつのことだ。そのアンジュと俺はすぐにも惹かれ合って、直にも共に過ごすようになった。——それからの生活は、それほど悪いもんでもなかったもんだ。どんなに痛めつけられようともアンジュという存在が俺の支えになり、アンジュもまた、俺を支えにして日頃の暴行に耐え忍んできた。……力で支配された世界の中で、俺らは共に支え合い、そして、もしも、この独裁政権が戦争に敗れでもして終わりを告げた際にでも、俺らは夫婦になれるんじゃないかなんていう冗談を交わしていた、そんなある日のことだったな」

 

 回顧に思いを馳せるレイジの、とても穏やかで切ない瞳。しかし、それも直に憎悪で光を失っていくと、次にもレイジはアレウスを見据えて、その続きを語り出していく。

 

「独裁国家アンチエスパーに、新たな条例が追加されやがった。そいつの内容は、“パートナーの存在を禁止する”もの。恋人をつくることを禁止とし、結婚も国が許さず、既に夫婦である人間は全員、処刑された。その、新たに追加された条例によって俺とアンジュは身柄を拘束されると、直にも投獄され、離れ離れとなってしまった」

 

 一息おいて、レイジが続ける。

 

「だが、俺は死に物狂いでそこから抜け出し、何ならいっそ、アンチエスパーという呪いの大地から脱走してやろうと思い立って、隙をうかがい牢獄から脱出し、アンジュの奴も救い出した。そこから俺らは、軍団員に追われながらも二人で国中を駆け回り、アンジュと協力することで実現した変装や偽造によって、国外へ通ずる橋を下ろすことに成功し、あとはそいつさえ渡れば、アンチエスパーからの脱走が叶うというその時のことだ——」

 

 憎悪で震えるレイジの身体。抑え切れぬ怒りが両手を握り締め、今もガチガチと歯を鳴らしつつ、眼前の“彼”を見据えていく。

 

「——まさに、今の状況のように……ッ! 当時の目の前にも、刀を携えた“あの野郎”が姿を現した……ッ!!! 異能力なんぞ“当時には無かった力”だが、それでも奴の剣戟を掻い潜ることが叶わず、あと一歩というところで、俺とアンジュは捕まり、その場で処刑されたんだ……!!」

 

 ……激昂で顔を歪めるレイジ。その感情が本物であることが誰もが理解できる彼の様子と、それに思い当たる節があるのだろうアレウスが、ただただ申し訳なさそうに俯いて佇んでいたものだ。

 

 すぐにも、レイジがアレウスへと怒鳴り出す。

 

「アンジュを殺しやがった野郎は、てめぇの後ろにいた一般兵だったな……!!! 逃げるアイツを槍で一突きにして、倒れ込んだアイツに向かって、十数ものトドメを刺しやがったあの野郎……!!! だが、てめぇが殺したのは、この俺だったな……ッ!!! なァ、覚えているかッ!!? てめぇ、驚いていたよなァ……!!! どんなに切り刻んでも肉体が再生する俺を見て、てめぇ、仰天したような顔をしていたよなァ……!!? あァそうだよ!!! 俺もな、てめぇに殺されたことで初めて知ったんだ!!! 俺の肉体が、不死身であることをな!!!」

 

 熱が入り、一歩踏み込んでいくレイジ。この動作にすぐさまタイチが彼の襟を掴んで引き留めていくのだが、レイジはそのセリフを止めることなくアレウスへと浴びせ続けていく。

 

「そして、てめぇに殺されたあの日から、俺は年を取ることもなくなった……ッ!!! つまりだ!!! 俺はてめぇに殺されたあの日から百年以上もの間!! 寿命を迎えることもできず!! 死ぬことでアンジュの下へと向かうことも許されず!! 俺はずっと!! アンジュのことを引き摺ったまま!! この“呪われた体質”によって!! この世界に囚われ続けているんだよ!! ——てめぇが直々にアンジュを殺ったワケじゃねぇ。だが!! そのキッカケをもたらしたのは、てめぇだ。直接的じゃねぇが、てめぇもアンジュの仇として、いや、その元凶として、最も憎らしいと思っていた」

 

 タイチの抑制を振り払おうとするレイジ。

 

「だから放しやがれッ!! 奴は本来、“忌々しき独裁国家に属していた軍団員”として、その報いを受ける形で死すべき存在ということだ……ッ!!! そいつを、俺がやる……ッ!! この手で奴を殺さねぇことには、俺はアンジュの墓に顔を向けることもできやしねぇ!!!」

 

「待て、レイジ!! おまえが攻撃を仕掛けた理由にも、おれは納得できた! だが! おれの知るアレウスは、そんな独裁国家なんぞに従っていたとは思えないほどの、町の人間のことを第一と考えていて、困っている人がいたら絶対に放っておくことなんかもできずに、どんなに自分が苦労するような頼み事であっても必ず引き受けて全力で解決にあたってくれるような、そんな独裁的な片鱗など全く以て見せなかった、とても善良な何でも屋だ!!」

 

「だから、他所のギルドタウンに対してどうしてそんな詳しく把握してんだよ! てめぇはどっち所属の何でも屋だってんだッ!!!」

 

「どっちだっていいだろ!!」

 

「良くねぇだろッ!!!」

 

 わたわたわたわた……。

 真剣な雰囲気で、いつもの掛け合いが始まるその空間。これに一同が言葉にできない感情を抱いていく中で、押さえ付けられるレイジへと言い聞かせるように、タイチがそれを口にし始める。

 

「レイジ! 頼むから聞いてくれ! 確かに、アレウスに対する憎しみの気持ちはよく分かった!! だが、アレウスに復讐するにしても、先の話におれは、どうしても不自然な点があるように思えてしまう!!」

 

「あァ!? だから何だってんだッ!!!」

 

「それは、百年以上も前のことなんだろう! で、レイジが百年経っても、その当時の姿で生き残り続けている理由にも納得した!! ならば——“アレウスもどうやって、この百年を、そのままの姿で生き延びた”というんだ!! そんな歳月が経過していれば、アレウスも既に年寄りかなんかで、既に寿命を迎えていても何らおかしくないぞ!」

 

「…………」

 

 ……タイチのセリフを耳にして、レイジは次第と動きを止めていく。

 確かに、それは疑問だった。百年経過してもなお当時の年齢を維持できているこの現象も、レイジが持つ不死身の体質によるものなのだろう。

 

 だとしたら、アレウスもそうなのか……?

 そもそもとして、特殊な体質というもの自体のメカニズムが、未だ詳しく判明していないこの現状。タイチの静止にレイジがアレウスを睨みつけていくこの様子に、タイチは一旦と彼を説得するようにそれを提案し始める。

 

「どうしても今、アレウスに復讐を果たしたいのか!? しかし、アレウスの身元も未だハッキリとしていないこの状況で仲間殺しでもしてしまえば、レイジ、おまえは罪に問われて刑務所送りになるんだぞ!! そんな状況にでもなってしまえば、おまえの復讐はまたしばらくとおあずけになる!! ——おまえが服役中に、未だ残り続けている仇が事故かなんかで死んだらどうする!? おまえは、自分の手で復讐を果たせなくなるんだぞ!! ……愛した人を死に追いやった人間を、自分の手で断罪できなくなることは、おまえ自身が望んでなんかいないんじゃないか!?」

 

「……てめぇ、自分が何言ってんのか自覚してんのか? 俺からしても、てめぇの説得は相当ぶっ飛んでるぞ」

 

「だからどうした! もし、どうしても目の前のアレウスに復讐を果たしたいのであれば、レイジ、ひとまずはギルドファイトで済ませておけ!! それで、勝った時の条件で一旦、アレウスを合法的に追い詰めればいい!!」

 

「てめぇ、マジでどっちの味方か分からねぇな……」

 

 思わず、汗を流したレイジの様子。

 だが、タイチの提案でレイジは一旦と落ち着きを取り戻していくと、次にもアレウスと向かい合うようにしながら、レイジはそのセリフを放っていったのであった。

 

「……てめぇも知る通り、俺は死ぬことがねぇ。つまり、俺は何度でも地獄から舞い戻ることができて、幾らでもてめぇを追い詰めることができる。せいぜい、素性が公にされるまでの日々を噛みしめながら生きるんだな。——てめぇがアンチエスパーの軍団員であることが発覚して、敵対勢力として無力化が正式に許可されたその日には、俺がてめぇをぶっ殺して、その首を手土産にアンジュの墓参りに行くからよ」

 

 

 

 【1章6節:Disaster strikes ~END~】

 

 【1章7節:必要悪】に続く…………。




 低評価ついてモチベ無くなったので更新お休みします。
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