アズールレーンの異端者(はぐれもの)たち   作:睦月透火

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アンケート結果です。
セレスティアル港に駐留する主人公の部隊には、元レッドアクシズ所属のKAN-SEN達も居ます……ゲームプレイヤーならお察しの通り。

今回は前話の作戦で、指揮官が不在となっている間の
KAN-SEN達の様子を見てみましょう。



第5話 セレスティアルの居残り組

『ねぇ加賀……指揮官様は何処に行かれたか分かる?』

 

『先日の偵察で、特殊KAN-SENの出現兆候があったとの事で……自ら指揮を執って出撃しています』

 

 赤い見事な和服に身を包む、赤茶色の獣耳と九尾を持った黒髪の女性と……似たデザインで色違いの青い和服を着た、白い獣耳と九尾の女性が和室に繋がる縁側で話している。

 ……2人は重桜出身の「赤城」と「加賀」だ。

 

『そんな……せっかく今日は良い天気だから、雑務を手伝って空いた時間に()()()()()()()()()()()をご賞味して頂こうと思ってたのに……ハァ……』

 

 明らかに落胆の色を隠せない赤城のため息……何を置いても指揮官と自分本位である彼女の思考は時折常軌を逸したりするが、基本的には仲間思いで優しい性格である。

 姉である赤城の落胆ぶりに、妹故の優しさだろうか……加賀はこう続けた。

 

『大丈夫ですよ姉さま。少し前の定時連絡で、帰路に就いている事が分かっています……その菓子が日持ちするなら、予定を明日にすれば良いのでは?』

 

『……明日には戻られるの? なら確かにその方が良いわね……ありがとう加賀。

 うふふっ、明日は指揮官様と……♪』

 

 皆さんなら既にお分かりでしょうが、主人公(プレイヤーの)陣営の赤城はこういう感じ……なお、セレスティアルには赤城をはじめ指揮官が好き過ぎてお気に入りを自称し、あわよくば左手薬指の指輪(または既成事実)を得ようと事ある毎に画策(実力行使)するいわゆる「()()()()()()()」が揃っている。

 

 ……無論、広義的に言えば他陣営出身にも(白目)。

 

──────────

 

 ココで少し、我がセレスティアル駐屯地についてもう少し詳しく説明しよう。

 

 以前にも話したが、セレスティアル島そのものはかつてアズールレーンの前哨基地として機能していた。

 島の東側にあるセレスティアル港と、中央部に広がる旧産業エリアを中心に……北には元軍事港があったものの崩壊しており、今は演習場となっているエリア、南には砂浜とそこから中央部に向かって併設された居住区……西側は未開発の原生林が広がる周囲約30km程の島だ。

 未開発とは言うが、最初は観光地だったものを前哨基地としたものだから、西側の原生林も島の外縁部付近は人の手が掛けられており、島の外周には整備されたサイクリングロードが走り、護岸工事で補強された場所もある。

 

 居住区にはテーマパークに併設された宿泊施設みたいなホテルっぽい建造物と、重桜や東煌の意匠に近い和風な建造物が左右に分けられて連なっており、どの部屋も日当たりや風通し、騒音対策が考慮された造りとなっている。

 生い茂る緑や、趣味に走れる庭付き一戸建てが多い居住区には主に重桜や東煌……ホテルっぽい方にはロイヤルや鉄血陣営などが主に使っている。

 なお、基本的には個人でどちらの区に自室を儲けるかは自由になっており、ユニオンでも自炊をしたいが為に一戸建てにした者や、重桜出身でもホテル並の利便性を求めたりした者も居たりする。

 勿論、出身違いでいがみ合いなど無く、お隣さん同士はかなり仲が良い……つまりこの島は、何かと恵まれた環境が整えられているのである。

 

──────────

 

 しかし問題は、その日の夜の事だった……

 

『『指揮官様は()()』です! 貴女などには渡しませんわ!!』』

 

 お互いがお互いを認めない……その強い意識が滲み出た言葉と共に、2人の和服の女性が相手を罵り合う。

 1人は昼間に指揮官を誘おうとして予定が合わなかった赤城……もう1人は大胆に着物を着崩し、ちょっとギリギリな格好をしている女性……「大鳳(たいほう)」だ。

 

『大鳳、貴女のその格好は指揮官の目の毒です! そんなに指揮官に気に入られたいのならもう少し弁えなさい!!』

 

『貴女こそ、指揮官様に常日頃から付き纏うその行為……世間ではそれを「すとーかー」と言いますのよ? 貴女こそ弁えなくてはいけないのではなくて?』

 

 其々がそれぞれの目に余る行為を糾弾し、()()()()()()()()()()止めるよう言うが……その言い方は完全に喧嘩腰である。

 

『会うたびに喧嘩とは、よくも飽きないものだ……』

 

『本当にゃ……指揮官の為とか言うけど、実際は相手が気に入らないだけにゃ』

 

 同じ重桜出身である「高雄」と「明石」は、赤城と大鳳のキャットファイトを遠巻きに眺めながら2人してそう溢す……それ程までにこの2人のバトルは日常茶飯事なのだ。

 

『またお前達か!? いい加減にしろ!!』

 

 開口一番、その怒声と共に2人の間に割って入り……

 

『きゃんっ』

『いったぁ~い』

 

 問答無用の鉄拳制裁で赤城と大鳳のバトルを強制終了させたのは……

 

『おー、さすがは大先輩……問答無用なのにゃ』

 

『あの見事な一撃……さすがは2人を止められる数少ないお方だな、三笠殿は』

 

 重桜の古参にして初期の戦艦……皆からは敬意と畏怖を込めて「大先輩」と呼ばれる「三笠」である。

 

『まったく……お前達は2人とも()()()()()(ムジナ)だと分からんのか? 大鳳、お前は今夜の夜回り当番だろう? こんな所で油を売ってて良いのか?』

 

『……あっ』

 

『赤城もだ……昼間のユニオンとの合同訓練の報告書がまだ届いておらぬと、陸奥様が探し回っておったぞ?』

 

『……あ……』

 

 指揮官の事となると周囲の事がどうでも良くなるという共通の弱点……そしてその事による()()()()癖のせいで、指揮官の業務を滞らせる事はお前達の本意ではあるまい? と、付け加える三笠……そしてその言葉に、一瞬で血の気が引いた赤城と大鳳の顔は、激しい後悔と叱責を予想した絶望の表情であった。

 

『も、申し訳ありません! 今すぐに届けに向かいますっ!?』

『わ、私も急ぎますので失礼致しますわっ!?』

 

 絶望の未来を何とか回避しようと、慌てて場を後にする赤城と大鳳……

 

『普段はしっかりしているのに……指揮官が絡むと途端にポンコツにゃ』

 

『大鳳もだな……もう少しだけ、己を律する事に気を付ければ良いものを……』

 

 その後、大鳳は鬼気迫る表情で定期的に回る近海区域を偵察し、偶然にも遭遇した量産型のセイレーン艦隊を単艦で相手取りほぼ無傷で完全撃破……赤城もまた、徹夜で詳細を丁寧に纏め上げた理想レベルの報告書を提出……後に2人はそれぞれ、指揮官から直々に褒められたのであった。

 ……なお、その時の2人の表情は完全にデレッデレ。

 大鳳に至っては最早ア◯顔と見紛う程であったとかないとか……

 

──────────

 

 喧嘩の翌日、世話好きKAN-SEN達が新たに旗下へ加わるであろう者達の歓迎会を企画……

 

 朝イチの定時連絡により、指揮官率いる艦隊の到着は昼前で確定となった為、昼食のグレードを宴会レベルに引き上げ、各寮の腕自慢達が得意分野で分担作業を行い……会場や料理、その他演出を組み上げている最中だった。

 

 

『……宴の準備は順調のようですね』

 

『そうじゃな……新参の者達は、やはりまた……』

 

『はい、件の()()()から迷い込んだ者達……との事です』

 

『そうか……アレは未だに健在、か』

 

 準備中の者達とは別に動き、会場を下見しながら言葉を交わすのは、重桜出身の者達の実質的頭として振る舞う「長門(ながと)」と、その側近「江風(かわかぜ)」……

 特異点とは所謂『世界の歪み』のようなもので、セレスティアルに所属している鉄血勢によって発見され、今も調査が続行中……現在分かっているのは『あの空間の歪みは、別の世界と断続的に繋がったり、切り離されたりを繰り返している』『繋がった世界からは「何か」が出入りしている』の2つだけ……

 

 現状、「特殊KAN-SEN」と括られるアークエンジェル達もこの「特異点」から来たとされており、代わりにこのエリアのセイレーンの観測頻度が、この「特異点」観測直後から目に見えて激しく上下していた。

 

 ……現在はセイレーンの活動そのものが低下しているのか、特異点の調査に割かれているのかは不明だが、滅多にセレスティアル近辺で目撃や観測はされていない。

 

 ちなみに、アークエンジェル達がセレスティアル所属となった頃から、この島には異世界技術による超長距離の観測機器が導入されており、主に鉄血勢が管理を担っている。

 

『グラーフ……お主は今回の件、どう捉えていると思う?』

 

『……あの特異点の問題は、根深いと予想はしている。それこそ、セイレーンよりも厄介な問題を抱えている可能性が高い……』

 

 同じく宴の準備を視察しに来た鉄血の長、グラーフ・ツェッペリンに気付き……グラーフもまた自分の隣に来たので長門は話を振った。

 一応、セレスティアル所属の者達の大半は()()など些末事としか思わず、単なる「出身地」程度にしか考えていないので、個人としての仲は良い者が多い。

 

 かつて陣営の頭を張っていた者同士(長門とグラーフ・ツェッペリン)も、こうやって話す機会は多いのである。

 

『だが特異点の問題は、厄介ではあろうが大事には至らぬと考えている……我としては少々、楽観的ではあるがな……』

 

『……ほぅ、それは何故?』

 

『1つは彼女達の存在……セイレーンよりも遥かに浸透性の高い異世界の技術、あれは恐らくあちら側の人類が組み上げた技術だ。彼女達の持つ艤装や能力は今でこそ解析中や未知の技術とはいえ、将来的に我々自身にも活かせる……その上、頭打ちに近かった我々の世界の既存技術に、爆発的な進化をもたらす筈だ』

 

『……ふむ』

 

『2つ目はセイレーンの動向……特異点の発生後から、セイレーンの活動自体は目に見えて減っている……奴等が何を企んでいるかは定かでは無いが、特異点の存在は奴等にとってはイレギュラーの筈だ。

 もしコレが奴等の想定内ならば、ここまで静かなのは逆に納得出来ん……』

 

『……うむ……』

 

『……最後に、指揮官の存在だ』

 

『……なんじゃと?』

 

 予想だにしなかった理由に、長門の顔が僅かに変わる……グラーフ自身もこの理由には思う所があるらしく、少し表情が険しかった。

 

『アークエンジェル達の能力……今でこそ我々も把握こそすれ、我々の常識から大きく逸脱したあの力を、指揮官はさほど熟考せずとも的確に指示を出すし、その結果我々の予想を上回る形で状況を覆し、勝利している。

 ……あの即決力と豪胆さ、如何に確たる戦力分析や情報があったとしても普通では有り得ん』

 

 会場の飾り付けを行う重桜駆逐艦達を茂みから盗撮……インディペンデンスに現行犯逮捕されていくアークロイヤルを尻目に、グラーフ・ツェッペリンは長門にそう語った。

 

『それは……』

 

 それは長門自身も腑に落ちなかった事……指揮官は未知である筈のアークエンジェル達の実力を初期の頃から正確に把握しており、セイレーンとも異なる技術を用いた彼女らの艤装や能力にさほど驚く事なく接している。

 アークエンジェルとドミニオンだけは、セレスティアル再建前からの付き合いがあったとされているので納得ではある……が、問題なのはその後に合流してきた異世界出身KAN-SENの場合だ。

 

『妾も腑に落ちなかった……だが、確かに指揮官の懐は広い。それこそ、我々レッドアクシズの者すら身に抱えながら、次々と異世界出身のKAN-SENを見つけ従えている……斯くも恐ろしいまでの器量よな……』

 

 長門自身も轟沈する直前で救われた事がきっかけで身を寄せる事となり、色々と複雑な心境だが、今更ながら指揮官をどうこうしようという気はなく、むしろ彼のやる事ならば……と、皆を焚き付ける程指揮官を信頼している。

 グラーフも同じく、救われた事による恩は一生に等しい……と、手勢を連れて陣営を出奔して来た為、彼以外に仕える気は皆無だった。

 

『我等が指揮官ならば、この問題も容易く解決するだろう……その為にも、我々が事の子細を早く掴まねば……』

 

『気負うなよグラーフ、妾はお主も信頼している故……我等が指揮官の許し無く消えるでないぞ?』

 

『フッ……その言葉、そのまま返すとしよう。長門、貴女もな』

 

『ふふっ……あいわかった』




かる~くこの世界が持つ特異性を語ったけど、どうかな?
あと、赤城と大鳳のキャットファイトは本当に日常茶飯事……

本作の登場艦は1度でもゲームにて運用経験があり、お気に入りにした子がほとんどですわ……
ちなみにウチはラフィーが初期艦、初嫁艦はエンタープライズであります。

本作に足りないものは何だと思いますか?

  • コラボ艦によるハチャメチャ
  • 物語の確信に迫るシリアス
  • ヤベンジャーズが巻き起こす問題
  • ジャンル問わずの海戦シーン
  • セイレーンとの本格的な抗争
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