チートギアス ~反則のルルーシュ~   作:ベルゼバビデブ

10 / 31
第十話です。


第十話 紅蓮舞う、橙散る

<サイド:ルルーシュ>

 

「なぁルルーシュ。このディートハルトとかいうブリタニア人についてだが、何故こんな面倒なことを?やってる事はただの自作自演だろ?わざわざこんなことしなくてもお前のその記憶があれば実行できたんじゃないか?」

 C.C.の言う通り、これはただの自作自演だ。しかも、情報を確かめたいだけならジェレミア達から流して貰うだけで良い。そこにディートハルトを挟む必要はないのだ。但し、ディートハルトを引き入れる為なら必要が生じる。

「黒の騎士団はそれなりに入団条件が厳しいからな。実績が必要なんだよ。」

「そう言うものなのか」

 現在、多くの団員を抱える黒の騎士団だが、その半数は既にブラックリベリオンに向けた潜伏と戦力増強に当てている。残りの実行部隊は言わば精鋭だ。そんな中ブリタニア人のディートハルトの入団許可を出すにはそれなりの実績が必要と言うわけだ。

 

 ナリタ連山に辿り着いた後のブリタニア軍による包囲、状況は同じだ。但し、この場にC.C.は居ない。仮にスザクと敵対し、敗北すればそこまでだ。だが、覚悟を決めなければならない。そうならない為にスザクを説得し、戦力も整え、対策を練ってきた。

「ゼロ、完全に囲まれてしまっているが…これも君の計算通りなんだろ?」

「あぁ、その通りだ。扇。」

 扇をはじめとする団員達の目には意志を感じる。自分達が日本を変える。日本を救うのだと。

「今回も我々の勝利だろう!君達が私を信じてくれれば!」

「なら、今回も勝利で決まりだな。」

 だからこそここでもう1手打たねばなるまい。

「さて玉城、君にしか頼めないとっておきの仕事があるのだが?」

 

 黒の騎士団を使って集められる情報は集めた。ニーナに協力してもらい計算も詰めた。やれる事は全てやった。

「我らの道、ひいては日本を解放する未来への道を切り開くのは…カレン。君だ。」

 分かりました。と敬語で短く答え、大きく息を吸うのが聞こえる。

『外周伝達!』

 カレンの乗る紅蓮弐式の無骨な右手…輻射波動装置から放たれる輻射波動が地中に埋め込んでいた装置に伝播すると、程なく地下水脈を爆破する。軽く地表を吹っ飛ばし、溢れた地下水と巻き上げられた土とが混ざり、土石流を形成する。この俺の基本戦略である足場崩しだ。土石流はみるみるうちに戦場を飲み込む。規模は前回よりも小さいが、被害は十分だ。今回参加している黒の騎士団は玉城を除き既に練度を上げた精鋭部隊。俺の仕込みもある、イレギュラーが無ければ負けるはずが無いのだ。

 だからこそ、C.C.…うまくやれよ。

 コーネリアを討つための移動中、スザクからの電話が鳴る。

「スザクか?毎度毎度ブリタニア軍ってのは暇なんだな。羨ましいよ。」

『…この土石流は君がやったのか。』

 スザクの声は確信した物言いである。その声を聞けば怒っているのだと分かる。

「そうだ。ブリタニア軍も、日本解放戦線も纏めて生き埋めだ。」

『これが君のやり方なのか!?無駄に被害を増やして!答えろルルーシュ!』

「…俺を討つのか?スザク。」

『当たり前だろ。戦場では君を倒させて貰う。でも…』

 一瞬通信が詰まる。携帯電話越しでもスザクが息を吸っていると分かる。

『出来れば僕と会敵したら降伏して欲しい。友達を殺したくは無いから…』

「出来れば見逃してくれるとありがたいんだがな。俺達、友達だろう?」

『それは出来ない。君には罰を受けて貰う。』

 強い口調で否定される。残念だと返し、通信を終える。目標地点までもうすぐだ。これでスザクからの心象はニュートラルに…いや、軽くマイナスか。もう少し受け入れてくれても良いんだが、やはりあいつは優しすぎる。

 

 

<サイド:ジェレミア>

 

 オールハイル・ブリタニア!帝国臣民たる読者諸君、ご機嫌よう。私はジェレミア・ゴットバルトその人である。身内から出た恥たるキューエルの粛清を済ませ、身内から裏切り者を出した責任として辺境伯の地位を返上し、それからは再びナイトメアの腕で武勲を挙げていった。喜ばしい事に親愛なるコーネリア殿下から功績を認められ、このナリタ攻防戦においては親衛隊の次にコーネリア殿下のお側に控えるという名誉を頂いた。しかしながら、おのれゼロ!どんな手を使ったかは分からぬがこの土石流、どうせ奴の奇策だろう。幸い殿下が巻き込まれる事はなかったが、ダールトン殿の安否は不明だ。しかし!あの忠義の漢ダールトン殿であれば必ず生きて帰って来てくださる筈!それまでは親衛隊と協力し、コーネリア殿下を御守りせねば!

 それでは皆さんもご唱和下さい!オールハイル・ブリタニア!

『ジェレミア隊!前方から黒の騎士団が接近している。前方の部隊は既に突破された、貴殿の活躍を期待しているぞ!』

「お任せ有れ!この私、ジェレミア・ゴットバルト…ご期待には全力で!!」

 

 前方から来る敵ナイトメアフレームの内、先頭を走る頭の装飾が異なるサザーランドは指揮官機だろうか?ならばゼロが乗っているはず!忠義をお示しするにはまたと無い好機!

「見直したぞゼロ!自ら先導する気概は良し!だが!」

 一撃目は大型ランスの投擲、これをスラッシュハーケンで迎えるゼロだが、そんな物では止められぬ!スラッシュハーケンによる軌道のズレと回避行動をもってしても右腕を穿つ事に成功する。更に予めランスに括り付けたスラッシュハーケンを巻き取りランスを回収する。

「どうだゼロ!これが忠義の力だ!」

 とは言え今のは一度限りの虚を着く奇策。二度は効かぬが見せる事に意味がある。予想通り敵は警戒している、ならばこそ!

「受けよゼロ!忠義の鉄鎚を!」

「!」

 ランドスピナーと地面に刺したスラッシュハーケンを巻き取る事による本来のサザーランドのトップスピードを越える高速移動、これには反応しきれまい!

 ランスの薙ぎ払いで首を狩る。片手では次の一撃は止められまい!ランスの石突で胴体を貫く。

『チクショ〜!なんで俺はいっつも!!』

 聞こえた声はゼロのものではなかった。私は勘違いしていたのだ。考えてみれば当然の事…あの狡猾にして卑劣なゼロが、隊の先頭でこれ見よがしに指揮官という外見の機体に乗り、馬鹿正直に向かってくるはずが無いのだ。騙された。つまりは全てゼロの計算通り、この位置はまずい!

『ジェレミア卿!』

 心配そうな我が同士、ヴィレッタの通信を受けもしやと思い振り返ると、見慣れぬ赤いナイトメアフレームが巨大な右腕を今まさに此方へと伸ばしている最中だった。距離を取ろうにも背後にはナイトメアフレーム部隊、頼みのヴィレッタ達は何故か左右からの挟撃を受けている。まさか、まさかまさかまさか、黒の騎士団にこれほどの戦力があろうとは。

「不覚ッ!おのれゼロォーーーー!!!!」

『今まで殺された日本人たちの恨み!ここで返すッ!』

 ガシリと掴まれ、逃れることができない。ならばとランスで払おうとするが、背後からの射撃で両腕が破壊される。

『弾けろブリタニアァ!』

 瞬間、味わったことのない感覚が全身を襲う。な、何だこれは!

『ジェ…ミア…!脱…を!』

 おぉ、ヴィレッタ!敵に襲われながらも仲間を気遣うその心、実に見事だ。だが、だが!ここで退く訳にはいかない!

「出来るか!目の前にゼロが!ゼロがいるのだ!コーネリア殿下の為にも…」

 突如アラーム音が鳴る。忌々しい脱出機構のオートだ。

「オートだと!?ふざけるな!まだ闘える!こんなところでぇぇぇぇ!!!」

 突如、体の中の何かが弾ける音がした。

 

 

<サイド:ルルーシュ>

 

 計算通り、囮の玉城を良い感じに使い戦場から排除する。多分玉城は俺が身を呈してゼロを守ったんだぜとか言うだろうが、そんなものは放っておけば良い。

『ぽぺっ…』

 ジェレミアから聞こえた最後の言葉はなんとも間抜けな言葉だったが、今までの働きご苦労だったと言っておこう。彼には一度退場してもらわねばならない。しかし、敵ながら中々の動きであった。いい演出になったと言えるだろう。ただ、今度やり直せるならジェレミアを黒の騎士団に取り込むという手もあるな。…いや、説明が難しいか?まぁ、仮定の話はもう良い。速やかに次の動きに転じねば。

「カレン、前の部隊は左右の部隊に任せ我々はコーネリアを取りに行く。」

『分かりました。』

 

 移動中、C.C.からの通信が入る。

『ルルーシュ。私だ、例のモノを回収して予定地点にて待機中だ。これからどうすれば良い?』

「良くやったC.C.!俺のことは心配するな、お前の部隊はそのまま潜伏中の黒の騎士団に合流して次の指示を待て。ところで、丁寧に扱ったんだろうな?」

『問題ない。私はC.C.だぞ。しかし驚いたな、シャーリーの父親を回収しろとは。さてはあの女に惚れたか?』

「フン、バカを言うな。」

 C.C.の部隊に命令したのはフェネット氏の回収。シャーリーに誘われたあの日、俺はシャーリーの家族とディナーを共にした。分からなかったのが何故あの日ブリタニア軍が包囲するナリタ連山にフェネット氏がいたのかと言うことだ。軍が包囲したら避難勧告を出すに違いない、街にいれば避難できたはずだ。それが知りたかった。シャーリーに聞いてもパパの仕事は良くわかんないと言われる始末、だからこそニーナに協力を乞い、必要最低限の土石流になる爆発規模を何度もシミュレーションした。まさかサクラダイト埋蔵に関する調査関係者とはな…おおよそ開戦前に山に調査に入ったのち、避難勧告を聞いた時には手遅れだったのだろう。だからこそディナーで、酒の入ったフェネット氏にそれとなく仕事の計画を聞き、山のどの辺にいるのか当たりをつけ、C,C.の部隊を向かわせたのだ。失敗してもC.C.は不死身なので少数の団員を失うだけで済む。更にサクラダイト埋蔵に関する調査員で有れば、情報の重要性から手荒な真似をさせない理由になる。

「C.C.…今回の作戦、お前の動きは実に重要だった。」

『それはゼロとしてか?ルルーシュとしてか?』

 そんなことは考えるでもない。公私混同も甚だしい。

「ルルーシュとしてだ。助けたいから助けただけだ。これは…俺のワガママだ。」

『そうか』

 だからこそ言わねばなるまい、ワガママを聴いてくれたこの魔女には言わねばならないことがある。前回もこの山で言ったあの言葉だ。

「C.C.…ありがとう。今回の件も、ギアスの事も」

『ふっ…礼を言われたのは初めてだよ。これはお礼を返してもらわなければな…』

 また名前でも呼んで欲しいのだろうか?意外と可愛いところが…。いや、違う。嫌な予感がする。この女は…

『ピザ20枚だ。極上の、耳にソーセージの入ったやつがいい。そうだな、チーズもたっぷりと乗せてもらおう。20枚だぞ。』

 

「ええい!いい雰囲気が台無しだぞ!このピザ女!!!」

 




〜言い訳〜
サザーランドの戦闘法は勝手に考えました。矛盾点には目をつぶってください。あと、位置関係なんかもボヤけてますが、お許しを

ジェレミアくんが地味に読者に話しかけてますが、気にしないでください。

二週目ルルーシュがシャーリーパパの救済をしないはずがないんですよ。もちろんこの行動のせいで今後の展開が苦しくなるんですけどね、いや、ルルーシュじゃなくて私が。

毎話最後に(半ば無理矢理)入れている「ピザ女!」byルルーシュor「この飲んだくれ!」byカレン)について、正直…?

  • 面白い。今後も続けてほしい。
  • 面白い。でも二度とやるなクソが。
  • 面白くない。でも今後も続けて欲しい。
  • 面白くない。二度とやるなクソが。○ね。
  • 普通。好きにして欲しい。
  • どうでもいい。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。