チートギアス ~反則のルルーシュ~   作:ベルゼバビデブ

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第十九話


第十九話 神の島の空で

<サイド:ルルーシュ>

 

『記録にしてあげる。』

 放たれるハドロン砲をギリギリで躱しつつ、残りのハーケンを牽制に使い接近する。ガウェインは近接戦を苦手としているが、それはあくまで苦手というだけ。砲戦仕様のナイトメアという意味ではガウェインも目の前のラウンズの機体も同じである。苦手同士であればガウェインの方がリーチが長いという点で僅かながら優位だ。C.C.に指示を出し、空中で中段蹴りを放つ。ブレイズルミナスに弾かれたため、ダメージを与えることはできない。

「その機体、接近戦は苦手なようだな!」

『…お互い様』

「動かしてるのは私でお前はふんぞり返ってるだけだろうが」

 スラッシュハーケンと蹴りを交えた攻撃は予想以上に効果的であり、いずれもブレイズルミナスに弾かれるものの、確実にエナジーを削り取っていると言えた。

「これでチェックだ!」

 散々の接近戦でエナジーを削った、このタイミングでハドロン砲を使う。多少拡散してしまうが距離を詰めた状態ならば十分なダメージが入るはずだ。

 

 結果だけで言えば、ラウンズにダメージを与えることはできなかった。理由は時間切れ、つまり…

「スザク…!」

 どうやら既にフロートシステムは完成したらしい。放たれたヴァリスを回避する為にハドロン砲を中断し、ラウンズから距離を取る。

『それに乗っているのは…ゼロか!その機体を返してもらうぞ!』

 空中でも相変わらずの動きで放たれるランスロットの蹴りはガウェインの素人キックとは訳が違う。仕方なくランスロットに向けて収束しきれていないハドロン砲を放ち、距離を取る。ランスロットはブレイズルミナスで防いだようだが、今のガウェインはラウンズの機体からそれなりの距離を空けてしまった形になる。

「C.C.、ハドロン砲が来るぞ!」

「そうは言ってもだな!」

 回避行動をとりつつ再度ハドロン砲を放つ事で多少軌道を逸らしギリギリで回避する。しかし、続いて来るランスロットのMVSはハーケンの指でなんとか防ぐが、空中で大きく姿勢を崩してしまう。

「クソッ…!こんなところで…!」

 必死に次の策を考えるが、この状況を打破する方法が見当たらない。片手のハーケンは既に破損済み、今のMVSでもう一方も使えず、頼みのハドロン砲は有効打に足り得ない、運動性能も劣り、機動力も完全に上回っているとは言い難い。つまりは詰んでいる、何か、何か逆転の一手を打たなければ…

 

 すると、思考に潜る意識を叩き起こされるかのように一つの通信が入る。

『ゼロ!私が出ます!』

「カレンか!?しかし…」

 潜水艦で待機させているカレンからの通信だった。調整が終わったのだろうが、今更空を飛べない紅蓮が来たところでどうにかなる状況では無い。更に潜水艦からここまではそれなりに距離があるのだ。とても間に合わない。

『大丈夫です!私を信じて下さい!』

「…!分かった、信じようその言葉。」

 いずれにせよこのままでは敗北する、それならばカレンを信じるほかないだろう。C.C.に時間稼ぎを指示し、カレンの到着を待つ。そう長くは持たないがそれまでにカレンが来てくれることを祈るほか無かった。

 

 

<サイド:カレン>

 

 撤退を開始した藤堂さん達の話では、ルルーシュは一人で謎のナイトメアと交戦し、そこにランスロットが加わる形で状況は圧倒的に不利との事だった。みんなが闘っているのに何も出来ないなんて無力にも程がある。私がゼロを…ルルーシュを助けに行かなければ!

「ラクシャータさん!紅蓮出せますか!?」

「うーん…動かせはするんだけどね〜ぇ…まだ出力とかの調整が出来てないのよねぇ…反動とか…」

 ラクシャータさんの返事は曖昧だったが動くのであれば問題はないだろう。

「出せるんですね!それならなんとか…反動は耐えてみせます!」

 今のルルーシュを…あいつを助けられるのは私だけ、それならば行くしか無いだろう。覚悟を決め、潜水艦のカタパルト…本来はミサイルを発射する為の装置を無理矢理改造してカタパルトにしたらしい…へ行き、紅蓮に搭乗する。

「ラクシャータさん、いつでも行けます!」

『分かったわぁカレン…紅蓮可跳式…出撃!」

 瞬間、私の覚悟はどこかへ吹き飛ばさんとする殺人的加速に思わず歯を食いしばる。

「んぎぃッ!」

 耐えきれず漏れ出す声はおおよそ女の子が出して良いものではないものだったが、この状況でそれを聞いて揶揄うものが居ないのは幸いだった。

『ひゃはは!オイ、カレン!なんて声出してんだよ!んぎぃだってよ!ぎゃはは!』

 前言撤回だ。玉城め、後でブン殴ってやる。

 漸く垂直方向への加速が重力に負け始めたので、姿勢を変更し大型の滑走翼を展開、第一加速用の使い捨てブースターを使用し、今度は水平方向への加速を開始する。しばらくして燃料を使い切ったら大型の滑走翼とブースターを切り離す。最初の殺人的加速度を除けばここまでは順調なのだが、ここからが更なる地獄だ。ラクシャータさんが考案した今回の飛行方式は乗る私からすれば、悪魔の一言で済むものだった。無論、ルルーシュに信じろと言った手前今更逃げ出すわけにはいかないけれど、正直気が重い。今の紅蓮は可翔式ではなく、可"跳"式なのだ。つまりは…

「ん"ん"ッ!!」

 背中のユニットの輻射波動により燃料を爆破、それにより発生する爆風を噴出し加速度を得るこの方法は正直かなりキツい。小型の滑走翼では精々垂直落下しない程度の効力しか持たず、空中ダッシュと滑空を繰り返して無理矢理滞空しているだけなのだ。せめてホバリングでも出来れば良いのだがそれすら不可能である。そして最大の弱点は輻射波動によって燃料は全て爆破してしまうので、カードリッチ式の燃料を爆破するこの紅蓮可跳式は速度調整が出来ないのだ。100か0なのだ。

 

…因みに、流石のラクシャータもこれを見て、輻射波動の技術を用いた空中戦闘は不可能と諦め、ゼロが持ち帰ったガウェインのフロートシステムを忌々しく思いながら飛翔滑走翼を作成する事になるのだが、それはまだ先のお話。

 

 遠くに空に浮かぶナイトメア達が見える。黒いのがルルーシュで白いのがスザク、そしてもう一体が敵だ。新たに燃料を爆破し、加速度を乗せた右の大振りをスザクに叩き込む。

「ゼロは私が守る!」

『この機体は!?まさか空を翔ぶナイトメアを黒の騎士団も!?』

 防御のために構えられた剣は今の大振りではたき落とす事に成功する。続いて左手のグレネードを至近距離で放ち…それはシールドに防がれたが、振りかぶった右手を今度は外に振り、シールドに向けて輻射波動を放つ。弾かれるように距離を取ることになるが、今の紅蓮ではそれほど長い滞空は出来ないため仕方なく着地することとなり、スザクを見上げる。

『…空を飛べる訳じゃないのか…?』

「ふん…!」

 地を蹴り、再度燃料を爆破するとスザクに向かい急加速を行う。

「飛べるからって調子に乗るなァ!」

『!?なんて早さだ!』

 辛うじて回避したスザクだったが、それは依然紅蓮の射程圏内である。

「貰ったァ!」

 回避したと油断したスザクの横を通る瞬間、右腕部を展開してリーチを確保する事でなんとか相手の翼を掴む。

『!?右腕が伸びるなんて…!』

その際勢いが強すぎて翼を砕いてしまったので輻射波動を叩き込む事はできなかったが、翼の破壊さえできれば流石に空は飛べないだろう。そうなれば十分成功と言える。

『良くやったカレン!まさかラクシャータめ、紅蓮用の飛行ユニットを完成させていたとは。」

「いえ、これは飛行と言えるほどのものでは。」

 既に落下し始めている通り、飛行などと言える代物ではない。

『おい、話は後にしろ。まだ敵は残っているんだぞ。』

 C.C.の言う通りランスロットは翼を失っただけで撃破はしていないし、もう一体は依然空中にいるのだ。見ればルルーシュの機体も既に損傷が酷かった。そうなればルルーシュを逃しつつ、空の敵をなんとか落として撤退するのが最善だろう。

 再度爆破で跳躍を行い、紅蓮を浮かす。真下からの攻撃ならば対応はしにくいはずだ。

『赤いナイトメア、記録にしてあげる。』

 こちらに向けられた砲門が光を帯びる。

『いけないカレン!避けろ!』

 ルルーシュから回避の指示が来るが、残念なことに残りの燃料は既に片手で数えるほどしかなく回避に充てる余裕はない。それならばやることは一つしかないだろう。放たれた光に対し、右手の輻射波動を放つ。

「そんな武器なんかァ!」

 輻射波動によるガードになんとか成功したものの、ナリタでのランスロットの攻撃の時と同様に輻射波動は使えなくなってしまったようだ。しかし問題ない、空中で再度加速し、右手で思い切りブン殴る。

『生意気。」

残念ながら盾で防がれるが、これで終わりではない。

「これでダメ押し!」

 ここから更に燃料を爆破し加速する。盾で防ごうとも運動エネルギーまでは殺せまい。狙い通り発生させた盾ごとナイトメアを弾き飛ばす事に成功する。

 その瞬間、地上のスザクから弾丸が放たれるが、ルルーシュのナイトメアが放つ光がなんとか軌道を逸らしたようで回避に成功する。とは言え今の紅蓮ではスザクには勝てない。今ここで地上に降りることは出来ないので再度の加速で紅蓮を浮かす。

「ゼロ!今です!逃げましょう!」

『…見事だカレン、助かったぞ。さぁ、掴まれ!』

 差し出された黒いナイトメアの手を取り、私とルルーシュ…あとC.C.はその場を撤退し、潜水艦へと戻ることができた。

 

 潜水艦まで戻った後、珍しくラクシャータさんから真面目な謝罪をされた。まぁ、あんな物は頼まれてももう二度と使いたく無いので当然と言えば当然だった。その後ラクシャータさんは心底嫌そうな顔をしながらルルーシュの奪取してきたガウェインという名のナイトメアを色々調べ始めたので、格納庫を後にする。

 そう言えば玉城は何処だろう。一発ブン殴ら無ければと艦内を歩いていると、やけに陽気な玉城の声が聞こえてくる。

「でよぉ!カレンの奴、んぎぃ!だってよぉ!ヒャハハハ!」

「お、おい玉城…後ろ…」

 よし、二発殴ろう。

「おい玉城」

「なんだよ、いま面白い話…あっ」

 逃げられないように左手を玉城の肩を掴み、指を食い込ませる。左脚を前へ、右脚を後ろへと引く。身体を右に捻り、一発目の渾身の右ストレートを顔面に叩き込む。玉城の周りの団員がうわぁ…という声を上げているが、今回は一発では済まないのだ。

「ほら、立ちなさいよ。」

「カ、カレン…!ゆ、許してくれ…!」

 玉城はそう言いながら床をズルズルと這うように後退するが、許す気はないし、玉城は立つ気が無いらしい。

 

「あぁもう!良いから立ちなさいよ!この飲んだくれ!!!」




〜言い訳〜
戦闘描写ってめちゃくちゃむずいっすね、わかりにくかったらごめんなさい。

紅蓮可跳式って何?→簡単に言えば空中ダッシュが出来る紅蓮です。

モルドレットってこんなに弱く無いだろ→まだ1期なのでプロトタイプでまだまだ未完成という設定です。(未完成でも普通に強い)

毎話最後に(半ば無理矢理)入れている「ピザ女!」byルルーシュor「この飲んだくれ!」byカレン)について、正直…?

  • 面白い。今後も続けてほしい。
  • 面白い。でも二度とやるなクソが。
  • 面白くない。でも今後も続けて欲しい。
  • 面白くない。二度とやるなクソが。○ね。
  • 普通。好きにして欲しい。
  • どうでもいい。
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