チートギアス ~反則のルルーシュ~   作:ベルゼバビデブ

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第二十三話です。

※だいぶ無理のある展開にしがちですがお許しを


第二十三話 だからせめて悲しみと共に

<サイド:ダールトン>

 

『イレブンがァッ!死ね!死ね!死ねぇ!!!」

 戦場で恐れられる姫様はあくまでもその戦略・戦術そして自身の卓越したナイトメアの操作技術による単純な戦闘力が高さ故だ。攻めれば落とし、守れば堅い、そんな強さあってのことであり、少なくとも嬉々として虐殺する様を恐れられたではない。

「姫様!おやめください!一体どうなされたのですか!」

 グロースターをグロースターで押さえ込む。…それでも姫様の狂行は止まらず、アサルトライフルを放ち続けていた。今の姫様は冷静ではない。枢木がユーフェミア様の騎士になった時やユーフェミア様が行政特区日本の構想を演説していたときも非常にお怒りではあったが、そんなものとは比にならない。まるで何かに操られているかのようだ。

『止めてくれるなダールトン!私はイレブンを殺さねばならんのだァ!』

 確かにイレブンは黒の騎士団の登場を契機に反抗的な者が増えている。しかし、この場にいるのは全員が反抗的な者ではなく、心から特区の成立を喜んでいた者達だろう。それに、特区ができればテロリストの大義名分は消える。そして民衆の支持を失った黒の騎士団は自然消滅するか、平和の敵となるかだけだったのだ。それを何故か自ら壊してしまっている。普通ではない。

 友軍からの通信を聞けば現在黒の騎士団がこの会場に向け進軍中らしい。恐らく狙いは姫様の首だ。このままここにいれば討ち取られるのは必然。それだけは避けねばならない。

「姫様!お聞きください、現在黒の騎士団が会場に集結しつつあります、ここは危険です。ブリタニア政庁まで撤退を…」

『ならぬ!私はイレブンを皆殺しにせねばならぬのだ!』

 姫様のグロースターは抵抗を続けている。普通の説得ではどうにもならないようだ。ここは相手に合わせるしかないだろう。

「姫様、イレブンを皆殺しにするならば尚のことここは撤退を進言します。姫様が討ち取られればブリタニアの指揮は混乱し、士気が低下してしまいます。黒の騎士団を無力化しなければイレブン共の殲滅は叶いません。」

『ぬぅ…!ならばこの場は撤退して黒の騎士団を迎え撃つ!奴らを一掃した後、イレブン共は皆殺しだ!』

 不本意ではあるが、これで姫様は撤退してくれるだろう。あとはこの場を凌ぐだけだ。

 

『コーネリアァ!!日本人の仇ィ!ここでェ!!!』

 姫様と枢木の言っていた赤いエース機、聞けばブリタニア軍でも優秀なパイロットであったジェレミアを一撃で屠ったと言われるナイトメアだ。

「姫様!ここは私が!早く撤退を!」

『良いだろう!だが、必ず戻れよ!イレブン共を殲滅するにはお前の力を借りねばならんからな!』

 その際は今度こそ全力でその狂行をお止めしなければならないだろうが、今言うべきはこの一言だけだろう。

「イエス!ユア・ハイネス!」

 

 ランスの大振りは軽く躱される。話には聞いていたが、かなりの運動性能だ。性能が互角程度であれば、あとはパイロットの腕がモノを言う。

『アンタなんかには用は無い!引っ込んでな!!』

 その巨大な右腕の攻撃をランスで防ぐ。

『あくまで邪魔するなら死んで貰うよ!食らいなァ!!!』

 突如右腕から禍々しい光が放たれる。戦士の勘とでも言うのか、長年の経験値とでも言うのか、瞬時に不味いと判断してランスから手を離す。瞬間ランスは砕け散り、右腕の前腕部も動く気配がない。続く左手の小刀による斬撃をもう動かない右前腕部を犠牲に防ぎ、そのまま右腕をパージする。

『へぇ…思い切りが良いのね。』

 隙ありとばかりに構えたアサルトライフルによる銃撃は全て回避されてしまった。

「馬鹿な!?」

『ブリタニアァ!日本人の気持ちを踏み躙ったこの人でなしめ!』

 右手を後ろに引き突進してくるその様は次に右腕による攻撃を意味している。振りかぶられると同時にランドスピナーによる必死の後退を行い、なんとか間合いを取る。

 

 否、取るつもりだった。

 

「馬鹿な!?」

 右肘が変形し、リーチが伸びる。予測出来ないリーチの延長に当然間合いの確保は叶わず、その巨大な右手に捕まってしまう。そしてその意味を悟った。全身を駆け巡るかつてない不快感。グツグツと身体の芯が燃え上がるそれは肉体の死を予測するのはあまりにも簡単過ぎた。…最後の最後に命令を果たせず申し訳ございません。どうにかして狂行をお止めしたかった、不忠義者をお許し下さい。

『姫様ァーーーーー!!!!!」

 爆散する機体と、身体の全てが弾けるような感覚、どちらが原因で死んだかは分からないが、私が感じたのはそこまでだった、

 

…コーネリアは撤退する最中、幾人もの部下を犠牲に、なんとか手配した空輸機で単身撤退し、イレブンを殺さねばと言う使命感の最中、何かに呼ばれた気がしてコクピットの中でふと、後ろを振り返った。

「ダールトン…?」

 彼女の声を聞く者はもう居ない。

 

 

<サイド:ルルーシュ>

 

 コーネリアには黒の騎士団のテレビデビューのあの日、ギアスをかけた。"私の指示に従って欲しい。"と。その後すぐに君のしたい様にしろと指示をした。いざというイレギュラーの為に汎用性の高いギアスを掛けていたが、それ使うほどの場面はなかった。そして、この前の学祭の時にユーフェミアにしたお願いとは、コーネリアと2人きりで会える様に約束を取り付けて欲しいと言うもの。死んだと思っていた弟が2人きりで会いたいと言っている、しかも信頼できるユーフェミアが言っているのだ、姉上にこの誘惑を拒めるはずがない。

「ルルーシュ…!本当にルルーシュなのだな!?よく生きていてくれた、ナナリーはどうした!?無事なんだろう!?良かった、本当に…ルルーシュ、私にできることがあるならなんでも言ってくれ。今度こそ力になろう。」

「ほう、それはありがたい。ならば姉上には…」

 そして2人きりで会った日に、改めて指示を出した。それは悪魔の願いだった。行政特区が開かれるその日に会場を襲撃し、エリア11の日本人を殲滅しろという、俺の願いだ。

 

「黒の騎士団の各員に告ぐ!行政特区日本はコーネリアによって襲撃され、多くの日本人が虐殺された!これより我ら黒の騎士団は会場へ突入し日本人を虐殺皇女コーネリアから救い出す!全軍前進だ!」

『やはり罠だったのか』

「いいや、違う。間違っているぞ藤堂。敵はあくまでもコーネリア。奴は私情からブリタニア軍を用いて行政特区日本を襲撃したのだ、これは到底許されることではない!」

 ここまでは俺のシナリオ通りだ。ブラックリベリオンの再演、しかしそれには大きな違いが幾つかある。まずはスザク、今回のことでユーフェミアに付いているスザクは動けない。ユーフェミアが動かないからだ。ユーフェミアにコーネリアと敵対する気概はないだろう、だが、この狂行を許すこともできないだろう。日本人を殺すギアスをも一瞬押しのけたユーフェミアの気持ちを考えればわかることだ。そして敵将たるコーネリアは既に我が手中にある。所詮はギアスによる操り人形でしかない。相手のクイーンが最初から落ち、相手のキングにチェックを決めた状態で始まるチェスだ。勝負は見えている。コーネリアを捕らえ、ギアスでブリタニアの悪を演出する。そのまま人道的観点からブリタニアを切り崩して日本を行政特区ではなく国家としての独立まで持っていく。

 富士山周辺から潜伏させていた黒の騎士団を吸収し、勢力を拡大させる。更に北から南、すべての潜伏中の黒の騎士団を動員し、各地の基地の動きを抑える。コーネリアに潰される前に吸収しておいた多くのテロリストグループは今や黒の騎士団の団員となっているのだ。それらをこれまで温存し、人材と資材を残しておいたのはこの日のためである。更に狙うはブリタニア政庁のみ。ディートハルトに調べさせておいたのは全て占領目標とする為ではあるが、それは武力でではない、このギアスを使っておいたのだ。このタイミングであれば多少の心変わりもコーネリアの虐殺を受けてであれば怪しまれ難いだろう。

 

 前回通りコーネリア達は租界外縁部に布陣している。ならば前回通り足場を崩せば圧倒的にこちらが有利となるだろう。何故ならこちらは潜伏していた黒の騎士団を集結させ、前回よりも規模を増しているのだ。

「零時まで待つ、我が軍門に降れ、繰り返す…」

 仕込んだギアスを始動させ、時を待つ。前回であればここでスザクから電話があった。今回は…ふと携帯電話を見ると、スザクからの電話が入る。まさかコーネリア側に付いているのだろうかと不安になり確認のために電話を取る。

『もしもし?ルルーシュかい?』

「スザク、お前もしかしてブリタニア側につくわけじゃ無いだろうな…!」

 スザクがブリタニア側に付くと作戦に大きく手を加える必要が出てくる。それだけは勘弁してほしいのが本音だ。

『僕は…僕は、ブリタニアを中から変えようと…ユフィだって…』

「あぁ、知っている。だから俺も行政特区を…」

 スザクの声音は怒っている様な、泣いている様な、複雑なものだった。しかし、それの矛先によっては、つまり敵となればそれは非常に不味い事だ。普通俺を倒すだけなら電話などする必要もないが、相手がスザクなら電話で宣戦布告することもあるだろう、この時点ではどちらかわからないのだ。

『行政特区、折角ブリタニアが変わってくれたと思ったのに…!コーネリア総督は…!あれがブリタニアの答えだと言うのなら許すことはできない!』

「分かっている。だからコーネリアを…」

 これは実にいい風向きだった。少なくとも邪魔はされないだろう、寧ろ…

『ルルーシュ、君だけには背負わせないよ。君は僕を二度…その目的はともかく、救ってくれたんだ。ブリタニアを中から変えようとした僕に最後には協力してくれた。それならば今度は僕が君を助ける番だ。』

「良いのか…?」

『ユフィも総督を止める事に協力すると言ってくれたよ。その…最悪殺す事になってでも』

 ユーフェミアが姉を殺すと言ったのは驚きだったが、愛するが故に過ちを殺してでも止めようと言う考えは理解できなくも無い。ならばここはお言葉に甘えさせて貰おう。

「そうか、有難う。」

『気にしないで、ほら、僕たち友達だろ?』

「あぁ…そうだな…」

 クク…落ちたな…!もう少し時間が掛かるかと思ったが、このタイミングで仲間になってくれるのは有り難い。

 電話を切り、ランスロット及びユーフェミアが黒の騎士団への協力すると表明し、ブリタニア側の動揺を誘う。ナナリーの件は咲世子にはルルーシュとしてそれとなくお願いし、ゼロとしては今後の潜伏を考慮し普段通り学園内において弱者を守れとだけ伝えてあり、更なる後詰としてヴィレッタには作戦開始後は黒の騎士団と戦闘した後は早々に脱出し、ナナリー達の警護にあたらせる予定であったが、スザクに任せる手もあるだろう。ナナリーの警護に関しては心許なかったがスザクに任せられれば安心だ。恐らく戦場から離すためにアヴァロンへ連れて行きユーフェミアにでも預けてくれれば万全だ。さて、もうすぐ零時だ。あの日の屈辱を忘れた日はない。今度こそブリタニアに勝利する。俺はゼロ、世界を壊しそして作る男だ。

「ルルーシュ。」

「…なんだ。」

 ピザ女は振り向かず聞いてくる。

「これだけの大仕事だ。報酬は特上のピザで頼むぞ。」

 こんな時くらいピザから離れられないのだろうか。

「わかった、好きなだけ買わせてやる。だから作戦中は真面目に頼むぞ」

 頼むからもう黙ってほしい。ふと時間を確認すると既に零時を過ぎていた。

「あ。」

『ゼロ!出撃命令はまだか!?あの足場崩しは君の策なのだろう!?』

「く、黒の騎士団全軍出撃!狙いはブリタニア政庁ただ一つ!この闘いに勝利し、日本の新たな歴史の一歩を踏み出すのだ!」

 出遅れたせいで何を言っても締まらなくなってしまった。

「クク、ルルーシュ…会話に気を取られるとはまだまだ青二才だな、童貞坊や」

 

「ええい!全て貴様のせいだろうが!このピザ女!!!」

 




ご都合展開のバーゲンセールだな…

〜言い訳〜
スザクが仲間になるのか?→シャーリーパパ生存、ユーフェミア生存、スザクにギアスを使わない。この三つがあればギアスを知らないスザクは乱心したコーネリアを見てブリタニアを中から変えるのを諦めてしまいました。

ユーフェミアは?→生存&皇位継承剥奪済み。もはやただのユフィ。ルルーシュ的にもナナリーの手前処分は消極的。寧ろユフィ辺りの保護で前例として使えるとか思ってます。

ただ、ルルーシュのギアスで不要な日本人虐殺を行ってるのでバレると色々やばいです。

毎話最後に(半ば無理矢理)入れている「ピザ女!」byルルーシュor「この飲んだくれ!」byカレン)について、正直…?

  • 面白い。今後も続けてほしい。
  • 面白い。でも二度とやるなクソが。
  • 面白くない。でも今後も続けて欲しい。
  • 面白くない。二度とやるなクソが。○ね。
  • 普通。好きにして欲しい。
  • どうでもいい。
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