ブラックリベリオンから約1年、合衆国中華との強固な同盟と大量のサクラダイト、そしてエリア開放という奇跡を成し遂げた伝説の男ゼロを有する合衆国日本は急速にその立場を強め、今やE.U.をも取り込み、ブリタニア帝国とも対等に渡り合っている。意外な事にこの合衆国日本は一時期ブリタニアの植民地だったことも影響してか、ブリタニア人も多く住んでおり、差別などもされていない。技術分野におけるニーナ氏や日本報道界の重鎮であるディートハルトさんなんかはブリタニア人だが重用されているのだ。
生まれではなく、その能力で立場を掴み取れる合衆国日本もまた弱肉強食と言えたが、ブリタニア人でも自由に動き回れるというのはこちらにとって都合が良かった。僕の今回の任務はもう一人の仲間と共にあのお方を救い出す事なのだから。
「ロロ様、あの建物…申請書ではただの飲食店のはずなのにやけに警備が厳重すぎると思いませんか?」
「そうだね、ジェレミア。念の為僕のギアスを使ってバレないように潜入しよう。」
「わかりました。ですがあまり無理はなさらぬように。」
ジェレミアは彼の方が本国の研究施設に送っていた事でブラックリベリオンを逃れ、残された資料を用いてギアス饗団が完成させた改造人間であり自身にかけられたギアスを無効化する事ができる。僕と組める数少ない存在だ。
「じゃあ行くよ、ジェレミア。」
「イエス、マイロード。」
…。
絶対停止のギアスを用いて建物内に侵入する。使用中は僕の心臓すら止まる諸刃の剣だけれどその辺は慣れだ。ひとまず物陰に隠れ、ギアスを解除する。
…。
「よし、なんとか潜入できたね。」
「はい、しかしながら怪しい施設はこれで5つ目、ここにいらっしゃるかは最後まで分かりません。」
物陰から少し中を伺う。外の厳重な警備の割に中にはそこまで人影は見当たらない。
「もう少し進んでみよう。」
警戒しながら進んでいくと、角を曲がってきた2人の警備員とかち合う。仕方がない。僕は絶対停止のギアスを発動させた。
…。
ジェレミアと僕で一人ずつの背後に周り首を締め固める。
「解除するよ。」
…。
「誰…かはっ!?」
「な、何を…!」
そのまま絞め落とすと物陰まで引きずっていく。
「ロロ様、この者達の服を奪い変装するのは如何でしょう。」
「僕もそれは考えてたよ。」
「左様でしたか、失礼いたしました。」
別に良いと返しながら、物陰で服を奪い変装する。ご丁寧に黒の騎士団はサングラスをかけているのでこれでさっきみたいにかち合っても誤魔化せる可能性が出てくるだろう。
その後は何度かすれ違うもののこの服装のおかげでやり過ごす事ができた。ようやく捕らえられているあのお方のところまで辿り着く事が出来た。
「V.V.様!」
「…!ロロ、ロロかい!?来てくれると思っていたよ。早く僕をここから助けておくれ」
牢に捕らえられ、見るからに窶れているV.V.様の居る牢に近づこうとすると、背後から銃を向けられた音がした。
「ようやく来たな。お前がロロとやらか」
「ゼロ…!」
目の前には黒の騎士団員を引き連れた仮面の男、ゼロ。だが僕のギアスを甘く見ているようだ。絶対停止を使用し、僕とジェレミアとV.V.様の以外の体感時間を止める。
「ジェレミア!手分けして奴らを…」
その時、ジェレミアによって拘束され、なぜか動けるゼロによって両脚を撃たれた。
「馬鹿な!?何をしているジェレミア!」
「申し訳ありません、私は王室…いえ、マリアンヌ様に忠誠を誓った身」
「何を言って…!」
頭から何かを被せられ、どこかに連れて行かれる。ジェレミア相手ではギアスを使っても拘束から抜け出せない、僕はどこに連れて行かれるのか
頭にかぶせられた何かが取られるとそこには若い男が立っていた。
「ルルーシュ様、お連れいたしました」
「ご苦労だったなジェレミア」
「もったいなきお言葉」
「ジェレミア…!皇帝陛下を裏切ったのか!」
僕はジェレミアを睨みつけるが、ジェレミアは冷ややかにこちらを見るばかり
「ジェレミア、そいつの眼を見開かせ、こちらに向けろ」
「イエス!ユア・マジェスティ!」
見開かされた僕の目がルルーシュと呼ばれた男の目と合う。
「ギアスが解けたというジェレミアが俺の所へきた時は驚いたよ。まさかコイツが母が死んだ日の警護に当たっていた人物だったとはな。母を守れなかった代わりにとジェレミアは俺に忠誠を誓ってくれたよ。」
「マリアンヌ様を守れなかった我が不忠、必ずやルルーシュ様の役に立ち汚名返上したいと考えております。」
ギアスを使うがジェレミアの拘束は弛まず、ゼロは停止したルルーシュの様子を見て何やら楽しげにしている。というか何故コイツは動けるのだ…?まさか…
「…む?なんだ、お前ギアスを使ったのか、無駄なことを。ジェレミアが寝返ってくれたおかげでV.V.奪還作戦は筒抜けだったよ。あの男も必死なようだな。」
いつのまにか彼の目にはギアスの力が浮かび上がっていた。
「な、何をする気だ!」
「お前には今日から俺の奴隷になってもらう。」
「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる!お前は今から俺の指示通りに動け!」
僕の意識はそこで途絶えた。
「絶対停止のギアスを持つ刺客ロロ、お前は散々使い倒して、ボロ雑巾のように捨ててやる!」
ルルーシュがそうキメ顔で言うが、それを見ていたゼロ…に扮するC.C.はクスクスと笑っていた。
「…何がおかしい、C.C.」
「いやな?時間が止まってる間にお前の顔にペンで落書きしてやったんだ。」
一瞬の沈黙ののち、ルルーシュはポケットから携帯を取り出し、その反射で顔を見る。顔面にはシスターコンプレックスと書かれていた。更にC.C.の手に持つペンをよく見れば油性と書かれているでは無いか。
「クソッ!落ちない!せめてこう言う悪戯は水性ペンでやれ!このピザ女!!!」
続きません。