転校してきたスザクに屋根裏部屋で話そうのサインを送り、屋上で落ち合う。
「7年振りに使ったよ。このサイン。」
「"屋上で会おう"。驚いたよ、同じクラスで。」
そうだなと話を合わせて笑い掛ける。俺としては知っていた事なので本当は驚いてはいないが。
「あっ…あの子は?ほら、カプセルの」
「同棲している。」
C.C.の事もこの場で話す。コレはスザクには余り隠す必要がないからだ。とは言え、流石に口止めはする。
「実は彼女…軍に非道な人体実験をされてるみたいでな…身寄りもないし、なんて言うか…ほっとけないんだ。」
今回は嘘は言っていない。そして人好しのスザクの事だ、人体実験のことや身寄りが無いことを伝えれば…
「そうか、ナナリーもいる上、付き合ってる…デートしてた女の子がいるのにまだ他の女の子と同棲してるなんてって思ったけど、そう言う理由じゃ仕方ないね。同棲って言ってもクラブハウスの一室を貸してるだけなんだろ?非道な人体実験…だからあんなカプセルに押し込められてたんだね…分かったよルルーシュ、そのことも黙っておくよ。」
「良いのか?ありがとう、スザク」
この通り、同情してくれる。…一緒の部屋で寝てますなんて言えないな、これは。まぁ、否定はしていないから嘘は言っていない。こんなこと言ってもスザクは怒るだろうがな。
とりあえずこの場は何か別の話題で話を逸らそう…
「…この前デートしてた女も同じクラスだぞ。気付いてたか?」
「えぇ!?そうなの?全然気付かなかったよ」
それから俺とスザクは久しぶりに話をした。お互いゆっくりと話をするのはいつぶりだろうか、このままただの学生として過ごすと言う選択肢も。タイムリープ直後にはあったのかもしれない。だが、俺が何もしなければ恐らくここにスザクは居ない。それに、今さら止まるわけにはいかない。俺は間違っていたとは思わない。せっかくやり直すチャンスを手に入れたのだ。記憶とギアス、この二つがあればきっと…
猫に仮面を奪われる…などという失態をすることなく、ナナリーが膝の上で猫を優しく撫でながら猫の鳴き真似をしている様は実に天国と形容しても問題ない尊い空間であった。
「しっかし驚いたわね~!ルルーシュがスザクくんを生徒会に入れて欲しいって言うなんて」
「何、俺が言わなくても会長ならそういうと思っただけですよ。どんな手を使ってこの学園に来たかは知らないが、イレブンじゃどの部活も入れたがらない…うちの学園は必ずどこかの部活に入る必要がある訳ですし、病気で休みがちなカレンや水泳部と掛け持ちのシャーリー、人手は多い方がいいでしょう?」
とって付けたような理由だが、見たところニーナを除いておおよそ納得した様子だ。
「どっかの男二人組は賭け事でいないしね。」
シャーリーが俺とリヴァルを交互に睨みつけている。返す言葉がないが、軍資金を始めとする諸々の金を集めるには賭けチェスしかないのだから仕方がないだろうと思う。ナナリーが何も言わないのは将来のための金集めと理解してくれているからだろう。我が妹ながらその優しさには涙を流すしかない。
「体力には自信があります、何でも任せてください!」
実際にこの体力馬鹿なら何でも任せられる。何せ振り子爆弾の解除だってこなせるのだから。たぶん蜂を手刀で叩き落とすぐらい訳ないだろう。
「ルルーシュ…くんも、気軽に頼って欲しいな。」
少し他人行儀に話すスザクにナナリーの表情が少し曇る。事前に事情を話しているが、どうしても慣れないのだろう。生徒会とは別に、何かきっかけを作った方が良いのだろうか。そんなことを考えていると、ふとシャーリーが目に留まる。彼女は前回今回も偏見なしにスザクへ話しかけようとしていたことを思い出す。彼女の心に傷を付けないためにも、父親の件は対処した方が良いかもしれない。それをなせる力が今の俺にはあるはずだ。
生徒会も終わり、一度解散となった後、こっそりとクラブハウスにスザクが入ってくる。サプライズではなくなってしまったが、ナナリーとスザクにはゆっくりと語り合う時間が必要だ。タイミングを見計らいその場を後にすると、案の定C.C.に捕まる。
「あの男か、今度こそとお前が狙っている男は。」
「誤解を招く言い方はよせ…まぁ、お前らしいがな」
フッと片側の口角が上がってしまう。俺も気が緩んでいるのであろう。
「珍しいな。揶揄い甲斐の無いお前なんて。」
C.C.の顔はつまらなさげだが、そんなことは知ったことではない。
「お前、あいつに私のことをどこまで話した?ギアスのことやタイムリープのことは言ったのか?」
「流石に言えるわけがないだろう。お前が人体実験の材料で可哀想だから住まわせてやっていると言ってあるだけだ。」
ふーん、と興味なさげにその場を後にするC.C.を見送り、二人の下に戻る。
「ルルーシュ、今日は本当に楽しかったよ。」
「何言ってんだスザク、すぐにこれが当たり前になる。」
その言葉の意味をスザクも分かってくれるだろう。俺が仮面の男ゼロであり、ブリタニアと戦っている。その先にあるのが日本人とブリタニア人の笑える未来なのであれば…と。俺もスザクもお互いを信じている。その信頼を裏切らないためにも必死に考えなければ。
スザクを見送るため、一度外に出る。スザクに言っておきたいことがあるからだ。
「ルルーシュ、それじゃぁまた学校で。…って言ってもしばらくはあんまり仲良くできないけどね。」
はははと爽やかな笑顔を浮かべるスザクだが、それが意味するのは日本人への差別意識だ。皆が皆生徒会の奴らのように…ニーナは別だが…心の広い奴らばかりではない、しばらくはシャーリー辺りがうまくフォローしてくれるだろう。
「あぁ、こればっかりはな。それとスザク…」
今度は間違ってはいけない。この言葉を、呪いではなく、ただの願いとして言うのだ。
「お前は、生きろ。スザク。」
スザクは目を丸くし、少し頬を掻いてから
「君もね、ルルーシュ。ナナリーの為にも」
と目を見ながら言ってきた。
恒例行事であるベッド争奪戦に今日も敗北したルルーシュは事前に用意していたやわらかい布団の上で横になりながら、二度と畳まれることのないくしゃくしゃの拘束着をまき散らす元凶のC.C.と暗い部屋の中で話をしていた。
「驚いたぞルルーシュ、お前から私に協力して欲しいと言い出すなんてな。」
「以前既に頼ったことがある。お前は不老不死だからな、失敗しても駒を失うリスクが低い。その割に訓練すればナイトメアの操縦も肉弾戦もこなせる能力は優秀と言えるだろう。」
仮に取られても復活できる駒など、チェスで例えればチート・反則もいいところだ。それでいて能力は高いと来ている。使わないなど勿体ないのだ。
「お前から素直に褒められるとむず痒いな。」
「褒めている訳ではない。単に評価しているだけだ。」
今頃コーネリアは焦っていることだろう、連日、テロリストの拠点を襲撃したと思ったらもぬけの殻だ。そんなことが続けば誰でも焦る。そして、見覚えのあるサイタマの包囲作戦がニュースで報じられているのだ。前回コーネリアに惨敗した屈辱の一戦であり、戦いとは何たるかを教わった日でもある。
「悪いですが姉上、こちらにはギアスも記憶もある。今回は勝たせていただきますよ…」
サイタマ決戦に備え、黒の騎士団は既に十分な戦力を整えつつある。紅蓮弐式が無いため、まだまだ最盛期とまではいかないが、この時点にかき集められる戦力としては問題ない。膨れ上がった黒の騎士団にディートハルトは入団早々大仕事が待っているなと思いつつ、確認作業に入る。
「零番隊、準備はできたか。」
『はい。カレン、C2どちらも準備完了です。』
C.C.はカレンの側近…そのカレンはゼロの側近だが…の地位につけている。カレンであれば日本人でないC.C.に対してもある程度問題なく接することができるし、カレンにはC.C.の監視を任せると言ってある。
「扇、例の連中と接触は出来たか?」
『あぁ、さっき説得を行って、現在相談の返答を待っているところだ。だが恐らく大丈夫だと思う。』
仮面の男が直接説得するよりも、同じ日本人同士が面と向かい合った方が話は早いだろう。それに包囲された状態で、シンジュクを切り抜けたグループから助けに来たと言われればこれに従わないわけがない。もはや最初から条件はクリアされているようなものだ。ここまでは容易い。あとは実践だ。コーネリアの主義主張からしてスザクは出てこない。イレギュラーが無ければこの俺に敗北はない。
「それでは皆、作戦開始!」
作戦の開始をしっかりと決め、盤面を見下ろす。優秀すぎる姉上の優秀すぎるが故に読みやすい作戦は記憶とギアスの二つを持つ俺には簡単すぎる。ふとC.C.…C2から専用の通信が来ていることに気が付く。
「どうした。まさか早々に何かトラブルでもあったのか?」
そんな状況はあり得ないが、万が一を考え確認を行う。そして心底後悔した。
『私を顎で使うなんて偉くなったな。童 貞 坊 や』
「ええい!作戦行動中くらい真面目にできんのか!このピザ女!!!」
~言い訳~
ルルーシュってスザクにC.C.のことまで言うの?→言っちゃったもんは仕方ないでしょ!まぁ、スザクが他言しなければほぼ実害がないので…。
C.C.の零番隊入りに及び諸々の能力評価→記憶ありルルーシュならC.C.を駒として使うこともいとわないと思うんです。破損ありでエナジーカツカツのガウェインでジークフリートを”なんとかできる”ようになるとはわかってるので、今の内に育てておくみたいな狙いもあると思います。捕まらなければ死んでも復活可能な優秀な駒ですしね。
毎話最後に(半ば無理矢理)入れている「ピザ女!」byルルーシュor「この飲んだくれ!」byカレン)について、正直…?
-
面白い。今後も続けてほしい。
-
面白い。でも二度とやるなクソが。
-
面白くない。でも今後も続けて欲しい。
-
面白くない。二度とやるなクソが。○ね。
-
普通。好きにして欲しい。
-
どうでもいい。