霜明「はぁぁああ!!」
バシン、バシンと木剣同士が重く、早くぶつかり合う音が騎士団の修練室に響き渡る。1人は隙を伺うように、形にハマらない独自の流れるような剣術を、片方は正確にいなしつつ確実な一手一手を叩く固く冷ややかな剣術を。
霜明「流石にやるでござるな、ガイア。」
ガイア「いやいや、お前さんには俺も驚かされてばかりだ。返しても返しても決めきれないんだからな。」
飄々と答えたのは西風騎士団の騎兵隊長のガイア。褐色肌に黒い眼帯をしている彼は青白い神の目をぶら下げて霜明と剣を交えている。
ガイア「・・・シッ!!!」
ここだ、と言わんばかりにガイアが元素スキルを放つ。ガイアが放った扇状の氷が霜明に迫る、が
霜明「フフ・・・!!!」
待ってましたと言わんばかりに跳躍する。ガイアのスキルは剣先から氷や冷気を飛ばすシンプルなものだが前や後に隙が少ない。跳躍した霜明はガイアにとって次の一手で決める恰好の的であったが・・・
霜明「この勝負、貰ったでござる!」
空中で身を翻し一回転して一瞬ではあるが硬直したガイアの剣を狙いフルスイングする。予見していなかったガイアの剣は吹っ飛ばされてしまった。
ガイア「・・・これは予想外。」
霜明「うまく策にハマってくれて良かったでござるよ。今夜の酒はガイアの奢りでござるな?」
ガイア「まあそれは構わんが・・・お前さん戦う度強くなってるよなぁ。」
霜明「当然。負けるのは好まぬしここの騎士団の連中は戦えば戦うほど様々な戦術を見えてもらえる故、拙者にもいい刺激になるのでござるよ。」
ガイア「ホント、お前さんは暇さえあれば剣を振るってるよな。他に趣味でも作らんと女ができんぞ?」
霜明「女は寄ってくる者より拙者が惹かれる者の方がいいでござる。それに趣味なら川柳や詩歌、刀以外にも幾分ある。ガイアに心配されることはない。」
ガイア「む、まあお前さんがそう言うなら俺は構わんが・・・」
ガイア、この人物は霜明の飲み仲間であり良き友である。騎兵隊長である彼は剣の腕も達者であり負けた方が奢り、という名目で霜明がよく勝負をふっかけていたがガイアも割とノリノリで手合わせをしているのだ。
霜明「店はまかせるでござるよ。それでは拙者はこれで・・・ん?」
リサ「あら、やっぱりここにいたのね?」
霜明「リサ殿?珍しいでござるな?見物したかったのなら申し訳ない、先程終わってしまったのでござる」
今修練室に入ってきた女性はリサ。西風騎士団内にある図書館の司書をしている。あまり深い関わりのある人物で無いがその妖艶さや妖しさはある意味恐ろしさを醸し出しており霜明は勝手におそらくそこらの騎士に負けない程の実力者だと思っている
リサ「私は貴方達の掛け合いには微塵も興味はないわ。それより外を見ていてご覧なさい?騎士団様のお仕事日和になっていると思うわ。」
霜明「む?仕事日和?」
その言葉に少し不審なものを感じたがすぐさま刀を帯刀しガイアと共に修練室を飛び出した。窓を見ると凄まじい風と共に葉や紙など様々なものが飛び交っているのが見える。
霜明「・・・これは」
ガイア「おいでなすったみたいだな。」
風魔竜トワリン。かつてモンドの守護竜出会ったと言うが霜明がモンドに来た頃には既にモンドの守護をやめ暴走を始めていたという。霜明がこの地に腰を下ろしてから初めての襲来であったため顔には出さないがかなり度肝を抜かされていた。
霜明「なるほど、これが例の・・・」
ガイア「怖気付いたか?」
霜明「まさか。だが本当に度肝を抜いてしまう者も少なくないであろう。急いでことに当たらねば・・・」
2人からは先程の飄々とした雰囲気は感じられなかった。この異常事態、やれることが少ない中必死にやれる事を模索する。
霜明「む・・・ガイア。あの竜を追うように飛んでいる?人影が見えぬか?」
ガイア「何・・・?んん、確かにそれらしき姿が見えるが・・・ここからだとよくみえないな。」
霜明「なに、拙者ならよく見える。しかしあの格好、モンドのものでは無いな・・・それに飛翔しているのは、風の翼か?一体どのような原理で・・・?」
ガイア「少なくとも要注意人物なのは間違いなさそうだがな。」
???「あ、おーい!ガイアさん!霜明!」
話している2人に気が付き駆け寄ってきた少女が呼びかけてくる。うさ耳のような真っ赤なリボンをトレードマークに黒い髪を強い風になびかせているのは偵察騎士のアンバー。霜明が普段行っている偵察、討伐業はアンバーに教わったものでありプライベートでも中が良かった。
霜明「む、アンバー。あれはどういう状況でござるか?」
アンバー「えっと、なんと言えばいいのか・・・」
そうアンバーが言い淀んでいると空中の形成に変化があった。
霜明「あれは、風魔竜が撤退を始めているのであろうか・・・?」
ガイア「そのようだな・・・お、人影の方こっちに降りてきてるようだぜ?」
風の翼を広げた人影は教会前の巨大な神像の辺りに着地していた。
霜明「む、地味に遠いところに降りたでござるな。」
アンバー「・・・あ!そうだ、西風騎士団につれて行かないと!」
霜明「そういう事なら拙者に任せて欲しいでござる。」
ガイア「それがいいだろうな。アンバー。俺たちは先に戻ってジンに報告に行こうぜ。」
霜明「ふむ、では時間が惜しい故、拙者はもう行くぞ?」
そう言うと霜明の周りにふわりと水色のオーラとともに桜の花びらの模様がふわりと現れる。
霜明「・・・では、ふっ!!」
そう言い跳躍をするとあっという間に神像の手の上まで飛んでいってしまった。
ガイア「・・・相変わらずの元素量と精密さだな。」
アンバー「そ、そうだね。とにかく私達も行こう?」
霜明「さて、それらしき人物は・・・」
???「うわぁ!?」
霜明(む、そちらからわかりやすい声を出してくれるとは、ありがたい。しかしあれはなんだ?1人は男のようだが脇に浮かんでいるあれは・・・?)
彼の目に入ったのは見慣れない格好の金髪で長髪を後ろに三つ編みにした少年と少年の顔を上あたりをうろちょろと飛んでいる?白髪の白い小人。
霜明「驚かせてすまない。拙者、西風騎士団の春風騎士。桜坂霜明という者でござる。御二方の名を尋ねても?」
パイモン「おう!オイラはパイモン!こっちは空!2人で旅をしてるんだ!」
霜明「ふむ、そうか。見慣れぬ格好だがどこから来たのだ?」
パイモン「それを言うならお前も変わった格好をしてるけど・・・」
空「パイモン、その言い方は・・・」
霜明「はは、なに気にするな。拙者は出身がモンドではないのでござるよ。ところで2人はどこから来たのでござるか?」
空「えっと、遠い所、かな。」
霜明「なるほど、事情は話せぬ、と。まあ構わぬ。拙者達もあの竜から守ってもらった恩もある。騎士団の者たちもお主らを邪険に扱うことはないであろう。報告や先程のことで騎士団に同行願うが、構わぬな?」
空「ああ、もちろん。行こうパイモン。」
パイモン「おう!」
霜明(敵意や殺意は感じられぬ・・・この者たちがこの地に悪事を働くことは無いであろう。ならば何をもたらすのか、実に楽しみでござる。)
霜明は先ほどの出来事からこの少年がモンドを救うために大きく物事を動かすのではないか。と予見していた。そしてこの少年がモンドだけでなく彼の人生を大きく動かすことを霜明はまだ知らない。
桜坂霜明
武器、天目影打
元素爆発、桜吹雪舞
彼の周辺に水元素の影絵(オーラ)と芽吹花(桜の花びら)を纏う。この状態の時通常攻撃は水属性になり影絵の恩恵で移動速度、会心ダメージが上昇し芽吹花の恩恵で通常攻撃が会心になる度追加ダメージ、多段跳躍が可能。<霜明が神像まで飛んだのは元素爆発で何度も空中で跳躍したからできた技である。>必要元素80。
「水を原型に咲いた桜はなぜあそこまで美しく儚く、一瞬で散りゆくのだろうか。永遠に咲き誇り、人々の目に触れればいいのに」