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〇
そして、こう続けた。
「
「だから
「……」
「……」
その場にいる全員があっけにとられていた。特におとんとおかんは
「……ふふ、
「あ、あ、あの、ごめんなさい、出過ぎたことを言いました……」
「いや、嬉しいよ、息子のことをそんなに強く思ってくれるなんて」
「ごめんね。ちょっと試すようなこと言って」
「いえ、あの、確かに私は欲張りです。そのうえ、嫉妬深くて
一息吸う。
「だから」
もう一回吸う。さっきよりも深く。
「私は
「……」
あれ、俺って今プロポーズされてる?
「み……
「……」
「……」
「………っ」
ボフンって音がしたかのように
「わ、わ、私、い、今、今!あああ!」
「あら。
「うわ~、こんな熱烈なプロポーズ。見たことないわ、というか…生のプロポーズ初めて見た……」
ど、どうすればいいんだ。こういう時は。え~と。
「ご、ごめんなさ~い!、で、出過ぎたことを申しました~!」
「あっ」
俺が悩んでいると顔を真っ赤にした
「にいやん、行ってこい」
「え?」
「あの状態のみゃーこ先輩を鎮められるのは兄やんしかいないぞ」
「……行ってくる」
俺は意を決してベランダに向かった。
〇
「……」
「
「
「さっき俺逆プロポーズを受けたっぽいんだが……」
「……それは、ちょっと忘れてください……」
「忘れる?」
忘れてたまるか……。
「……
「……
ごく短い時間。もしかしたらもっと長かったかもしれないがごく短い無限の中で俺たちは見つめあった。
「落ち着いたか」
「少し、まだ足りない。ギュッとして」
「分かった」
それからというもの俺は
「うん、もう大丈夫」
「
「聞かなかったことにしておいて……!」
「でもうれしかった」
「だからさっきのプロポーズにもお返ししないとな」
「駄目ッ!」
「どうした」
「私は軽々しく、プロポーズしちゃったけど、
「あ、ああ」
「私たちまだ高校生だから……。結婚にはまだ少し早いから。だから、
「……なるほど」
確かにプロポーズを安易にやるべきではない。それは俺が男を見せる時。
「分かった。俺がいつかプロポーズする。
「ふふ、待ってます」
「あ、でも結婚するとなると色々必要な物とか出てくるし、その辺りはご家族と相談だね」
「はは、そうだな」
「……」
「……」
雰囲気が、何だろう。何とも言えない空気になった。互いに頬が上気し……。
キスがしたくなってくる……。
いかんいかん。ここは実家だぞ。家族に見られたらどうするんだ。全力でからかわれるぞ。
ここは話題をそらす。そうだそうしよう。
「そういえば、なんで月なんだ?」
「え?」
「あの…さっきさ。俺を照らす月になりたいって言ってたじゃん」
「照らすっていったら俺は太陽を連想するから、なんで月なのかな~って」
「ああえっとね、太陽は夜になると沈んじゃうよね」
「ああ」
「太陽は私たちを強く照らしてくれるけど、それは昼間だけ。夜になると引っ込んじゃう」
「でも月は夜だけじゃなくて昼もちゃんといてくれる、よく見えないだけでね。」
「ああ、昼間にも月は見えるって聞いたことあるな」
「私は
「何というか…意外だ」
「何が?」
「
「もう……」
いつも一歩引いたところからニコニコ笑顔で俺たちを見守ってくれてる、楽しい時も辛い時も分かち合って。
「そうか、
俺は
だ、駄目だ、さっきより悪化している……。ええいままよ!
「にいや~ん、みゃーこ先輩!コーヒーわきましたんでどうで……」
「……すみませんでした」
「……」
これでよかったのだろうか。いや、いいんだ、
「と、とりあえず落ち着いて中に戻ろう」
「そうだね……」
〇
「それにしても……」
おかんが
「あらためて、本当に
「あ、えっと……」
「あ、決して悪く言ってるわけじゃないのよ。ただ事前情報のような子が本当に存在して、しかも
「存在自体疑ってたよな。俺の妄想だとかなんとか」
「でも実際に会って安心したわ。いや~これで新海家も安泰だ」
「え」
「ん?どうしたの
「いや、新海家安泰なのかな~って」
「どういうこと?」
「いや、このままにぃにとみゃーこ先輩が上手くいったとします」
「うん」
「そして最終的に結婚するとして」
「けっこん……」
「その時にぃには新海
「う、ん?」
話が見えない。俺が新海
「いやですね、新海家と九條家ではその……何?家格が違うわけですよ」
「うん、まあそうだな」
なんの変哲もないただの中流層である新海家とコロナグループの九條家の間には大きな隔たりがある。
「だからさ、二人が結婚するとしたらにいにが婿入りするって形になるんじゃない?みゃーこ先輩一人っ子だし」
「あ~」
そういえばそうだ、
「確かに、そうなるのか~」
「あ、えと」
「つまりどういうことだ……」
おとんが恐る恐るといった感じで
「にぃには九條さんになるので新海家は断絶です」
「……!」
おとんとおかんが崩れる。
「なんかガーンって音したねガーンって」
「……俺が九條さんねぇ」
「どうすか、にぃに。順当にいけばにぃにがコロナグループの三代目ですよ」
「そんな簡単なものじゃないだろ、社長とか、俺の器じゃ無理だろ、なあ
「……」
「
「
「な、なななな何?」
あからさまにキョドっていた。
「話聞いてたか?」
「き、聞いてたよ?」
「じゃあなんの話してたか言ってみ?」
「え、えっと……
「……」
「結婚して……」
「…………」
「結婚……」
「……………………」
「うぅ……」
顔が真っ赤だ。というかさっき自分から俺と結婚したいって言ってなかったっけ……。
結婚の具体的な話を聞いて恥ずかしくなったのか?
「いちゃついておられる」
〇
「とにかく、だ。この話はまだ早い。大学に受かる前から就職の心配をしてどうする」
「でもさ、社長云々は置いておいてもさ新海家にとっての問題は解決してないよね?」
「……」
「……」
おとんとおかんは黙ったままだ。先ほどまでと違って呆けてはいないが。
「あ、あの!」
「えっと、お父様とお母様は新海家の存続についてご心配をなされているようですが、ご心配には及ばないと思います」
「えっとそれはどういう……」
おとんが訝しそうな様子だ。
「私が新海家に嫁ぐことも可能……だと思います!」
「え?」
「み、
「はい、あ……私のお父様にちゃんと話す必要はあると思いますが、たぶん大丈夫かと」
「そうなのか?」
「以前お父様から言われたことがあって。」
「『九條家が真に残すべきは家名ではなくその精神』だと」
「九條家の精神っていうと家訓ってやつか?」
「うん、『親しき中にも礼儀あり』、『家族にも礼を尽くせ』これはその一部ですけど。こういう精神をお爺様やお父様は残したいと思っているんです」
「それに、我々はコロナグループです。九條グループじゃありません」
そうか、組織名に九條の姓が入ってないから跡継ぎが九條の名を持ってなくてもいいというわけか。
「だから、新海家に九條家の家訓を受け入れてもらえれば私が嫁入りしても何の問題もないと思うんです」
「おおお」
おとんは希望を見たようなように生き生きしている。
「新海家存続の希望が出てきたぞ」
「といっても、まだ未来の話だから分からないんですけどね」
「その辺りは両家族が応相談でいいな」
「異議なし」
こうして新海家存続についての会議はとりあえず終わりを迎えた。
〇
「あと20分くらいかあ」
午後8時30分過ぎ。
「……」
「どうしたんだよおとん」
おとんが先ほどからなにやら考え込むそぶりを見せていたので思わず聞いていた。
「いやぁ、な~んか忘れてる気がするんだよな」
「忘れてる?」
「あぁ、今日、
そして再び、思考に戻る。
う~ん忘れてることか。正直色々なことがありすぎて整理すらできてないんだが。
ん?
視界の端で
「なぁに、
「こいつを見てくだせぇ」
そう言って
「……!あっそれ!」
「その写真は……」
「どうすか、みゃーこ先輩、取引をしませんか」
写真?取引?まさか、
「
__考えてるんだ。そういうつもりだった。
「そうか写真だ!」
言う前におとんが先に反応した。
「え、なに。突然」
「
「あぁ、焼肉の時の……」
「え、写真?」
「俺たち、互いの写真持ってないだろ、彼氏彼女なのに」
「……あ、確かに!」
「いい機会だ、今撮ってはどうかと考えてね」
確かにいいアイディアだ。ナイスおとん。
「えっと、どこで撮るのがいいかな、と」
「うーん、外は夜だし、うち狭いし、リビングでいいんじゃない?」
「立ってるやつとくつろいでるやつ撮ろう。ソファ使って」
「よし、じゃあ。倉庫から三脚とってくる」
そうしておとんが三脚を調達し、撮影タイムとなった。
「おとん、いつものカメラ使うの?」
「あぁ、あのクソ高いカメラですか」
「もちろんだ家族の成長を写すのにこのカメラは不可欠だからな」
気合の入り方が違うな、さすがおとんの数少ない趣味の一つであるカメラ撮影だ。
「後でデータ、スマホに入れてくれよ」
「もちろんだ、さあ始めようか」
「まず、
「は、はい」
俺と
「
「手?」
「あぁ、それでだいぶくっついて見えるようになる」
その通りである。俺と
「……」
「で、次に表情が硬い。
「いきなりぶん投げえてきたなあ」
「互いのことを思いあえ、そうすれば表情は落ち着くはずだ」
お互いのことを思う……。そんなこと、等の昔に通り過ぎた場所だぜ。
「なあ、
「なに、
「今楽しいか」
「楽しいよ」
「じゃあ思いのたけ笑って」
「それでオッケーのはず」
「よしいい感じだ、二人とも準備はいいか?5,4,3,2,1,」
パシャッという音と共に俺たちの写真は完成した。サンプルを見せてもらったがかなりの出来栄えださすがおとん。
その後、シチュエーションを変えたりしながら撮影をしていると
「あ、迎えがもうすぐ着くってお爺様から」
「じゃあ、後一枚だ。ここにいる全員で撮ろう。ソファに腰掛けて、もちろん
「よしよし行くぞ。5秒前!」
そう言いながらおとんがバタバタと移動し配置につく。
そして。
パシャッとカメラが光った。
〇
ドタバタしながらの写真撮影だったが、何だかんだで盛り上がることができた、おとんに感謝だ。データはおいおいスマホに入れられるそうだ。
「家族写真だね、
「ああ、いい写真だ」
「私たちこれからもたくさんの思い出を作っていこうね」
「うん」
「みゃーこ先輩」
「な、何」
「取引考えてくれますか」
皆が撮影に勤しんだ後、
「別に難しいことを言ってるわけじゃないですよ」
「ただ、__を撮ってほしいだけで」
「……うん、分かった」
「……」
「え?」
「……
「別にいいじゃないですか理由なんて。ほら、どうすんですか、どうしちゃいますか?」
「……わ、分かった」
「やった~、ありがとうみゃーこ先輩」
「えっと、ごめんね
「なんで俺に謝るんだ」
「先に謝っておかないとだめだな~って思って」
「はぁ……?」
この二人、どんな密約を結んだんだ。
〇
終わることない歓談。初めはどうなることかと思ったが、
夜空はすっかり暗くなり、住宅街からも車の音は消える。
時刻は午後9時。
「ふふ、本日は楽しい時間をありがとうございました」
「……」
「にいやん、なんか言いなよ」
「え、俺?」
「そうだよ、みゃーこ先輩が帰るんだからちゃんと話さないと」
「いや、でも、明日も明日以降も会うし、おとんとかおかんがもっと話したら……」
「いいから、さっさと行きなっさい」
そう言って
「分かった!分かったから!」
俺向き直りは
「
「
「その、なんだ、楽しかったか?」
「うん、すごく楽しかった。お父様とお母様にご挨拶できて……それに……」
「……」
先ほどまでのことを思い出したのか、
「あ、明日は頑張ろうね」
「ん、明日ってなんかあったっけ」
「あれ~、
「……あ、そうか」
ハハハと二人で笑いあう。
日常だ。
俺たちは日常を生きている。取り戻した日常を生きている。
だってこんなにも大切な人と笑いあえるから。これからも生きてゆけるから。
「
「ああ……」
不意に住宅街にエンジン音が響く。
優しく風を切り、黒塗りの高級車がゆっくりと家の前に止まった。そして助手席から人が下りてくる。
それは、
「み、
「お爺様!迎えにいらしたのですか」
「ああ、せっかくの機会なんだからと思ってな」
背筋をビシッと伸ばした精悍な好々爺が現れ、俺や家族みんなに向けて深々とお辞儀した。
「夜分遅くに失礼いたします。新海家の皆さん。
ナインボールの店長であり、
〇
家族全員に挨拶を終えた後、お爺さんは俺に向き直った。
しかし、改めて対面すると風格がすごいな。いつもは客と店主の関係だからそういう威圧感は感じなかったが。
今日は何だかいつもと違う。何というか凄みを感じる。
「はっはっは、ナインボールの外で会うのは初めてだね、
「は、はい、いつも
「ああ、君の食べっぷりは身内も評判でね、あ~
「え、ええ、多少は」
「でも最近はあまり来てくれなくなったじゃないか。そんなに
「は、はい、
「料理だけかい?」
え~と、なんて言えばいいんだここは。
「い、いえ。公私両面で非常に助けられています……」
俺の『公』ってなんだよ。って自分で突っ込んでる暇じゃない。
「はっはっは、そうか、では今日はこれくらいにしておこう、ご近所迷惑になるといけない。また話す機会があったらよろしく頼むよ」
「え、ええ」
「それと……
「……はい、任されました!」
これだけはちゃんと言っておこう。
「……」
「……またのご来店をお待ちしております」
そう言って俺に頭を下げ、続いて家族に頭を下げ、助手席に戻っていった。それに
「皆さん今日はありがとうございました!」
「また来てね~みゃーこ先輩!」
「こんな息子ですがどうかよろしくお願いします」
「また来てくれるといい、いつでも歓迎するよ」
家族全員に挨拶し別れを惜しむ。そして最後に俺を見る。
「ふふ、それじゃあ
「ああ、また明日」
そしてもう一度俺たちに深く一礼すると車に乗り込み、
「ふぅ……」
車のエンジン音が聞こえなくなったあたりで俺は深く息をついた。
終わった。
終わったのだ。彼女を実家に呼ぶという一大イベントが。
そう感慨にふけっていると。
「にいやん、お疲れ様」
不意に
「
「いや~一時はどうなるかと思ったけどね、あれですね、これは成功といっていいんではないでしょうか」
「そもそもの発端はお前のせいだろ」
「あ~、聞こえないな~」
「こいつ……」
話をややこしくした自覚はあるらしい。
だが。
「ありがとな、
「ん、いきなり何」
「なんでもねえよ」
「いや、聞こえてたから、ねえ、何に対して感謝してたの。ねえ、ねえ」
「うっせえな」
「も~う、素直じゃないんだから、ほら、言ってみろ!おら!」
「張っ倒すぞ」
「そういうガチトーンで脅すのはやめてくださる、リアルにビビりますので」
「あんたたち、いつまで玄関先で騒いでるの。近所迷惑になるからやめなさい」
「はーい」
「はーい」
そうして俺たちは家に戻っていく。
「……」
振り返る。
さっきまで
「……」
そうして空を見上げる。
だが、月は見える。
きっとこれからもいろいろあるだろう。楽しいことも辛いことも。だが月は変わらず空から俺たちを見守ってくれるだろう。
「
だからきっと大丈夫。俺には
互いを見守ろう。互いに月であろう。
「にいやん、何してるの、早く入りなよ」
「あぁ、悪い。今行く」
これからもずっと……。
「そういえば、みゃーこ先輩私の服着たままだよね」
「あ」
〇
そして翌日、俺と
日直になったからといって特段何かが変わるようなこともなく、いつも通りに過ごした。
そして帰りのホームルーム。
「は~い、伝達事項は以上~、日直さん挨拶して~」
いつも通り、気だるげに沙月先生が帰りの挨拶……。
しようとしたところで。
「はいはい、先生!」
「ん、山崎さんどうしたの」
「新聞部からの質問です」
そして特大の爆弾が投げ込まれた
「九條さんと新海くんっていつ結婚するんですしょうか?」
「ん?」
山崎からこのような質問が飛んだ。
まったく、あいつはどういうタイミングで仕掛けてきてんだ、言うわけないだろ。
それに対して
「えっと……。……高校を卒業したらすぐ……はちょっと早いから……。大学を卒業してから……?
え。
「やっぱり、結婚はご家族ともっと相談してからの方がいいよね……。資金の問題もあるし。でもやっぱり私個人としては一生に一度のことだから少しぐらいお金をかけてもいいかな~なんて思うの」
「やっぱり結婚資金は自分たちで稼ぎたいって気持ちはあるんだけど、そしたら結婚遅くなっちゃうよね。お父様に相談しようかな」
「あ、あの
「あ、そうか。そもそもプロポーズのタイミングは
「
「え?」
「あ……あああ!」
自分が結婚に関して妙に生々しい具体的なことを口走っていたことに気づいた
そこにカメラのシャッター音が鳴り響いた。
「いい一枚取れました。まさか、結婚まで真剣に考えてらしたとは…九條さん、もう一言!」
学生新聞部の記者山崎さんの妙な押しにタガが外れたのか、覚悟を決めたのか。
「コホン……私は、
とたん、俺の幻聴だっただろうか、クラスメイトの心がへし折れるような音を聞いた気がする。
「ありがとうございました。素晴らしい記事が書けそうです。それでは!」
と言って山崎は教室から出ていった。
「あ~、本当にあの子自由だね。起立礼なしでいいよ。お疲れさまでした~。それと……結婚式には私も呼んでよね~」
流れで解散となってしまったが、ほとんどの生徒がすぐには帰らず、女子生徒は
「結婚?九條さんが?嘘だ……」
「おかしい、こんなことは許されない……」
……まるでアイドルが結婚と引退を宣言したみたいだな……。付き合ってるのはともかく、さすがに結婚宣言は重かったか。
山崎の言う通り、婚約発表になっちまったな。
それから俺はほとぼりが冷めるまで特に話したことのない同級生からの質問に対処しながら
あっちも同じようなものか……。
一方俺の方はというと……。
「新海ィ、お前よくも九條さんを……九條さんを…アァァ」
まるで血の涙を流しそうなやつとか。
「よかったねぇ、新海くん、まあ分かってたんだけど、分かってたんだけどねぇ…あはははははは」
表面上は祝福してるけど目が死んでるやつとか。
「まあそうだろうなとは、思ってたけど……幸せにな!」
まあまあ普通?に祝福してくるやつとか。
……うちのクラスってこんな奴らいたっけ。俺がこのクラスに馴染んでなかっただけか……。
このクラスになってから初めて色々なクラスメイトと会話した気がする……。
「
「
「うん、このあとバイトもあるし、今日はってことで」
「送るよ」
「うん、お願い」
今日はお開きということを周囲に伝え、鞄を手に取り、
教室から出ていく俺たちをヒューヒューとからかうものもいれば、未だに立ち直れぬ者、泣きながらハンカチを片手に見送るものなど十人十色だ。
「行こう、
〇
俺たちは帰りの途についた。
先ほどの恥ずかしさからか終始無言で。いつの間にかナインボールの前まで来ていた。そのまま別れを告げて店の裏口へ行こうとした所で
「
「何だ、
「いつかその時が来たらね」
「結婚……、してくれる?」
「……ああ、もちろん。
「もっと話し合おう。勉強して、いちゃいちゃして、からかわれて、俺たちの青春をしよう、俺たちの青春はまだ半ばだ。いろいろとバカやっていこう」
「うん……!」
「
俺は。
「かけるく…んっ…」
俺は自分の意志で
「ん……、は……っ」
「ふう……。はぁん……、……、……うむぅ」
何度も何度も繰り返しいつしか二人は唇を離していた。
「……うぅ」
「……はぁ」
「……」
「……」
「……お店の前でキスなんて大胆なことやっちゃったね。お爺様が見てたらお小言もらっちゃいそう。」
「……
「ふふ、一蓮托生だね」
「はははっ」
「ふふふっ」
「未来はどうなるか全くわからないけど…もう
「うん、信じてる、
「ああ!」
俺は
完結です。
この作品を書いたのはひとえに9-nine-シリーズがもっと多くの人に広がればいいなという思いからです。
本作で少しでも興味を持ってもらえれば幸いです。
入門編としてコミカライズ版を見ることもおすすめです。
『がうがうモンスター』さんで連載中。ネットですぐ見られるぞ!
また次の作品でお会いしましょう。