目が覚めたらウマ娘になってた(前)   作:黒煙草

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なんかおもろかったんで転載、評価云々より笑って貰えたら幸いです

「うー……ヴー……!頭いってぇ!!」

 

昨晩は桐生院とたずなさんの酒の付き合いで飲みすぎたのか、目を開けると暗闇の細い隙間から太陽の光が目に入った

 

「ここァ……どこだ」

 

2人は無事に帰れただろうか、一軒目の店で全ての酒を開けて、続く二軒目、三軒目とハシゴした記憶はあるが……その後がない

 

というか2人は俺を放置して……ん?

 

「生ゴミ臭ぇっ!ゴミ箱の中かよ!!」

 

周りのゴミ袋を押しのけてゴミ箱の蓋を開けると太陽がサンサンと俺を照らす

 

「アチィな……あーあー……服に生ゴミの匂いが着いちまったよ」

 

足を上げて這い出ようとするが力及ばず、地面に叩きつけられる

 

「ごっふぅ!!痛い……おうち帰りたい……」

 

しかしここで俺の脳内に疑問がよぎる

服を見た時、男ならあるはずのナニがなかった気がする

そして決してあってはならない山が胸に付いていた気がする

 

「やべえ、おっぱいじゃん……俺の黒乳首がピンク色じゃん」

 

フジキセキの勝負服よろしく、メロンのような乳をシャツを割いてジロジロと見た

 

「っと、いけね……痴女扱いで掴まっちまう」

 

しかしそれでも、男の威厳だけは確認しておきたい

尾てい骨から生えたウマのしっぽが衣服に引っかかり邪魔してくるが、俺は全力でスラックスを下ろした

トランクスまで脱げたが、この際無視する

 

「やっべぇ、マジでちんちんねぇわ」

 

だがあったはずの局部には象のラクガキは残っており、太ももには『正』の字が何個か入っていた

 

「あぁ、そういえば3軒目あたりに懇親の下ネタ披露して……思い出せ俺……象の落書きされて……周りの男にもふざけて『正』を書き足されて……酒はいると本当ロクでもねぇな俺」

 

いや待て

 

「俺ズボンはなにで引っかかった!?尻尾!?ウマの!?ハァ!?」

 

海外なら縦棒4本に斜め線を入れたりするが今そんなことはどうでもいい!

 

ウマ娘ではないと言い聞かせながら場所を確認すべく、薄型携帯スマートホンを取り出して位置情報を確認する

 

「”ヘイサンメガミ!ここはどこ?”」

 

”本人の声紋とは違います、指紋認証を行ってください”

 

「めんどくせぇなコイツ……持ち主の声くらい覚え────」

 

そして、俺は気付く

本当に声が変わっていたことに

 

「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!??!??!??!??」

 

少し高めの、頑張れば演歌歌手になれそうな声はドスの効いた叫びを上げていた

 

「何が、どうなってんだマジで!俺は男だぞ!?トレーナーだぞ!?そりゃ深夜28時まで酒飲むゴミみてぇなやつだけどよ!誰だよゴミ箱に放り込んだやつ!!」

 

もはや八つ当たり気味に入ってたゴミ箱を蹴り

指紋認証を完了させて場所を聞き

 

もう1回ゴミ箱を蹴る

 

ゴミ箱が生ゴミを撒き散らしながら空高く舞い上がっていくのを無視して、聞いた今いる場所に俺は絶望する

 

「”ヘイサンメガミ!間違いないな!?”」

 

”トレセン学園に間違いありません”

 

 

 

俺はトレセン学園に居て、ウマ娘になっていた

 

──────────────

 

 

時刻は朝練するウマ娘が見える時間

なぜ俺はトレセン学園に侵入してゴミ箱で眠っていたかは考えず、生えたウマ耳をグニグニ弄りながらトレーナー室に向かった途中だった

 

「危ねぇな、下手すりゃ生ゴミ処理蒐集車に運ばれるところ────っ!」

 

ウマ耳から音の気配を察し、曲がり角で身を屈める

 

声の主は2人

1人はゴールドシップ

もう1人はメジロマックイーンだ

 

「なんでお前さんのダイエットに、朝から付き合わさなきゃならねぇんだ」

「ダイエットじゃありません!蓄えたエネルギーを燃焼するだけです!!」

「んな難しく言い換えなくていいだろ、昨日食ったスイーツ食べ放題で肥えた腹を凹ますとか言えよ」

「肥えてませんからねっ?!」

 

仲睦まじいそれは老婆と孫の関係のようだ

あんな孫、要らねぇけど

 

 

 

「────マックイーン、臭うな」

「誰が脂臭いですって!?」

「脂身マシマシだな、んな事はどうでもいい。そこの角にいるやつ!!出てこいや!」

 

ちっ、バレては仕方あるまい

大人しく出てきて嘘八百垂れ流せば信用すんだろ

 

「あはは〜バレちゃいましたか」

 

「おう生ゴミ、今日は燃えるゴミの日だゴミ箱に入ってろ」

 

「あなたは……かの有名なゴールドシップさんですよね!」

 

「生ゴミが喋るな」

 

「そしてそちらに見えるのはメジロマックイーンさん!こんな日が来るとは思いませんでした!」

 

「なんですかあなた胡散臭いですね、生ゴミ臭いですけど」

「ナリタタイシンのトレーナーの服着て生ゴミ臭くするとか、ぶっ殺されんぞ」

 

もはや会話のキャッチボールを超えたドッジボールとなり、俺の心は折れかけるが歯を食いしばって耐える

 

「信じて貰えないかもしれませんが、私は理事長とは遠い縁があって────」

 

「嘘乙」

「理事長と縁あれば私にも吉報が届きますが……あなた本当誰です?あと臭いです」

 

なんで理事長はメジロ家と関係繋いでんの?トレセン学園のバックにメジロ家ついてるの?怖くね?

 

と、ここで俺は頭を抱える

二日酔いだが

 

「うっ……ぐっ!あ、頭が!」

 

「だ、大丈夫ですの!?」

「マックイーン、あいつ二日酔いだわ」

 

ゴルシ見抜くの早くない???

 

「なら気にかける必要も無いですね」

「というかアンタ、ナリタタイシンのトレーナーだろ?」

 

ゴルシ見抜くの早くないっ!?!?!?

 

「ふ、ふふ……バレては仕方あるまい!」

 

「いややっぱ違うわ警察呼ぼうぜマックイーン」

「私には生ゴミの臭いしかしませんわ」

 

ゴールドシップが携帯を取り出すと地元の警察に電話をかけようとする

普通に110するより、地域にある警察にかけた方が速いからね!

みんなも覚えようね!

なんで知ってるのかなゴールドシップは?!

 

「ま、待ってくれ!!俺にも事情がわかってないんだ!!」

 

「事情知らずとも情事はあったのですね」

「酒くっせぇし生ゴミくっせぇし、ろくでもねぇ奴だなお前」

 

「ゴルシのトレーナーの方がろくでもねぇ目にあってるけどな、ドロップキックとかよ」

 

「んだゴラァ!!てめぇにゃ元の顔がわかんねぇほど踏み潰すぞゴラァ!」

「ゴールドシップさん落ち着いて」

「おう落ち着いた」

 

何だこの聖母とヤンキー

 

「取り敢えず警察は辞めだ、ウチの寮のシャワー使って洗い流せよくっせぇ」

「生ゴミの匂いに慣れてきましたわ……本当にあなたはナリタタイシンさんのトレーナーさんですね、匂いで分かります……しかしなぜウマ娘に?」

 

「匂いで判別するとかウマ娘すげえな、あとの質問はわからねぇ」

 

「アンタもそのうち出来るぜ」

「やっぱり鼻が曲がりそうですわ……生ゴミ臭い」

 

終始俺は『生ゴミ臭い』としか言われてない気がしないでもない気がしない

 

────────────

 

寮のシャワー室にたどり着くまで、悲惨な目にあった

 

まず、担当ウマ娘のナリタタイシンに会ったものの生ゴミ臭いと批判

次に、栗東寮長であるフジキセキに会ったものの生ゴミ臭いと批判

そして、栗東寮に住む全員に生ゴミ臭いと批判

 

踏んだり蹴ったりである

ウマに蹴られるとはこのことか

 

違うな

 

「あ”〜……ジャ”ワ”ーぎもぢぃぃ〜……」

 

二日酔いも覚め始め、記憶が鮮明になる

 

4軒目からたずなさんのコブシ極まる独特のカラオケを3時間聞かされた気がした、違うやつだったかもしれない

 

いやあれは違うやつだわ、ウマ耳生えてたし

 

でも歌ったヤツ泥酔状態だったし、鼓膜破けるからもう歌わせねぇ

 

桐生院は童謡をロックで端折ってたが、本家でストレスが溜まってるんだろうな

 

俺は超低音ボイスで与作歌ってたけど俺自身何言ってるかわかんなかった

 

 

「うわ、改めて見てもでけぇな俺のおっぱい」

 

これではタイシンにバレた時、物理的に貧乳にされかねん

いやむしろバレてもいいか?アイツの頭に巨乳乗せて笑ってやろ

 

鏡を見ると乱れた髪から、ご立派な黒いウマ耳が見えた

しっぽを掴み、直接見ると黒かった

 

「……青鹿毛か、かっこいいじゃねぇか俺」

 

そこら辺にあったウマ用のソープを手に取り、毛に馴染ませてると一人、シャワー室に入ってきた

 

「誰だ、ここは俺の領域だぞ」

 

「何を馬鹿なことをおっしゃいますか、生ゴミ酒臭トレーナー」

 

声はメジロマックイーンのものだ

隣でガチャりと開き、閉まる音が響いたので匂いは取れたようだ

 

「酷いあだ名だが、俺がG1を7勝したらどうする?泣いて頭下げて懇願するか?」

 

「今の発言覚えておきますから。貴方が生徒会長に喧嘩売ってると伝えて置きます」

 

「ごめんなさいマジやめてください」

 

「分かればよろしい」

 

取り敢えず体を洗い流して、出ようとすると

 

「着衣していたもの全て処分しましたから」

 

「ハァ!?ナンデェ!?」

 

「あれだけ臭いのに捨てる以外の選択肢あります?あぁ大丈夫ですよ、所有物はメジロ家の特注品である熱光線による滅菌装置で異臭もカビルンルンも排除しましたから」

 

「カビルンルンてお前……いや、服もそれしろよ……」

 

「あら、私としたことがうっかり」

 

「俺に恨みあるだろお前ぜってー!!」

 

「今から熱光線の温度上げて炭に仕上げてもいいのですよ?」

 

「すいませんでした!ありがとうございますメジロ家当主!」

 

「あまり変に盛ると腹立ちますね」

 

「脂肪を盛ると腹に何が盛るって?」

 

「誰がデブですって!?」

 

「ライアンの腹直筋が言ってた」

 

「筋肉は喋りませんから!」

 

「ライアンはマジで喋ると思ってるから本人の前で言うなよ」

 

「えぇ……」

 

 

 

閑話休題

 

 

したところで、俺はどうするか悩んだ

 

「俺のことは誰かに言ったか?」

 

シャワーの音が響くお隣さんは一旦水を止める

 

「いえ、誰にも。と言うか栗東寮の方々も薄々気づいで居られるかと」

 

「うーん……服は処分されたしなぁ、どうしよ」

 

「あら、なら私の制服着ます?私はジャージも持参してますので」

 

「おう、借りパクするわ」

 

「ち ゃ ん と 返 し て く だ さ い ま せ !」

 

ヘイヘイと返事して俺はノーブラノーパンでメジロマックイーンの制服に袖を通す

 

「うー、やっぱ胸きついな。裂こう」

 

「普通本人の居るとこで言います?」

 

メジロマックイーンは俺に姿を見せないよう隠れながら体拭いて着替え始めていた

 

「なんかよぉ、胸が圧迫されて……こう、なんだ?苦しいっていうかさ……もしかして、これが……もしかしなくても、恋?」

 

赤色ジャージ姿のメジロマックイーンは俺の首に手を伸ばす

 

「ぶち蹴りますわよ?仕方ありませんから第一ボタンと第二ボタンと……第三ボタンと……第四……」

 

「わり、デカすぎたわ。ハハッ────オゴッ!?」

 

俺の鳩尾にメジロマックイーンの渾身の蹴りが入るとシャワー室の扉を破壊し、転がる

 

「成長期です!!」

 

「お、ごふっ……」

 

「とりあえず現状を生徒会長に報告します!あなたはすぐ後に生徒会に出向いてください!!良いですね!!」

 

「あい……」

 

床に大の字で寝る俺は通り過ぎる栗東寮の生徒たちに見下されていた

 

 

──────────────

 

「タイシンー、いるかぁ?」

 

スーパークリークと共に生活するナリタタイシンの部屋に行ったが誰もいなかった

 

「そりゃ居ねえわな。クリークは毎朝屋上でおしゃぶり咥えてガラガラ回してんだもん。タイシンは言いつけ通り朝練だし……ジャージズボン借りるぜっと」

 

スカートだと股がスースーして気持ちわりいからな

 

──────────────

 

「君は……この学園の生徒の者ではないな?」

 

胸の部分を裂き、二の腕晒すまで袖を捲りあげ、スカートの下にタイシンのジャージを履いた素足の俺は、生徒会室に入るやいなや言われた

 

「シンボリルドルフも匂いでわかると思ったがな」

 

「まずウチの学園にそのような巫山戯た格好をした者がいないと表明しただけだ。だが、ナリタタイシンのトレーナーなのは知っている。悪い噂もチラホラとな」

 

「ほう、例えば?」

 

「生徒の前で”ほろ〇い”を飲む」

 

「ありゃ酒じゃねぇ、ほ〇よいはジュースだ」

 

「……次に生徒を街に連れ歩こうとする」

 

「昼間の方がゲーセンに猛者集まんだよ、タイシンも楽しんでたよ」

 

「連れ歩いた後だったか……そのうえで彼女の成績は上位なのだから不思議なことはあるものだよ」

 

「しらね、そんで他には?」

 

鼻をほじくり、股を開いて大あくびした俺を見兼ねたシンボリルドルフは、黙って横に突っ立っていたエアグルーヴに顎で指示を送ると口を開いた

 

「まだまだ数え切れないほどあるが、罪の意識を認め、贖罪の余地を与えよう」

 

「……頭、搔いぃ」

 

「余裕綽々だな、貴様の絶望する顔が楽しみだ」

 

出てきたエアグルーヴが発言と共に持ってきたのは体操着だった

 

「お?俺の着替え?」

 

「あぁそうだ、君に相応しいピッタリのサイズだ」

 

「助かるよ、メジロマックイーンの服キッついからよ」

 

俺はその場で服を脱ぎ捨てると、エアグルーヴとシンボリルドルフの動き全てが止まった

 

視線の先には俺の鼠径部や太ももに注がれていた

 

「おいおい、俺の裸体は見せもんじゃねぇよ」

 

「き、きさ、きさま……貴様ァ!!何を、強姦されとるかぁ!!」

 

「は?……あ、油性だったから消えねぇんだったこれ」

 

鼠径部にはゾウさんが

太ももには『正』の字が複数入っていた

正確には10個ほど

 

お盛んだよね事情知らないと

 

シンボリルドルフが冷や汗を滝のように流し、水たまりを作り出していた

水がないところでこれほどの量を作り出すとは……と、ふざけてる場合じゃなかった

 

「まずいこのままではトレセン学園に傷が……メディアにはなんと……いやしかし……だが……生徒たちになんと……親御さんにも……もう、これ以上は────殺す」

 

「待て待て待て!生徒会長だろアンタ?!殺して、埋めて、なかったことにしたら、ダメだろ!!」

 

「そ、そそそ、そうだな……か、顔を削ぐか……身元不明にして所持品も隠滅して……」

 

「さっきと変わってねえ!?何とかしろよエアグルー……っ!?」

 

何故かエアグルーヴは短刀を目の前にして正座していた

 

「会長、先に逝きます。介錯をお願いします」

 

「お前キャラ変わりすぎだろ!!そこまで追い込んだつもりねぇぞ俺?!」

 

もう止まらない2人を前に、俺は体操着を着込む

 

「ほら!!これでバレねぇだろ!!」

 

「「いや……ダメだ」」

 

下は短パンではなく、ブルマだった

 

 

正という字が太ももに映し出されていたのだ

 

 

 

「贖罪って、辱めることかよ!?」

「済まない……タイシンに、ジャージを1日借すようにこちらから頭を下げる」

「会長、お供します」

 

 

 

夏季近しこの頃、俺の余熱はまだ続く

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