無敗の狩人と呼ばれるウマ娘になった   作:W297

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9話

 

 ヒシアマとエルをしっかりとしごき上げた次の日。

 

 俺は生徒会室の扉をノックして部屋に入る。

 

「ハンターか」

 

「…二番目か、俺は」

 

 俺はそう言いながらクッションに座る。

 

「…いや、エアグルーヴが先に来てるよ。今スペシャルウィークを呼びに行っている」

 

 …スぺを?

 

「…確かお前、スぺの走りはリギルの選抜レースで見たはずだろ?

 

 ってかそん時の映像ない?俺もあいつの走り見たいんだけど」

 

 なんだかんだで俺はスぺの走りを見ていない。沖野さんに言わせれば「末脚の速さが一級品」らしいが。

 

「あいにくだが選抜レースの映像は存在しないな。…今回は私がスぺシャルウィークと少し話してみたいと思っただけだ」

 

「そうか…、それじゃ」

 

 ルナの言葉を聞きながら、俺は戸棚からウマ娘に関するファイルを取り出す。

 

「…確か、このファイルの最後の方に…、あった」

 

 俺が取り出したのはスぺが生徒会用に提出してくれた書類だ。

 

 これを見ればウマ娘の過去などが一発で分かる。もちろん個人情報が大量に書かれているため持ち出し厳禁。

 

「…話すならある程度知っといた方がいいだろ、アイツのこと。スぺが来るまで目通しとけ」

 

「…助かるよ、ハンター」

 

 ルナはそう言いながら俺から書類を受け取る。

 

「…で、だ。テイオー、お前はまだ見たら駄目だぞー」

 

 俺はルナの机の下に隠れていたテイオーを引っ張り出す。

 

「えー!いいじゃん、ボクもう生徒会の一員みたいなもんでしょー?」

 

「完全に生徒会に入ってからな。ホラ、ルドルフの邪魔だ、とっとと出て来い」

 

 俺はそう言いながらルナの机から「ぴえー」と鳴くテイオーを引っ張り出していく。

 

「まあいいじゃないか、ハンター。テイオーにも悪気はない」

 

「悪気があるかどうかの問題じゃねーよ、ルドルフ。お前もあんまりテイオーを甘やかすな」

 

 俺がルナにそういうと「甘やかしてるつもりはないんだが…」とルナは話していた。無自覚なんだよ無自覚。

 

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 しばらくして。

 

「失礼します。スペシャルウィークを連れてきました」

 

 そういうエアグルーヴの声が聞こえてきた。後ろにはスぺも着いて来ている。

 

 …ただし物凄くガッチガチだが。

 

「は、初めまして!スペシャルウィークです!今回はどういう…」

 

 そんなスぺに対し、俺はソファに座るように促す。

 

「…まあ、そこ座れスぺ。別に取って食おうとかいう訳じゃないんだ。

 

 ルドルフが、お前と少し話したいってよ」

 

「会長さんが…?」

 

 ルナはスぺが座ったのを確認していつもの真剣な口調で話し始める。

 

「…生徒会長のシンボリルドルフだ。本校は全国のウマ娘トレーニング施設の中でも最大規模、十全十備のカリキュラムで、優美光明なウマ娘と切磋琢磨し…」

 

 …うーん。固い、固すぎる。

 

 毎回ルナが真剣な話をする時に思うんだが、ルナは四字熟語を多用することが多い。…しかも結構難しい部類に入る奴を。

 

 スぺも若干頭の回転が追い付いてないみたいだし。

 

「…スペシャルウィーク。聞いているのか?」

 

「…は、はい!」

 

 …助け船出してやるか。 

 

「…ルドルフ、固いよお前の話。スぺが固まってる」

 

「そうなのか?スペシャルウィーク、それならすまなかった」

 

 ルナの言葉に続けるように俺は話す。

 

「スぺ、簡単な言葉で言わせてもらうとすれば俺たちもお前の実力を買っているってことだよ」

 

「わ、私をですか!?」

 

 俺はとスぺの言葉に続けていく。

 

「この時期に編入なんて珍しいからな。なあルドルフ?」

 

「…そうだな。君出身は?」

 

「北海道です!」

 

 スぺはルナの言葉にそう返す。

 

「君、確かお母さんが…」

 

 ルナはそこで口を噤むがスぺは「はい」と話していく。

 

「昔、日本一のウマ娘になるって今のお母ちゃんと約束したんです」

 

「…来週、早くもデビュー戦だそうだな。いい報告ができるよう頑張れ」

 

 スぺは「はい」と話し、「ちなみに会長のデビュー戦は?」と聞くとルナは「そんなもの鎧袖一触だ」と返していく。

 

 …生で見たわけじゃないけど結構すごかったんだよなー、ルナのデビュー戦。

 

「…まだ先も長い。学園内の施設も見ておいた方がいいだろう。…ハンター」

 

 ルナは俺にいつものように案内を頼むが俺はそれを断る。

 

「…いや、今日は俺より適任がいるだろ。…テイオー」

 

「はーい!」

 

 俺のクッションに座っていたテイオーが元気よく立ち上がる。

 

「スぺ、コイツはトウカイテイオー。年齢的にもお前に近いだろうから気軽に質問してくれ。

 

 …テイオー。学園内の案内、頼めるな?」

 

「まっかせてー!転入生、行くよ!」

 

「あ、はい!」

 

 だが、それを止めたのはルナだった。

 

「待て、スペシャルウィーク。君はこの意味が分かるか?」

 

 ルナの視線の先にあったのはトレセン学園のスクールモットーだ。

 

「え、えとエク…、…すみません分からないです」

 

Eclipse first, the rest nowhere。一つのことわざでな。まあ意味は自分で考えてくれ」

 

「教えてくれないんですね?」

 

「まあな。お前もこの意味はいつか分かるよ」

 

 俺はそうスぺに話していく。

 

「…まあいい。行ってこいスペシャルウィーク」

 

「あ、はい!…あ、会長さん!」

 

 生徒会室から出て行こうとしたスぺであったが、俺達の方を向いて頭を下げる。

 

「これからよろしくお願いします!」

 

 そう言ってスぺは出て行った。

 

 俺とルナとエアグルーヴの3人になった生徒会室で、エアグルーヴが俺に口を開く。

 

「ハンターさん。なんでテイオーに案内させたんですか?いつもならハンターさんの役目では…?」

 

「まあ、生徒会の仕事体験って感じかな。アイツもいずれは生徒会に入るだろうし。

 

 年齢的にも俺よりもテイオーの方がスぺも話しやすいだろうし。

 

 ルドルフ、『唯一抜きんでて並ぶもの無し』。教えなくて良かったんだよな?」

 

 ルナは俺の言葉に「もちろんだ」と返す。

 

「彼女もいつかこの言葉の本当の意味を知る時が来るだろうからな。…さて、業務をこなしていくとしようか」

 

「そうだな(ですね)」

 

 俺達3人は座って生徒会業務をいつものようにこなしていった。

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