無敗の狩人と呼ばれるウマ娘になった   作:W297

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4話 秘めた想い

 

 …走り終えたハンターはスピードを落として、「よし」と小さく拳を握る。

 

 自分はそんなハンターへ向けて足を進めていた。

 

 ハンターの走りを見て呆気に取られていたほかのトレーナーたちも一瞬遅れてハンターの元へと進んで行く。

 

「ハンター!君ならルドルフに匹敵するウマ娘になれるはずだ!

 

 ウチのチームに来ないか?」

 

「ルドルフの妹なんですってね?

 

 さすがにルドルフ以上になるのは無理だと思うけど、匹敵するウマ娘にはなれると思うわ。

 

 スカウト、受けてもらえないかしら?」

 

 トレーナーたちは各々ハンターにそう話していく。

 

 ハンターは「ありがとうございます」とあまり表情には出していなかったが、その目は若干不満そうに見えた。

 

「…とりあえず、みなさん戻って下さいよ。

 

 この後、ルドルフも走るんすよ?

 

 俺はその後で考えて良いと思うんで。

 

 模擬レース終わったら、三女神様の所に来てください。

 

 俺はそこでゆっくり待ってるんで」

 

 ハンターはそう言って、その場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …その後に行われたルドルフのレースはまさに圧巻だった。

 

 あの妹にして、この姉ありと感じさせられた。

 

 そしてレースが終わったルドルフの元には数多くのトレーナーたちが駆け寄っていく。

 

 その数はさっきのハンター以上の人だかりであった。

 

 …とりあえず、模擬レース自体も終わったことだし、ハンターの元へ向かうとしよう。

 

 自分はそう思いながら三女神様像の元へと歩いていく。

 

 

 

 

 

 

 三女神様像の下で座っているハンターの元には数多くのトレーナーが集まっていた。

 

 自分もその場に入れさせてもらうと、ハンターは話し始める。

 

「…これで全員っすかね」

 

 ハンターはそう言うと、誰かが話しかける。

 

「ハンター、君のあの末脚、鍛えればさらに上に行くことも夢じゃない。

 

 G1を獲ることだってできるようになるはずだ。

 

 シンボリルドルフに並ぶこともできると思う。

 

 ウチのチームにはG1を獲ったこともあるウマ娘も何人かいる。

 

 スカウト、受けてくれないか?」

 

 それを受けて他のトレーナーたちも「我も我も」という風に口々に誘い文句を離していく。

 

 そんな中、ハンターは顔をあまり変えずに「G1…か」と呟き、そのまま続けていく。

 

「…俺、夢があるんですよ。小さい頃からの夢が」

 

「夢?その夢叶えようじゃないか!できることはなんだってするぞ!」

 

 ほかのトレーナー達もその言葉に同意するように首を縦に振る。

 

「…本当ですか?

 

 じゃ、言いますよ」

 

 ハンターは一呼吸おいてそこにいる全員に告げる。

 

 

 

 

 

「…ルドルフを越えるウマ娘になる。

 

 

 

 

 

 

 …それが、俺の夢ですよ」

 

 その言葉を受けて辺りにいた俺以外のトレーナーたち全員の顔が一気に冷めていく。

 

「ハンター、それ本気で言ってるのか…?」

 

 誰かがそう聞くと、「本気っすよ」とハンターは返す。

 

「ずっと思いながら過ごしてきたんです。

 

 叶えられると信じてますんでね」

 

 ハンターはそのまま話を続けていく。

 

「…もし、俺のこの夢叶えられると思ったのなら改めて言ってください。

 

 『スカウトさせてくれ』って。

 

 ダメだと思うなら離れてもらって結構ですよ」

 

 ハンターがそう言うと、続々とその場から人が減っていく。

 

 全員、ルドルフの走りを見た後だ。そう思うのも無理はないだろう。

 

 そんな中、自分はその場にとどまっていた。

 

 あれだけいたのに残ったのは自分だけである。

 

「…見に来てくれたんすね。

 

 アンタは俺の夢、叶えられると思いますか?」

 

 ハンターは自分のことを覚えていてくれたようである。

 

 ハンターの言葉に自分は言葉を詰まらせてしまう。

 

(…正直、キツいと思うよ)

 

 そう話すと、ハンターは「やっぱりですか」と返してくる。

 

「じゃあ、別に行ってもらって良いっすよ。

 

 また探すとしますか…」

 

 ハンターはそう言って、その場を後にしようとする。

 

 そんなハンターに、自分は続けていく。

 

(けど、0では決してないと思う)

 

「え?」

 

 ハンターがそう聞き返してくると同時に、自分はハンターのレースを思い出す。

 

 最初のスローペース、アレは出来る限り最後までスタミナを残すためだろう。

 

 そのペースを上げて、最後の強烈な末脚を使うことが出来れば…。

 

 ルドルフに勝てるようになるかもしれない。そう思ったのだ。

 

(ルドルフに勝つ可能性、多分あるよ。

 

 君ならできるかもしれない)

 

 自分の言葉を聞いて、ハンターは笑みを見せる。

 

「…3人目っすよ。

 

 俺の夢を聞いて否定しなかったの」

 

(3人目…?)

 

 俺がそう聞くと、ハンターは続けていく。

 

「1人はルn…、ルドルフっす。

 

 俺がこう言ったら「それは面白いな」って闘志むき出しにしてきました。

 

 もう1人はカサマツ時代のトレーナーです。

 

 「なれるさ、きっと!」ってすぐに返してくれたんすよ」

 

 ハンターはそう話して、一息つくと改めて書類を取り出して話してくる。

 

 どうやらトレーナー登録に関する書類のようだ。

 

「…アンタが良ければ、これにサインしてくれませんか?

 

 書いてくれれば、契約成立です」

 

 自分はハンターからその用紙を受け取る。

 

 

 

 

 

 そして改めて、このシンボリハンターと契約すると言う重さに気づいた。

 

 

 

 

 

 このハンターというウマ娘をルドルフ以上に育て上げる。

 

 とてつもなく高い目標だろう。

 

 ベテラントレーナーが引き受けるにしても難題と言ってもいい。

 

 正直、新人トレーナーの自分が抱えるべきウマ娘ではないと思う、

 

(…自分でいいのか?

 

 まだ校舎の場所も分からない新人で…)

 

 ハンターはそんな自分に「大丈夫っすよ」と話してくる。

 

「…目標は共通じゃないと意味ないっすから。

 

 そこに新人とか、ベテランとかは関係ないです」

 

 ハンターはこう言ってくれている。

 

 顔は笑みを浮かべているが、その眼はレースの時に見せていた真剣な目だ。

 

(…分かった。後悔はしないで欲しい)

 

 自分はその用紙に自分の名前を書いた。

 

「ありがとうございます。

 

 これからよろしくお願いします、トレーナー」

 

(ああ、もちろんだよ)

 

 そう話しながら自分はハンターと固い握手を交わした。

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