(ハンター、お前の負担は…?)
そう聞くと、ハンターは「大丈夫っすよ」と返してくる。
「俺は神童を守るために存在する狩人です。
親からも、『できる限り、ルドルフを助けてやって欲しい』って言われてるんすよ。
ルドルフには伝えてないらしいですがね。
多少の負担が増えようが、大丈夫です」
ハンターはケロっとそう話してくる。
(でも、それじゃお前の体が…!)
「心配いらないですって。
そのために俺はカサマツで体力付けて来たんですから」
ハンターはそう自信満々に答えてきた。
◇ ◇ ◇
(…本当に、大丈夫なのだろうか)
三女神様の像の前に座り、そう呟く。
ハンターとの話はアレで終了となり、時間もあったのでハンターは外に走りに行った。
トレーニングに対する心配はいらないから、帰ってくるのを待っているのだが…。
どうにも、ハンターのあの言葉に対する不安がぬぐえない。
正直、ハンターの体力はまだ成長途上だ。
確かにハンターはルドルフを越えることが出来ると思っている。
だが今のハンターの実力は、ルドルフよりは劣ると言わざるを得ない。
あのまま行けば、ハンターの野望を達成する前に、ハンター自身が壊れてしまう可能性がある。
…ただ、それを考えて練習メニューを少なくすればハンターはルドルフを越えることは出来ない。
ただでさえ限界に近い量のトレーニングをして、ルドルフを越えられるかどうかだ。
…そう思っていると、誰かが話しかけてきた。
「…君は、ハンターのトレーナー君だね」
その声の主には聞き覚えがあった。
(シンボリルドルフ…!?)
神童、シンボリルドルフが自分に話しかけてきた。
「…隣、座らせてもらうよ」
ルドルフはそう言って、俺の横に座る。
「まずは、ハンターのトレーナー君」
ルドルフはそう言って俺の方を向いてくる。
「ハンターのトレーナーになってくれてありがとう。
感恩戴得、彼女の姉として感謝を示させてもらうよ」
そう言ってルドルフは俺に頭を下げてくる。
(…え!?ちょっと、頭下げないで!?)
慌てながらそう返すと、ルドルフは頭を上げて改めて話してくる。
「…ハンターは私の自慢の妹だ。
この数日で分かっているとは思うが、ハンターは基本的に何でも素直に聞いてくれるだろう?
ハンターはそういうウマ娘だ」
ルドルフはそう話して、そのまま続けてくる。
「…そして私と同じ、無茶を隠すウマ娘なんだ」
無茶を隠す…か。
「私もそうだが。ハンターは限界を越える無茶をしてしまうことがよくあるんだ。
しかもそれを全くと言っていいほど人には見せない。
私といるときでもあまり見せたことはないよ」
…やっぱりか、ハンター…。
いつも何も変わらないように見せてるけど…。
そう思っていると、ルドルフは「心当たりがあるようだね」と続けてくる。
「ハンターが私を越えるウマ娘になるのは問題ないよ。
姉妹お互いに切磋琢磨し、実力を上げることは重要なことだ。
…だが、今のハンターだと間違いなく耐え切れず壊れてしまう。
最近は転校してきたばかりなのに生徒会の仕事も手伝い始めててね。
私の負担は確かに軽くなっているんだが、ハンターの負担がその分増えているはずなんだ」
ルドルフはそう話した後、かしこまって俺に話してくる。
「だからお願いだ。
…ハンターを助けてやってくれ。
私との勝負、最高潮の状態で臨めるようにして連れてきて欲しい。
…彼女の姉として、どうか頼んだよ」
そう言ってルドルフはその場を立つ。
(…言われなくても、分かっているよ。
君との勝負の舞台で勝利させることが、俺の役目なんだからね。
君の妹、しっかりと育て上げてみせるよ)
俺がそう返すと、ルドルフは微笑んで俺に返してくる。
「そう言ってもらえると思っていたよ。
それなら私も心配いらなそうだ。
…ハンターのことで疑問に思ったことがあれば、私にも聞いてくれ。
姉として、できる限りのことは伝えさせてもらうよ」
そう言ってルドルフはその場を去っていく。
…ルドルフと話し終えると、もうハンターが戻ってくる時間が迫っていた。
自分は校門へと、ハンターを迎えに行った。
◇ ◇ ◇
(ハンター、お疲れ様)
そう話しながらタオルを渡すと、ハンターは「うっす」と答えてくる。
(大丈夫だとは思うが、違和感とかはないよな?)
「もちろんですよ。走ったことによる疲れはありますけど、それ以外はないですよ」
ハンターは息を整えながらそう答えてくる。
そしてトレーナー室へ戻っている最中、ハンターに話していく。
(今日のトレーニングはこれで終わりだけど、これからなにかすることあるか?)
「今日は生徒会の仕事が色々と。提出物系もありましたかね」
ハンターはそう話してくる。やっぱり忙しそうだな…。
(…ハンター、俺が手伝えることはないか?)
そう話すと、ハンターは驚いた表情を見せる。
「…いや、別に大丈夫っすよ。
トレーナーの仕事を増やすわけには…」
(君の負担を減らしたいんだ。
このままじゃ君が壊れてしまうからね。
自分にはまだ余裕があるからさ)
ハンターの言葉にそう答えると、ハンターは「やっぱりそう言う感じで来ますか…」と返してきた。
「…分かりましたよ。
俺じゃなくてもできる奴、何個か振り分けさせてもらいます」
(そうしてもらえると、自分も安心だよ)
自分とハンターは、歩きながらそう言葉を交わしていった。