無敗の狩人と呼ばれるウマ娘になった   作:W297

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ここからはハンター視点に戻ります。

今回からしばらくは過去編。


第?R 「狩人、中央へ」
99話


 

 カサマツ競馬で勝ちまくり、俺に中央からのスカウトがやってきた。

 

 俺としては、「…ようやくか」と思っていた。

 

 皐月賞までには中央に行きたかったが、ダービーの前になってしまった。

 

 まあ、クラシックには興味ないし、皐月は無事ルドルフが勝っていた。

 

 俺の予定には大きな狂いはまだない。

 

 

 

 

 

 そして、カサマツから旅立つ時がやって来た。

 

 名古屋駅の新幹線ホームで、ジョーさんとオグリ、ベルノライトが見送りに来てくれている。

 

「…オグリ、向こうで待ってるぞ。

 

 体のケアはしっかりな」

 

「ああ、待っていてくれ。

 

 必ずそっちに向かう」

 

 あのあと、正式にジョーさんとの契約を結んだオグリはそう話してくる。

 

 …間近で見ていて、周りとは一線を画す実力が明らかだった。

 

 唯一、と言ってもいい匹敵する相手はフジマサマーチ。

 

 アイツはオグリのいいライバルになってくれるはずだ。

 

「ベルノ、オグリのサポート頼むな。

 

 後、お前自身のトレーニングも忘れんなよ」

 

「わ、分かってます!

 

 任せておいてください」

 

 正直、ベルノライトは走る才能はそこまでではない。

 

 実家がスポーツ用品店をやっているからか、そっちの方が向いてるんじゃないかと思う。

 

 実際、出会った後にベルノの所で頼んだ靴と蹄鉄に変えてみたところ、明らかに履き心地が違った。

 

 …ただ、まだベルノの目にはレースに対する炎が燃えている、邪魔をしてはいけないだろう。

 

「ジョーさん、今までありがとうございました。

 

 オグリをお願いします。

 

 オグリならしっかりサポートしてやれば中央は夢じゃないと思うんで」

 

「ああ、任せておけ。

 

 お前も、怪我には気を付けてくれよ。

 

 お前が中央の舞台で思う存分走っている所、楽しみにしてるからな」

 

 カサマツに来て俺のことをしっかりと育ててくれたジョーさんに俺は頭を下げる。

 

 『カサマツは通過点』と明言しながら、ここまで育て上げてくれたジョーさんには感謝しかない。

 

「正直、お前の『世界で勝つ』って言うでかい目標聞かされたときは驚いたけどよ。

 

 お前は明らかにここのお山の大将になってる器じゃない実力だったからな。

 

 夢のまた夢ではないって思うぜ。

 

 正直今の俺じゃ、お前を中央に送り出すことが限界だ。

 

 後は中央のトレーナーに任せることにするよ。

 

 …そういえば、お前、向こうのトレーナーに当てはあるのか?」

 

 ジョーさんがそう話してくるが、俺はそれに首を振る。

 

「ないっすよ。

 

 でも、俺の実力なら多少は来るでしょ。

 

 幸い、ルドルフの妹って肩書は消えないっすからね」

 

「相変わらずだな、お前は…」

 

 俺の言葉にジョーさんはそう返してくる。

 

 そう話していると、新幹線の発車を告げるチャイムが鳴り響く。

 

「…それじゃ、行ってきます」

 

「ああ、てっぺん掴み取って来いよ、ハンター!」

 

 俺が列車に乗り込み、ジョーさんがそう話すと、目の前の新幹線のドアが閉じていく。

 

「…ジョーさん、今までありがとうございました」

 

 俺はドアの外にいるジョーさんに向けて改めて頭を下げる。

 

 新幹線は徐々にスピードを上げて、名古屋駅のホームが消えて行く。

 

 俺はスピードを上げていく車内に入っていき、座席に座る。

 

 背もたれに体を委ね、俺は伸びをする。

 

(…ここからが勝負だな)

 

 俺はそう思いながら、ルナの待つ中央へと向かっていった。

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