「チーム、スピカ…」
確かシービーとエースが所属しているチーム。
人数は登録ギリギリだったはずだ。
ちなみに部屋の中にはシビエスの2人、そして長身葦毛のウマ娘、後は1人の男性。
「…えーと、2人は…」
俺がそう話すと、2人から声がかかる。
「アタシはゴールドシップ、ゴルシちゃんって呼んでくれ!」
「俺はここのトレーナーの沖野だ。
悪いな、こんなことしちまってよ」
沖野さんはそう言いながら俺の目線に合わせるように座ってくる。
「…昨日のお前とルドルフのレース、見させてもらったんだ」
見られてたのか、昨日のやつ。
まあみられて困るもんでもなかったけど。
「…お前の末脚はトレセン学園でも1・2を争うレベルだと思ってる。
末脚の速さだけならここにいるシービーやゴルシにも勝つと思うぜ」
沖野さんの言葉にシービーが「そんなになの?」と返すと、沖野さんは「ああ」と続けていく。
「あのルドルフとほぼ同着ってレベルだったからな。
正直ルドルフは今の実力でウチのシービーとエースの2人が走ったとしても、確実に勝てるかどうかはわからないってレベルだからな。
そんなウマ娘と調整が完全に済んでいない、グラウンドも初経験って状況であそこまで詰められたのはすげえよ」
沖野さんは俺のことをそう評価していく。
「…少なくとも、お前は選抜レースを受ければ間違いなく複数チームからの勧誘を受ける実力だ。
それなら先に手を打っておくのも一つの手。
そういう訳で今回ここに案内させてもらったって訳だ」
そう話しながら、沖野さんは座り込んでいる俺に目線を合わせるようにしゃがみ込む。
「…ハンター、お前が良ければウチに入ってもらえないか?
まあ決めなくても選択肢の1つとして考えるだけでもいいからよ」
…どうしようか。
正直、ルドルフから話されたリギルにも憧れはある。
ほかのチームにも勧誘を受ける可能性は大いにあるだろう。
その後に改めてチームを選んでもいいとは思っている。
…とはいえ、だ。
一度聞いておくのも良いかも知らない。
「…1つ、あなたに聞かせてもらってもいいですか?」
「ん、なんだ?」
沖野さんがそう返してきて、俺はそれに続けていく。
「…あなたは、俺を世界まで連れてってくれますか?」
俺がそう聞くと、沖野さんは「へえ、そこまでもう見てんのか」と返してきた。
「ルドルフはこのままいけばクラシック3冠すべてを獲ると思っています。
そんなルドルフを越えるためには、G1を1つ2つとったところで何も変わらない。
世界というタイトルを取って、ルドルフの奴を越えることができた…そう思うんです」
俺がそう話していくと、沖野さんは「なるほどね」と話してくる。
「…面白いこと言うな、お前は」
「…と、言うと?」
俺がそう返すと、沖野さんは「だってよ」と続けてくる。
「お前、カサマツから来たばっかりなんだろ?
そんな奴がすでに世界まで見据えてるなんて聞いたことないからな」
沖野さんはそう話して、改めて俺に続けてくる。
「…ハンター、お前が言ってることはかなりきつい道のりだ。
ここにいる去年3冠のシービーや、今年の宝塚記念有力候補って呼ばれてるエースを越えることは確実なんだからな」
沖野さんの言う通り、シービーやエースからはギラギラとした好戦的な視線が注がれている。
「…でも、そんなやつでないと世界のタイトルなんて取れるわけがねえ。
日本のタイトルでさえ、簡単に取れるタイトルはないんだからな」
沖野さんはそう話して、改めて俺に話してくる。
「ハンター、お前が良ければ俺にその競走人生、預けてもらえないか?
正直、お前ならルドルフを越えることは十分可能だって思えた。
アイツと同年代で勝てるのはお前だけだ。
…一緒に獲ろうぜ、世界」
…ちゃんと中央にも、俺の思いを分かってくれる人がいたか。
…ここまで言ってくれるなら、文句はない。最高のトレーナーだろう。
「…分かりました。
これからよろしくお願いしますよ、
…トレーナー」
俺がそう言うと、トレーナーは俺の手を握ってくる。
「…ああ、これからよろしくな、ハンター!」
そう話してくると、それにエースが話してくる。
「それでよ、トレーナー。
ハンターの中央デビュー戦、いつにするんだ?」
そう話すと、トレーナーは話してくる。
「今週末だ、今週末!
早速行くぞ!」
「「「「はあ!?」」」」
…トレーナーの言葉に、俺達4人の言葉がそう共鳴した。