105話
「…帰って来ねえな」
スピカに入り、無事中央でのデビュー戦も勝利で収めた俺は、寮の自室でそう思っていた。
帰ってこないのは同室のルナ。
生徒会に入っており、今は副会長の仕事をしているのだが…。
「…いくらなんでもここまで遅くなるのか?」
ルナが帰ってくるのはいつも門限ギリギリ。
アイツもいろんなところで活躍しているが年齢は俺と同じだ。
間違いなくこのままだとアイツは心身とも壊れる。
俺と対決する前に倒れてしまってもらっては意味がない、
そんな中、部屋のドアノブが動いた。
「…ただいま」
ルナが帰ってきたようである。
「…おかえり、ルナ。
…大丈夫か?」
若干顔がやつれてしまっているルナは、「ああ…」と返しながらベットに倒れる。
「…最近、生徒会の仕事が忙しくてな…。
すまない、少し休ませてくれ…」
ベッドに突っ伏しながらそう返してくるルナには、いつもの威厳は感じられない。
こういう姿のルナは他のウマ娘には見せられないが、妹の俺ならルナも気を許すことが出来る。
他のウマ娘だとこういうこともできなかったはずだ。
「…ルナ、無理はするんじゃねえぞ?
俺と対戦する前に倒れてもらっちゃこまるんだからな」
俺がそう話すと、ルナは「分かっているさ」と返してくる。
「…なにより、ダービーも今週末に控えている。
体調は万全の状態で臨めると思っているさ」
そう話すルナだが、その目には若干の疲れが隠しきれていなかった。
◇ ◇ ◇
「…それで、どうすべきだと思う?」
カフェテリアで昼食をとりながら、俺はシービーとエースに相談する。
「どうすべきって言われてもな…、
マッサージとか、そういうことはしたのか?」
エースからそう話されて、俺は「ああ」と肯定する。
「昔から怪我とかのサポートについてのことは教えてもらってたからな。
少しは体は軽くなっているとは思うよ。
…ただな」
俺がそう話すとシービーは「ただ?」と聞いてきて、俺は続けていく。
「俺がやってるのはマッサージとか、ルナの負担を軽くするだけだ。
いくら俺が軽くしたところで限界は来るからな。
なんとか今は耐えてるが、俺のトレーニングも増えてくるだろうし対応できなくなる可能性が…」
俺はそう言いながらため息をつく。
「それなら、ルドルフの奴の仕事を減らさないことには何も変わらねえな。
シービー、何か案はねえか?」
エースはそうシービーに聞いていく。
「…それならさ、入っちゃえばいいんじゃない?」
「入るって…、俺が生徒会にか?」
俺がそう聞くと、シービーが「うん」と返してくる。
「…ハンターはまだ余裕あるんでしょ?
なら直接生徒会に入って少しでも減らしたらいいんじゃないかな?」
シービーはそう話してくるが、エースがそれに返していく。
「…でもよ、ハンターはこっちにきたばっかだぜ?
それでも入れるのか?」
そんな言葉にシービーは「誰が決めたの?」と返してきた。
「生徒会長は選挙で選ばれてるけど、副会長とかの執行部員の選任は会長が決めれるんでしょ?
選ばれる条件はこの学校の生徒全員ってことだけ。
ハンターにもその条件は当てはまってるはずだよ」
「…そうだな。
この後、ダメ元でも生徒会室行ってみるよ」
俺はシービーの言葉にそう返した。