「それでよ、フジ。
俺たちに真っ向から意見できる奴なんてそうそういねえと思うんだけどな。
一応言っておくが、シービーとかエースとかは俺たちとタメの奴らなら先に断っておくぜ」
せっかく新しく生徒会に迎え入れるのなら俺たちより年下がいい。
俺たちもいずれはこの学校を去る。
それまでにしっかり次の世代へと繋げる、それができれば最高だ。
一応生徒会の庶務の面々に頼むのもアリだとは思うが、執行部のことは執行部で済ませたい。
「その辺は大丈夫ですよ。
私たちよりも年下ですから。
ハンターさんも納得してくれると思います」
フジは「ヒシアマも多分そうだと思います」と続けながら、俺を連れて歩いていく。
そして、俺が連れてこられたのは学校にいくつか設置されている花壇のうちの一つ。
そこには花壇に水をやっている一人のウマ娘がいた。
…えーと、確かこいつは…。
その横顔に、俺は何となく見覚えがあった。
「…エアグルーヴ。少しいいかい?」
「フジキセキか、何か用か?」
キリっとした目とアイシャドウが特徴的なウマ娘、エアグルーヴはそうフジキセキに返してくる。
…なるほど、こいつなら問題はねえな。
「…ちょっと、ハンターさんが君に用があるんだって。
ハンターさん、エアグルーヴです。
名前は知っているかと」
「ハンターさん…?
私に何かありましたか?」
エアグルーヴはそう俺に話してくる。
「ああ、ちょっとな。
るn、ルドルフの頼みである人材を探しててよ」
エアグルーヴとは先日あった生徒会選挙でルナとしのぎを削りあった。
ルナを継続させるか、それともエアグルーヴに新たに託すか。
選挙期間中、校内はこの二人に分かれた。
俺はもちろんルナの側に回り、応援演説などのサポートをしていたのだが、このエアグルーヴなら負けてもいいと思えた。
それぐらいこいつも、周りから慕われているウマ娘だった。
…だが、結果としてルナが勝った。
そのままルナが会長を継続することになり、俺も副会長を継続することになった。
ルナ曰く、「正直、厳しい戦いではあったかな」という評である。
「人材…ですか?
いったいどういう…?」
エアグルーヴはそう俺に聞いてくる。
「生徒会執行部の一人になれるウマ娘を探しててな。
唯一の条件はルドルフや俺に臆せずに意見できるウマ娘であるということ。
誰か知らないか?」
「それならやはり、ラモーヌ先輩などがいいのでは?」
その言葉に俺は首を横に振る。
「ラモーヌは残念ながら対象外なんだ。
次の世代のウマ娘で俺たちに意見をすることができるウマ娘を探しているんだ」
「それは…、数少ないでしょうね…」
エアグルーヴはそう言葉を詰まらせる。
そんなエアグルーヴに俺は話していく。
「…だからよ、エアグルーヴ。
執行部に入るつもりはないか?」
「え…?」
エアグルーヴはきょとんとした顔を見せる。
それもそうだろう、つい先日までバトりあっていた間柄だ。
そんなウマ娘から仲間になるように言われたらこうなるに違いない。
「…いいんですか?
私は先日会長と…」
俺はエアグルーヴに「大丈夫だよ」と話す。
「あいつはそんなこと気にするようなウマ娘じゃねえよ。
むしろ、お前がいればさらに視野が広がるから、アイツも歓迎するんじゃねえのかな。
すべてのウマ娘を幸せにしたいっていうあいつの理想をかなえるためには、お前に票を入れていたウマ娘たちの力もいるしな」
俺はそのまま続けていく。
「…なにより、ルドルフは三冠、俺は地方出身。
それでお前はトリプルティアラを狙うウマ娘だ。
様々なウマ娘を導いてくうえで、視野をひろげることは大事だしな。
なにより、会長選挙のときのあの演説ができるなら大丈夫だろ。
あれだけ俺たちを目の前にして話すことができるなら、俺たちにもしっかり伝えられるはずだ」
俺はエアグルーヴにそう話していく。
「…俺から伝えられるのはこれぐらいかな。
フジ、紹介してくれてありがとよ」
「どうってことないですよ、ハンターさん」
俺の横で話を聞いていたフジは俺に返してくる。
「興味があるなら、俺たちがいるときに生徒会室にきてくれよ。
詳しいことはそこで話させてもらうからさ」
俺はエアグルーヴにそう話して、その場を後にした。