今回のストーリーは『今宵、リーニュ・ドロワットで』を基本にしつつ、『されば君、かなし』の部分もところどころに入れていこうかなと。
111話
「…とりあえず、このあたりの確認はおっけーっと」
俺は倉庫にある備品を確認して、扉を閉める。
外の桜の木は満開を迎えており、春の到来を予感させていた。
そんな中、俺の耳に一人のウマ娘の声が聞こえてくる。
「…あの!
私と一緒にドロワで踊ってくれませんか!」
『リーニュ・ドロワット』、通称ドロワ。
桜の咲く季節、新年度を祝してこのダンスパーティーは始まった。
…この時期が近付くにつれ、一部のウマ娘たちはそわそわしだす。
本番に着用するドレスを選ぶのもそうだが、一番はメインとなるペアダンスの相手を見つけること。
その際、最も素晴らしいダンスを見せたペアにはその年の『ベストデート』という称号を得ることができる。
ちなみに昨年度は、俺とルナのコンビが獲得した。
ルナに「一度参加したいと思っていたんだ」と誘われ、そのまま参加することになった。
内容?そんなものはルナに全部任せていた。
ルナ曰く、「私の能力を最大まで発揮させることができるのは、お前だけだ」だそうである。
まあそんな感じでルナとのペアダンス特訓が始まり、基本はルナが主導権を取り、ところどころで俺に主導権が入れ替わる。そんな感じだった。
「…もうそんな時期か」
俺はそう呟き、生徒会室へと帰っていった。
◇ ◇ ◇
「…備品の確認、終了したぞ」
俺は生徒会室に入りながら、そうルナに告げる。
「ああ、いつもありがとうハンター」
ルナは顔をこちらに向けてそう返してくる。
「…そういえば、ハンター。
相談したいことがあるのだが、構わないか?」
「別にいいぜ?
特にやるべきことはないしな」
そう言いながら、俺はビーズクッションに腰を下ろす。
「…それで、相談したいことって何なんだ?」
俺がそう聞くと、ルナはある紙を俺に見せてくれる。
「今年のドロワについて、こういう意見が出ていてね」
俺がその紙を見せてもらうと、ドロワについての希望が書かれていた。
「『ドロワでほかのウマ娘とさらに盛り上がれるようにするため、DJタイムの導入をしてくれませんか?』…か。
まあペアダンス以外でも、ほかのウマ娘と一緒に盛り上がれる時間が増えるのはいいんじゃないか?
これを導入することで総時間は伸びてしまうだろうけどな」
俺はそうルナに告げていくと、ルナは返してくる。
「ハンターはこのDJタイムというのが分かるのか?」
「一応な。ファル子からチャントシステム導入前に相談されたことがあるんだ。
経験したことはないけどよ」
俺はルナにそう返す。
「…では、ハンター。
すまないが、この件お前に任せても構わないか?
こういうものはより精通したものが担当するべきと思うからな。
お前の負担は増えてしまうが、大丈夫か?」
ルナは俺にそうに聞いてくるが、俺は「ああ」と返していく。
「ちょうど、本番も終わったところだし、次まで余裕あるからな。
これぐらいなら平気だよ」
そう話した俺は、クッションから立ち上がる。
「じゃ、ルナ。
ちょっと出かけてくるわ。
なんかあれば呼んでくれ」
俺はそう話して生徒会室を離れた。
今回からしばらくの間はドロワ編ですが、一応新ストーリー『プロジェクトL'Arc』編も計画の中にはあります。
…ただ、この小説内だとハンター・エルが凱旋門賞を獲得しているため、展開的にどうしていくか迷ってます…。
ある程度軸ができたら開始したいなとは思ってるので、気長に待ってもらえると助かります。