「…ああ、ちょっと時間伸びる感じになるんだけど…。
…りょーかい、ありがとな」
「…分かった、こっちで調整する。
それでそっちは余裕あるか?」
フジとスカイ、シャカールと別れた後、俺は教室でてきぱきと書類、電話を捌いていく。
「あのー、パマちん…?」
「うん、多分思ってること同じだと思う…」
パマヘリの二人はそう話して一瞬黙った後、
「…ハンターさんの腕が4本に見えてるんだけど…。
あれマ?」
「うん、マジマジ」
電話がひと段落した後、俺はヘリオスとパーマーを呼び寄せる。
「…ヘリオス!
こいつにもうちょい曲短く調整できるかどうか確認してきてくれ。
できないならこっち側でもう一回調整するから、できる限りなる速で頼む!」
「お、おけ!」
「パーマーはこっち!
実行委員会のところへこの書類持って行ってくれ。
今から持っていくって伝えておいたから、多分教室内にいると思う!」
「りょ、了解です!」
そう言ってヘリオスとパーマーを外に出させる。
ドロワの日までは刻一刻と近づいてきている。
あれから実行委員長とも話し合い、大体の時間が決まった。
あとは最後の調整をするところである。
…そしてだ。
「…ルナ。
今、大丈夫か?」
『ああ、ちょうどひと段落ついたところだが…、どうしたんだ?』
「なら、シリウスの奴に協力を頼んでもらえないか?
あいつの人脈をさらに使うことができれば、さらにドロワは盛り上がるはずだ」
『私でいいのか?
シリウスに協力を頼むなら、お前が行った方が…』
俺はそんなルナの心配を「大丈夫だ」と返していく。
「今回ばかりはお前が行った方がいいと思うんだ。
俺の勘でしかないけどよ。
…でも、あいつは引っ張られることを嫌ってるけど、真っ向勝負なら喜んで向かってくるはずだ。
会長シンボリルドルフじゃなくて、幼馴染のルナとして話してこい。
お前との勝負なら、あいつは必ず乗ってくる。
お前ら2人の関係を横でずっと見てきた俺の言葉を信じろ、ルナ」
俺がそうルナに話すと、ルナは少し黙った後、改めて電話越しに話してくる。
『…分かった。
気分転換もかねて、シリウスと話してくることにしよう」
そう話した後、ルナは「それと、だ」と続けてくる。
『私が言えたことではないが、お前は無理をし過ぎることが多い。
くれぐれも、倒れる前に休息を挟んで英気を養っておいてくれ。
ドロワ本番で、主催本人がいないというのは避けなければいけない事態だからな』
「ああ、わかっているよ。
この書類の山終わらせたら一回外出るつもりだからよ。
お前こそ、無理し過ぎないようにな」
俺はルナの言葉にそう返して、電話を切る。
こうなれば後は大丈夫だ。
心配はもういらないだろう。
俺は改めて書類の山に向かっていくと、教室のドアが叩かれる音がした。
「…入ってきてくれ」
そう俺が返すと、2人のウマ娘が入ってくる。
「…邪魔するぜ」
「やっほー、ハンターさん」
入ってきたのはシャカールとファインモーション。
ファインはアイルランドから来た正真正銘のお姫様だ。
こいつに関しては、それとなくできる限りの配慮をさせてもらっている。
さすがの俺も、変なことをして国際問題にはしたくはない。
…そして、数少ないシャカールにおびえることなく話すことができるウマ娘だ。
「フジとスカイの調子はどうだ?」
「今のところは大丈夫そうだよ。
違和感なく踊れてるみたい。
本番も大丈夫なんじゃないかな」
「…音源も心配いらねえ。
あれだけあれば、後はもうこっちで軽く調整するだけだ」
ファインとシャカールは俺に向けてそう話してくる。
「…にしても、ファイン。
提案した俺が言うのもなんだが、引き受けてくれてありがとう。
感謝させてもらうよ」
「大丈夫だよ、ハンターさん。
ハンターさんにはこれまでずっとお世話になってきてるしね。
それの引き換えってわけじゃないけど、ハンターさんおすすめの激辛ラーメン、連れて行ってね?」
「そんなことで良いなら何か所でも連れて行ってやるよ。
激辛好きな面々で厳選したところから、珠玉の一杯御馳走してやるさ。
相当辛いけど、大丈夫か?」
「もっちろんだよ!」
俺はファインとそう言葉を交わしていく。
「シャカール、忙しくさせてしまってすまないな。
あともうちょい、頑張ってくれるか?」
「ああ、これぐらいなら心配はいらねえ。
カマす準備は万全だ」
シャカールは俺にそう返してきてくれた。
そうシャカファイの2人と話していると、俺のスマートフォンに2つの通知が入った。
パマヘリコンビからである。
「…よし、これで…!」
俺は最後の書類に、記入して、認証印を押す。
「…とりあえず、今日の分終了っと!」
俺はそう言って、大きく息をつく。
「お疲れさま、ハンターさん。
このあと何かあるの?」
ファインの言葉に俺は「ああ」と首を縦に振る。
「テイオーとマックイーンにペアダンスを見てくれって頼まれててな。
このあと、ちょっと見てくる予定なんだ。
ルドルフにリードされてた俺が話せることなんて、少ないと思うけどな」
俺はそう返して、椅子から立ち上がった。