無敗の狩人と呼ばれるウマ娘になった   作:W297

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今回から再び過去回です。

前回の説明通り、ハンターの目標レースに天皇賞(春)がありません。

その理由を説明させてもらいます。


第?R 「春の青空の下で」
124話


 

 桜が咲き乱れる春の阪神レース場。

 

 俺はサンケイ大阪杯に臨んでいた。

 

 ジャパンカップ・有馬記念を勝ち取り、ルナ、シービー、エースと並び4強と呼ばれるようになった。

 

 第一目標のジャパンカップを獲得できた俺は、最終目標である凱旋門賞へ向けて調整を続けていた。

 

 今回のレースはG2ではあるが、春の天皇賞に向けての調整の舞台として出走することにしたのである。

 

 …というわけで。

 

「…ま、いい勝負しようぜ、シービー」

 

「うん、今日も楽しもうね、ハンター」

 

 ゲートに入る直前、俺はシービーと言葉を交わす。

 

 G2でこの対戦はレアだろうし、割に合っていないと感じてしまう。*1

 

 シービーには2回勝てたが、正直勝てるかどうか五分だ。

 

 俺はゆっくりと7枠8番の位置に入る。

 

 …まあ、大外とまではいかなかったが、外側の枠だ。

 

 ゲートの中で俺はゆっくりふうっと息を吐く。

 

 辺りはレース開始直前特有の静かな空気が広がっている。

 

 …そして。

 

 

 

 …ガタンッ!

 

 

 

 ゲートが開かれ、レースが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺はいつも通り、集団の後ろ側の位置に着く。

 

 俺は追い込み型だが、その中でも初速は遅めである。

 

 …事実、俺と同じ追い込み型のシービーは俺より少し前を走っている。

 

 これでも中央にやって来た時よりかはスピード・スタミナともに上がっているのだが…。

 

 …俺は先頭の位置を確認する。

 

「…まだ行けるな」

 

 俺はそう呟き、前との差を広がらせ過ぎない程度のスピードでターフの上を走っていく。

 

 レースは半分を越え、周りのウマ娘たちはペースを上げていく。

 

 …だが、まだだ。

 

 今の先頭との差は大体8バ身ぐらい。

 

 これぐらいなら捲ることができる。

 

 シービーを含めた周りのウマ娘たちのスピードを見ても、このペースで行けば第4コーナーを回るころにはせいぜい12バ身もつかないぐらいだ。

 

 俺ははやる気持ちを落ち着かせながらしっかりと走り続ける。

 

 …そして第4コーナーに集団は入っていく。

 

 段々盛り上がる観客の声も大きく聞こえてくるようになった。

 

「…それじゃ、そろそろっ!」

 

 俺は一気に足のギアを変えてスピードを上げる。

 

 

 

 

 

 …ことはできなかった。

 

 

 

 

 

 俺の左足から稲妻のような痛みが俺の脳に届いた。

 

(…うっそだろ!?

 

 ここで怪我するのかよ俺…)

 

 十分にケアなどはしてきたはずだ、それでも駄目だったのか…!?

 

 …とはいえ、このまま走り続ければ俺の足は更にひどくなる。

 

 ただでさえ、今も足が地面に着くたびに痛みがズキンッ!と響いてくる。

 

(…スピード上げる前でまだよかった、後ろも気にせずにスピードを緩められるってのは不幸中の幸いだったか…)

 

 …俺はそのままスピードを落としていき、走りから歩きに移行していって最終コーナーのあたりで歩みを止め、柵に手をかける。

 

 …とりあえず、転倒せずに止まれてよかった。

 

 思いっきり転倒して骨折し、そのまま競争人生が終わるってことにはならなそうである。

 

 俺が柵に手をついて掲示板のほうを見ると、レースはどうやらシービーが勝ったみたいである。

 

 …今、こうして止まっている時点で、俺は競走中止扱いか…。

 

 怪我の具合がどれくらいかは分からないが、多分春天はキツイだろうか…。

 

 俺はそう思いながら雲一つない春の青空を仰いだ。

 

*1
大阪杯がG1に昇格するのは2017年になってから。

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