「はあ!?
お前が逃げ!?」
俺の言葉にエースはそう返してくる。
「…エース、静かにしてくれ。
シービー以外の面子にこの作戦を伝えたくねえんだ」
「…あ、ああすまねえ…」
エースはそう返し、それにシービーが続けてくる。
「…でも、今まで君がやってきたこととは真逆だよ?
それで私とタメを張れるぐらいになれるの?」
俺はシービーにの言葉に「違うな」と返していく。
「『なれる』んじゃねえ、『なる』んだよ俺は。
そうでもしねえと向こうで勝つことはできねえ。
幸い、カサマツで何回か経験はしてるからずぶの素人ではないぜ?」
そう話す俺にトレーナーは話してくる。
「逃げならドクターストップはかからないのか?」
「ええ。いつもの急加速がダメって話なんで。
一応確認ももらってます」
俺はそうトレーナーに返していく。
「…よし、それならお前の判断に任せる。
ただし、違和感があるならすぐに伝えてくれ。
エース、ハンターを頼むぞ」
「りょーかい!」
◇ ◇ ◇
「それでだ、ハンター。
お前は逃げについてどれくらい知ってんだ?」
エースは俺にそう聞いてくる。
「とにかく自分との闘い…かな。
前のターゲットが0なわけだから、自分を信じてただ走るだけ。
それでいてある程度距離もあるから、最後にトップスピードで走るスタミナも残しておかないといけねえし…」
俺がそう話していくとエースは「ある程度は分かってるみたいだな」と返してくる。
「下手にスタミナを残してしまえば、後ろに追いつかれれるリスクは高くなる。
かといってスタミナ気にせずに最初からトップスピードで走ったら最後走れなくなるし。
そのバランスが重要だな」
エースは俺にそう話してくる。
「宝塚はファンに選んでもらったウマ娘たちが走るレースだ。
有馬ほどじゃねえが、それに迫ってくるぐらいには盛り上がりを見せる。
…ま、そのあたりのプレッシャーはお前なら大丈夫だと思ってるけどな」
エースはそう話して、俺に続けてくる。
「…まずは、お前のレース自体への感覚を取り戻すところからだ。
さすがに、1か月近く実践から離れてたら、できるもんもできねえだろうしな」
「ああ、ちょっと付き合ってくれよ、エース」
俺は笑みを浮かべながらそうエースに返した。
◇ ◇ ◇
そう言ってエースに付き合ってもらった併走…だったのだが。
「…やっぱり、筋肉とかなまっちまってるよな…」
「ああ、いくらお前が怪我持ちだとは言え、明らかに落ちてる」
今までほぼ同じペースで走れていた俺とエースだったが、今はそのスピードは大きく劣ってしまっていた。
…今までのように足が動いてくれない。
いくら体が自由に動くようになってもこればっかりはまだ無理だったか。
「…とりあえずは、今までのスピードに戻すことが最優先だな」
「…ああ。宝塚まであと1か月半ぐらいは残ってる。
気合入れていくとしますかね」
俺はそう話して、改めてエースとの併走に臨んでいった。