俺が不在の天皇賞春。
ルナとシービー競り合いの末、ルナが菊花賞以来の4冠目を手にした。
そんなハイレベルな戦いが行われてる京都を横目に、府中のトレセン学園では。
「…ようやく、感覚が戻ってきたぜ…!」
俺はひたすらトレセン学園のコースを走っていた。
ちなみに今日はエースやトレーナーは京都に向かっているため不在である。
あれからというもの、ひたすらトレーニングを続けていった俺は、タイム自体は以前と遜色ないレベルに近づいて来た。
あとはレース自体への感覚を取り戻すだけだ。
トレーナー曰く、俺と宝塚記念で勝負しないであろうウマ娘との併走トレーニングなども組んでくれてるみたいである。
…それなら俺はしっかりと走っていくだけだ。
「…しゃあっ!」
そう思いながら、俺は再びターフの上を駆け抜けていった。
◇ ◇ ◇
そして、宝塚記念までの日々はあっという間に経過していった。
有馬記念以来の黒いスーツに身を包んだ俺は阪神へとやってきていた。
「…ようやく、戻ってこれた」
怪我をしてからおよそ2か月。
急なギアアップ禁止であるドクターストップは未だに外れてはないものの、不安はほぼほぼないところまで来ていた。
この後、俺はフランスへの旅へ出る。
…このレースは俺の日本最終戦。
もう日本の芝の上を駆け抜けるのもこれで最後だ。
…俺は凱旋門賞で全ての力を使い果たすつもりだ。
担当医さんもそれは分かってくれている。
そのためにこのレース、しっかりと調整して来た…のだが。
「あいつらとも、戦いたかったな…」
俺はそうつぶやく。
本当なら出走する予定だったルナが練習中の怪我により出走を取り消し。
シービーも天皇賞の後に悪化した怪我の具合が良くなく無期限の休養中。
エースは有馬の後にトゥインクルを引退しドリームトロフィー挑戦への調整中だ。
…正直、あいつらと戦いたかったというのはあるが、凱旋門を目指すうえでこれ以上待っていることはできない。
枠番は1枠1番の超内枠。
逃げをする上でちょうど良い番号に入れた。
…正直、ルナやシービーがいない以上、マークはすべて俺に来る。
ある意味、いつもの追い込みだと躱しに行くことはできないかもしれない。
「…ふうっ」
ターフの前の地下道で俺はそう息をつく。
「…さすがのお前も、思うことがあるのか?」
俺の耳に聞きなれた声が届いた。
ルナである。
「まあな。これで日本で走るのは終わりだしよ。
折角なら、お前らと戦って向こうに行きたかったけどな」
俺はルナの言葉にそう返していく。
「…まあ、『急な末脚の発動禁止』って言われてるけど、それ以外の調整は完全に済んでる。
勝ってくるとするよ。
お前ら以外に負けるわけにはいかないんだからよ」
「ああ。いくらお前がケガからの復帰戦だとは言え、周りが油断するはずがない。
…そして、何よりお前は我らシンボリ家の一員だ。
負けは許されないぞ?」
「もちろんだ。
…行ってくる」
俺はそのままターフの上へと向かっていった。
小説本編とは全く関係ありませんがここで…。
ここまで長かった!我らが阪神タイガース、38年ぶりの日本一!
ホント、ここまで長かったー…!おめでとう、そしてありがとう!
あと、横田…、遂にやったよ…!天国から力をくれてありがとう…!