14話
スぺのデビュー戦勝利から、スぺ、スズカやゴルシも連勝していき、スカーレット・ウオッカの二人もジュニアで1勝ずつ。
今までの人数不足で休止状態だったスピカ再始動としてはいい感じであろう。
…そして今、問題になっているのが。
「…ハンター、これはどういうことだ?」
生徒会室の中でルナの前に正座している俺、そしてその横で佇むエアグルーヴ、…俺のクッションで寝てるブライアン。
ルナが俺に見せてきた新聞には「チームスピカ レースに勝っても… このありさま。」と書かれている。
スズカはいいとして、問題は残りの面子だ。
スぺ。…前回に引き続き案の定の棒立ちライブ。
スカーレット&ウオッカ。…踊ってる最中、見事に転ぶ。
ゴルシ。踊ることは踊れているがやっているのはブレイクダンス。違う、それじゃない。
…うん、前にも思ったがダメだなコレ。
「…俺も含めて踊れないんだよ。スズカは性格上まだ無理だし、俺がそういう系のダンスは踊れないことはお前も分かってるだろ。ウチのトレーナーもそういうの無理だし」
ルナは俺の言葉に雰囲気を変えずに話していく。
「…ああ。それも承知の上で言っているんだ。
…しかしだな、レースだけでなくウイニングライブまで十全十備にこなすのはウマ娘の責務。
教えるものがいないから、で理由になることはない」
…うん、ぐうの音も出ねえ。
「…そうなんだけどよ、伝説の『超ガッタガタ Special Record』を踊った俺に教えろと?俺もうあの曲踊ってないから結構うろおぼえだぜ?」
『超ガッタガタ Special Record』とは俺が中央に来て初めてのウイニングライブのことだ。
カサマツ時代は自分の自由な曲を選べたが中央は実績ができるまでは共通曲。それに気づいてなかった俺はルナに面倒を見てもらってなんとかギリ踊れるようになった。
それから何勝かして、カサマツ時代に使っていた曲(他のウマ娘との兼ね合いもあるため選んだのは通常用・お祭り騒ぎ用の二曲のみ)を使えるようになった。それからというもの、共通曲は踊ってない。
…ちなみにだが、『超ガッタガタ Special Record』はダメなウイニングライブの典型例としてジュニア用の教材に使われているらしい。いつまで俺の黒歴史使うんだよ。
「…エアグルーヴ、ブライアン、ちょっと「いやです(断る)」…だろうな」
…さすがにこれは無理だったか、うん。
理想としてはスズカに踊ってもらってそれを俺が説明していく感じになるか…?
…そんな中生徒会室の扉が勢いよく開く音がする。
「カーイチョー!いるー!?」
…この元気な声は。
「テイオー!生徒会室に入る時はノックをしろと言っているだろう!」
いつものようにテイオーが生徒会室に入ってきた。
そしてエアグルーヴはいつものようにテイオーに注意するが、これも生徒会室名物。
…そういえばだ。
「…テイオー。お前って確か結構踊れたよな?」
「ん、ハンターどうしたの?ボクのテイオーステップ見たくなった?」
テイオーはそう答えてくれる。
…テイオーはまだフリーなウマ娘だ。沖野さんが猛アタックしてるとは聞いてるけど。
「…ルドルフ、ライブの件だがテイオーを使ってもいいか?テイオーはまだフリーだし問題ないだろ?」
「…ああ、そういうことなら構わないよ」
ルナも俺の考えに納得してくれたみたいだ。
「…え、なになに?どうしたのふたりとも?」
テイオーが俺達の言葉を疑問に思ったのか、そう俺たちに話してくる。
「…テイオー、頼みがある。
ウチの面子にダンスを教えてくれねーか?
お前も知ってると思うけど、ウチの面子スズカを除いたらライブ散々でな。お前みたいな奴が欲しかったんだ。
…別にこれからスピカに入れとは言わない。
いったん俺たちにお前の力を貸してもらえねーか、頼む」
俺はそう言ってテイオーに頭を下げる。
「は、ハンターさん!?相手は年下のテイオーですよ!?」
エアグルーヴが俺の姿をみてそう話すが俺は気にせず頭を下げたままだ。
「年下だろうが関係ねーよエアグルーヴ。年下だろうが何だろうが、人に頼むときにはそれなりの筋ってもんを通さねーと」
テイオーは俺に向けてこう話す。
「顔上げてよハンター。そう言われたらボクも嫌な気はしないし、受けてあげる!」
…あー、良かった。頭下げた甲斐があるってもんよ。
「…じゃ、ウチのトレーナーにも連絡しとくよ。また日にち決まったら連絡させてもらうな」
「りょーかい!」
テイオーはそう返してくれた。…これで少しはマシになってくれるかな。