…ファンファーレが鳴り響き、歓声に満ちたスタジアムは一気に静まる。
俺はふうっと息を吐き、頬を叩いて気合を入れる。
軽くストレッチをして俺はゲートへと入る。
俺に続くように、他のウマ娘達も入っていく。
全員が入り、スタジアムはさらに静まり帰る。
…そして。
ガタンッ!!
今、ゲートが開かれた!
◇ ◇ ◇
ゲートが開かれると同時にすべてのウマ娘が解き放たれ、フィールドに土煙が一気に舞っていく。
俺も飛び出していき、後方集団の外側に位置取る。
…俺の主な作戦は「追い込み」だ。
一応最初から加速していく逃げ型や先行型もできないことはないが、俺が一番得意にしているのがこのやり方なため、この位置が一番走りやすい。
下手に前に出ると風の影響も受けて少し体力が落ちてしまう。できる限りウマ娘の後ろに位置取り、抵抗を減らして最後に繋げる。
最後の第4コーナーからホームストレート、ここからが自分で言うのもなんだが俺の真骨頂だ。
しっかりと追走している中、スタンドからはそれぞれのサポーターからのチャントが聞こえてきた。
音は混ざり合っているが、しっかり聞き分けられるほど分かれていたと俺は感じる。
…無論ではあるが、俺のサポーターであるHuntersのチャントは俺に一番聞こえてきた。
それは俺も調べる過程で見つけた、最大級に盛り上がれるものの1つ。
Huntersが鳴り響かせているのは、プロ野球に始まり高校野球にも普及した応援歌、通称『モンキーターン』。
…まっさかこの曲をセレクトしてくれるとはね。
他のウマ娘のペースもいつもに比べると早くなっている。
だが、俺の足も今まで以上にノっている。
…いつも通りの作戦で行けそうだな。
俺は段々とペースを上げ、下位グループから中位グループまで順位を上げていく。
…そして俺は今、第4コーナーを通過する。
「ここしかねえよなっと!」
俺はペースをさらに上げる。ここからは俺の脚もフルスロットルだ。
俺はバ群の外側から一気に追い込んでいく。
…ほとんどのウマ娘は出来る限り、内側へと行きたがる。少しでも距離を短くするためだ。
だが、俺はあえて外側を走る。
確かに内側を走るに越したことはないが、俺にとって内側も外側も許容範囲だ。
そのまま多くのウマ娘を抜き去り。俺は坂に入る直前ぐらいで先頭のウマ娘を捕える。
…この辺りになれば俺の脚は最大の速度になってくれる。
それに今日からはチャントの力もある。いつも以上の力が間違いなく出せている。
最後のホームストレート、観客がいるスタンドが近くなるため俺達ウマ娘に聞こえてくる声も最大になる。
その声は、間違いなく俺の力になってくれる!
…俺は改めて応援の力というとてつもないものを感じた。
坂を登りながら、俺は先頭のウマ娘を一気に置いていく。
俺は坂を登り切って後ろをちらっと横目で確認する。
…大体3バ身くらいか。
もちろん、言うまでもなく俺の足もまだまだ残っている。
…もらったな、このレース。
俺はそう確信する。
ゴール板を通過すると同時に、俺は右手を大きく上に突き上げた。
今回の曲
千葉ロッテマリーンズ チャンステーマ3
…通称「モンキーターン」と呼ばれるロッテから高校野球へと広がった応援歌。
トランペット・アカペラ・手拍子・歌詞のすべてがかみ合った神曲。
…ロッテの応援はヤバい。