「…てなわけでタイキとスぺの模擬レースが決定した」
俺はスピカの部室でそう告げる。
「タイキ先輩って…、確か去年G1二連勝だろ?」
「マイルチャンピオンシップ、スプリンターズステークスで…」
「つえ」
「相手にとって不足無しじゃん!」
スピカの面々がそれぞれの感想を話していく。
なお沖野さんはこの話をする前に思いっきり蹴っておいた。
そんな中、スズカは「…反対です」と静かに告げる。
スぺの体重が増えてるし、無理して怪我をする可能性があるというのが主な理由だ。
そんな中、復活した沖野さんが話していく。
「…確かにタイキシャトルは短距離最強だ。今のお前じゃ勝てないかもな。
だが、強くなるためには自分より強い相手にぶつかるのが一番の近道だ」
スぺは「…強くなれますか?」と話し、沖野さんは話を続けていく。
「1度の本番で得られることは、トレーニングの数倍はあると思ってる。
…今はグダグダ考えずに、走って来い!」
「はい!」
沖野さんの言葉にスぺは元気よくそう返した。
「…スズカさん、私やってみます!」
「…分かったわ」
スズカにそう話したスぺの目にはしっかりとしたものがあった。
◇ ◇ ◇
「…さて、どんなもんかな」
俺はスタンドの上からターフを眺める。
「…ハンター、君はこの勝負どう見るんだ?」
そんな俺にルナが話しかけてきた。
「…うーん、さすがにタイキが勝つかな」
そう手すりに頬杖をつきながら話す俺にルナは驚いた表情を見せる。
「…ハンターなら、評価してるスペシャルウィークが勝つと言うと思ったんだけどな」
「評価してるからこそこう言ってるんだよ、ルナ。
今回のレースはスぺがしっかりとピッチ走法をものに出来てるかどうか、これが主題なんだ。
短距離最強のタイキ相手に今のスぺがどれだけ迫れるか、俺はそれを見てる。
最後までしっかり詰めることが出来るのなら上々ってとこだろ」
俺はルナの言葉にそう返していった。
◇ ◇ ◇
「…まっさかあそこまでタイキを詰めるようになってるとはな」
俺はレースを終えたスぺを見てそう呟いた。
「ハンターとしてもこれは計算外か?」
ルナの言葉に俺は「ああ」と頷く。
「…俺的に1、2バ身は離されるって思ってたからな。
あそこまで競ってくれるのなら、いい意味で計算外だよ」
「…トレーナーが話していたが、エルコンドルパサーもダービーに出るそうだ。
群雄割拠、今年の日本ダービーは一段と面白くなりそうだな」
「ああ。俺達としても盛り上げ甲斐があるってもんよ。しっかりやっていこうぜ?」
「もちろんだ」
俺とルナはターフの中で出来ている輪を眺めながらそう話した。